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Yamareco

記録ID: 3322353
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沢登り
北陸

【越美】日野川前谷・ヨセン谷(シン谷)

2021年07月03日(土) [日帰り]
情報量の目安: S
都道府県 福井県 岐阜県
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GPS
--:--
距離
9.4km
登り
924m
下り
927m

コースタイム

日帰り
山行
10:00
休憩
0:20
合計
10:20
7:00
80
駐車地
8:20
80
源平谷出合
9:40
150
洞窟の滝(極細ゴルジュの10m滝)
12:10
80
920m三俣
13:30
13:50
40
14:30
140
夏小屋丸手前まで散歩
16:50
30
ロボット尾根を下り切る
17:20
駐車地
天候 くもり時々小雨
過去天気図(気象庁) 2021年07月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
大河内川沿いの林道の大河内集落手前路肩に駐車
※大河内川沿いの林道は,駐車スペースはあまり多くない。今回停めたのとは違う場所ですが,林道終点少し手前のロボット尾根取りつきの木製看板がある付近に3台分くらいのスペースがあります。
コース状況/
危険箇所等
【日野川前谷・ヨセン谷(別名シン谷)】
・日野川は広野ダムの奥で大河内川と前谷に分かれ,そのうち前谷は左俣(源平谷),中俣(ヨセン谷),右俣(スギ谷)に分岐して越美国境稜線に突き上げている。源平谷は源平谷山,ヨセン谷はヨセン谷丸(大河内山の別名)の山名の由来と思われる。また,ヨセン谷の別名のシン谷は,枝谷に対し本谷を「シン」と言うそうなので,その意味だろうか。
・今回登った中俣のヨセン谷は,それほど規模の大きくない谷に関わらず,そそり立つような黒い側壁が続き滝も多い谷で,高巻きもかなり苦労させられ,思った以上に時間がかかる。特に,源平谷出合いを過ぎた後に谷が直角に左に折れ曲がる箇所にある極細ゴルジュとその奥に隠れるように落ちる10m滝は,一見の価値のある奇景と言っていいと思う(大峰の上多古川本谷の煙突ノ滝や,台高の奥ノ平谷の仙人滝なんかに似ている)。また,周囲の樹林もブナやサワグルミの自然林で雰囲気もいい。楽しい谷です。
・この谷の詰めは灌木と笹の濃い藪で,急斜面も相まってかなり大変。また,稜線上は登山道が皆無で完全な藪なので,詰める枝沢を間違えないように注意(似たような分岐が何度か出てきます)。

