百名山最難関は真実だった。幌尻岳（北海道百名山一気制覇シリーズ�◆�
kaiseituduki
体力度について
- GPS
- 15:05
- 距離
- 25.3km
- 登り
- 2,381m
- 下り
- 2,366m
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標高グラフを拡大コースタイム
- 山行
- 14:26
- 休憩
- 0:38
- 合計
- 15:04
| 天候 | 晴 |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2022年08月の天気図 |
| アクセス |
写真
トッタの泉に到着。ここまで2時間30分。予定通りの時間。この前後の坂は粘土質の急登で行きも帰りも苦労する。帰りはここで冷たい水を飲み癒された。体力勝負の山なので、ここでの水分補給がポイントになる。
1
北トッタベツ岳山頂で少し粘ったが諦めて歩き始めると少し雲がとれてきた。この景色が見たかった。左の尖ったのがトッタベツ岳。右奥が本日目指す幌尻岳。まだ先は長い。
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歩いてきた稜線を振り返る。「偽ピークも含めるとこれまでいくつのピークを超えてきたんだろう」とボンヤリと感慨にふけっていたが、本当の辛さを知るのはこれからだった。
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小偽ピークと北トッタベツ岳への登り返し。小偽ピークは岩稜地帯、北トッタベツ岳は急登のハイマツに苦しめられる。でも景色はとっても美しい。
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感想
百名山61座目、そして北海道一気制覇シリーズ2座目は幌尻岳。
【いきさつ】
この山は渡渉やアクセスの悪さからどの本を見ても百名山最難関と書いてあり、自分の中では別格の山だった。今回の計画でも、この山だけは万全の体制を整えて別の機会に登った方がいいのではないかと最後まで迷った山である。額平川から幌尻山荘にできれば2泊して登るの推奨されているが、7月上旬にネットで調べると8月中の幌尻山荘はほぼ予約でいっぱいであるし、とよぬか山荘からシャトルバスで移動するなどアクセスも悪いことがわかった。しかも増水した場合は足止めもあるらしい。このルートは今回だけでなく、次回に設定したとしても条件が整わないと登れそうもないことがわかった。そこで別のルートを調べてみると、チロロ林道ルートがあることがわかった。このルートは私の通常のコースタイムを考えると、計画上では14時間前後で行けそうである。今まで最長のコースタイムは皇海山クラッシクルートの13時間であるから、それ以上に苦しいのはわかっていたが、「このルートしかない」と覚悟を決めて情報を集め、計画を練り始めた。
【事前準備について】
難関のポイントは次の3つであることがわかった。
1．長時間歩行に耐えられる体力
2．渡渉
3．ハイマツ
1の体力に関しては昨シーズンまでに皇海山や笠ヶ岳、鹿島槍ヶ岳、飯豊山で10時間を超える山歩きをしているので12時間くらいまでなら対応はできると考えていたが、今回はそれを更に超えそうであるし、1年以上長時間山行から遠ざかっているので自信がない。そこで7月末の3連休で仮想幌尻岳を想定して、塩見岳日帰り登山を試みることにした。長時間ドライブの後に車中泊をして水2Lと防寒着や雨具、ゼリー飲料水や行動食などの万全の荷物を背負って歩いてみた。山行時間は11時間37分だったが、重い荷物に肩が痛くなった。今回は歩行時間や累積標高差を考えるともっとハードになるので、荷物を減らさなければならない。曇りの塩見岳では水が0.7L残ったので手っ取り早いのはこれだが、減らしすぎると脱水症が怖い。いろいろ悩んだ末に1.7Lと行動食を兼ねてゼリー飲料3つに減らした。更に浄水器を購入して持っていった。雨具は上のみとして防寒着はレスキューシートに変更して少しでも減量を図った。2の渡渉については額平川ほどの水量がないことがわかり特に対応しないことにした。（結果として渡渉に苦しめられることになったが・・・）3のハイマツについては他の方の記録ではレガースを持参される方もいたので、自分の子どもの道具を物色したが、今一歩フィットしなかったのと、減量のためにやめた。
