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Yamareco

記録ID: 352615
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
朝日・出羽三山

【東北ワンダー2】朝日連峰(日暮沢から主脈縦走)

2013年09月29日(日) 〜 2013年10月01日(火)
 - 拍手
GPS
54:45
距離
49.3km
登り
3,263m
下り
3,248m

コースタイム

【1日目(9/29)】根子〜竜門小屋
根子(500m) 7:30 10℃
日暮沢小屋(620m) 9:20-30
水場(1145m) 11:25-30
清太岩山(1465m) 12:40-55
ユーフン山(1565m) 13:30-40
竜門三叉路(1675m) 14:25
竜門小屋(1575m) 14:40 16℃
 Total 21,800歩
 累計標高差 上り1330m 下り255m

【2日目(9/30)】竜門小屋〜以東岳往復
竜門小屋(1575m) 5:15 13℃
寒江山(1695m) 6:20
狐穴小屋(1500m) 7:05-10
中先峰(1523m) 7:50
以東岳(1771m) 9:10-45 16℃
※この間に以東小屋往復
中先峰(1523m) 10:50
狐穴小屋(1500m) 11:30-40
寒江山(1695m) 12:40-50
竜門小屋(1575m) 13:45 15℃
 Total 31,800歩
 累計標高差 上り1495m 下り1495m

【3日目(10/1)】竜門小屋〜大朝日岳〜根子
竜門小屋(1575m) 5:10 10℃
竜門山(1688m) 5:25
西朝日岳(1814m) 6:15-20
大朝日小屋(1830m) 7:30-40
大朝日岳(1871m) 7:50-8:00 16℃
大朝日小屋(1830m) 8:05-20
小朝日岳分岐(1505m) 9:20
分岐合流(1560m) 9:40
ハナヌキ峰分岐(1150m) 10:45-55
日暮沢小屋(620m) 12:25
根子(500m) 14:15  
 Total 38,300歩
 累計標高差 上り815m 下り1890m

【総計】
 Total 91,900歩
 累計標高差 上り3640m 下り3640m
天候 1日目(9/29)晴れ
2日目(9/30)am晴れ→pmガス
3日目(10/1)晴れ
過去天気図(気象庁) 2013年09月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
※日暮沢まで入る予定が通行止めのため、林道入口の根子に駐車
コース状況/
危険箇所等
事前の現地情報確認不足のため慌てた。
以下は、今回の山行で確認したわたしの体験情報にすぎない。状況は時々刻々変わると思われるので、同様のルートを取る場合は地元に確認し(西川山岳会HPなど)、自己責任のもと慎重に安全を確保願います。
日暮沢を起点としたルート(清太岩山コース、ハナヌキ峰コース)は基本的に「通行止め」扱いです。

◇根子〜日暮沢林道の通行止め
 本年7月の豪雨被害により林道は寸断されている。根子からすぐの地点で道路が崩壊してなくなっている。ここは徒歩でも横断は危険なため、高巻きの道(幅員2mほど)がつけられている。但し地元のひとしか使用しないため高巻き道の分岐部分には、それを示す表示はない。根子から日暮沢に入る場合はこの高巻き道を利用すること。
 林道はこの崩壊箇所以外も数カ所土石流等で寸断されたり、路面が抉られたりしている。徒歩では問題なく横断可能。
 この林道が自動車で走行できるまでにはまだ時間がかかりそうだ。

