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Yamareco

記録ID: 3107171 全員に公開 積雪期ピークハント/縦走 白山

【白山】岩屋俣谷左岸尾根〜吹向尾根

情報量の目安: S
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日程 2021年04月24日(土) [日帰り]
メンバー
天候晴れ
アクセス
利用交通機関
車・バイク
白山公園線(石川県)はまだ冬季通行止めで,風嵐ゲート前に駐車。市ノ瀬までは自転車活用。
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地図/標高グラフ


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コースタイム [注]

日帰り
山行
12時間30分
休憩
0分
合計
12時間30分
S風嵐ゲート06:0006:40市ノ瀬08:00白山パノラマ展望台13:30三ノ峰避難小屋14:00三ノ峰14:50追分15:20△1881.5m(三等・吹向)16:30岩屋俣谷の二俣17:30岩屋俣谷の右岸林道18:00市ノ瀬18:30風嵐ゲートG
コースタイムの見方:
歩行時間
到着時刻通過点の地名出発時刻
岩屋俣谷左岸尾根(白山パノラマ展望台〜三ノ峰避難小屋)では雪が切れて藪漕ぎがあったため時間がかかっていますが,もし雪がしっかりつながっていれば,マイナス1時間程度で通過できると思います。
コース状況/
危険箇所等
※「石川県天然記念物調査報告」(昭和4年)の中に現役当時の吹向尾根の道に関する記述を見つけたため,感想欄に追記しました(2021.4.29)

【岩屋俣谷左岸尾根】
・特に危険個所はなく,終始眺望もよく気持ちの良い尾根。左手には別山・御前峰・大汝峰・白山釈迦岳,右手には大長山・赤兎山などが大きなスケールで眺められる。P1471mの北側に広がる平のブナの森も立派。
・白山温泉から三角点1380.3m(三等・黒壁)の手前の白山パノラマ展望台までは整備された登山道があるので,少し遅い時期でも雪線まで藪漕ぎを避けられる。また,三角点1380.3m(三等・黒壁)の少し先まで薄い踏み跡があり,マーキングもある(恐らく巨木として有名な子持ちカツラに続くマーキング)。それ以降は完全な藪。
・今回は入山時期が少し遅すぎたようで,主稜線に合流するまで断続的に雪が切れている区間が出てきて,3割くらいは藪漕ぎになった。絡み合った灌木系のやっかいな藪なので,無雪期の踏破はそれなりに苦労しそう。

【吹向(ふきむけ)尾根】
※三角点(三等・吹向)の点の記では,「吹向」の読みが「フキヌキ」となっていますが,今のところ目にした書籍では「フキムケ」とされているため,後者を採用させていただきます。
・チブリ尾根のひとつ南側、岩屋俣谷の別山谷(左俣)と井谷(右俣)を分ける中間尾根で,途中に三角点1881.5m(三等・吹向)のある尾根。
・かつて,市ノ瀬から岩屋俣谷を遡り,二俣からこの尾根を登って主稜線の追分(別山平のすぐ南のあたり)に出る道があったと言われる。明治期からはチブリ尾根の別山道に替わってメインルートとなった時期もあったようだが,昭和43年にチブリ尾根の別山道が復活してから廃道化したらしい【詳細は感想欄】。
・今回,その旧道の痕跡を探してこの尾根を辿ってみたが,道の痕跡らしきものは見当たらず,雪が切れている箇所にも目立った踏み跡らしきものは(獣道を除いて)なく,完全な藪尾根となっている。少し急な箇所はあるが,危険個所はない。ただし,尾根が広いため,ルートファインディングは注意(北側の別山谷も南側の井谷も滝が数多く連なる険谷のため,誤って降りてしまうと危険)。
・岩屋俣谷(二俣より下部)は,概ね穏やかで,積極的に沢中を歩かなくても,右岸側に沿って歩いて行くことができる。古い地図などでは右岸側に道が描かれているので,吹向尾根経由の旧道も右岸を通っていたのだろう。今回は念のため沢足袋に履き替えたが,正直,登山靴でも歩けるくらい。渡渉は最低3回ほど必要(二俣で右岸側に渡り返す際と,途中岩が張り出したところで左岸側に渡ってまた右岸に戻る際)。柳谷との合流点に近づくと,右岸側にピンクテープが出てきて,それを辿ると林道(地図には記載されていないが,柳谷沿いの工事用道路につながっている)に出ることができる。
過去天気図(気象庁) 2021年04月の天気図 [pdf]