【ロボット尾根(ロボットピーク北西尾根)】
・ロボットピークから1050m付近までは灌木と笹の濃い藪が続くが,薄い踏み跡が走っているので,それを外さなければ激しい藪漕ぎは避けられる。ロボットピークから下っていって傾斜が緩くなり灌木帯に入った辺りは踏み跡(獣道)が錯綜しており,特に迷いやすいので読図注意。1050mより下部は,藪はなくなりはっきりした踏み跡と白いビニールテープのマーキングがあるため楽に下れる。
いきなり余談から始まって恐縮ですが,前谷に入渓しようとしたところ,前谷と大河内川の出合の藪の中に小さな神社を発見してびっくり。大河内集落が廃村になる前の神社だろうか。「○○権現」…うーん,読めん。
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いきなり余談から始まって恐縮ですが,前谷に入渓しようとしたところ,前谷と大河内川の出合の藪の中に小さな神社を発見してびっくり。大河内集落が廃村になる前の神社だろうか。「○○権現」…うーん,読めん。
鳥居の向こう側には小さな石組だけが残っており,お社は残っていなかった。
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鳥居の向こう側には小さな石組だけが残っており,お社は残っていなかった。
昭和33年…思ったよりは古くないな。大河内集落は昭和41年廃村だから,そのわずか8年前になる。
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昭和33年…思ったよりは古くないな。大河内集落は昭和41年廃村だから,そのわずか8年前になる。
余談終わり。前谷に入渓すると大きな堰堤があり,左岸の踏み跡から越える。
余談終わり。前谷に入渓すると大きな堰堤があり,左岸の踏み跡から越える。
少し歩くと,両岸がきりりと切り立ち,美しい渓相となる。このシダやらコケやらイワタバコやらがびっしり着生した緑の壁を見ると,豊かな北陸の沢に来たな,という気分になる。
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少し歩くと,両岸がきりりと切り立ち,美しい渓相となる。このシダやらコケやらイワタバコやらがびっしり着生した緑の壁を見ると,豊かな北陸の沢に来たな,という気分になる。
しばらく進むと,3mほどの滝。左手の壁を登り(フィックスロープあり),バンドをトラバースして抜ける。
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しばらく進むと,3mほどの滝。左手の壁を登り(フィックスロープあり),バンドをトラバースして抜ける。
しばらく美しい平流が続く。
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しばらく美しい平流が続く。
スギ谷が左岸から出合ってくる。スギ谷は2020.7.5に美濃俣丸〜ロボットピークの区間を歩いた際に登路とした谷で,何となくなつかしい。
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スギ谷が左岸から出合ってくる。スギ谷は2020.7.5に美濃俣丸〜ロボットピークの区間を歩いた際に登路とした谷で,何となくなつかしい。
その先は両岸がますます高くそそり立ち,ゴルジュ状になるが,特に何も出てこない。
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その先は両岸がますます高くそそり立ち,ゴルジュ状になるが,特に何も出てこない。
今度は右岸から源平谷が出合う。
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今度は右岸から源平谷が出合う。
ちょっとだけ源平谷を覗いてみると,出合から見事なゴルジュとなった中に3段10mほどの滝が落ちており,なかなかの悪相。いつかこちらも遡行してみたい。
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ちょっとだけ源平谷を覗いてみると,出合から見事なゴルジュとなった中に3段10mほどの滝が落ちており,なかなかの悪相。いつかこちらも遡行してみたい。
源平谷を過ぎると,本谷のヨセン谷も次第に早瀬の中に小滝が出始め,本領を発揮し始める。
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源平谷を過ぎると,本谷のヨセン谷も次第に早瀬の中に小滝が出始め,本領を発揮し始める。
3mほどの滝。真ん中の岩を使えば直登できそうな気もしたが,ここは大事をとって巻くことに。
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3mほどの滝。真ん中の岩を使えば直登できそうな気もしたが,ここは大事をとって巻くことに。
右岸側の壁を一段攀じ登り,滝を見下ろしながらバンドトラバース。最初に一段登るところがちょっとホールドが細かめ。よく見ると消え入りそうなくらいボロボロの残置ロープも下がっていたが,あまりにボロボロで怖くてつかめなかった。
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右岸側の壁を一段攀じ登り,滝を見下ろしながらバンドトラバース。最初に一段登るところがちょっとホールドが細かめ。よく見ると消え入りそうなくらいボロボロの残置ロープも下がっていたが,あまりにボロボロで怖くてつかめなかった。
その後はしばらく小滝が連続するが,簡単に通過。
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その後はしばらく小滝が連続するが,簡単に通過。
ミヤマカラマツ。たくさん咲いとりました。
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ミヤマカラマツ。たくさん咲いとりました。
両岸の岩壁はますます屹立し,なかなか壮観。まさか,あの穏やかな越美国境稜線の足元に,こんなに険しい谷が隠れているなんて…。
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両岸の岩壁はますます屹立し,なかなか壮観。まさか,あの穏やかな越美国境稜線の足元に,こんなに険しい谷が隠れているなんて…。
と,ゴルジュをふさぐように3mほどの滝。これはちょっと直登は厳しいかな…。
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と,ゴルジュをふさぐように3mほどの滝。これはちょっと直登は厳しいかな…。