◇ハナヌキ峰からの下山路
 古寺鉱泉分岐から根子川までの下りは特に問題なし。
 根子川に沿った水平道になってから1ヶ所沢ごと大きく抉り崩壊しているところがある。沢に昇降する部分に補助ロープがぶら下がっており、これを利用すればなんとか上り下りできる。その他2ヶ所ほど土石流で荒れているところがあるが、徒歩で歩く分には問題なし。
根子の神社境内に駐車させてもらいました。
2013年09月29日 07:31撮影 by  DSC-WX100, SONY
9/29 7:31
根子の神社境内に駐車させてもらいました。
林道入り口の通行止めの表示。
2013年09月29日 07:34撮影 by  DSC-WX100, SONY
9/29 7:34
林道入り口の通行止めの表示。
通行止めから更に進むと道路は完全崩壊している。足場が悪く、ここを渡るのは非常に危険。
2013年09月29日 07:41撮影 by  DSC-WX100, SONY
9/29 7:41
通行止めから更に進むと道路は完全崩壊している。足場が悪く、ここを渡るのは非常に危険。
崩壊地点の手前に高巻き道の分岐がある。幅員2mほど、ちょっとぬかるんでいるが、全く問題ない。
2013年10月01日 14:11撮影 by  DSC-WX100, SONY
10/1 14:11
崩壊地点の手前に高巻き道の分岐がある。幅員2mほど、ちょっとぬかるんでいるが、全く問題ない。
林道を歩くこと約2時間で日暮沢小屋に到着。ひとの気配もなく森閑としている。
2013年09月29日 09:20撮影 by  DSC-WX100, SONY
9/29 9:20
林道を歩くこと約2時間で日暮沢小屋に到着。ひとの気配もなく森閑としている。
林道歩きでもうバテ気味ですが、気力を立て直して出発です。
2013年09月29日 09:21撮影 by  DSC-WX100, SONY
9/29 9:21
林道歩きでもうバテ気味ですが、気力を立て直して出発です。
延々と見晴らしのない急坂を登り、1150m付近で唯一の水場。ほんのチョロチョロの流れ。下手したら枯れるかも?
2013年09月29日 11:26撮影 by  DSC-WX100, SONY
9/29 11:26
延々と見晴らしのない急坂を登り、1150m付近で唯一の水場。ほんのチョロチョロの流れ。下手したら枯れるかも?
花もあまりないけれど、リンドウが慰めてくれます。
2013年09月29日 12:28撮影 by  DSC-WX100, SONY
9/29 12:28
花もあまりないけれど、リンドウが慰めてくれます。
清太岩山は近い!
1350m付近から灌木帯になり、展望が開けます。
2013年09月29日 12:36撮影 by  DSC-WX100, SONY
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9/29 12:36
清太岩山は近い!
1350m付近から灌木帯になり、展望が開けます。
清太岩山からは主稜線の眺めが素晴らしいです
2013年09月29日 12:42撮影 by  DSC-WX100, SONY
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9/29 12:42
清太岩山からは主稜線の眺めが素晴らしいです
清太岩山の山頂(1465m)
2013年09月29日 12:56撮影 by  DSC-WX100, SONY
9/29 12:56
清太岩山の山頂(1465m)
ユーフン山の山頂(1565m)
行く手の竜門山の肩に竜門小屋が見えるけれど、まだまだ遠いなあ(巻き道でもあれば良いのに〜)
2013年09月29日 13:31撮影 by  DSC-WX100, SONY
9/29 13:31
ユーフン山の山頂(1565m)
行く手の竜門山の肩に竜門小屋が見えるけれど、まだまだ遠いなあ(巻き道でもあれば良いのに〜)
竜門山から小屋を目指して
2013年09月29日 14:35撮影 by  DSC-WX100, SONY
9/29 14:35
竜門山から小屋を目指して
ビールをいただきました。
但し小屋主不在の時はビールはありませんよ。
2013年09月29日 14:52撮影 by  DSC-WX100, SONY
9/29 14:52
ビールをいただきました。
但し小屋主不在の時はビールはありませんよ。
最高の施設の竜門小屋です
2013年09月29日 15:29撮影 by  DSC-WX100, SONY
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9/29 15:29
最高の施設の竜門小屋です
これはナナカマドの実ではなくて〜エーと?
2013年09月29日 15:43撮影 by  DSC-WX100, SONY
9/29 15:43
これはナナカマドの実ではなくて〜エーと?
第1日目が何とか無事日暮れ。
太陽が新潟市の方向、日本海に沈んでゆきます。
2013年09月29日 17:22撮影 by  DSC-WX100, SONY
9/29 17:22
第1日目が何とか無事日暮れ。
太陽が新潟市の方向、日本海に沈んでゆきます。
第2日目、夜明け
2013年09月30日 05:27撮影 by  DSC-WX100, SONY
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9/30 5:27
第2日目、夜明け
日の出
2013年09月30日 05:34撮影 by  DSC-WX100, SONY
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9/30 5:34
日の出
昨日登った清太岩山のあたりに太陽が昇る
2013年09月30日 05:36撮影 by  DSC-WX100, SONY
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9/30 5:36
昨日登った清太岩山のあたりに太陽が昇る
東の風に乗って山形側から雲が打ち寄せてくる
2013年09月30日 05:28撮影 by  DSC-WX100, SONY
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9/30 5:28
