破風岳〜四阿火山群、五味池破風高原から霧氷を纏って切り立つ絶景の峰へ


- GPS
- 02:48
- 距離
- 9.0km
- 登り
- 377m
- 下り
- 372m
コースタイム
【実働】2時間36分
天候 | 曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2008年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
終点付近が広く駐車場となっており、レンゲツツジ鑑賞で賑わう夏のシーズン中は駐車料金が必要、オフシーズンはフリー。 なお、乳山牧場より先、五味池から米子山腹を通り須坂に至る林道は、勾配がきついうえ雨水浸食や落石などで非常に荒れている。 五味池(大池)までは何とか行けるが、その先はうかつに二駆車などで入り込むとひどい目に遭う。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
【コース状況】 乳山(にゅうさん)牧場の管理道路が地図(2003年版/昭文社「志賀高原 草津白根山・四阿山」)で見るよりずっと先まで延伸されている。 それに伴い旧登山道は廃止になったようで、頂上へ向かうルートもずっと北寄りに付け替えられているものと思われる(地図上に記録しながら登ったわけではないので、ルート図の変更ルートは当てずっぽう)。 また、地図にある土鍋山-浦倉山と続く縦走路への分岐は見つからず、道標その他の案内もない。 頂上までの行程の6割方が砕石敷きの管理道路で、その先も道標が整備されている。 特に急登もなく、純粋に登山道らしい部分は最後の1割くらいだが、笹を刈り払った切り口が突き立った道なので、底の薄い運動靴は避け、転ばないように注意したい。 頂上はまさに下の壁面が見えないような断崖絶壁につき、崖近くでの行動は慎重に。 [2011.10.13追記] 2011.10.8の再訪において、旧登山道(五味池コース)は廃止ではなく、牧場管理道路と共に並存していることを確認した。 延伸された牧場管理道路の途中に土鍋山方面への分岐を示す新しい道標が設置されており、そこから草原に分け入るとすぐに五味池コースに合流できる。 なお、ルート図は再訪時のGPSログをもとに描き直しを行なった。 【登山ポスト・水場・トイレ】 登山ポストなし。 飲用適と思われる水場なし。 五味池破風高原の施設に水道やトイレはあるが、オフシーズンは閉鎖されて利用できないと思ったほうが良い。 [2011.10.13追記] 2011.10.8の再訪において、駐車場に設けられた水道が使えることを確認した。 また、管理棟奥に水洗トイレが建てられており、この時期でも利用できた。 【飲食店・温泉】 飲食店は須坂市街まで下りないとない。 温泉は"須坂温泉古城荘"、"関谷温泉湯っ蔵んど"など。 【最新山行情報】 2011.10.8 土鍋山・破風岳 http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-141488.html |
写真
感想
午後から須坂市での仕事があるので、その方面で短時間で登れそうな山はないか探し、破風岳(はふだけ)をピックアップした。全く予備知識なしで行ったので帰宅してから調べたことだが、周辺の五味池破風高原は初夏のレンゲツツジが有名で、破風岳は1,999mという標高にちなんで1999年に話題になった山らしい(そういえばかすかに新聞で見たような記憶が…(^^; )。
東側の毛無峠から登る方がうんと距離は短いが、高山村から万座方面へとぐるりと回ってこなければならず今回は具合が悪い。須坂側の五味池破風高原・乳山牧場からのコースも等高線間隔が緩く、ズクなしの私には非常に魅力的だ。
須坂市南原町東から県道346号線五味池高原線に入り、その終点が五味池破風高原自然公園だ。県道はカーブが多く総じて細いが、全区間舗装はされている。県道終点の両側にそれぞれ広い駐車場がある。レンゲツツジのイベントシーズンをはずせば駐車料金は必要ない。今は料金所もトイレも閉ざされて閑散としている。
駐車場の先のオープンゲートを過ぎると乳山牧場の管理地となる。右カーブの先にすぐ売店や管理棟などの高原施設が現れるが、こちらにも人気はない。建物の手前で道は3方に分かれる。登山の場合は真っ直ぐ施設の奥に進むと登山道があるようだが、左の広い牧場管理道路を行ってもいずれは上で合流するのでどちらに行ってもよい。まだ癒えない右足小指(爪剥れ)のことも考え、ここは起伏のない管理道路の方を選択する。
空はどんより曇り、周辺はあちこちにガスがかかっている。だが、ガスの抜けたところの樹々は一面霧氷に覆われてとても美しい。特にシラカバなど葉が落ちた広葉樹の枝に付いた霧氷は、遠目にはまるでヤマザクラが咲いているように見える。
砕石敷きの管理道路はうねりながらゆるゆると牧場の中を登っていく。だが牧草も一面霜が降りたように真っ白で、さすがに放牧されている牛などいない。
