飯豊山 ほん石転び沢
- GPS
- 09:08
- 距離
- 25.1km
- 登り
- 1,945m
- 下り
- 1,944m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
自転車
飯豊山方面はまだ通行止めなので、石転び出合登山口へは徒歩や自転車等でアクセスする。 この日は大賑わいで、朝6時時点で駐車場はほぼ埋まっていた。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
●倉手山駐車場〜温身平 駐車場から先は車両通行止めなので、登山口までは徒歩や自転車等でアクセス。 車道の除雪は完了しており、路上に雪は残っていない。 ●温身平〜石転び出合 沢沿いのへつり道が数か所あり、滑落には十分な注意を要する。 下つぶて石付近のへつり道にはロープと鎖が設置されているので、特に危険は無いが、 うまい水の先にあるへつり道には何も設置されていないので、こちらの方が危険。 下つぶて石のへつり道の先は支沢となっており、ここにはまだ雪渓が残っている。 上側から高巻くようにして雪渓を横断したが、雪渓が薄くなっているので踏み抜きには注意を要する。 雪は去年に比べると多く、今回は滝沢出合の少し下流から雪渓に乗れた。 出合周辺は沢が出ており崩壊が進んでいるので、来週もここから雪渓に乗れるかは怪しい。 来週以降は梶川出合付近まで登山道を歩き、その付近から雪渓に入る事になると思う。 ●石転び沢(石転び出合〜梅花皮小屋)・・・登行 雪は豊富に残っており、梅花皮小屋まで雪渓は続いている。 まだ草付き(中ノ島)は出ていない。 上部はフラットな雪面で、割れは殆ど見られず斜面の状態は良し。 この時期にしては、雪塊、落石が少なく、アイスバーンも特に見られなかった。 梅花皮小屋の水場は利用可能。場所は夏の水場と同じ。 梅花皮小屋から梅花皮岳までは夏道が出ており、山頂までの区間に雪道は無し。 ●ほん石転び沢(梅花皮岳〜ほん石転び出合)・・・滑走 石転び沢と同じく斜面状態は良好。 梅花皮岳山頂まで雪は続いており、山頂からエントリー可。 エントリーポイントとなる山頂直下が50°以上の急斜面。(55°位あるらしい) 山頂からドロップし、雪渓に乗るまでが核心となる。 現状では亀裂は少なく状態は良いが、山頂から約10m下に横一線の亀裂が発生しているので、そこの通過が慎重を要する。 今は亀裂の端部が雪渓と繋がっているので抜けられるが、来週は更に亀裂が進行し、エントリーが難しくなりそうな状況である。 山頂直下を滑り落ちると少し傾斜が緩むが、それでも45°〜50°位の急斜面がしばらく続き、雪が緩んでいると大量のスラフが発生する。 滑走の際は巻き込まれないよう、背面にも注意。 また、梅花皮岳の山頂付近には大きな雪庇が複数残っており、これが崩れた場合、 滑走ルートのスキーヤーを目がけて落ちてくる。 いつ崩れ落ちるか判らないような状況なので、急斜面部は早急に滑り抜けた方が良い。 一般的な滑走コースとされる石転び沢や門内沢よりも、落石・落雪・雪崩のリスクは 遥かに高い。 考え方は人それぞれだが、ソロで滑走するのは危険な領域だと感じた。 |
その他周辺情報 | 日帰り入浴:梅花皮荘 時短営業により最終は15時30分受付まで。 |
写真
感想
ホン石転び沢の滑走。
過去に梅花皮岳からそのエントリーポイントを眺めた時、自分にはとても無理だと
思った。
無様にエントリーに失敗し、急斜面を滑落していく己の姿しか想像できず、恐怖に慄いた。
しかし今、こうしてエントリーポイントを眺めてみると、恐怖は感じず、
行ける、というイメージが湧いてくる。
「あれから経験を積んだことで、ついに恐怖を克服したか。」
と、思うと感慨深いものがある。
ホン石転び沢の核心は、そのエントリーにある。
直下から続く雪壁のような急斜面は、傾斜角度55°はある、と言われ、滑走面も狭い。
早い時期に直下の雪は崩れてしまい、辛うじて雪は残っていたとしても、クラック発生により面は荒れ、只でさえ困難なエントリーを更に困難にさせる。
だが、今回はまだ時期が早く、降雪量も多かったせいか、直下の雪はしっかりと根付いており、クラックもそれほど酷くない。
10m程下に横一線のクラックが走ってはいたが、溝幅は狭く、端部は雪渓と繋がっているので、そこから雪渓へと抜けられる余地がある。
状態が悪ければ引き返して石転び沢を滑走するつもりであったが、今見た限りでは、直下のコンディションは良好と言える。
よって、ほん石転び沢滑走を、決行する事にした。
緊張のエントリーは、無事成功。
斜滑降でクラック端部を狙って滑り落ち、イメージした通りに雪渓へと降り立った。
山頂直下の最大傾斜部を抜けると、やや傾斜は緩み、あとは快走。
と、行きたいところだが、そうも行かず。
傾斜が緩んだとは言え、それでも45°から50°位は斜度があり、ターンを切るたびにスラフが発生してしまう。
この日のホン石転び沢は私以外は誰も居なかったので、スラフを落としたところで特に気にする事も無いのだが、背後から襲われたら転倒・滑落の恐れがある。
安全策をとり、時々、スラフの通過待ちをしながら高度を落としていくが、
気がかりなのは、上部にずらりと並んだ梅花皮岳の雪庇群である。
あれがもし崩れたら、確実に私を目がけて落ちてくる。
よって、急斜面部はさっさと滑り抜けてしまいたいのだが、スラフより先行してしまうと背後から襲われる危険もあるので、急ぐのも危ない。
と、ジレンマに悩まされる。
雪質は良く滑走は快適ではあったが、雪庇の脅威に慄きながらのスラフ通過待ちで、結構、神経を使わされるものがあった。
だが、スラフさえなければ極めて快適で、素晴らしい滑走ルート。
完走した時の達成感は大きく、熟練したスキーヤーであれば、石転び沢以上に楽しめるルートである事は間違いない、という感想を抱き、ホン石転び沢の初滑走を終えた。
このホン石転び沢は、私がこれまで滑走した斜面の中でも、最も難度の高いルートであり、無事にそれを達成できたのは大きな喜びである。
だが、そのチャレンジを達成出来た事に喜びを感じる一方、一抹の危うさも感じさせられる。
「恐怖を克服し、大きなチャレンジを達成できた。」と言えば、聞こえは良い。
確かに、過去に恐怖を抱いていた対象を克服し、高みを目指すのは良い事だ。
だが、それを目指して進み続けた結果、最後に行き着く先は・・・?