他にもクマの目撃情報があるので熊すずの他に笛を持っていったが使わなかった。熊スプレーも検討したが重くなるのでやめた。また、今回は今まで入ってこなかった保険について真剣に検討して、ココヘリとジローに加入した。それだけ幌尻岳は警戒心を持って臨んだ。
【実際に歩いてみて】
コースタイムは15時間5分。行きは6時間45分で歩けたから帰りに8時間以上かかったことになる。帰りは晴天による気温上昇とトッタベツ岳や北トッタベツ岳の急登のハイマツに苦しめられた。急登だけならなんとかなるが、ハイマツで先が見えないと時間がかかる。強引に進むしかないので枝が何回も足にあたり、後でみると足があざだらけであった。トッタの泉前後の急坂も粘土質で下りに神経を使った。渡渉も想像以上にハードであった。落ちないように神経を使ったが靴の防水性能が悪いのかジワジワと靴の中に染みてくる。それに気をとられるうちに両足とも水に浸かってしまい、靴の中がズブズブに。これが後に想像以上のダメージになった。ふやけた足で10時間以上歩いたので変なところに豆ができてしまい激痛がはしる。これも後半のペースダウンにつながる。水は幌尻岳山頂で1L残っていたので安心したが、気温上昇により帰りの消費が激しく残りは0.3Lであった。トッタの泉でゴグゴク飲んだ後に予備のペットボトルに0.6L汲んだので結果としてはギリギリだった。
このコースの難しいところは気温上昇に備えて深夜から出発した場合、渡渉を暗闇で迎えることになるし、クマも怖いので、私は日の出1時間前くらいの出発にした。このリスクをとって深夜にでる場合もあるが、渡渉のピンクテープにわかりづらいところがあるのでやめた方がいいと思う。
【よい思い出の方が多い幌尻岳】
不安もあったが、明るいうちに戻ってこられたし、行きの雲海の山々や帰りの晴天の山々などいろいろな景色が楽しめたのがとてもよかった。アップダウンはきついが、北トッタベツ岳から遠くに見える幌尻岳にむけての稜線歩きはとても気持ちよかった。また、鹿児島から来られた若手2名の方とは行きの休憩が重なり、いろいろな話ができたのが心強かった。この方達も8月3日の羊蹄山から始まり、北海道百名山一気制覇を目指しているらしい。同じ境遇なのでシンパシーを感じた。復路はついて行く体力がなかったのでお互いの健闘を讃え山頂で別れた。この日はチロロ林道日帰りが私を含めて3組と前日にテン泊された2組、この日にテン泊される3組と幌尻山荘に泊まった1組しか人に合わなかった。険しい山に一緒に登った戦友のように感じている。
【3座目の登山にむけて】
当初の予定ではこの日のうちに旭岳公営駐車場に行って車中泊をする予定だったが、予定より遅くなったので、ひだか高原荘で風呂に入り（20時退出なので注意が必要）、道の駅樹海ロード日高にある寿司屋さんで夕食を食べた。20時の時点でセイコーマート以外でやっているのはこの寿司屋さんだけだったので涙が出るほど嬉しかった。ビールセットと天丼を食べてそのまま道の駅で車中泊。ハードだが最高の1日だった。翌朝は4時に旭岳公営駐車場に出発。134km。
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15時間を超えるハード登山お疲れ様でした。
トッタベツ岳ルートは本当に厳しいですね。
「悪戦苦闘」された様子がよく判ります。
また、「戦友のように感じている」と言う部分、言葉での表現は難しいですが、私も同感です。
状況が厳しい程、強く感じるのではないでしょうか。
大変お疲れかと思いますが、次の山も一応Never give up.
しかし、安全登山も最優先と思います。
コースタイムでは14時間くらいで戻ってくる予定でしたが、林道歩き以外に気が休まる道がありません。安全登山最優先は肝に銘じておきます。しかしこの山は年齢を重ねるにつれてリスクが大きくなるので、今回は断行しました。「百名山を登る」と決めたからにはいつかは通る難所です。登ると決めてから2週間くらいはこの山のことばかり考えていました。登り終えて本当のホッとした山でした。
鹿児島の男性2人は翌日の大雪山で感動の再会を果たしました。
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