東の風に乗って山形側から雲が打ち寄せてくる
朝日に輝く北への山稜、きょうは以東岳の往復です
2013年09月30日 05:47撮影 by  DSC-WX100, SONY
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9/30 5:47
朝日に輝く北への山稜、きょうは以東岳の往復です
鋭い寒江山の向こうに以東岳が見える。まだまだ遙かに遠い
2013年09月30日 06:10撮影 by  DSC-WX100, SONY
9/30 6:10
鋭い寒江山の向こうに以東岳が見える。まだまだ遙かに遠い
ハクサンイチゲがまだ咲いている
2013年09月30日 06:14撮影 by  DSC-WX100, SONY
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9/30 6:14
ハクサンイチゲがまだ咲いている
寒江山の山頂
2013年09月30日 06:24撮影 by  DSC-WX100, SONY
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9/30 6:24
寒江山の山頂
以東岳へ続く稜線
2013年09月30日 06:26撮影 by  DSC-WX100, SONY
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9/30 6:26
以東岳へ続く稜線
稜線は紅葉の最盛期
2013年09月30日 06:45撮影 by  DSC-WX100, SONY
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9/30 6:45
稜線は紅葉の最盛期
ナデシコも可憐に咲いています
2013年09月30日 06:52撮影 by  DSC-WX100, SONY
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9/30 6:52
ナデシコも可憐に咲いています
以東岳と狐穴小屋
2013年09月30日 07:00撮影 by  DSC-WX100, SONY
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9/30 7:00
以東岳と狐穴小屋
狐穴小屋で一休みして更に歩き続けます
2013年09月30日 07:13撮影 by  DSC-WX100, SONY
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9/30 7:13
狐穴小屋で一休みして更に歩き続けます
モミジのような草
2013年09月30日 07:24撮影 by  DSC-WX100, SONY
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9/30 7:24
モミジのような草
寒江山方向を振り返る。
もうすっかり秋の空
2013年09月30日 07:39撮影 by  DSC-WX100, SONY
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9/30 7:39
寒江山方向を振り返る。
もうすっかり秋の空
池塘と以東岳
2013年09月30日 07:57撮影 by  DSC-WX100, SONY
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9/30 7:57
池塘と以東岳
ツリガネニンジンも慎ましく
2013年09月30日 08:05撮影 by  DSC-WX100, SONY
9/30 8:05
ツリガネニンジンも慎ましく
飯豊連峰の全容
2013年09月30日 08:24撮影 by  DSC-WX100, SONY
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9/30 8:24
飯豊連峰の全容
以東岳山頂、大鳥池から周回するひとも結構いるようです
2013年09月30日 09:04撮影 by  DSC-WX100, SONY
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9/30 9:04
以東岳山頂、大鳥池から周回するひとも結構いるようです
以東岳の山頂、遠く月山と鳥海山
2013年09月30日 09:13撮影 by  DSC-WX100, SONY
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9/30 9:13
以東岳の山頂、遠く月山と鳥海山
大鳥池と以東小屋
2013年09月30日 09:11撮影 by  DSC-WX100, SONY
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9/30 9:11
大鳥池と以東小屋
大朝日岳を盟主に重畳たる朝日連峰、
圧倒的な迫力です
2013年10月02日 10:56撮影
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10/2 10:56
大朝日岳を盟主に重畳たる朝日連峰、
圧倒的な迫力です
帰路、草原に秋を想う
2013年09月30日 13:41撮影 by  DSC-WX100, SONY
9/30 13:41
帰路、草原に秋を想う
草原の秋
2013年09月30日 13:44撮影 by  DSC-WX100, SONY
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9/30 13:44
草原の秋
ガスの中から竜門小屋が不意に現れた。2日目の行程はこれで終了
2013年09月30日 13:46撮影 by  DSC-WX100, SONY
9/30 13:46
ガスの中から竜門小屋が不意に現れた。2日目の行程はこれで終了
第3日目は大朝日岳経由で下山。
ガスのなかを出発、しかし上空は晴れているようだ。
2013年10月01日 05:32撮影 by  DSC-WX100, SONY
10/1 5:32
