表丹沢／新茅ノ沢
神奈川県
kaji
kamog
- GPS
- --:--
- 距離
- 3.5km
- 登り
- 622m
- 下り
- 622m
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山荘･･16:53新茅山荘--（車）--新松田／大井温泉
| アクセス | |
|---|---|
| コース状況／ 危険箇所等 |
遡行グレード１級上（大棚登攀の場合はグレード上がる） 大棚登攀グレード�元蕁� |
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感想
今年も「沢」の季節がやってきた。Ｆ田に言わせれば「あの苔臭い臭いが嫌だ」らしい
のだが、どうも自分の嗅覚は幸いにも半分麻痺しているらしい。日本という土地が与え
てくれたこの昔ながらの登山スタイルに感謝しつつ渋沢駅より車を走らせる。
大倉／滝沢園を過ぎ戸沢林道の砂利道を時々車のお腹をこすらせて新茅山荘前の広場
に着く。目指す入渓点「新萱橋」は林道をこの先１００ｍ。橋の下を流れる新茅の沢は
ゴルジュと深い木々に覆われていつ見ても何となく不気味だ。足ごしらえをして橋の手
前の踏み跡より沢へ降りる。橋をくぐって小滝を越せばすぐにＦ１（７ｍ）。左側のル
ンゼは見た目よりも簡単でフリーでも行けたが、沢２回目の梶さん、初沢の挾間くんも
いることだし、滝上の木を支点にロープを出す。難なくクリア。ここから核心の大棚
（１２ｍ）までは安全を期してロープを出しっぱなしにしていたので、大棚終了点まで
３時間近くを費やした。もう少し手際よくしなければ．．．。
核心の大棚。下部はルンゼ（岩溝）が走っており何とか行けそう。右壁を左上してク
ラック（岩溝）沿いに直上してみるが、見た目より苔がついていて滑る。残置ハーケン
もかなり錆び付いておりグラグラしている。高さ半分くらいまで登ってはみたが後の二
人のこともあるし、ここで落ちたらしゃれにならないので、捨て縄を１本残置して懸垂
下降で降りた。この滝は４級＋といったところで初心者には難しいだろ
う。
左手のかすかな踏み跡を５ｍほど登り、右手に少しトラバースしてルンゼを登って、大
棚は高巻いた。
この大棚を越せば、あとに出てくる滝はルンルン気分で越せる。ゴーロ帯をずんどこ
登れば次第にガレ沢も斜度を増して登り辛くなってきた。隣の烏尾尾根に逃げられもし
たが、ここまでくれば最後まで源頭を詰めてみたい。この沢の最後には土砂崩れ防止の
柵が幾重にも作られているが、そこに行く手前は急な柔らかい土砂のザレ場。なるべく
左端を詰めた方がよい。僕は真ん中寄りに詰めてしまったため、脆い草付きをちょっと
怖い目をみながらトラバースしてしまった。
気を抜いてふと後ろを振り返る。鬱蒼とした沢の底から、一気に相模の平野や湾がも
やの中に浮かび上がる。最後の詰めは気持ちのよい景色が迎えてくれた。
表丹沢縦走路の一座、烏尾山の小屋前にポッと飛び出して今日の沢登りは終了。思わ
ず昼寝でもしたくなるようなベンチで、濡れた装備と服を乾かした。
僕は沢に出会えたことに感謝している。昔むかし、山間部の部落同士を行き交う交通
路は沢であった。水の流れる麓に村ができて、のどを潤してくれる水のある所に常に途
はできた。沢は常に峠からでき、沢を通れば峠に導かれ、さらに反対側にできた沢を下
れば隣の村があった。沢は重要な人々の交通路だったのだ。
途なき途を提供してくれるアルパイン要素を含む冒険心は、今や沢にしか求められな
くなった。渓では、水に親しみ、岩に親しみ、緑に親しみ、滝の音に親しむ。す
べての山行スタイルをここでは満喫できる。僕は沢に出会えたことに感謝している。
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