装備

備考 ・ワカンを携帯したが,雪はよく締まっていてツボ足で通せた。
・アイゼン・ピッケルは使わなかったが,冷え込んで雪面が硬いときのために携帯したほうが無難

写真

風嵐ゲートから自転車でスタート。この週末から通行止め解除されたらいいな,と思ってましたが,残念ながらまだ閉まってました。
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風嵐ゲートから自転車でスタート。この週末から通行止め解除されたらいいな,と思ってましたが,残念ながらまだ閉まってました。
眼下に流れる牛首川を眺めながら,ゆったりサイクリング。両岸の木々にはちらほら新緑が萌え出し始めている。
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眼下に流れる牛首川を眺めながら,ゆったりサイクリング。両岸の木々にはちらほら新緑が萌え出し始めている。
白山温泉(永井旅館)のすぐ隣から,探勝路を歩き始める。
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白山温泉(永井旅館)のすぐ隣から,探勝路を歩き始める。
ブナも新緑を噴き出し始めており,心が浮き立つ。
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ブナも新緑を噴き出し始めており,心が浮き立つ。
イワカガミの花がちらほら。
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イワカガミの花がちらほら。
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白山パノラマ展望台(三角点1380.3mのすぐ北側)に到着。白山,そして大汝峰の眺め。だいぶ雪が解けてきているなぁ。
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白山パノラマ展望台(三角点1380.3mのすぐ北側)に到着。白山,そして大汝峰の眺め。だいぶ雪が解けてきているなぁ。
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白山パノラマ展望台以降は,登山道はなくなってしまうが,ちょうどいい具合に残雪が出てきてくれて,それを辿っていく。
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白山パノラマ展望台以降は,登山道はなくなってしまうが,ちょうどいい具合に残雪が出てきてくれて,それを辿っていく。
別山,そして御前峰を眺めながら行く。
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別山,そして御前峰を眺めながら行く。
三角点1380.3m(三等・黒壁)に到着。このピークは猪鼻山とも言うらしい。雪が解けて三角点が露出しており,ちょっと得した気分。
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三角点1380.3m(三等・黒壁)に到着。このピークは猪鼻山とも言うらしい。雪が解けて三角点が露出しており,ちょっと得した気分。
三角点の傍らには,旧山林局の次三角点も。珍しいなぁ。
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三角点の傍らには,旧山林局の次三角点も。珍しいなぁ。
まれにここまで登られる方もいらっしゃるらしく,小さなプレートもあった。
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まれにここまで登られる方もいらっしゃるらしく,小さなプレートもあった。
三角点の向こうに御前峰。
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三角点の向こうに御前峰。
それでは,先に進みましょうか。さらに尾根を東進。むむ,思ったより雪が切れてる箇所が多いな…。
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それでは,先に進みましょうか。さらに尾根を東進。むむ,思ったより雪が切れてる箇所が多いな…。
この尾根の先,三ノ峰を眺める。思った以上に雪解けが進んでおり,黒い箇所が多いのが気になるところ…。
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この尾根の先,三ノ峰を眺める。思った以上に雪解けが進んでおり,黒い箇所が多いのが気になるところ…。
そして懸念した通り,雪切れ区間が連続するように。しかし,何と,ピンクテープと薄い踏み跡が! まさか,この尾根にも密かに夏道が整備されてしまっているのだろうか。半分がっかり,半分ありがたく思いながら進んでいくと…
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そして懸念した通り,雪切れ区間が連続するように。しかし,何と,ピンクテープと薄い踏み跡が! まさか,この尾根にも密かに夏道が整備されてしまっているのだろうか。半分がっかり,半分ありがたく思いながら進んでいくと…
急にピンクテープと踏み跡は消失してしまい,完全な藪に。さっきまでのマーキングはなんだったんだ…。(今思えば,巨木として名を馳せる子持ちカツラへと続くマーキングだったかもしれない。ちゃんと辿ってみればよかった…)
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急にピンクテープと踏み跡は消失してしまい,完全な藪に。さっきまでのマーキングはなんだったんだ…。(今思えば,巨木として名を馳せる子持ちカツラへと続くマーキングだったかもしれない。ちゃんと辿ってみればよかった…)
尾根芯は灌木系の藪がひどいため,比較的残雪が残っている北側斜面をつないで歩いて行く。
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尾根芯は灌木系の藪がひどいため,比較的残雪が残っている北側斜面をつないで歩いて行く。
この尾根の北側の緩傾斜帯には,立派なブナの森が続いている。
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この尾根の北側の緩傾斜帯には,立派なブナの森が続いている。
なかなか良い森。
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なかなか良い森。
気持ちの良いブナの斜面のトラバースが続く。
