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Yamareco

記録ID: 3506189
全員に公開
沢登り
京都・北摂

【京都北山】ツキノキ谷からオークラノ尾

2021年09月11日(土) [日帰り]
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GPS
--:--
距離
5.2km
登り
579m
下り
575m

コースタイム

日帰り
山行
6:00
休憩
0:00
合計
6:00
6:40
10
駐車地
6:50
6:50
160
ツキノキ谷に入渓
9:30
9:30
30
稜線
10:00
10:00
40
10:40
10:40
110
ツキノキ谷(右俣)に下降開始
12:30
12:30
10
由良川出合
12:40
駐車地
天候 小雨のち晴れ
過去天気図(気象庁) 2021年09月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
由良川沿いの県道の路肩スペースに適当に駐車
コース状況/
危険箇所等
【ツキノキ谷】
・オークラノ尾(826.3m三角点,3等・田歌。別名:大倉谷山)の北西にあるca790mピークの北に突き上げている谷。序盤は植林であまり雰囲気は良くないが,じきに自然林に包まれた両岸の険しいゴルジュ状の谷となり,その中に3m〜5m程度の滝が連続して楽しめる。特に,標高450m二俣の左俣出合に掛かる多段50m滝と,右俣の奥に掛かる2段30m滝はなかなかのもの。左俣も右俣も源頭まで小滝とナメが途切れることなく,トチノキや芦生スギの巨木がたたずむ気持ちのいい詰めを迎えることができる。小さいながらも楽しい谷です。
・オークラノ尾の谷と言えばカラオ谷(オークラノ尾の北側の深い谷)が沢登りの対象として知られているが,両岸の迫ったゴルジュ状の谷や泥壁の悪い巻き,滑りやすい斜滝の連続など,ツキノキ谷も基本的な雰囲気はカラオ谷とよく似ている。ツキノキ谷は規模が小さい分,遡行時の手ごたえはカラオ谷のほうが若干上だと思うが,多段50mや2段30mなどの大滝の存在や,源頭部の自然林の心地よさなどの点は,ツキノキ谷が持つカラオ谷にない美点と言えるかもしれない。
・450m二俣手前のゴルジュ帯の通過はちょっと大変なので注意。今回は左岸巻きしたが,急斜面で少し悪い。ゴルジュの中の滝は直登も可能と思われるが,逆層で滑りやすい。また,左俣出合にかかる多段50m滝は,途中まで直登していけるが,その後は右か左に巻くことになる。かなり壁が立っているので,ルート取りに注意。