おそらく,一番簡単なのはこの右岸側の岩場をトラバースすることなのだろうが,谷側に傾斜したつるつるスラブに枯葉や泥がのっかった嫌な斜面になっている。8割方無事に通過できるだろうが,残りの2割が…。
おそらく,一番簡単なのはこの右岸側の岩場をトラバースすることなのだろうが,谷側に傾斜したつるつるスラブに枯葉や泥がのっかった嫌な斜面になっている。8割方無事に通過できるだろうが,残りの2割が…。
ということで,ちょっと戻ってより安全な斜面から大きめに高巻き。急な藪斜面を谷底を伺いながら巻いていたところ,突然,地蜂に太腿を刺されて悶絶。少しすると痛みはマシになったが,刺されたショックで滑落しなくてよかった…。
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ということで,ちょっと戻ってより安全な斜面から大きめに高巻き。急な藪斜面を谷底を伺いながら巻いていたところ,突然,地蜂に太腿を刺されて悶絶。少しすると痛みはマシになったが,刺されたショックで滑落しなくてよかった…。
ブナの気持ちの良い森で,巻いてる間も心は楽しい。(地蜂は勘弁だが…)
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ブナの気持ちの良い森で,巻いてる間も心は楽しい。(地蜂は勘弁だが…)
なかなか側壁が緩まず,15mほど懸垂下降して沢床に戻る。
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なかなか側壁が緩まず,15mほど懸垂下降して沢床に戻る。
あ,シライトソウ。
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あ,シライトソウ。
と,側壁がこれでもかというくらいギュッと狭まり,2m幅くらいの極細ゴルジュに。谷と言うより洞窟みたいだ。しかも,奥になにかある…!
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と,側壁がこれでもかというくらいギュッと狭まり,2m幅くらいの極細ゴルジュに。谷と言うより洞窟みたいだ。しかも,奥になにかある…!
極細ゴルジュの中は腰くらいの水深で,何とか進んでいける。次第に轟音が近づいてくる。
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極細ゴルジュの中は腰くらいの水深で,何とか進んでいける。次第に轟音が近づいてくる。
これ以上進めなくなったところから撮影。極細ゴルジュの奥で谷は90°左に屈曲し,そこには分厚い岩壁をえぐるように,高い滝が掛かっている。暗い洞窟のようなゴルジュの奥に身を隠すようにして,どうどうと瀑音を反響させている妖しの滝。しばし立ち尽くして眺め入る。
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これ以上進めなくなったところから撮影。極細ゴルジュの奥で谷は90°左に屈曲し,そこには分厚い岩壁をえぐるように,高い滝が掛かっている。暗い洞窟のようなゴルジュの奥に身を隠すようにして,どうどうと瀑音を反響させている妖しの滝。しばし立ち尽くして眺め入る。
上を見上げると,岩壁に細く切り取られたような空が幻想的。まさか穏やかに見えるこの山域に,こんな非日常空間があったなんて…。
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上を見上げると,岩壁に細く切り取られたような空が幻想的。まさか穏やかに見えるこの山域に,こんな非日常空間があったなんて…。
ちなみに,この洞窟滝は,見た目の険悪さに比して左岸から割と楽に巻けます。巻いている途中で,正面から見た洞窟滝。やっぱり下のゴルジュの中から見たほうが迫力がある。
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ちなみに,この洞窟滝は,見た目の険悪さに比して左岸から割と楽に巻けます。巻いている途中で,正面から見た洞窟滝。やっぱり下のゴルジュの中から見たほうが迫力がある。
洞窟ゴルジュの上は急に開けて,美しい谷が広がっていた。
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洞窟ゴルジュの上は急に開けて,美しい谷が広がっていた。
逆光に縁どられた深い森。
逆光に縁どられた深い森。
いいところだなぁ。
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いいところだなぁ。
しかし,少し歩くと再び谷は険しくなり,5mくらいの滝。瀑水が結構な勢いでひょんぐっており,面白い形だ。
しかし,少し歩くと再び谷は険しくなり,5mくらいの滝。瀑水が結構な勢いでひょんぐっており,面白い形だ。
右岸側に圧倒的な大岩壁。
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右岸側に圧倒的な大岩壁。
ミニゴルジュが現れ,2段10mくらいの滝がかかる。右岸から巻き上がる。
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ミニゴルジュが現れ,2段10mくらいの滝がかかる。右岸から巻き上がる。
4m位の幅広滝。手掛かりは豊富にあり水を浴びながら直登。これくらいの大きさの滝は登れるものが多く,楽しい。
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4m位の幅広滝。手掛かりは豊富にあり水を浴びながら直登。これくらいの大きさの滝は登れるものが多く,楽しい。
続々と現れる小滝を越えていくと…
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続々と現れる小滝を越えていくと…
おっと,これは大きい。20mくらいか。おそらくこの谷で最大の滝。
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おっと,これは大きい。20mくらいか。おそらくこの谷で最大の滝。
岩を穿つようにまっすぐ斜めに落ちる姿が美しい。
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岩を穿つようにまっすぐ斜めに落ちる姿が美しい。
ウルイとヤマアジサイの茂る右岸の急斜面から巻いた後,落ち口から見下ろす。
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ウルイとヤマアジサイの茂る右岸の急斜面から巻いた後,落ち口から見下ろす。
小滝の連続を直登していく。
4
小滝の連続を直登していく。