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気持ちの良いブナの斜面のトラバースが続く。
三等・黒壁の次のピークには,あまり見慣れない石柱が。図根点?
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三等・黒壁の次のピークには,あまり見慣れない石柱が。図根点?
「公共」の文字も。他の面には,「白」「山」という文字も彫ってあった。
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「公共」の文字も。他の面には,「白」「山」という文字も彫ってあった。
眺望は素晴らしい。だが…
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眺望は素晴らしい。だが…
行く手の尾根が細くなり,残雪も減少。逃れようもない藪尾根に。ここはいっちょう,腹をくくって漕ぎますか…
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行く手の尾根が細くなり,残雪も減少。逃れようもない藪尾根に。ここはいっちょう,腹をくくって漕ぎますか…
本格的な藪漕ぎに移行。しかし,本当に辛い灌木系の藪はすぐ終わってくれて,あとは比較的マイルドな(あくまで比較的,だが)ササ系の藪となり,ちょっとはましになった。
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本格的な藪漕ぎに移行。しかし,本当に辛い灌木系の藪はすぐ終わってくれて,あとは比較的マイルドな(あくまで比較的,だが)ササ系の藪となり,ちょっとはましになった。
左手に,下山に使う予定の吹向尾根が見える(画面右寄りの尾根)。あちらの尾根もかなり雪解けが進んでいるようで,黒い部分が多い。大丈夫かな…。
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左手に,下山に使う予定の吹向尾根が見える(画面右寄りの尾根)。あちらの尾根もかなり雪解けが進んでいるようで,黒い部分が多い。大丈夫かな…。
しかし,藪漕ぎのつらさを忘れさせてくれるような素晴らしい眺望が続く。行く手の三ノ峰と,別山。
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御前峰と大汝峰,そして別山が一度に見渡せる豪華な眺め。
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御前峰と大汝峰,そして別山が一度に見渡せる豪華な眺め。
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右手には大長山,そして赤兎山。
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右手には大長山,そして赤兎山。
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石徹白の山々,左から願教寺山,よも太郎,日岸山,薙刀山,かな?
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石徹白の山々,左から願教寺山,よも太郎,日岸山,薙刀山,かな?
すぐ隣に見えるのは,赤兎山から杉峠を経由して三ノ峰へと続く稜線。あれは六本桧だろうか,本当に桧が6本ぽこぽこと並んでいるのが面白い。
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すぐ隣に見えるのは,赤兎山から杉峠を経由して三ノ峰へと続く稜線。あれは六本桧だろうか,本当に桧が6本ぽこぽこと並んでいるのが面白い。
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いい眺めだなぁ。
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いい眺めだなぁ。
いい眺めなのはいいが,前方の尾根の雪がいかんせん切れている…。今年の雪解けの速さをなめてました。
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いい眺めなのはいいが,前方の尾根の雪がいかんせん切れている…。今年の雪解けの速さをなめてました。
無雪期に最初から覚悟して藪漕ぎするのは嫌いではない(むしろ楽しみですらある)のだが,雪山のつもりで来て藪に突き当たると途端に厭わしくなるのが不思議だ。
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無雪期に最初から覚悟して藪漕ぎするのは嫌いではない(むしろ楽しみですらある)のだが,雪山のつもりで来て藪に突き当たると途端に厭わしくなるのが不思議だ。
三ノ峰が近づいてきたが…あちゃー,途中の尾根,ほとんど雪が切れてるな。標高が上がれば事態が改善するかと思っていたが,そう甘くないようだ。北側斜面の残雪が多少使えそうだが…。
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三ノ峰が近づいてきたが…あちゃー,途中の尾根,ほとんど雪が切れてるな。標高が上がれば事態が改善するかと思っていたが,そう甘くないようだ。北側斜面の残雪が多少使えそうだが…。
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笹の海を黙々と漕ぎ続ける。まあ,シャクナゲとかハイマツではないので,まだありがたいと考えよう。
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笹の海を黙々と漕ぎ続ける。まあ,シャクナゲとかハイマツではないので,まだありがたいと考えよう。
やっと雪がつながり始めた。
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やっと雪がつながり始めた。
尾根通しに行くと主稜線に出る手前が非常に急登なので,左手の井谷源頭を経由することに。
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尾根通しに行くと主稜線に出る手前が非常に急登なので,左手の井谷源頭を経由することに。
残雪に埋まった谷中を進む。谷中は強い春の日差しが乱反射して,サングラスをしていても眩しさに目が痛むくらい。
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残雪に埋まった谷中を進む。谷中は強い春の日差しが乱反射して,サングラスをしていても眩しさに目が痛むくらい。