【オークラノ尾の稜線】
・ブナに植林らしきスギが混じり,自然林なのか植林なのか判然としない不思議な雰囲気の稜線。オークラノ尾のピーク自体は雑然とした感じで眺めもなく,わざわざ踏みに行くほどのものではないが,オークラノ尾の北西の2つ目の小ピーク付近に芦生スギのかなりの巨木が2〜3本ほど生えており,むしろこちらのほうが見る価値がある。稜線上は一部を除き藪はほとんどなく,時々歩く人がいるようでマーキングもあるため,概ね歩きやすい。
ゆったりと流れる由良川の向こう岸に見える切れ込みが,目指すツキノキ谷。由良川を股下くらいの水深で渡渉する。
ゆったりと流れる由良川の向こう岸に見える切れ込みが,目指すツキノキ谷。由良川を股下くらいの水深で渡渉する。
ツキノキ谷に入渓したが,序盤は植林に覆われており,谷中には倒木も多く荒れた感じで,あまり雰囲気は良くない。これは失敗したかな,と思いつつも進んでいくと…
ツキノキ谷に入渓したが,序盤は植林に覆われており,谷中には倒木も多く荒れた感じで,あまり雰囲気は良くない。これは失敗したかな,と思いつつも進んでいくと…
次第に小滝が出始め,雰囲気が良くなってきた。
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次第に小滝が出始め,雰囲気が良くなってきた。
両岸も急に険しくなり,だんだんゴルジュ状に。その中に小滝が途切れることなく出てくる。前言撤回,これは当たりかもしれん。
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両岸も急に険しくなり,だんだんゴルジュ状に。その中に小滝が途切れることなく出てくる。前言撤回,これは当たりかもしれん。
冷たい水を浴びつつ小滝を直登していく。多くの小滝が直登可能で楽しいが,京都北山特有のホールドが丸く滑りやすい滝が多くて気を遣う。
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冷たい水を浴びつつ小滝を直登していく。多くの小滝が直登可能で楽しいが,京都北山特有のホールドが丸く滑りやすい滝が多くて気を遣う。
うんうん,小さな谷なのに険しいゴルジュが続いて滑りやすい滝が連続するあたり,やっぱり東隣の有名なカラオ谷に似てるな。
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うんうん,小さな谷なのに険しいゴルジュが続いて滑りやすい滝が連続するあたり,やっぱり東隣の有名なカラオ谷に似てるな。
斜滝が連続し,途切れない。
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斜滝が連続し,途切れない。
こんな楽しい谷だと思わなかった。
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こんな楽しい谷だと思わなかった。
一瞬,滝が途切れ,谷は少しおとなしくなるが,両岸は相変わらず厳しく切り立ったまま。
一瞬,滝が途切れ,谷は少しおとなしくなるが,両岸は相変わらず厳しく切り立ったまま。
再び3m〜5mほどの滝の連続が始まる。嬉々として直登していく。
2
再び3m〜5mほどの滝の連続が始まる。嬉々として直登していく。
こりゃ楽しい。
と,ゴルジュの中に現れた5mほどのチョックストーン滝に行く手を阻まれる。
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と,ゴルジュの中に現れた5mほどのチョックストーン滝に行く手を阻まれる。
滝下にもぐり込んで直登しようとしたが,ホールドが全部逆層で,かなり滑りやすく,自重して高巻くことにした。
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滝下にもぐり込んで直登しようとしたが,ホールドが全部逆層で,かなり滑りやすく,自重して高巻くことにした。
最初右岸巻きしようとしたが,かなり壁が立っており大高巻きを強いられそうだったのであきらめ,左岸巻きに切り替え。左岸もかなりの急傾斜で,取りつきが少し悪かった。写真は巻きながらゴルジュの中を覗き込んだところ。先ほどの5m滝の奥に10m以上はありそうな大きな滝が見える。
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最初右岸巻きしようとしたが,かなり壁が立っており大高巻きを強いられそうだったのであきらめ,左岸巻きに切り替え。左岸もかなりの急傾斜で,取りつきが少し悪かった。写真は巻きながらゴルジュの中を覗き込んだところ。先ほどの5m滝の奥に10m以上はありそうな大きな滝が見える。
慎重に左岸巻きを終え谷に降り立つと,ちょうどそこが450m二俣だった。と,なんと,左俣の出合に30mはありそうな巨大な滝が!
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慎重に左岸巻きを終え谷に降り立つと,ちょうどそこが450m二俣だった。と,なんと,左俣の出合に30mはありそうな巨大な滝が!
水量はあまり多くなく,また段瀑のため写真写りが悪いが,現地で見ると仰ぎ見るような格好になり,結構迫力を感じる滝である。
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水量はあまり多くなく,また段瀑のため写真写りが悪いが,現地で見ると仰ぎ見るような格好になり,結構迫力を感じる滝である。
なお,右俣のほうも出合は10mほどの滝となっている。両俣とも滝に挟まれて,なかなか豪華な二俣だ。
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なお,右俣のほうも出合は10mほどの滝となっている。両俣とも滝に挟まれて,なかなか豪華な二俣だ。
今回は左俣を遡行し,右俣は下降に使う予定なので,大滝のある左俣に入る。この大滝は段瀑なので手掛かりが豊富で,かなり上まで水を浴びながら滝身を直登できる。
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今回は左俣を遡行し,右俣は下降に使う予定なので,大滝のある左俣に入る。この大滝は段瀑なので手掛かりが豊富で,かなり上まで水を浴びながら滝身を直登できる。
上部はハングしており,直登が難しいため,左右どちらかに逃げることになる。今回は左手にトラバースして巻き上がることにした。
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上部はハングしており,直登が難しいため,左右どちらかに逃げることになる。今回は左手にトラバースして巻き上がることにした。
大滝の左手はかなり岩が張り出しており,ちょっとした岩登りに。思った以上に大きく巻かされた。
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大滝の左手はかなり岩が張り出しており,ちょっとした岩登りに。思った以上に大きく巻かされた。
なんとかうまいこと大滝の落ち口に降り立った。
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なんとかうまいこと大滝の落ち口に降り立った。