周囲は太いブナの森。
周囲は太いブナの森。
これも直登できる。
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これも直登できる。
楽しいナメ滝。
2段8mくらい。これも直登していける。
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2段8mくらい。これも直登していける。
920m三俣(本当に三俣になっている)は,ロボットピークを直接目指すため左俣に入る。水が細くなったためこのまま源頭かと思いきや…
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920m三俣(本当に三俣になっている)は,ロボットピークを直接目指すため左俣に入る。水が細くなったためこのまま源頭かと思いきや…
また滝! もうこれが最後の滝と思われ,せっかくなので直登した。
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また滝! もうこれが最後の滝と思われ,せっかくなので直登した。
ついに本当に源頭の様相。高度が上がって来たからか,谷はガスに包まれ始めた。どこかでしきりにコマドリの声がする。夏に越美国境稜線に近づくと,必ずコマドリの声が出迎えてくれる。
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ついに本当に源頭の様相。高度が上がって来たからか,谷はガスに包まれ始めた。どこかでしきりにコマドリの声がする。夏に越美国境稜線に近づくと,必ずコマドリの声が出迎えてくれる。
ここまで登ってくると,谷の両側の斜面にニッコウキスゲの群落が現れる。ガスってるのとちょっと遠いのとであんまりちゃんと写ってませんが…。
ここまで登ってくると,谷の両側の斜面にニッコウキスゲの群落が現れる。ガスってるのとちょっと遠いのとであんまりちゃんと写ってませんが…。
谷は,最後は藪っぽい岩壁の中に消えていた。
谷は,最後は藪っぽい岩壁の中に消えていた。
岩壁を避けて,右手の小尾根に取りつく。かなり急峻かつ藪が濃く,かき分けた藪をそのままつかんで強引に体を引き上げていくような登り。
岩壁を避けて,右手の小尾根に取りつく。かなり急峻かつ藪が濃く,かき分けた藪をそのままつかんで強引に体を引き上げていくような登り。
30分ほど苦しい灌木漕ぎを続けると,次第に笹薮が混じり始めた。稜線が近いか。
30分ほど苦しい灌木漕ぎを続けると,次第に笹薮が混じり始めた。稜線が近いか。
そしてついに明るく開けた笹原に出た。ロボットピークに到着。ガスで真っ白ですが…。
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そしてついに明るく開けた笹原に出た。ロボットピークに到着。ガスで真っ白ですが…。
本当は(冬季は当然のことながら)夏季のロボットピークもとても眺めがよいところなのだが,ガスっている今日は夏小屋丸方面の稜線と東の励谷側がわずかに見えるだけだ。
本当は(冬季は当然のことながら)夏季のロボットピークもとても眺めがよいところなのだが,ガスっている今日は夏小屋丸方面の稜線と東の励谷側がわずかに見えるだけだ。
夏小屋丸方向へちょっと散歩してみた。この辺りは笹薮が低く,獣道がはっきりしているので歩きやすい。このあたりはバイケイソウの群落があるのだが,残念ながらもう花は散ってしまっていた。
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夏小屋丸方向へちょっと散歩してみた。この辺りは笹薮が低く,獣道がはっきりしているので歩きやすい。このあたりはバイケイソウの群落があるのだが,残念ながらもう花は散ってしまっていた。
ロボットピークを振り返って。この稜線は今年2月の残雪期に歩いたばかりだが,あの白銀の稜線と同じ所には全然見えない…。
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ロボットピークを振り返って。この稜線は今年2月の残雪期に歩いたばかりだが,あの白銀の稜線と同じ所には全然見えない…。
励谷の源頭部。おととし,励谷経由で不動山まで行ったときに下降したなぁ。懐かしい。
励谷の源頭部。おととし,励谷経由で不動山まで行ったときに下降したなぁ。懐かしい。
ガスの中に見え隠れする励谷の深い谷。
ガスの中に見え隠れする励谷の深い谷。
笹薮の中に続く一筋の獣道を辿っていく。
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笹薮の中に続く一筋の獣道を辿っていく。
夏小屋丸の一つ手前のピークまで行ってみたが,残念ながらガスが深く,笹ヶ峰の姿は望めなかった。戻りましょう。
夏小屋丸の一つ手前のピークまで行ってみたが,残念ながらガスが深く,笹ヶ峰の姿は望めなかった。戻りましょう。
さて,ロボットピークに戻ってきた。気持ちのいい笹原の広場で遅い昼ご飯を食べたあと,ロボット尾根(北西尾根)から下山することにした。もともと帰りは長トコ谷のシンノ谷を下降しようと気楽に考えていたのだが,ヨセン谷だけでお腹いっぱいになってしまいました笑
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さて,ロボットピークに戻ってきた。気持ちのいい笹原の広場で遅い昼ご飯を食べたあと,ロボット尾根(北西尾根)から下山することにした。もともと帰りは長トコ谷のシンノ谷を下降しようと気楽に考えていたのだが,ヨセン谷だけでお腹いっぱいになってしまいました笑
ロボット尾根は相変わらず藪が濃い。今年2月の残雪期に登った際は天国へ続く白銀の階段のようだったあの尾根と同じ尾根とは到底思えない…。
ロボット尾根は相変わらず藪が濃い。今年2月の残雪期に登った際は天国へ続く白銀の階段のようだったあの尾根と同じ尾根とは到底思えない…。
1050m付近の笹の海を越えると,急に藪が薄くなり,踏み跡もしっかりして,ブナの気持ちいい下山路となる。
1050m付近の笹の海を越えると,急に藪が薄くなり,踏み跡もしっかりして,ブナの気持ちいい下山路となる。
ロボット尾根を下り切り,いつもの木橋を渡って大河内川沿いの林道に出る。
(2月に来たときは,この木橋の両側が2mくらいの雪壁になっていて苦労したなぁ…。)
ロボット尾根を下り切り,いつもの木橋を渡って大河内川沿いの林道に出る。
(2月に来たときは,この木橋の両側が2mくらいの雪壁になっていて苦労したなぁ…。)
木橋のたもとにある木製看板。無事下山。
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木橋のたもとにある木製看板。無事下山。