第3日目は大朝日岳経由で下山。
ガスのなかを出発、しかし上空は晴れているようだ。
まず西朝日岳を目指します
2013年10月01日 05:35撮影 by  DSC-WX100, SONY
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10/1 5:35
まず西朝日岳を目指します
西朝日岳の山頂
2013年10月01日 06:15撮影 by  DSC-WX100, SONY
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10/1 6:15
西朝日岳の山頂
南を見ると、大朝日岳のシルエット
2013年10月01日 06:15撮影 by  DSC-WX100, SONY
10/1 6:15
南を見ると、大朝日岳のシルエット
前衛の中岳と大朝日岳
2013年10月01日 06:24撮影 by  DSC-WX100, SONY
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10/1 6:24
前衛の中岳と大朝日岳
西朝日岳を振り返る
2013年10月01日 06:38撮影 by  DSC-WX100, SONY
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10/1 6:38
西朝日岳を振り返る
竜門岳から清太岩山に続く稜線
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竜門岳から清太岩山に続く稜線
大朝日岳と大朝日小屋
2013年10月01日 07:11撮影 by  DSC-WX100, SONY
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10/1 7:11
大朝日岳と大朝日小屋
大朝日岳を登りながら小屋を振り返る
2013年10月01日 07:45撮影 by  DSC-WX100, SONY
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10/1 7:45
大朝日岳を登りながら小屋を振り返る
大朝日岳山頂の展望盤
2013年10月01日 07:51撮影 by  DSC-WX100, SONY
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10/1 7:51
大朝日岳山頂の展望盤
遠く蔵王連峰
2013年10月01日 07:51撮影 by  DSC-WX100, SONY
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10/1 7:51
遠く蔵王連峰
祝瓶山と飯豊連峰
2013年10月01日 07:53撮影 by  DSC-WX100, SONY
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10/1 7:53
祝瓶山と飯豊連峰
小屋の前の鐘
2013年10月01日 08:11撮影 by  DSC-WX100, SONY
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10/1 8:11
小屋の前の鐘
大朝日岳を振り返る
2013年10月01日 08:26撮影 by  DSC-WX100, SONY
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10/1 8:26
大朝日岳を振り返る
小朝日岳に向かう
2013年10月01日 08:40撮影 by  DSC-WX100, SONY
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10/1 8:40
小朝日岳に向かう
銀玉水、うまい!
2013年10月01日 08:44撮影 by  DSC-WX100, SONY
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10/1 8:44
銀玉水、うまい!
大朝日岳がどんどん遠ざかる
2013年10月01日 08:53撮影 by  DSC-WX100, SONY
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10/1 8:53
大朝日岳がどんどん遠ざかる
小朝日岳がずいぶんと急峻な様子。
ズルして巻き道を利用しました(小朝日岳の山頂は踏まず仕舞い)
2013年10月01日 09:15撮影 by  DSC-WX100, SONY
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10/1 9:15
小朝日岳がずいぶんと急峻な様子。
ズルして巻き道を利用しました(小朝日岳の山頂は踏まず仕舞い)
巻き道から主稜線を眺める
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巻き道から主稜線を眺める
古寺山の山頂
2013年10月01日 10:05撮影 by  DSC-WX100, SONY
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10/1 10:05
古寺山の山頂
小寺鉱泉とハナヌキ峰の分岐点
2013年10月01日 10:49撮影 by  DSC-WX100, SONY
10/1 10:49
小寺鉱泉とハナヌキ峰の分岐点
根子川沿いの林道は、やはり荒れていました
2013年10月01日 12:14撮影 by  DSC-WX100, SONY
10/1 12:14
根子川沿いの林道は、やはり荒れていました
帰途、大井沢の民宿でキノコ蕎麦を堪能(竜門小屋で同宿したご夫妻の食事にご一緒させて頂きました)
2013年10月01日 16:03撮影 by  DSC-WX100, SONY
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10/1 16:03
帰途、大井沢の民宿でキノコ蕎麦を堪能(竜門小屋で同宿したご夫妻の食事にご一緒させて頂きました)
撮影機器:

感想

◇はじめに
 わたしの東北の山旅第二弾はかねてより憧れの朝日連峰の縦走。
 かつてマイカーなど持っていなかった頃、アプローチが大変そうで近寄りがたかった。一方マイカーでアプローチするとなると、縦走することがなかなか難しい。パズルを解くようにどんなプランを立ててみても納得いかない中で、日暮沢を起点に歩くのが大朝日岳と以東岳を一気呵成に歩くのにベストのように思われた。

◇第1日目
 そのベストプランがとんでもない間違いだった。

 早朝勇んで高速道を月山ICで下り、大江西川線を一路南進、根子の村落で日暮沢への林道に入ろうとしたところで、なんと、道路に「通行止め」の表示。ちょうど畑に出ていたご老人に聞くと、「7月の豪雨で道が崩れてしまったよ」
 どうする?ここで中止はない。近くの登山起点の古寺鉱泉に転進するしかないか。そう結論し、クルマを発進した。しかし走りながら、林道はクルマで走れなくても徒歩なら大丈夫では、2時間も歩けば起点の日暮沢に着ける。プランを大きく変更する必要もない。古寺鉱泉に行きかけて、再び根子に戻った。

 根子から日暮沢の林道の豪雨被害は想像以上だった。
 歩き始めてすぐに、道路がものの見事に大崩壊して無くなっている。崩れた斜面にわずかに出ている岩に足をかけ、泥からむき出しになった木の根にぶら下がって、ようやく崩壊地の底におり、あとは土石流のデブリをよじ登って、なんとか通過した。あとで竜門小屋の小屋主さんに聞くと、巻き道がちゃんと山側につけられているとのこと。とんだくたびれ儲けだった。
 それ以降、日暮沢までの林道はさしたる問題はなかったが、何カ所も土石流のデブリなどで道路は傷ついていた。簡単に修復できそうにない損傷と見えた。

 日暮沢から急坂を登っていると、先行されているご夫婦に追いつく。そのおふたりも崩壊地点をおっかなびっくり通過したとのこと(ご夫婦については後述)
 もともと通行止めのコースであり、竜門小屋での同宿者を除けば、お会いしたのはこのおふたりだけだった。

 1350m付近までは展望のないひたすら忍耐の登り。清太岩山(せいたいわやま)に近づくと灌木帯となり、主稜線は大きな屏風のように眼前に展開する。圧倒的な迫力だ。竜門岳の肩には竜門小屋が見える。遠い。