と、考えると、不吉な未来を想像してしまい、少しだけ背筋が寒くなる。
先にも述べたように、ホン石転び沢は素晴らしい滑走ルートである。
しかし、多くのリスクを内包するルートである事も事実。
滑走技術だけではどうにもできないようなリスクが潜んでおり、その滑走には、
スキーヤー個々の判断基準が問われる事になるだろう。
ホン石転び沢よりも更に難度の高いルートにチャレンジしてみたい、
という気持ちは確かにあるが、ソロでのBCが多い私にとっては、この辺りを
ボーダーラインとすべきなのかもしれない。
今後のBCライフにおける一つの指標となるであろう、意義深い滑走経験であった。
コメント
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ドロップポイントホントに壁じゃない!?
滑るより落ちるといった感覚だったと書いてるが正しくそうなんでしょうね。
高みに登るにつれていずれエクストリーム領域まで登り詰めてしまうんじゃないか
ほん石転びはまだまだ滑れそうにないですが、俺はまず石転び沢滑走を目標にしたいと思います
最初のドロップはしびれました。
のんびりと滑走するのも良いですが、たまにはホン石転び沢のような刺激的なルートも良いですね。
これからも高みを目指していきたいとは思いますが、さすがにエクストリーム領域は止めておきます
やはり、安全第一です
今季のスキーシーズンは、そろそろ終わりだけど、練習は順調かな?
来シーズンになるかもしれないけど、充分に技術が身に付いたら石転び沢滑走に一緒に行きましょう。
石転び出合で、スキー合宿でもするかね
んですね。滑走おめでとうございます。
下から見上げる斜面は気持ちよさそうなに映りますが、いろんな意味で滑りを躊躇するところでもあります。今年こそはと思いつつ今年も行けそうにないので指をくわえて写真を見てます。
chicken_manさんも狙っていたホン石転び沢、先に滑走させて頂きました。
今回は条件が良かったので、無事達成出来ましたが、雪が悪かったらそうも行かなかったでしょうね。
今回は成功しましたが、ソロで行くのは結構危ないルートだと思いますので、chicken_manさんが一緒に来てくれると心強い
次回のホン石転び沢滑走では、ぜひ、同行してください!
こうゆう壁を滑り降りたくなるのはBCの性でしょうか。
私は逆に登りたくなりました(笑)
恐怖を克服してチャレンジを成功させた先にあるのは…。
フィールドは違いますが、共感します。
色々考えますが、死ぬ人と死なない人の違いはなんでしょうね。
ソロだと逆に自分基準のボーダーラインを引きやすいかもしれませんね。
ザイルパートナーやパーティーがいる方が難しいかもしれません。
何はともあれチャレンジ成功おめでとうございます😁
自分の事は自分が良く分かっているので、基準を定めやすいですが、パーティだとそうも行きませんね。
人それぞれ技量は違うし、見極めるのは難しい。
そこは、何度も同じメンバーと山へ行き、見極めて行くしかないですね。
まだ5月だけど、早速、沢始めのようだね。
今季は、mooree隊がどこまで成長するか、楽しみにしてますよ!
んで、たまには私も隊に加えてくんろ
Luskeさん、おはようございます。
このレコで北股岳か門内岳に行ってみたくなりました。
梅花皮岳からのホン石転び沢の滑走さすがです!
さすが飯豊、雪が豊富ですね。できたら5月中、だめなら6月にでも訪れたいと思います。
hareharawaiより
今年は雪消えが早い、と言われてましたが、全然そんな事は無く、
去年以上に雪が豊富な印象を受けました。
どの雪渓も今は大変状態が良く、去年以上にオススメです
出来れば、状態が良い5月中に、ぜひお越しください。
私の方も、また例年の如く、しばらくは飯豊の雪渓通いが続きそうですので、
また今年もお会いするかもしれませんが、その際は宜しくお願い致します
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