装備

備考 ・フェルトソール沢足袋使用。ぬめりはそれほどない印象だったので,ラバーでも大丈夫だと思う。
・40mロープ携行。高巻き時に懸垂で1回使用(15mくらい)

感想

 昨年7月に広野ダムの奥にある日野川前谷のスギ谷を遡って美濃俣丸まで登った際,思った以上の美しい渓相に,これは前谷の本谷のヨセン谷も登ってみたいな,と思った。
 ヨセン谷は,ひと昔前の代表的な沢登りルート本である「関西周辺の谷」(昭和55年刊)にこの周辺の谷では唯一紹介されており,しかも(沢登りでグレードを云々するのはあまり好きではないのだが)3級のグレードが付けらている。3級沢というと,同書では台高の東ノ川本流,大峰の旭ノ川中ノ川,奥美濃の川浦谷本谷などの大渓谷が名を連ねており,それらと肩を並べる秀渓ということである。なんと…。
 実際入渓してみたヨセン谷は,本当に楽しい谷でした。両岸に終始そそり立つ黒々とした側壁はなかなか壮観で,形の良い滝も多く,高巻きも結構大変で考えさせられる場面が多くて楽しめる。小さめの滝は登れるものが多く,水と戯れながら登れるのも嬉しい。特に印象的なのは,源平谷出合いを過ぎてしばらく行ったあたりで出てくる洞窟の滝だ。昼なお暗い極細ゴルジュと,その奥に身をひそめるようにして妖しく落ちる滝が不気味といっていいくらいの異空間を形作っており,一見の価値がある。どちらかというと積雪期のたおやかな白銀の稜線や,奥美濃側の金ヶ丸や根洞谷などの穏やかな渓流のイメージが強いこの山域に,これほどの険しい谷が隠れているとは個人的には驚きで,この界隈の山の深さを改めて思い知った次第。
 それから,この山域の谷で素晴らしいのはやっぱり樹林の美しさ。ブナとサワグルミ,トチノキの緑がしたたるような森と,ギボウシやカラマツソウの花,そして源頭ではニッコウキスゲの黄色い群落が出迎えてくれる。稜線に立つと,霧の向こうの谷間から,コルリやコマドリの声が遠く近く響いてくる。梅雨時の楽しい谷の一日だった。

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