途中,雪が割れて滝が出始めていたが,斜面を巻いて通過。
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途中,雪が割れて滝が出始めていたが,斜面を巻いて通過。
三ノ峰直下の,広い源頭部。
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三ノ峰直下の,広い源頭部。
この辺から登山道に登り上げますか。
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この辺から登山道に登り上げますか。
斜面をわずかに登り上げると,登山道に飛び出した。予想外の藪漕ぎで,だいぶ時間を食ってしまった…。
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斜面をわずかに登り上げると,登山道に飛び出した。予想外の藪漕ぎで,だいぶ時間を食ってしまった…。
三ノ峰に向けて登っていく。
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三ノ峰に向けて登っていく。
登ってきた井谷の源頭,そして岩屋俣谷左岸尾根(中央奥の尾根)を振り返る。
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登ってきた井谷の源頭,そして岩屋俣谷左岸尾根(中央奥の尾根)を振り返る。
右手には石徹白の山々。すぐ足元に見える黒い岩稜は,黒坊岩で,上小池から登ると手ごろで楽しい登攀ができる(「福井の雪山供彈録)。
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右手には石徹白の山々。すぐ足元に見える黒い岩稜は,黒坊岩で,上小池から登ると手ごろで楽しい登攀ができる(「福井の雪山供彈録)。
三ノ峰避難小屋着。
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三ノ峰避難小屋着。
避難小屋の入り口は少し雪に埋まっていたが,問題なく入れそうでした。
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避難小屋の入り口は少し雪に埋まっていたが,問題なく入れそうでした。
別山の眺めが相変わらず素晴らしい。
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別山の眺めが相変わらず素晴らしい。
大平壁の雪面が割れ始めている。
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大平壁の雪面が割れ始めている。
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稜線をさらに北上。本当は,別山にも寄りたかったのだが,今日はスタートが遅く,岩屋俣谷左岸尾根での藪漕ぎでもかなり時間を食ってしまったため,今回はパスし,追分から吹向尾根に下ってしまうことにした。
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稜線をさらに北上。本当は,別山にも寄りたかったのだが,今日はスタートが遅く,岩屋俣谷左岸尾根での藪漕ぎでもかなり時間を食ってしまったため,今回はパスし,追分から吹向尾根に下ってしまうことにした。
三ノ峰を振り返る。
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三ノ峰を振り返る。
追分(別山平のすぐ南,吹向尾根が主稜線から別れる地点)に到着。ここから吹向尾根(写真)へと下っていく。
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追分(別山平のすぐ南,吹向尾根が主稜線から別れる地点)に到着。ここから吹向尾根(写真)へと下っていく。
吹向尾根に向けて下り始めると,何とカラーテープが! まさか,吹向尾根に現役のルートが,と色めき立ったが,結局,マーキングはこの一箇所のみで,これ以降は出てこなかった。(後述するように,三角点1881.5m(三等・吹向)まで訪れる三角点愛好家の方がまれにいらっしゃるようで,そのためのマーキングではないかと思料。)
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吹向尾根に向けて下り始めると,何とカラーテープが! まさか,吹向尾根に現役のルートが,と色めき立ったが,結局,マーキングはこの一箇所のみで,これ以降は出てこなかった。(後述するように,三角点1881.5m(三等・吹向)まで訪れる三角点愛好家の方がまれにいらっしゃるようで,そのためのマーキングではないかと思料。)
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背の低いオオシラビソが林立する間を縫って,吹向尾根を下っていく。
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背の低いオオシラビソが林立する間を縫って,吹向尾根を下っていく。
下ってきた尾根を振り返る。
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下ってきた尾根を振り返る。
たおやかな気持ちのいい尾根が続く。この尾根に道を付けたくなるのも,何となく分かる気がする。
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たおやかな気持ちのいい尾根が続く。この尾根に道を付けたくなるのも,何となく分かる気がする。
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右手には,終始,御前峰が良く見える。
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右手には,終始,御前峰が良く見える。
左手には三ノ峰。こうして見ると,三ノ峰もなかなか立派なピークだ。
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左手には三ノ峰。こうして見ると,三ノ峰もなかなか立派なピークだ。
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この辺りは雪が解けた箇所から見えている笹藪も低く,夏に歩いても気持ちのよさそうなところだ。しかし,踏み跡の類は全く見当たらない。
