「花がおる」櫛形山―シロバナエンレイソウの高原からカモシカの森へ(中尾根〜北尾根)


- GPS
- 06:20
- 距離
- 15.4km
- 登り
- 1,354m
- 下り
- 1,346m
コースタイム
天候 | 晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2022年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
相模湖IC 6:30頃 甲府南IC 7:20頃 櫛形山県民の森 8:00頃 復路: 櫛形山県民の森 15:00頃 甲府南IC 15:40頃 高尾山IC 16:40頃 |
写真
感想
この夏に久しぶりに一緒に登山の予定が決まった職場の先輩から2日ほど前に足慣らしのお誘い。
皇海山、巻機山などの提案があったが、ちょっと突然過ぎて心構えができていない。
そこで、前から行ってみたかったが公共交通機関だと不便な櫛形山を提案してみるとあっさりと了承。
櫛形山は標高1850mを超える池ノ茶屋林道終点から登るのが一番楽そうなのでそれでいいかなと思ったのだが林道終点の駐車場は16台ほどとのこと。
行ってみて停められないのでは面倒なので、結局麓の櫛形山県民の森から登ることにした。
ここなら駐車場は40台あるので充分に停められる。
ただ県民の森の標高は890m程なので櫛形山山頂2052mまで標高差は1000mを超えることになる。
でも一緒に行く山は中央アルプス空木岳であり、その標高差2000mを1日で登らなければならないので標高差1000m位簡単に登れなくては仕方がない。
朝6時に出発したものの、既に中央道の八王子JCT付近は渋滞気味だったので相模湖ICから入ることにする。
これで渋滞ポイントを回避できるのは、東京都南西部に住んでいる利点である。
渋滞に巻き込まれることもなく甲府南ICで下り、山梨県道12号「韮崎南アルプス中央線」という無料の高規格道路を通る。
この無料の高規格道路で芦安など南アルプスの入口に簡単にアクセスできると先輩は発見したそうだ。
その韮崎南アルプス中央線を西に向かうと釜無川を渡るところで目の前に櫛形山が堂々とそびえているのが見える。
久しぶりの早朝の車移動で多少酔ったこともあり、あの壁のような山、本当に登れるかなあと少し心配になる。
8時には県民の森に到着。
キャンプ場などの設備もあるようで、トイレもきれいで快適だ。
櫛形山の上には、きれいな青空が広がっている。
梅雨入り前の週末の最後の青空になるのかもしれず、予定を入れていなかったこの週末に山に誘ってもらえてよかったなと思う。
県民の森からの登山道は「中尾根登山道」になる。
先ほど見た壁のような印象から急勾配の直登なのかと思っていたのだが、登山道はジグザグにうまく作られているので、ペースを保ちつつ登っていくことができた。
標高1500mを超えるとミズナラ帯のきれいな新緑に突入。
登山地図には「展望の悪い登りが続く」とあったが、展望はなくてもこの新緑の中ならとても気持ちがいい。
コバイケイソウが増えてきたなと思ったら「ほこら小屋」に到着。
トイレにあった温度計を見ると気温は11℃。
今日は甲府盆地では気温30℃を超えるような夏日になる予報だったが、さすが標高2000m近くになれば爽やかな気候だ。
入口に振込先のような掲示があったので有料の避難小屋なのかなと思ったのだが、よく見るとそれは本の販売をしているのであった。
櫛形山を愛する会著作の『花がおる櫛形山』1冊1050円とのこと。
「花がおる」なんて面白い表現だなあと思いつつ、木の香り漂うきれいな小屋内でしばし休憩。
そして帰りがけに本の名前をもう一度見ると「花がおる」ではなく「花かおる」だったことに気が付いた。
『花かおる櫛形山』だったのである。
ほこら小屋から先は勾配も緩やかになり、池ノ茶屋林道終点から歩いてくる人も多くなる。
足もとにはマイヅルソウの葉がびっしりと生えていて、その中にミヤマカタバミが花を付けている。
白いものがほとんどだったが、ピンク色のものも時折混ざっている。
池ノ茶屋林道終点からだったら足慣らしにならなかったねと話しながら進んでいき、人が多いなあと思ったら櫛形山山頂だった。
櫛形山山頂はまったく展望ないと思っていたのだが、少し下がったところから富士山がきれいに見えた。
融け残りの雪が線状に残る富士山は、北斎の『凱風快晴』の藍摺版である「青富士」のようだった。
富士山はこの雪の融け残った夏富士一歩手前の富士山が一番格好いいなと思う。
櫛形山山頂標識の先には三角点のある山頂があるのでそこまで足を延ばした。
その三角点の場所はまったく展望はなかったが、途中でとても展望の良い場所があったのでやはり足を延ばしてよかった。
富士山の手前にこの前の秋に登った天子山塊の毛無山が見えている。
「裸山」という名前なのだから木がなく展望がいいだろうと思い裸山へ。
思ったよりも木はある山頂だったが今度は白峰三山の展望が大迫力だ。
鳳凰三山は少し木に隠れているが、アサヨ峰の向こうには甲斐駒ヶ岳が尖った頭を覗かせている。
こうして目の前に白峰三山を眺めると、やはりこの3000mの稜線縦走しておけばよかったなと思う。
今日一緒に登った先輩と北岳に行った時に、北岳山荘で布団1枚に3人ですと言われて白峰三山縦走を止めて下りてきてしまったのはもう7年も前のことだ。
一度チャンスを逃すとなかなか次の機会は巡ってこない。
あの時北岳から富士山を見た時に、その手前にきれいな円弧を描いた櫛形山もまた印象的だった。
アヤメ平で1輪でもアヤメが咲いていればいいなと思ったのだが、1輪どころかまだ芽吹き始めだった。
確かに標高2000mあるのだから、アヤメの時季にはまだまだ早すぎたのである。
その代わりシロバナエンレイソウを見ることができた。
仮設トイレがあり、掲示によると5月17日と10日ほど前に設置されたばかりのようだ。
とするとやはりアヤメの時季にはかなり賑わうのだろうか。
下りは北尾根登山道で下りる。
中尾根登山道に比べると、傾斜が急な気がする。
途中ガサガサっと音がしたのでそちらを見るとなんとカモシカ。
警戒しているのか、こちらをじっと見ている。
そしてすぐに立ち去る…かと思ったのだが、じっと見たまま。
少し進んで振り返ってみたらまだこちらを見ている。
なのでカメラ目線の写真を撮ることができた。
こんなに警戒心の薄いカモシカは初めて見た。
県民の森まで下りソフトクリームを売っていた「レストハウス伊奈ヶ湖」に入ると、カモシカの写真の掲示があり「好奇心旺盛」と書いてあった。
櫛形山のカモシカは人間が何もしないことを知っていてじっと見て観察しているのかもしれない。
ソフトクリームを食べていたら15時を過ぎたので、中央道の渋滞に巻き込まれないようにまっすぐ帰宅することにした。
小仏トンネル付近で渋滞が始まりかけていたが、低速になったのは5分ほどで17時前には帰宅することができた。
渋滞さえ避けられれば車も便利だなあとは思うものの、帰りはどうしても眠くなるので自分で運転して行くのはやはり避けたいところだ。
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