飯豊連峰 頼母木山(のちょっと下まで)


- GPS
- 12:00
- 距離
- 13.0km
- 登り
- 1,470m
- 下り
- 1,453m
コースタイム
(参考2013.01.31:民宿奥川入6:55ー稜線到着13:21ー西俣峰15:37ー民宿奥川入16:48)
天候 | 快晴無風 稜線では風速15mぐらい その後は下も風強し |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2014年01月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
待ちに待った好天予報のお休みがやってきた。昨年のように稜線へまた立てるかどうか分からないけれど、もし立てた時には二王子を眺めたい。幸運にも好天予報のお休みが回ってきた。西俣へ行くスイッチが入った。
今回から無線機とビーコンを装備に加えた。単独行をするにあたって強い味方になってくれるだろう。前日に行動食として買った「北越」のたまねぎおかきが絶品過ぎて幸せだ。なるべく早くに現地に到着したいので、高速使って向かう。関川に入ると雪の壁が出来ていてさすが雪国といった感ではあるが、今年は小雪のようで壁のスケールがちょっと小さめ。民宿奥川入に向かうに連れて壁のスケールは大きくなるものの、まだ寂しい感じがする。とは言え、年末にお邪魔した時よりも随分と積もったなあ。年末にお願いしていたのをいいことに奥川入駐車場に車を停めさせてもらう。予報通りに朝は寒くて空気も澄んでいて星も綺麗だし、月明かりに照らされている山も綺麗だ。ただとにかく寒いので、出発の気持ちを奮い立たせるのが大変。飯豊の稜線は穏やかな下界と違って雪煙が舞っていた。今日は山頂まではダメかもな、そんな気持ちを持ちながら準備を進めた。
6時、ヘッドランプで歩き始める。取付き手前でまたザックへ。気温が低いのだから歩きやすくてもいいのだが、雪が深くまた重く取付きまでで疲労する。雪が安定していないのがスノーシューで登っていても分かる。さて、まずは大曲まで。引き続きラッセルに苦労する。暮れに登った時はある程度雪も締まっており登りやすかったが、今日は一歩一歩ずっしりと来るし、鎖場のあたりの雪が落ち着いてなくて時間ばかりかかって焦る。
そう、わたしは去年のこの時期この場所で本当に恵まれた山行をした。あの青空と白くたおやかな尾根、稜線付近の異様なシュカブラ、ゾクッとした二王子岳、それらが忘れられずに今年も通おうと思った。次を夢見てまた通おうと思った。今日のこの青空の下で、その時の二王子を思い出して、今日は見れないかもなと思いながら、でも行くからにはやるだけやろうと、ギリギリまで行けるところまで行ってみようと決めた。そしてやっぱりあの稜線に辿り着きたくて焦るんだ。
一番傾斜が強い大曲まで行けば、徐々にラッセルも登りも楽になるだろうと思っていた。それは当たってはいたが、その先がどれだけ楽になったかと言えば、雪壁が少なくなった程度だった。十文字池は平坦だからかシュカブラができていて、西俣峰から枯松峰ぐらいまでは比較的歩きやすかったが雪面をクラックがところどころ走っており、緊張を強いられる。その他は常時ラッセル。概ね膝で希にだが腰、胸のラッセルを強いられる時もあった。足の疲れに関して言えば、西俣峰で十分なぐらいにへばっていたけれど、快晴無風の空の下、ここで下っては面白くない。これだけラッセルでへばっているのに西俣の木を見ればいつもよりも随分と顔を出している。
西俣峰で11時近く。5時間近くかかってしまった。これでは頼母木なんてとても行けないと思いながらも、進めば新たな飯豊が見えるし、雪山は何が起こるか分からない怖さと楽しさがあるので次へ進む。枯松、大ドミ。大ドミから徐々に風を感じるようになった。しかし今日は快晴、空の青さも飯豊でないと感じるほどに青い。気温も高く、常にラッセルしていることもあって、上はファイントラックの下着を入れて2枚、手袋もオーバー手袋のみという状態で登っていた。それらを一度大ドミで体勢を立て直し、耐風仕様に変更する。多分、西口さんだろう、大ドミまでピンクのテープがところどころに確認でき、人の気配を感じる。西俣で1つ、大ドミで2つ会のデポ品も確認できた。また無線は繋がらないものの、訛りのひどいトラック運ちゃんがあれこれ話してて「安全」のためには人の気配が少しするのはいいんだろうなと思った。