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この辺りは雪が解けた箇所から見えている笹藪も低く,夏に歩いても気持ちのよさそうなところだ。しかし,踏み跡の類は全く見当たらない。
踏み跡どころか,獣道すら見当たらない。
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踏み跡どころか,獣道すら見当たらない。
写真の少し右手に見える目立たないピークが,三角点1881.5m(三等・吹向)。気持ちの良い雪尾根が続いている。
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写真の少し右手に見える目立たないピークが,三角点1881.5m(三等・吹向)。気持ちの良い雪尾根が続いている。
吹向尾根の道が廃道化したのが昭和40年代らしいので,例えばナタ目や枝打ちの跡,又は古い道標など,道の痕跡がないかキョロキョロしながら下っていくが,残念ながら人工的な痕跡は全く見当たらなかった。
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吹向尾根の道が廃道化したのが昭和40年代らしいので,例えばナタ目や枝打ちの跡,又は古い道標など,道の痕跡がないかキョロキョロしながら下っていくが,残念ながら人工的な痕跡は全く見当たらなかった。
そして,三角点1881.5m(三等・吹向)に到着。なんと,おあつらえ向きに三角点の周囲の雪が解けており,三角点に直に接することができた。
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そして,三角点1881.5m(三等・吹向)に到着。なんと,おあつらえ向きに三角点の周囲の雪が解けており,三角点に直に接することができた。
三等・吹向。
ちなみに,この三角点の点の記には,市ノ瀬から「別山道」を辿り,その道の「路端」にこの三角点を設置した旨が記されている(明治39年造標時の記録)。当時は,やはりチブリ尾根ではなくこの尾根の道が「別山道」として認識されていたのだ。この三角点のすぐそばを旧道が通っていたと思うと感慨深いものがあるが,現在では深い藪に覆われ,道の痕跡はない。
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三等・吹向。
ちなみに,この三角点の点の記には,市ノ瀬から「別山道」を辿り,その道の「路端」にこの三角点を設置した旨が記されている(明治39年造標時の記録)。当時は,やはりチブリ尾根ではなくこの尾根の道が「別山道」として認識されていたのだ。この三角点のすぐそばを旧道が通っていたと思うと感慨深いものがあるが,現在では深い藪に覆われ,道の痕跡はない。
びっくりしたのが,何と三角点のそばに小さなプレートが設置されていたこと。こんな藪尾根の真ん中にあるマイナーな三角点をわざわざ訪れる人があるとは…三角点を愛する人々の情熱に感服!
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びっくりしたのが,何と三角点のそばに小さなプレートが設置されていたこと。こんな藪尾根の真ん中にあるマイナーな三角点をわざわざ訪れる人があるとは…三角点を愛する人々の情熱に感服!
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三角点からは,御前峰がきれいに見渡せる。
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三角点からは,御前峰がきれいに見渡せる。
1
別山も頭を出している。この尾根の道を辿ってきた往時の人々は,ここで初めて目指す別山の山巓を目にして,歓声を上げたことだろう。
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別山も頭を出している。この尾根の道を辿ってきた往時の人々は,ここで初めて目指す別山の山巓を目にして,歓声を上げたことだろう。
ここからは三角点の西側に落ち込む急崖を避けて,南西方向に巻き気味に尾根を進んでいく。読図に気を使う区間だ。
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ここからは三角点の西側に落ち込む急崖を避けて,南西方向に巻き気味に尾根を進んでいく。読図に気を使う区間だ。
急崖の下には,不思議な平がぽっかりと開けていて,何だか心惹かれる。
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立派なダケカンバが林立する急斜面を滑るように下っていく。
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立派なダケカンバが林立する急斜面を滑るように下っていく。
崖下の平に着いた。急斜面が続く尾根の途中に開けた,別天地のような不思議な空間だ。
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時間があまりないにも関わらず,開放的な気持ちの良い空間に心を惹かれて,しばし休憩を入れてしまった。
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時間があまりないにも関わらず,開放的な気持ちの良い空間に心を惹かれて,しばし休憩を入れてしまった。
不思議なのは,ここだけ針葉樹が平の片隅に綺麗な列をなして並んでいること。人為的に植えられたものだったりして,と想像してみたくなってしまう。
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不思議なのは,ここだけ針葉樹が平の片隅に綺麗な列をなして並んでいること。人為的に植えられたものだったりして,と想像してみたくなってしまう。
不思議な平で少し休んだ後,岩屋俣谷の二俣に向けて尾根を急下降していく。
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不思議な平で少し休んだ後,岩屋俣谷の二俣に向けて尾根を急下降していく。
立派なブナが立ち並んでいる。例えばナタ目など,かつての道の痕跡が残っていないか気を付けて下っていくが,やはり人工的な痕跡は発見できない。
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立派なブナが立ち並んでいる。例えばナタ目など,かつての道の痕跡が残っていないか気を付けて下っていくが,やはり人工的な痕跡は発見できない。