と,なんと,先ほどの大滝の上にも途切れることなく20mほどの斜瀑が連なっていた。先ほどの下部30mと合わせれば,多段50mほどの大滝と言うことになる。
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と,なんと,先ほどの大滝の上にも途切れることなく20mほどの斜瀑が連なっていた。先ほどの下部30mと合わせれば,多段50mほどの大滝と言うことになる。
この上部20mぶんの斜滝も非常に優美なナメ滝で,散歩するように流水沿いに登っていくことができる。
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この上部20mぶんの斜滝も非常に優美なナメ滝で,散歩するように流水沿いに登っていくことができる。
振り返ると,長いナメ滝が黒い岩盤を優しく流れ下り,深い谷間に吸い込まれていく。
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振り返ると,長いナメ滝が黒い岩盤を優しく流れ下り,深い谷間に吸い込まれていく。
多段50m大滝を登り切ると,谷はしばし穏やかになる。
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多段50m大滝を登り切ると,谷はしばし穏やかになる。
両岸は自然林につつまれ,太いトチノキもあって雰囲気が良い。
両岸は自然林につつまれ,太いトチノキもあって雰囲気が良い。
この穏やかさのまま詰めに入るかと思いきや,再び谷が険しくなり,斜滝が連続し始めた。まだまだ滝場は続くようだ。これは嬉しい限り。
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この穏やかさのまま詰めに入るかと思いきや,再び谷が険しくなり,斜滝が連続し始めた。まだまだ滝場は続くようだ。これは嬉しい限り。
美しいナメ滝の連続を,深い緑がどこまでも覆っている。
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美しいナメ滝の連続を,深い緑がどこまでも覆っている。
小滝の連続。
もうだいぶ水量が少なくなってきているのだが,ナメと小滝が途切れない。
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もうだいぶ水量が少なくなってきているのだが,ナメと小滝が途切れない。
まだまだ続く。
そして,640m二俣に到着。
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そして,640m二俣に到着。
この二俣は,両俣とも静かなナメになっており,周囲の自然林も落ち着いたただずまいで,思わずため息をついてしまいそうな雰囲気の良い場所だ。
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この二俣は,両俣とも静かなナメになっており,周囲の自然林も落ち着いたただずまいで,思わずため息をついてしまいそうな雰囲気の良い場所だ。
黒く磨かれた岩盤を滑るように流れていく水。
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黒く磨かれた岩盤を滑るように流れていく水。
この二俣は右に入ったが,この先も小滝が連続。
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この二俣は右に入ったが,この先も小滝が連続。
本当に最後まで飽きさせない谷だ。
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本当に最後まで飽きさせない谷だ。
結局稜線間際まで,別れを惜しむようにナメが続いた。
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結局稜線間際まで,別れを惜しむようにナメが続いた。
気づけば周囲は深い霧に包まれており,水墨画のようなブナのシルエットがぼんやりとにじむ逆光に縁どられている。
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気づけば周囲は深い霧に包まれており,水墨画のようなブナのシルエットがぼんやりとにじむ逆光に縁どられている。
水が切れ,ナメが途切れると,今度はトチノキの巨木が出迎えてくれた。
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水が切れ,ナメが途切れると,今度はトチノキの巨木が出迎えてくれた。
このトチノキも立派だ。
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このトチノキも立派だ。
これも。オークラノ尾のあたりは植林が多いイメージだったのだが,こんなに素晴らしい森に出会えるとは。
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これも。オークラノ尾のあたりは植林が多いイメージだったのだが,こんなに素晴らしい森に出会えるとは。
大きなウロが開いているトチノキもあった。いかにもクマが寝床にしていそうな風情だ。今は外出中…だといいな…。
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大きなウロが開いているトチノキもあった。いかにもクマが寝床にしていそうな風情だ。今は外出中…だといいな…。
トチノキの巨木と,その周囲の美しい森。
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トチノキの巨木と,その周囲の美しい森。
芦生スギの巨木まであった。
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芦生スギの巨木まであった。
稜線に出た。基本的にブナが多いのだが,その中に植林と思しきスギも混ざっており,どちらかというと谷の中の森のほうが感じが良かったかな。
稜線に出た。基本的にブナが多いのだが,その中に植林と思しきスギも混ざっており,どちらかというと谷の中の森のほうが感じが良かったかな。
オークラノ尾に向けて稜線を南下。次第にガスが晴れて青空がのぞくようになり,ブナの枝越しの光線が眩しい。
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オークラノ尾に向けて稜線を南下。次第にガスが晴れて青空がのぞくようになり,ブナの枝越しの光線が眩しい。
と,オークラノ尾の2つ手前の小ピークに近づくと,びっくりするくらいの芦生スギの巨木が。
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と,オークラノ尾の2つ手前の小ピークに近づくと,びっくりするくらいの芦生スギの巨木が。
これも。これを見るだけでもオークラノ尾に登る価値はある。
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これも。これを見るだけでもオークラノ尾に登る価値はある。
これも。巨大スギ三兄弟。
