若杉天然林から三国平の変則周回
- GPS
- 04:30
- 距離
- 7.8km
- 登り
- 506m
- 下り
- 489m
コースタイム
天候 | 曇時々雨 |
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過去天気図(気象庁) | 2021年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
林道から若杉天然林までは道なし。 |
その他周辺情報 | 粟倉温泉 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
ズボン
靴下
グローブ
防寒着
雨具
靴
ザック
昼ご飯
飲料
レジャーシート
地図(地形図)
コンパス
笛
ヘッドランプ
GPS
ファーストエイドキット
保険証
携帯
時計
サングラス
カメラ
シュリンゲ
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感想
今年は5月に半ばに梅雨入りして、この1週間は雨続き。幸いこの週末、晴マークが点灯したので、季節の花を探しがてら、山を徘徊することにした。今日一番の目的は、千種のヤマシャクヤク探勝である。そのあと車で移動して、若杉天然林を訪ねる計画だ。自宅からは中国自動車道を使って千種の登山口まで約2時間半を要する。登山口の駐車スペースに8時半前に到着したときには、軽自動車が2台、止まっているだけだった。駐車場をそそくさと出発して、ヤマシャクヤクの群生する小さな沢を目指す。杉植林の林内を巻いてつけられた登山道(たたら道)から、眼下をうかがう。ずっと下方にそれらしき白い花のようなものを発見して、急いでそこまで降りてみると、花びらをかろうじて保った状態のヤマシャクヤクが一輪、そこにあった。周囲の株は皆、ガクだけを残して終わっている。結局、わずかに3輪ほどが散りきらずにあるだけだった。どうやら、ここ数日の激しい雨で、咲いた花は花びらをすぐにもぎ取られてしまったようだった。残念!あきらめて来た道を降る。すると、次々に人が登ってくるではないか。皆、ヤマシャクヤクを見るのが目的らしい。こんなに有名になっているのか!道理で前に来た時より道がよく踏まれていると思った。駐車場はわずか1時間足らずのうちに満車になっているのだった。
我々は次の目的地、若杉天然林へと向かう。この辺りにはたいてい冬から春先の積雪期にやってくるので、その時期、千種スキー場から先は除雪されておらず、雪の車道を歩きこそすれ、車で通るのは実は今日が初めてだ。徒歩だとなかなかたどり着かない峰越峠をあっという間に通り過ぎて車は岡山県に入る。初めての若杉天然林。駐車場の周囲の様子からして自然度の高さを予感させ、期待が膨らむ。周遊路の一つを辿って最初は沢沿いの石畳をゆっくりと登っていく。まだ新緑の瑞々しさをとどめる温帯広葉樹林、下生えの篠竹も元気である。地上にはいろいろな芽吹きがある。鹿に食べつくされて地面が丸裸の場所ばかりの兵庫県とは、がらりと様子が違っている。県境をわずかにまたいだだけなのに、どうしてこうも違うのだろう。鹿はみんな、住民登録が兵庫県なんだよ、なんてジョークを飛ばしながら、ブナ、ミズナラ、オオイタヤメイゲツ、ナナカマドの多い潤いに満ちた道を、ほとばしる清流に沿って進む。第一分岐を左にとると、道は沢を離れて稜線へと向かってゆく。ああ、懐かしの東北を彷彿とさせる豊かな自然である。日頃、道のないヘンなルート取りばかりしているわが身には、この遊歩道がむしろ新鮮である。やがて、県境の主稜線に乗る。一旦は明るくなった空も再び灰色に支配されるようになり、さらにはガスも出てきて、先ゆきに不安を感じさせる。雨になると飯も食えないので、丁度そこに設置されていた古いベンチで早い昼食とする。その間にもガスは深まっていく。食べ終わるやいなや、ついに雨滴が落ちてきた。上下、雨具をつけ、先を急ぐことにする。
地形図で見るとなだらかなこの稜線も、実際には結構アップダウンがある。何度か登ったり下りたりを繰り返した末、お地蔵さんを祭る小さな祠の立った若杉峠に着く。雨はどうやら収まってきた。ちらりと青空ものぞく。ならば予定通り、三国平を目指して出発だ。ここから先は若杉天然林の園地の外となり、林相も一挙に杉植林に変わってしまう。伐採でわかりずらくなったところを直観に反して左寄りに下降すれば、林道が横切る地点に出て道標が立つ。この先は、自然林が復活してくる。驚くほど足早の広島からの女性3人パーティーと相前後して江浪峠を目指す。途中、一本の林道をまたいでさらに進む。足元の下生えはだんだんと失われて、イヌツゲは例外なくほとんど葉がないところまで食い荒らされ、兵庫県近しを思わせる。尾根は徐々に広がり、いよいよ峰越峠からのルートと合流する。合流点には三方向へ白い道標が立てられている。2月に新雪を踏んでここを通過したときには、完全に雪に埋没していたとみえて、全く見覚えのない3つの道標なのだった。すぐに「しそう天空回廊」の真新しい標識が木にくくられた江浪峠だ。氷ノ山南東に位置する「十年」の尾根とこの場所と、少なくとも2か所で確認できたこの標識。その心は??
冬場とはまるで違った雰囲気の、これはこれで素敵な場所である。ぶらり散歩気分で歩を進めれば、三国平に到着である。広島パーティーの他、3人パーティーが昼飯の最中であった。我々は踵を返して、ここから近いほうの林道まで戻り、これを南に辿る。この林道脇には沢の源頭となる小湿原があり、なごみの空間が広がる。あっ、紅色の蕾をつけた長丸い葉の株が随所に散在している。この植物の名は九つの花をつけるという意味かと思ったら、仏塔の屋根についている九輪に花のつき方が似ていることに由来するそうだ。この沢に沿って、随所に群落ができている。さらに下ると、伐採地なのか、広々と平らな空き地に清冽な流れが穏やかに流れ、緑の湿地帯ができている。ここにも件の紅色の蕾をつけた群落があり、いくつかの株は今まさに開花を迎えたところで、実に鮮やかである。その美しさをしばし楽しんだのち、この湿地の南端で右から合流するブル道に入る。すぐに左に分岐して登っていくブル道をルートにとりしばらく進むと、再び分岐し、ここは右に登っていくブル道を選ぶ。すぐにブル道はなくなるが、踏み跡のようにも見えるソレをそのまま進めば、広い尾根が左右に分かれた地形となるので、その中央のたるみを下ってゆく。やがてこのたるみは広がった谷となって水流が現れる。あとはただ沢沿いに下るばかり。しばし進めば眼下に遊歩道が現れる。降り立った場所は、駐車場に至近の休憩舎の立つ地点であった。車に戻るとすぐに雨脚が激しくなって、ぎりぎりセーフの幸運に感謝する我々であった。
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