この尾根のどのあたりを,かつての別山道は通っていたのだろうか…。
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この尾根のどのあたりを,かつての別山道は通っていたのだろうか…。
そうこうするうち,雪が切れ出して,
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そうこうするうち,雪が切れ出して,
ついに藪漕ぎに。しかし,それほど藪は濃くなく,困難というほどではない。
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ついに藪漕ぎに。しかし,それほど藪は濃くなく,困難というほどではない。
1箇所,なんとなく道のような深い掘り込みのある個所が目についた。
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1箇所,なんとなく道のような深い掘り込みのある個所が目についた。
同箇所を下に降りてから見上げたところ。やはり道のようにも見える。これはかつての道の痕跡だろうか,それとも単なる自然地形だろうか。
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同箇所を下に降りてから見上げたところ。やはり道のようにも見える。これはかつての道の痕跡だろうか,それとも単なる自然地形だろうか。
ところどころショウジョウバカマが咲いている。
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ところどころショウジョウバカマが咲いている。
吹向尾根を下り切り,ついに岩屋俣谷の二俣に降り立った。雪代による増水がひどい場合は岩屋俣谷左岸尾根に登り返して下山することも考えていたが,一見してこれは行ける!という水量だったため,かつての吹向尾根の道と同じく,この谷を市ノ瀬まで下ることにした。岩屋俣谷は,昨年に左俣の別山谷を遡行しており,二俣より下部には難所はないことは確認している。
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吹向尾根を下り切り,ついに岩屋俣谷の二俣に降り立った。雪代による増水がひどい場合は岩屋俣谷左岸尾根に登り返して下山することも考えていたが,一見してこれは行ける!という水量だったため,かつての吹向尾根の道と同じく,この谷を市ノ瀬まで下ることにした。岩屋俣谷は,昨年に左俣の別山谷を遡行しており,二俣より下部には難所はないことは確認している。
ここで,ザックに忍ばせていた沢足袋に履き替え。冬用登山靴から沢足袋に履き替えると,足の解放感と軽快さが半端ない。
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ここで,ザックに忍ばせていた沢足袋に履き替え。冬用登山靴から沢足袋に履き替えると,足の解放感と軽快さが半端ない。
昔の地図では谷の右岸を道が通っているように描かれているため,右岸を辿っていくが,実際,穏やかな地形が続き,結局3回ほど渡渉しただけで,ほぼ右岸通しに歩けてしまった。これなら,沢足袋に履き替える必要すらなかったかもしれない。
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昔の地図では谷の右岸を道が通っているように描かれているため,右岸を辿っていくが,実際,穏やかな地形が続き,結局3回ほど渡渉しただけで,ほぼ右岸通しに歩けてしまった。これなら,沢足袋に履き替える必要すらなかったかもしれない。
谷の北側斜面は,まだところどころ残雪が残っている。
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谷の北側斜面は,まだところどころ残雪が残っている。
この区間の岩屋俣谷は概ね穏やかだが,時折小滝が掛かって美しい景観を呈する。
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この区間の岩屋俣谷は概ね穏やかだが,時折小滝が掛かって美しい景観を呈する。
両岸には,ブナやサワグルミなど,美しい森が続く。斜面から流れてくる小さな湧水には,ワサビがたくさん生えていた。
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なおも右岸の斜面を進み,もうすぐ地図に表記のある大堰堤かな,という箇所で,ピンクテープが出てきて,うっすらと踏み跡が続くようになったため,それを追っていく。
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なおも右岸の斜面を進み,もうすぐ地図に表記のある大堰堤かな,という箇所で,ピンクテープが出てきて,うっすらと踏み跡が続くようになったため,それを追っていく。
ピンクテープを忠実に辿っていくと,岩屋俣谷の右岸の林道(地図には記載されていない)に出ることができた。昨年8月に別山谷を遡行したときは,この林道からすぐに谷に下りて堰堤の通過に難渋したので,ピンクテープを辿ればよかったんだな…。
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ピンクテープを忠実に辿っていくと,岩屋俣谷の右岸の林道(地図には記載されていない)に出ることができた。昨年8月に別山谷を遡行したときは,この林道からすぐに谷に下りて堰堤の通過に難渋したので,ピンクテープを辿ればよかったんだな…。
残照の岩屋俣谷。
結局,古い別山道の痕跡を見つけることはできなかったが,この谷と吹向尾根のどこかを道が通じていたのは確かだ。今日,別山主稜線から短時間で安全にここまで降りてこられたこと自体が,そのことの証左であるように感じられた。
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残照の岩屋俣谷。
結局,古い別山道の痕跡を見つけることはできなかったが,この谷と吹向尾根のどこかを道が通じていたのは確かだ。今日,別山主稜線から短時間で安全にここまで降りてこられたこと自体が,そのことの証左であるように感じられた。
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林道はほどなく柳谷の工事用道路に合流。新緑が芽吹きだした木々を眺めながら,自転車の待つ市ノ瀬までぶらぶら歩いて行った。
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林道はほどなく柳谷の工事用道路に合流。新緑が芽吹きだした木々を眺めながら,自転車の待つ市ノ瀬までぶらぶら歩いて行った。