 竜門小屋では水道設備の補修のため、工事資材をこの日ヘリで荷揚げ。静寂の朝日岳にしては賑やかな一日だった(この日、大朝日小屋と狐穴小屋にも工事資材を荷揚げしていたとのこと、ヘリが終日大活躍)
 無人の避難小屋だと思っていたが、しっかりとした小屋主もいて安心。
 小屋の施設も想像を越える素晴らしさ。特にトイレが国内でも最高レベルだろう。完全リサイクルの水洗式バイオトイレ。排水を一切出さないシステムだと。臭気もまったくない。むしろ、こちらの身体の方が臭いくらいだろう。
 この日の同宿者は先のご夫婦以外に別のご夫婦とソロの男性1人、だから全部でこの日の宿泊者は6人だった。
 夜各自の食事が終わってから、小屋主の遠藤さんからつい先日でかけたK2遠征のお話を写真を見ながら、聞かせて頂いた。また朝日連峰の自然の話も興味深かった。

◇第2日目
 以東岳を往復し、朝日連峰を文字通り堪能した一日だった。
 遠藤さん曰く「ここ朝日は、人工物といえば、小屋と道くらいのもので、道標も最小限にしている。自然そのものの山域なんだ」と。
 体力と経験のある本当の山好きしか来ないから、自ずとひと気が少ない。
 太古からの重厚な自然が、深い静寂のなかに果てしなく広がっている。山稜の一角を歩きながら、浮き立つような気分にはならず、何か畏怖のようなものを感じてしまう。今回はじめてクマ鈴をつけて歩いた。いつなんどきクマやカモシカが目の前に現れてもおかしくない、そんな息づかいを感じる山域だった。
 以東岳の山頂から眺める大鳥池は静かで神秘的。あのたたずまいを目にした人は誰しもその畔に立ってみたいと思うだろう。山頂からは佐渡の金北山の山影もかすかに望見できた、ラッキー〜

 狐穴小屋ではヘリで入山した職人さんらが小屋の補修工事をこの日からはじめていた。山形県の施策には敬服します。

◇第3日目
 主峰の大朝日岳を登り、ハナヌキ峰経由で下山。
 朝方こそ曇っていたが、すぐに晴天を回復し、大朝日岳の山頂に立ったときは、まさしく360度のパノラマが展開。東北の山旅のクライマックスを早くも迎えてしまったような気分だった。
 大朝日小屋の小屋主さんにハナヌキ峰下山路の様子を確認。別に徒歩で下る分には問題ないとのことで、ひと安心。
 小朝日岳はあまりに急峻に見えたので、安直な巻き道を利用。とにかく早く日暮沢小屋までたどり着いて、ほっとしたかった。ハナヌキ峰から根子川まで700mほどを約1時間でたちまち下った。渓谷の道は懸念した通り、1ヶ所崩壊したところがあったが、補助ロープが設置されていたので、それほどの労もなく通過。
 日暮沢以降は、消化試合のように淡々と林道を歩いた。最後の崩壊地点は巻き道を利用して簡単にかわすことができた。根子の神社境内には、愛車が黙って主人を待っていてくれた。ありがとう。

◇補足 
 1日目登りのときにお会いしたご夫婦、今回ご縁があったのか1日目、2日目とも同じコースとなり、竜門小屋では隣り合って寝起きし、親しくさせていただいた。3日目はわたしが大朝日岳を周回したのに対して、ご夫婦は1日目と同じコースを戻られた。
 それでさよならと思ったが、帰路大井沢で偶然出会い、民宿のきのこ蕎麦をご一緒させて頂いた。お邪魔虫、大変ありがとうございました。民宿の親父さんのきのこ談義もなかなか面白かった(例:やまに入って舞茸を見つけると大きくなるまで何日も傍らで露営するとか)

 ※ご夫婦はいわき市で「シェ・栗崎」フレンチレストランを経営されている。
  HPやブログ(山の話など)も内容豊富なようです。
  このヤマレコをご覧頂いた方は下記のURLも訪問くだされば… 

  http://www.chez-kuri.com/

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