記録ID: 4552947
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無雪期ピークハント/縦走
槍・穂高・乗鞍
1839跋渉記#39 今なお規制が続く王滝口登山道から御嶽山王滝頂上へ
2022年08月05日(金) [日帰り]


体力度
2
日帰りが可能
- GPS
- 05:36
- 距離
- 5.7km
- 登り
- 740m
- 下り
- 726m
コースタイム
日帰り
- 山行
- 4:39
- 休憩
- 0:58
- 合計
- 5:37
距離 5.7km
登り 740m
下り 742m
11:36
ゴール地点
天候 | 晴れのち曇 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2022年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
正面にど〜んとこれから登る御嶽山の雄大な景色を眺めながら、田の原天然公園の参道を歩いて行きます。目を引くのは、山体左側に見える大崩壊地。あれは御嶽崩れと呼ばれ、1984年に起きた長野県西部地震によってできた深い傷跡です。噴火による悲劇は記憶に新しいですが、今から38年前に起きたその地震でも、麓の王滝村では死者・行方不明者合わせて29名を出す大きな災害となりました。
八合目付近まで登ると森林限界を超え、一気に展望が開けます。中央左がさっき出発した登山口の田の原と三笠山、右に黒い影となって深く落ち込むのが御嶽崩れによる大規模な土石流が流れ下った伝上川、中央やや右の一番奥のなだらかな山が恵那山です。
雲海となった木曽谷の向こうに中央アルプス、さらには八ヶ岳や奥秩父の山並も。経ヶ岳南側の権兵衛峠は古くから木曽と伊那を結んだ街道で、かつては延々とカーブが続く経ヶ岳林道で峠を越えていましたが、2006年に全長4467mの権兵衛トンネルが開通し、年間を通じてあっという間に木曽と伊那が行き来できるようになりました。
さすがは木曽の名峰だけあって、木曽山脈(中央アルプス)を全て見渡せます。アルプスらしい風景が広がるのは木曽駒から南駒の少し先、越百山あたりまでと北アルプスや南アルプスに比べると森林限界の範囲は狭いですが、そこから先も恵那山、大川入山、最後は三河高原へと果てしなく渋い尾根が続きます。行きたいっ!
標高2485m、金剛童子をはじめいくつもの像や碑が祀られる八合目。御嶽山は一般的には“アルプス”には属さない独立峰とされていますが、地形的には北方にある乗鞍岳から峰続きの山なので“北アルプス”の一角ともいえ、実際この先いかにもアルプスらしい風景の中を登っていきます。
葉や花に黒点があるオトギリソウ科のシナノオトギリ。漢字で書くと信濃弟切と書きますが、弟切草の名はその昔、鷹匠兄弟の弟が鷹の傷薬としていた秘密の薬草(弟切草)を他人に漏らしてしまい、怒った兄が弟を斬り殺したという伝説に由来します。葉や花の黒点は、その斬られた時の血しぶきが残ったものだとか。かつてそんな名前のゲームもありましたね。
九合目避難小屋の脇で一息ついていると、突然目の前にオコジョが!山の妖精とも呼ばれるくらいとても愛らしい姿ですが、実際は見た目と違って気性が荒いイタチの仲間で、ノウサギやライチョウを襲うこともあるそうです。学生時代はしょっちゅうアルプスを歩いていましたが、こんなに間近でオコジョを見たのは初めてでした。
王滝頂上直下の斜面では、厳しい環境下でも真っ先に生育するパイオニア・オンタデが咲き乱れていました。オンタデの名はこの御嶽山で最初に発見されたことに由来します。
上に見える大きな小屋は、180人が収容できるというかつての王滝頂上山荘跡地に新しく造られた避難施設で、シーズン中はパトロール員の方が常駐され、宿泊はできませんが休憩所として開放されています。
上に見える大きな小屋は、180人が収容できるというかつての王滝頂上山荘跡地に新しく造られた避難施設で、シーズン中はパトロール員の方が常駐され、宿泊はできませんが休憩所として開放されています。
標高2936mの王滝頂上から望む御嶽山最高峰の剣ヶ峰。九合目付近から急速に湧き上がってきたガスに包まれましたが、束の間の晴れ間に姿を見せてくれました。ここからまさに目と鼻の先ですが、噴火で多くの犠牲者が出た八丁ダルミは噴火からまもなく8年となる今もまだ通行が規制されています。本年度中に2ヶ所のシェルターが設置される予定でしたが、工事が遅れているようです。
感想
2014年9月の噴火で63名もの死者・行方不明者を出した木曽の名峰・御嶽山。
長野県と岐阜県に跨るその大きな山体の南東麓に位置する長野県王滝村田の原からの王滝口登山道は、2020年夏に噴火後初めて王滝頂上までの立ち入り規制が解除されました。外輪山の一角である王滝頂上から御嶽山最高峰の剣ヶ峰までは目と鼻の先ですが、王滝頂上から先に続く八丁ダルミの登山道はシェルター設置工事等が遅れているため、噴火からまもなく8年が経つ今も立ち入りが規制されたままとなっています。ということで最高峰の剣ヶ峰へは登頂することができませんが、噴火前は剣ヶ峰への最短ルートとして多くの登山者賑わっていた王滝口登山道から王滝頂上を目指します。
※令和4年度は7月10日〜10月12日までの間、田の原遥拝所から王滝頂上まで規制緩和されて入山が可能です。今回はヘルメットをザックに携行して入山しました。
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