感想/記録

 吹向(ふきむけ)尾根は,チブリ尾根の一つ南の尾根で,岩屋俣谷の別山谷(左俣)と井谷(右俣)を分ける中間尾根。現在はほぼ顧みられることもない藪尾根だが,かつてはこの尾根に道が通じており,現在のチブリ尾根に替わって別山へのメインルートの役割を担っていた時代もあったと言われる。
 石川県白山自然保護センター機関紙「はくさん」(第45巻第1号)によると,そのルートは市ノ瀬から岩屋俣谷を遡り吹向尾根を通って別山平に至るもので,明治期にチブリ尾根の別山道に替わって別山へのメインルートとなったが,昭和43年にチブリ尾根の別山道が復活したのを機に廃道化したとされる。どうしてこのような道の変遷があったのかは分からないが,岩屋俣谷〜吹向尾根のルートはチブリ尾根と異なり半分は谷道なので夏季も涼しくて水も取りやすく,また別山に至るまでにニッコウキスゲで有名な別山平を経由するため景観的にも優れており,なかなか魅力的なルートであることは確かだ。
 また,この吹向尾根のルートは,別山の登路(又は下山路)としての役割だけではなく,白峰の村人が生活のためにかよった道でもあったらしい。白峰村の民俗誌によると,このルートは白峰の人々が白山の主稜線を越えて飛騨側の尾上郷川流域にイワナ漁や熊狩り,笠木取りなどに出向く際によく辿られていたようだ。白峰の村人が白山の稜線をものともせず日常的に飛騨側まで歩き回っていたこと自体,驚くべきことだが,確かに尾上郷川に降りるには,チブリ尾根よりも吹向尾根のほうが近道だ。恐らく,この道は,もともと登山道として作られたというよりは,まずは地元民の山仕事のための道としてあり,白峰の人々の生活基盤が山から離れていくにしたがって道は荒れ,維持が簡単な尾根道であるチブリ尾根に別山へのメインルートが一本化されていったのかもしれない。
 このように深い歴史を持ちながら,人知れず藪の中に消えていってしまった吹向尾根の道に,かねがね興味を抱いていた。これだけ長らく歩かれ続けた道であれば,何らかの痕跡が残っていたとしてもおかしくはない。その痕跡を探して,今回,残雪を利してこの尾根を下山時に辿ってみた。本来ならば,道の痕跡を探すためには無雪期のほうが良いのだが,かなりの濃い藪が予想されるうえ,例えばナタ目や枝打ちの跡など,むしろ藪で視界が妨げられない残雪期のほうが見つけやすい痕跡もあるかもしれない。
 結果,今回の山行では,残念ながら道の痕跡を見つけることはできなかった。下部は雪切れしており,踏み跡がないか気を付けながら下ったが,明確な獣道の気配すら感じることができなかった。これだけ長期間人々に歩かれ続けた道がこうまで跡形もなく消えてしまうとは,意外の念に打たれるとともに,全てを容赦なく呑み込む自然の復元力をまざまざと見せつけられた気がした。
 しかし,この尾根を実際に辿ってみて,なかなか魅力的なルートだということは感じ取ることができた。岩屋俣谷の二俣より下部は穏やかで谷にしては歩きやすいし,周囲の樹林や小滝を連ねる渓流の景観も美しい。また,吹向尾根も,ちょっと急ではあるが,ブナやダケカンバの大木の森が続き,途中にはぽっかり開けた気持ちの良い平もある。尾根の上部では御前峰や別山の景観が素晴らしく,主稜線に上がれば,ニッコウキスゲと池塘の別山平がすぐそこだ。道が現役だったころは,きっと変化に富んだ素晴らしいルートだったことだろう。
 今回は特に尾根上部の大半が残雪に覆われていたため,もしかしたら何か見落としたものがあるかもしれない。次回は無雪期に訪れてみたい。きっと凄まじい藪が待っているだろうが…。
※ 日曜から緊急事態宣言が出たため,来週から当分,山はお休みとなりそうです。記録アップが途切れても遭難したわけではありませんので,念のため…。

<余談:「吹向(ふきむけ)」という地名について>
 この尾根の名前である「吹向(ふきむけ)」という言葉も珍しくて興味をそそるが,白峰の民俗誌によると,これは「風が吹き抜ける場所」を意味する言葉らしい。実は,チブリ尾根の現在チブリ尾根避難小屋のある箇所も,地元の猟師の間では,もともと「吹向」と呼ばれていたとのこと。チブリ尾根の「吹向」は熊狩りの際の見物場(ケンブツバ,つまり熊を探すために利用する見晴らしの良い場所。「風が吹き抜ける場所」ならば,当然見晴らしもいいだろう)だったそうなので,吹向尾根の1881.5m三角点(点名「吹向」)がある場所も,もともと熊狩りの際の見物場だったのかもしれない。実際,岩屋俣谷の別山谷や井谷は,よく熊が獲れるよい猟場だったそうだ。
※ 前述の通り,吹向尾根の三角点「吹向」の点の記では「吹向」の読みが「フキヌキ」となっており,「風が吹き抜ける場所」という語義からすれば,この読みのほうがむしろ「フキムケ」よりも正しいと言えるかもしれない。
※ なお,書籍によっては,吹向尾根の三角点「吹向」の箇所の地名を「吹上芭蕉」又は「芭蕉」としているものもあるが,語義及び由来は不明。

<後日追記: 「石川県天然記念物調査報告」(昭和4年)の中の吹向尾根>
 この吹向尾根の道について更に調べていたところ,「石川県天然記念物調査報告 第5輯別山(白山)」(石川県,昭和4年)の中に,現役当時のこの道に関する詳細な記録があるのを見つけた。やはり当時は良く歩かれていた道だったようで,尾根の下から順番に「椈(ぶな)坂」「畜生谷」「樅(もみ)坂」「栂(つが)坂」「吹向」という地名も付いていたらしい。特に興味深いのが,畜生谷付近にミズバショウの大群落があるという記述と,「吹向」が現在の三角点付近の地名ではなく,さらに上部の主稜線に合流する手前の坂の名前として言及されていることだ(同書の中では,三角点付近は「上芭蕉」という名前で呼ばれている)。ミズバショウの群落は,今回の山行で見た,吹向尾根の途中に開けた不思議な平のあたりにひろがっているのだろうか。
 また,同書には巻頭に地図も付いており,やはり吹向尾根の旧道は,岩屋俣谷の右岸を通り,二俣付近を右俣の別山谷(同書の中では「尻滑谷」となっているが)を渡渉して吹向尾根に取りつき,ほぼ尾根通しに主稜線の追分に至っている。さらに面白いのが,現在,別山へのメインルートとなっているチブリ尾根に道がまっかく描かれていないことだ。やはり,当時はチブリ尾根の道は廃道扱いになっており,吹向尾根の道が正規ルートとなっていたようだ。
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この記録へのコメント

