八紘嶺☆安倍奥探訪記・初日(ショート・トレッキングのつもりが)
- GPS
- 03:33
- 距離
- 7.1km
- 登り
- 1,091m
- 下り
- 1,089m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
極めて良好に整備された登山道 |
写真
感想
この安倍奥なる山域はいつか訪れてみたいと前々からその機会を伺っていたところである。そもそも「アベオク」という名称自体に秘境じみた響きがあるような気がするのだが、実際、秘境として知られるところらしい。週末の久しぶりの横浜への出張は土曜日の朝に私の役目が終了するので、いよいよ念願の安倍奥に足を踏み入れることにする。
前日の首都圏では日がな冷たい雨が降り続いていたが、ホテルで早朝に目が醒めると、美しいブルーアワーであり、東の空の一端がオレンジ色に染まっている。都会でもこのような暁の空を眺めることが出来るのは空気が澄んでいる証しであり、この日の好天が期待されるというものだ。
仕事が終わるとその足で新幹線に乗り込み、静岡で家内と待ち合わせる。駅の近くでレンタカーを借りて、一路、安倍川の源流部、いわゆる安倍奥を目指して北上する。
川の両側には丘陵が現れると茶畑が広がるようになり、いかにも静岡らしい景色が広がる。大井川方面への分岐点となる横沢までは南アルプスからの往復で何度か通ったところであるが、ここから先は初めてだ。急に川の両側に山が迫り、渓谷の雰囲気となる。
梅ヶ島温泉、山中に忽然とレトロというか昭和風の雰囲気の旅館が立ち並ぶ温泉街が現れる。温泉街を通り過ぎて安倍峠に向かう林道豊岡梅ヶ島線へと入ると、最初の左カーブで多くの車が停められている。何とこの先で林道は通行止になっているではないか。2年前の台風19号の影響で林道が崩壊したままらしい。
翌日の山行の計画もあるのでこの日は車で登山口まで林道を上がって短い山行に・・・と思っていたのだが、そのあてが大きく外れたようだ。今更、他のトレッキングを計画するのは難しい。
登山口で休憩されていた男性がおられたのでお話をお伺いすると安倍峠まで行ってこられたらしい。「足の速い人なら1時間で登山口まで登るでしょう」とのこと。
しばし地図と睨めっこをしてコースタイムを計算するが、何とか八絋嶺まで往復可能かもしれないと判断する。ピストン往復の登山となるので、難しいと感じたらその時点で引き返すだけの話だ。登山の準備をしているうちにも上からも続々と人が降りてくる。どうやらかなり人気の山のようだ。
早々に準備を整え、ヘッデンをリュックの中に忍ばせると植林の尾根に取り付く。展望のない植林の中を黙々と登り、40分弱で林道との交差地点、すなわち本来の八絋嶺の登山口に到着する。
林道から上では景色が一変、自然林の快適な疎林が広がるようになったかと思うと随所にブナの大樹が現れ、樹々の立派さに見惚れながら尾根を登る。樹林の中で色づいている低木は五葉の躑躅のようだ。おそらくシロヤシオだろう。急速に傾いてゆく午後の陽光がかすかに色づいた樹々に柔らかな透過光を与えてゆく。
稜線が近づくと尾根の右手は針葉樹林が広がるようになる。シラビソのように思われる。関西でよく見かける杉や檜の樹林とは大きく異なり、林の中が明るい。
安倍峠からの稜線と合流する地点が富士見台だ。富士見台は簡素な木製のプレートが置かれているだけの場所であった。富士山が見えるには見えるが樹々の生ですっきりと展望できるわけではない。右手の尾根芯の上に登るとようやく富士山の眺望が得られたが、富士山の山頂部には笠雲がかかっている。尾根芯の北側は足元から大きく切れ落ちているので慎重を要するところだ。
ここまで登り始めてからおよそ1時間、このペースでいけばおそらく八絋嶺まで1時間、下りは2/3をかけて1時間20分、何とか17時過ぎには下山出来るだろうと計算する。
八絋嶺を目指して稜線を北西に進むと、尾根は一段と空気が冷え込んでいるようだ。ひときわ鮮やかな紅葉を見せているのはドウダンツツジだろう。
最初の小ピークに登ると稜線には立ち枯れの樹々の間に笹原が広がり、南側に安倍川から駿河湾に至るまでの大展望が広がるようになる。やがて笹原の間にはダケカンバが目立つようになり、午後の日差しが光沢のある幹を明るく輝かせている。山頂までの稜線で単独行の男性に二人すれ違った。
山頂への登りになると笹原が大きく広がり、安倍奥の東側の山々の彼方に駿河湾を眺めながら最後の登りを辿り、山頂部は落葉松の樹林帯となっている。八絋嶺は安倍川、富士川、大井川の分水嶺であるが、その割には山頂は落葉松に囲まれて展望のない地味な広場であった。山頂でのんびりしている余裕はない。早速にも下山の途につく。
尾根には随所で左側に富士山の好展望地が現れるが、嬉しいことに先ほどまでは笠雲を被っていた富士山からみるみるうちに雲がとれて、端正な山容が現れる。富士見台が近づく斜陽のせいでシロヤシオが黄金色に輝いていた。
良好に整備された登山道は歩きやすいので快適に下ることが出来るが、家内は砂利の多い下り道は苦手らしく、あまりスピードが出ない。夕陽が山の陰に隠れると植林の中は急に薄暗くなってゆく。
ほぼ計算通りの時間に登山口に辿り着いた。まだ空は明るいように思われたが、秋の落日は速い、梅ヶ島温泉から南下して今夜の宿、コンヤ温泉に向かうと急速にあたりは暗くなっていくのだった。
いささか慌ただしい山行にはなってしまったものの、絶好の展望に加えて短いコースの間にも多彩な表情を見せてくれる安倍奥の林相を堪能した山行であった。
コメント
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午前中にお仕事(それも出張先で!)されてからの登山だったんですね❗️
その状況で八紘嶺安倍峠登山口からピストンで3時間30分とは…健脚すぎる🥾
空か明るいうちに下山できたみたで、良かったですネ♪
翌日登られた「山伏」「大谷嶺」のレコも楽しみです😊
静岡に12時前の予定だったのですが、横浜駅に10時前にたどり着くことが出来たので、静岡には11時過ぎに到着できたのです。家内が京都から到着するまで40分近く待たなくてはならなかったのですが、本来の予定の12時前に静岡に到着していたら八紘嶺への登山を諦めることになっていたと思います。
しばらく前からハムストリング付着部炎というのを患っていて、metavolさんのようなロングコースは到底歩けないのです。翌日の山行があるので八紘嶺への登山は私にとってはちょっとした冒険でしたが、温泉のおかげか何とか脚は無事でした。
すごいです 👏
ランデブーも
しかし・・・そこですか
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