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これも。巨大スギ三兄弟。
オークラノ尾に到着。いかにも伐採が入った後という感じの雑然とした植生で,眺望もなく,地味な山頂である。
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オークラノ尾に到着。いかにも伐採が入った後という感じの雑然とした植生で,眺望もなく,地味な山頂である。
それでは,戻りましょうか。すっかり晴れて明るくなった気持ちの良い森を歩いて行く。
それでは,戻りましょうか。すっかり晴れて明るくなった気持ちの良い森を歩いて行く。
下山はツキノキ谷の右俣を下降する。左俣が素晴らしかったので,右俣にも期待が高まる。藪をかき分けながら斜面を下降していく。
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下山はツキノキ谷の右俣を下降する。左俣が素晴らしかったので,右俣にも期待が高まる。藪をかき分けながら斜面を下降していく。
すぐにツキノキ谷の右俣に降り立つ。こちらも左俣と同様,素晴らしい自然林に囲まれている。
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すぐにツキノキ谷の右俣に降り立つ。こちらも左俣と同様,素晴らしい自然林に囲まれている。
少し下っていくと,すぐにナメ床が出てくる。右俣もナメが多いようだ。
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少し下っていくと,すぐにナメ床が出てくる。右俣もナメが多いようだ。
こちらの谷でも,立派なトチノキが見送ってくれた。
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こちらの谷でも,立派なトチノキが見送ってくれた。
まだ水量は少ないが,10mほどの斜滝。巻き下りは簡単。
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まだ水量は少ないが,10mほどの斜滝。巻き下りは簡単。
再び5mほどの滝。右俣も滝が多いようだ。これは期待できそう。
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再び5mほどの滝。右俣も滝が多いようだ。これは期待できそう。
谷を振り返ると,ずっと奥までナメ滝が連続し,ナメの階段のようだ。
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谷を振り返ると,ずっと奥までナメ滝が連続し,ナメの階段のようだ。
小滝のクライムダウンを続ける。
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小滝のクライムダウンを続ける。
逆光でうまく写真が取れなかったが,10mほどの滝。左岸の急斜面を巻き下った。
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逆光でうまく写真が取れなかったが,10mほどの滝。左岸の急斜面を巻き下った。
と,目の前が急に切れ落ちたため,左岸側の急斜面を慎重に巻き下っていく。谷をのぞきこむとかなりの高さの滝が飛沫を上げているのが見える。
と,目の前が急に切れ落ちたため,左岸側の急斜面を慎重に巻き下っていく。谷をのぞきこむとかなりの高さの滝が飛沫を上げているのが見える。
高巻きを終えて谷に降り立ち,見上げると,2段30mほどの立派な大滝であった。水量は少なめだが,この小さな山に大水量を求めるのは酷だろう。これはこれで瀟洒な魅力があって良い。
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高巻きを終えて谷に降り立ち,見上げると,2段30mほどの立派な大滝であった。水量は少なめだが,この小さな山に大水量を求めるのは酷だろう。これはこれで瀟洒な魅力があって良い。
左俣の多段50m滝に引き続き,右俣でも大滝に出会えるとは,嬉しい限り。
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左俣の多段50m滝に引き続き,右俣でも大滝に出会えるとは,嬉しい限り。
そして,この大滝の美点は,傍らに守り神のようなカツラの巨木が聳え立っていることだ。
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そして,この大滝の美点は,傍らに守り神のようなカツラの巨木が聳え立っていることだ。
深い緑にぐるりと囲まれた中心に立つカツラの巨木と,その背景に落ちる清冽な大滝が,神々しいまでの空間を作り出している。カツラの苔むした根元に座って,滝を眺めながらお昼ご飯とした。
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深い緑にぐるりと囲まれた中心に立つカツラの巨木と,その背景に落ちる清冽な大滝が,神々しいまでの空間を作り出している。カツラの苔むした根元に座って,滝を眺めながらお昼ご飯とした。
その後も滝は続く。通過はそれほど難しくない。
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その後も滝は続く。通過はそれほど難しくない。
と,険しいミニゴルジュにぶつかり,右岸側の岩がちな斜面を巻き下る。
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と,険しいミニゴルジュにぶつかり,右岸側の岩がちな斜面を巻き下る。
谷に戻ると,450m二俣の10m滝であった。二俣まで戻ってきたのだ。
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谷に戻ると,450m二俣の10m滝であった。二俣まで戻ってきたのだ。
その後のゴルジュは登りと同じく左岸を巻き下り(結構大高巻きになる),あとに続く滝は適当にクライムダウンなり巻き下りなりでかわして,由良川まで戻ってきた。良い谷でした。
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その後のゴルジュは登りと同じく左岸を巻き下り(結構大高巻きになる),あとに続く滝は適当にクライムダウンなり巻き下りなりでかわして,由良川まで戻ってきた。良い谷でした。
向かいの山腹を少し登ったところから撮影したツキノキ谷。デジカメのズームが貧弱なので見にくいが,中央やや左手に大きな岩壁が写っている。こんなところにも,ツキノキ谷の隠れた険しさが表れているようだ。オークラノ尾の「オークラ(大倉=大きな岩壁)」って,もしかしてこれのことだったりして…。
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向かいの山腹を少し登ったところから撮影したツキノキ谷。デジカメのズームが貧弱なので見にくいが,中央やや左手に大きな岩壁が写っている。こんなところにも,ツキノキ谷の隠れた険しさが表れているようだ。オークラノ尾の「オークラ(大倉=大きな岩壁)」って,もしかしてこれのことだったりして…。