登録日: 2013/5/30
投稿数: 167
2021/4/26 6:49
 お疲れ様でした。
こんにちはヒルワンダーさん、YSHRです。相変わらずの充実山行ですね。
岩屋俣谷左岸尾根はスキーで何度か行きましたが、日本一のカツラの巨木に会える展望の効く良い尾根ですね。吹向(ふきむけ)尾根は面白そうだなとチェックはしてましたがさすがに沢を跨いでまで行く気にはなりませんでした。とても参考になりました。
登録日: 2019/5/16
投稿数: 60
2021/4/26 20:57
 Re: お疲れ様でした。
こんばんは! YSHRさんの岩屋俣谷左岸尾根の素晴らしい記録は拝読させていただいておりまして,子持ちカツラも是非見てみたいと思っていたのですが,下調べが足りず,出会えずじまいで心残りです。また緑が綺麗な時期に,藪を漕いで会いに行きたいと思っております。
吹向尾根,YSHRさんもチェックされていたのですね。こんな谷深いところの尾根にかつて道が付いていたと知って,気になっていた尾根でした。大きなブナの木が多く気持ちの良い尾根で,(昨年の遡行時には気づかなかったのですが)岩屋俣谷の右岸も思った以上に歩きやすく,もしこのルートが復活したら面白い道になりそうだな,と想像してしまいました。コメントをいただき,ありがとうございまいした。
登録日: 2014/10/28
投稿数: 451
2021/5/18 9:42
 吹向(ふきむけ)尾根
尾根の名前も知りませんでしたけど、今年の2〜4月は太平壁滑降を予定していて、白峰inなら、この尾根をアプローチに使ってもいいなと思ってましたが、思ってただけで冬が終わったな、と思ったら 案の定、wandererさんに先に行かれてました。貴重な情報の共有、ありがとうございます。次回の山行記録も楽しみにしております。
登録日: 2019/5/16
投稿数: 60
2021/5/18 22:16
 Re: 吹向(ふきむけ)尾根
こんばんは! 確かに吹向尾根から入れば,大平壁の状態を確認しながら別山まで登れますね。どうしても岩屋俣谷で3回ほど渡渉が入ってしまうのがちょっと面倒ですが,ボード装備でも行けるのではないかと思いますよ。
大平壁,いい状態の日を掴むのが難しそうですが,あの急斜面の大空間を滑ったら気持ちいいでしょうね〜。カラスノ谷も連瀑帯の大滝までは滑れるみたいで,楽しそうですね。
登録日: 2014/10/28
投稿数: 451
2021/5/19 7:11
 Re[2]: 吹向(ふきむけ)尾根
連瀑帯の大滝ってのが、どの滝を指してるか分からないですけど、あんまり下まで降りてしまうと、市ノ瀬よりも石徹白口に降りたほうが早かったりして…。
石徹白口から入って滑った時は、あわよくば谷沿いにブナ小屋谷出合まで滑ってブナ小屋谷左又を登ろう、なんて考えてましたが雪量的にも時間的にも無理でした
登録日: 2019/5/16
投稿数: 60
2021/5/19 22:56
 Re[3]: 吹向(ふきむけ)尾根
1662m二俣から少し下ったところで滝が出るとどこかの記録で読んだことがあったので,確かそのあたりに2つくらい大き目の滝があったなぁ,そのどちらかかなと思っています。石徹白口から入って,カラスノ谷側に滑るのも確かに面白そうですね。雪が多い年なら,カラスノ谷の滝やブナ小屋谷の下流のゴルジュも埋まることもあるかもしれませんね。
登録日: 2014/10/28
投稿数: 451
2021/5/20 0:36
 Re[4]: 吹向(ふきむけ)尾根
2014年10月の溯行メモで標高1660mでH5L20m滝、その下に、なめ滝と その下、標高1600mで12m滝を描いてます。連瀑帯ってゆー感じの記憶はないけど、確かに、そこより上流側はガレ場っぽくて滝らしい滝はなかったので、積雪期に滝が出てない可能性が高いかもしれません。今年4月2-3日に石徹白から別山行った時は1662mの地点まで滑って、三ノ峰側に登り返すか、現場みて可能なら、もっと下まで滑るという計画にしてました。
登録日: 2019/5/16
投稿数: 60
2021/5/21 0:01
 Re[5]: 吹向(ふきむけ)尾根
遡行図調べてくださって、ありがとうごさいます。1600mの12m滝は、直登せずに高巻いたらカメラをなくした因縁の滝でして…。確かに滝の間隔は割と空いてた気がするので、連瀑は言い過ぎだったかもです。すみません(^^;
このあたりは、沢も滑りも楽しめて、いいエリアですね。

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