大ドミから三匹穴へ、その先からは別次元、別世界となっていた。鉾立、エブリは美味しそうなマシュマロのような、でも輝く美しい峰。そう、そういえば西俣を過ぎた頃からずっと飯豊のその美しさに感激していた。風と青空と光と雪と飯豊の峰が織り成す美しい光景、思わず笑みがこぼれる。それが三匹穴を過ぎると別次元へ。笑みを見せるほどの余裕はなく、一歩一歩その空間の特異さに心奪われ、歩を進めるのみ。長時間のラッセルで疲れた足が軽くなる。
「その先が見たい。」
下りのことを考える理性がなければ、あんなに風が吹いてなければ危うかったかもしれない。青空と雪山の美しさは清々しく気持ちよく、単純明快に説明ができる。しかし稜線近くで体感したものは、地獄なのか天国なのかこの世のものではないようなもの、怖さと美しさが溶け合った中毒性のある魔法の風景といったところか。上手く言葉が出てこない。風は風速15mぐらいはあったと思う。コンスタントに吹き付け、稜線へ近づけようとしない。下山時刻もヘッ電ギリギリになりそうだ、この先の風景が見えたら引き返そう、そう思って進んだところで大きな雪壁の向こうに二王子の端が少しだけ見えた。それだけで嬉しかった。そのまま後ろを振り返り下山。
ところどころ新雪が積もっている。小気味よくザクザクと下りると新雪で作られた風紋があり、そこを下りていくところで左足を取られた。ヒドンクレバスにはまってしまった。右足も完全に出ているわけではないので、焦りはあるも冷静に比較的雪盤の安定したところを探って、少しずつ、加重を最大限に分散させながら這い上がる。這ったそのままの格好で10mぐらい下り、その後は静かに足を下ろしながら下った。片足がはまったところは中は真っ暗で、ゆうに3mはあっただろう。落ちずに良かったと思う。風は下りではいつまでも強く吹き続けていて、稜線の方は雲がかかってしまったが、枯松山や近くの里山がピンク色に染まり綺麗だった。しかし去年と違い疲れが酷い。ヘトヘトになりながら下山した。取り付きからはヘッ電を出して、奥川入へ。隆三さんは心配してくださっていたのだろう、タバコを吸いながら来てくれて、今日のことを少し話してお風呂をいただいた。ホッとするひと時。下山しながら早く下りてお風呂に入って、おトラ婆さんや隆三さんとストーブ囲んで話がしたいと思っていた。こうして素晴らしい里の魅力があるから無事に下りられた。
横山家ではわたしは「パンク女」で通じているようだ。なんにせよわたしは幸せ者だ。いい山とご飯をたくさんいただいて、また小国で充電をさせていただいた。
コメント
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いい山行でしたね!がんばるなぁ
hirappeちゃん、幸せ者だねぇ!
bunacoさま
理想に近い心情風景の山行が出来たと思います
行き過ぎてたら失敗してたし、ちょっと手前でやめてたら物足りなかった
ギリギリの危うさはありますが、今回はそこら辺を予め対策立てていたのがよかったんだと思います
そしてこうして多くの方から迎え入れてもらえるということ
この上ない幸せです
さすがは弾丸娘!
これで青里も楽勝か?
mt‐samさま
娘と言う年齢ではありませんっ
青里行きましょねー!
矢筈は遠いかなあ(>_<)。。
計画ねりねりいたしましょう
さすれば後は天候次第!
綺麗な素敵な雪山ですね。
谷川に行きたいが、お天気いつも悪い、今週も駄目だ。
メーグリ家を退会しました。
わたさん、今日まで新横浜で研修だったので、2日連続で小山田大のプロジェクト行ってみました!がっ、楽しいけどやっぱロープがいいよねぇ!外がいいよねぇ!沢に行きたいねぇ!雪山登攀もいいよねぇ!
とにもかくにもダイエットッ!!
わたさんと沢登りできる日を楽しみにしていまーす(*^^*)
厳冬の飯豊は麻薬です
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