30分くらい歩いた頃からだろうか、どうも道の様子が地図と違うように感じ始める。このとき携行していたのは昭文社の2003年版「志賀高原 草津白根山・四阿山」だが、地図では管理道路は全行程の3分の1くらいであり、その先は赤線の登山道となっている。なのに一向に管理道路の終点が来ないのだ。しっかりと地図を追いながら歩いたわけではないので、現在位置は特定できない。だが破風岳への道標は管理道路沿いにしばしば現れるし、「遭難多発地域」という脅しも併設されているのでそのまま進むしかない。牧草地の中に所々道標らしきものが立っているのが見えるが、そこへ行く踏み跡がない。結論としては、管理道路が大幅に延伸され、従来の登山道は使われなくなった、と考えざるを得なかったし、実際そうなのだろう。
出発から約50分、ようやく管理道路の終点が来る。ここで道は牧草地から離れ、右に折れてコメツガや笹の茂る中に入っていく。傾斜は相変わらず緩やかで、幅のある歩き易い遊歩道状の道だ。やがて破風岳への道標を見て右に折れると、今度は笹を刈り払って強引に切り拓いたような狭くて歩きにくい道に変わる。足を置いても不安定で、転びでもしたら太い笹の切り口で串刺しになりそうだ。
この先は左側が崖なので注意するようにとの表示により、ようやく大まかな現在位置を把握する。新しい道は地図上のルートより早めに北側に寄っており、いつの間にか丘陵北側の崖地まで来ていたわけだ。頂上はこの崖に沿ってあと少し東に進んだ所にある。
途中、崖と反対側に根こそぎひっくり返ったコメツガの大木の横を通る。この一帯は地形的に突風銀座なのかもしれない。今も崖の方からは風がゴーゴーとうなる音が聞こえるが、コメツガと笹が風防となってほとんど風は感じない。足元には所々少しばかりの雪が解け残っている。
頂上に近づくにつれてタイミングよくガスが切れてきて、左前方に美しい台形をした破風岳頂上部が姿を現してくる。その直線的なフォルムは人工的な観すらしてステージかバルコニーを思わせるものがあるが、山体の樹々にびっしりと白い樹氷を纏わせガスの合間に浮かび上がる姿はまさに自然の幽玄さを見せつけてくれる。
今年は2,000m級の山は先日の四阿山で終わりと思っていたが、破風岳はあと1m足りないだけだ。急な登りが全くないのでそんなに高い所へ登っているという実感はなかったが、頂上眼下の絶景を見れば納得もいくというものだ。なにしろ危険がない程度に崖に近寄ったくらいでは下の壁面が全く見えない。まさに垂直といっていい絶壁からは、毛無峠を挟んで西に広大な谷、東に雄大なカルデラ地形のうねりが一望の下に迫ってくる。予備知識なしで来たので正直このような圧巻ビジョンは予想してもおらず、実に感動的だ。遠くの見通しもだんだん良くなってきたのであちこちへとカメラを向けるのだが、ガスを吹き払った風は遮るものなく容赦なしに強く吹きつけて、カメラを安定させることすら難しい。帽子など押さえていないとあっという間に飛ばされてしまいそうだし、ましてやじっくり地図を広げるなど端っから無理である。それでも見覚えのある山として、南から東にかけては根子岳・四阿山と浅間山、北から西にかけては志賀高原の笠岳と雲の上に少しだけ頭を出した妙高山・黒姫山などが視認できた。また、後で地図を見たところ、浅間山の左に見えていた山並は、浅間隠山・鼻曲山などの北軽井沢の山々とわかった。
30分くらいは頂上にいたかったが、フリーザーの中にいるような強風には耐え難く、10分そこそこで頂上を後にする。笹とコメツガの樹林の中はまたウソのように風がない。落差のない下りは足に負担もかからずどんどん距離を稼げ、行きと同じ道をたどって1時間強で駐車場に下りつく。途中に土鍋山方面へのルート標識がないかもう一度注意してみたが、やはり見つからなかった。帰ってからネット検索して調べてみたところ、破風岳から毛無峠方面に少し下った所にある分岐から土鍋山方面へ行くルートは現在も健在のようだ。土鍋山は三角点の標高こそ1,999.4mだが北峰の標高はジャスト2,000mということで、それなりに目指す人は多いものと思われる。
車に戻ってからふと五味池も見てみたくなり、高原施設手前の3方分岐から右手前方に向かうダートに車を乗り入れた。道標では五味池のことは大池と表示されている。道は荒れ気味だが、数分で五味池の上に着く。道路から見るとナメクジのような形に見える静かなたたずまいの池だ。
さて、地図で見ると道はこの先米子山の北側山腹を経由して須坂市街まで延びている。それでよせばいいのにこの道を行ってみようという気になった。進むにつれて勾配はより急になり、人の頭くらいの石が転がっていたりえぐれていたりと荒れ方がひどくなってくるが、行ける所まで行ってだめなら戻ればいいなどと思ってさらに深入りしていった。が、左からの沢が道をえぐって横切り、その先は土砂が盛り上がってもはや廃道同然という所に至ってギブアップ。何とか車をUターンさせ戻りに掛かるが、"急勾配+轍状のえぐれ+ぬかるみ"という所で遂にスタックしてしまった。
私の車"ミラ"は四駆仕様ではあるが、降雪期以外は二駆にしてあり、モードチェンジは車体下に潜らないとできない。こんな所で立ち往生してはJAFだって来てくれない、というか携帯すら使えない。何回かバックして勢いをつけてトライしてみるがだめで、本当に血の気が引くような思いがした。思い切ってうんと下までバックし、下手をすれば道をはずれるくらいのスピードをつけてようやくクリアできた時は、心の底からほっとした。
充分な装備もないのに気まぐれな冒険心を起こすものではない。最後に山の常識を再認識させられるような、とんだ教訓を得ることになってしまった。
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