装備

備考 ・フェルトソール沢足袋使用。結構ぬめっているので,ラバーよりフェルトのほうがいいように感じた。
・険しい谷なので,ロープなど沢登り基本装備必携。今回の山行中,ロープは出さなかったが,ルート取りによっては必要になると思われる。

感想

 久しぶりに京都北山で「これはいいかも」と思える谷に出会った。オークラノ尾(大倉谷山)のツキノキ谷である。
 オークラノ尾の谷としてはカラオ谷が沢登りの対象として有名で,沢登りルート100(旧版)にも載っているしネット上の記録もコンスタントに見るのだが,この山の他の谷はほとんど記録を見ない。カラオ谷があるんだから,他にも面白い谷がありそうなもんだよなぁ,と思って2年ほど前にカラオ谷の東隣のハエタテ谷に入ってみたのだが,残念ながら序盤の15m滝を除けば全くの不発に終わった。今回,遠出が難しい昨今の情勢もあり,もう一度2万5千図を見直して,オークラノ尾から北西へ続く稜線の北側に食い込むツキノキ谷に入ってみることにした。そもそも地図上では水線すら入っていない小さな谷なので,あまり期待せず入渓したのだが…
 結果,予想を良い意味で裏切ってくれました。同じ山系ということもあり谷の雰囲気はカラオ谷とよく似ており,地形図上の小さな見た目に似合わないほど険しいゴルジュ,その中に掛かる滑りやすい斜滝を主体とした無数の滝群,泥壁の悪い巻き…要するに小粒でも思った以上に楽しめる谷だった。しかし,この谷にはカラオ谷にはない美点もあり,まずトチノキや芦生スギの巨木がたたずむ源頭の美しい自然林,そして多段50m滝や2段30m滝などの大滝の存在である。
 特に,右俣の2段30m滝は,滝に寄り添うように聳え立つ大カツラの存在感もあり,なかなか壮麗な空間を作り出している。実は,この谷を終えた後に2本目の谷に移動する予定だったのだが,この滝と大カツラがあまりに良かったため,その下に腰を落ち着けてしまい,気が付いたら時間が無くなってしまった。地形図上では小さな切れ込みに過ぎなくても,谷にはこれだけ人を引き止める空間が隠れている。そしてそれがどの谷に隠れているかは,実際に入ってみないと分からない。当たり前のことではあるけれど,谷の面白いところだと思う。

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