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Yamareco

記録ID: 4667113
全員に公開
沢登り
北陸

【越美国境】滝ヶ谷の支谷探索と,笹ヶ峰

2022年09月10日(土) [日帰り]
情報量の目安: S
都道府県 福井県 岐阜県
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GPS
--:--
距離
10.1km
登り
1,305m
下り
1,296m

コースタイム

日帰り
山行
11:30
休憩
0:00
合計
11:30
5:40
30
駐車地
6:10
20
入渓
6:30
30
滝ヶ谷に入る
7:00
60
標高590m二俣(左俣の壁小屋谷に入る)
8:00
60
壁小屋谷の引き返し地点
9:00
30
標高590m二俣(滝ヶ谷本谷に戻る)
9:30
30
標高650m二俣(左俣のカラ洞に入る)
10:00
30
カラ洞の引き返し地点
10:30
150
標高650m二俣(滝ヶ谷本谷に戻る)
13:00
30
笹ヶ峰の北峰
13:30
30
14:00
30
夏小屋谷へ下降開始
14:30
110
長トコ谷本谷に合流
16:20
50
滝ヶ谷と長トコ谷の二俣
17:10
駐車地
天候 曇り(稜線上は濃いガス)
過去天気図(気象庁) 2022年09月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
広野ダムの奥の大河内川沿いの路肩に駐車(3台程度のスペースあり)
今年8月の豪雨による被害で,広野ダムへのアクセス路である福井県道231号線(広野大門線)の始点にある落合橋は通行止めが続いている。少し北側にある町道から迂回する必要があるので注意。
広野ダムの周回道路以降は,土砂流入や落石等で路面が荒れているので注意が必要だが,大河内川沿いの林道の奥まで普通の乗用車でなんとか進入可能。
コース状況/
危険箇所等
【滝ヶ谷の支谷群】
 滝ヶ谷は,大河内川の標高520m二俣の左俣(右俣は長トコ谷)。本流の滝ヶ谷に加え,下流から順に壁小屋谷,カラ洞の2つの支谷があり,それぞれ探ってみました。

(滝ヶ谷本谷)
・ 笹ヶ峰の北峰付近に突き上げている谷。その名の通り滝が多い谷として時折記録を見る。特にカラ洞出合を過ぎてから出てくる連瀑帯は10〜15mクラスの滝が5つ(6つ?)ほど連なっており,下から見ると見上げるようで,なかなかのもの。長トコ谷の序盤の3段30m滝よりも迫力があるかもしれない。遡行難度としては連瀑帯の2段目の滝の巻きが少し大きめの高巻きになるくらいで,それほど難しくない。詰めはかなり濃い笹藪の藪漕ぎとなり,稜線に出た後も笹ヶ峰まで灌木と笹の薮でかなり歩きにくい。
(壁小屋谷)
・ 標高590m二俣の左俣。調べた限りでは記録が見られない谷。序盤に5m・15mの美しい2段20m滝が現れるなど,本谷の滝ヶ谷ほどではないが,遡行価値は十分ある。しかも大きめの滝を含めてほぼすべての滝が直登できるのが楽しい。標高640m二俣では左俣に入ったが,それ以降も小滝が続き,恐らく稜線まで小滝が続くと思われる。
(カラ洞)
・ 標高650m二俣の左俣。こちらもほとんど記録を見ない。8m滝や5m滝のほか,小さめの滝はちらほら出てくるが,他の支谷と比べると見劣りがする。

【夏小屋谷→長トコ谷本谷(下降路)】
・ 夏小屋谷は,長トコ谷の標高850m二俣の左俣。ほとんど滝がない谷でスムーズに下れるので,笹ヶ峰からの下降時におすすめ。
・ 長トコ谷本谷に合流してからはいくつか滝が出てくるが,焼小屋谷(標高740m二俣の左俣)との出合のすぐ下で出てくる3段25m滝,その下で出てくる5m滝,さらに滝ヶ谷との出合のすぐ手前で出てくる3段30m滝はともに左岸巻きで下れる。
福井県南越前町の周辺は,8月初旬の豪雨で大きな被害を受けた。孫谷川や日野川の流域には,その痛ましい爪痕が未だに多く残っていた。
福井県南越前町の周辺は,8月初旬の豪雨で大きな被害を受けた。孫谷川や日野川の流域には,その痛ましい爪痕が未だに多く残っていた。
広野ダムへ向かう際にいつも通る落合橋も,通行止めのままとなっている。橋脚には膨大な流木が絡みついたままだ。
広野ダムへ向かう際にいつも通る落合橋も,通行止めのままとなっている。橋脚には膨大な流木が絡みついたままだ。
落合橋の少し下流にある町道の橋へと迂回するが,その途中の国道はかなり長い区間に渡って半分崩落した状態になっていた(仮設道路が整備されており,通行は可能)。一日も早い復興を祈るばかりです。
落合橋の少し下流にある町道の橋へと迂回するが,その途中の国道はかなり長い区間に渡って半分崩落した状態になっていた(仮設道路が整備されており,通行は可能)。一日も早い復興を祈るばかりです。
久しぶりに訪れた広野ダム。だいぶ水量が多いように感じられるのは気のせいか。
久しぶりに訪れた広野ダム。だいぶ水量が多いように感じられるのは気のせいか。
二ツ屋導水施設のあたりも,おびただしい流木が浮いている。やはり豪雨の影響だろうか。
二ツ屋導水施設のあたりも,おびただしい流木が浮いている。やはり豪雨の影響だろうか。
大河内川の奥へと向かう林道は,ところどころ土砂が流入していたり,落石があったりと,やはり以前に比べ少し荒れている印象。どこまで入れるか,ドキドキしながら低速で車を進めていく。
大河内川の奥へと向かう林道は,ところどころ土砂が流入していたり,落石があったりと,やはり以前に比べ少し荒れている印象。どこまで入れるか,ドキドキしながら低速で車を進めていく。
すると,不思議なことに,舗装が途切れてダート区間に入ったとたんに走りやすくなり,結局いつもの駐車場所まで入ることができた。
すると,不思議なことに,舗装が途切れてダート区間に入ったとたんに走りやすくなり,結局いつもの駐車場所まで入ることができた。
しばらく草深い林道を歩き,適当なところから沢に降りる。このあたりの谷も豪雨の影響で荒れてしまっているのではないか,と不安を抱えながら谷底に降り立つと,いつも通りの美しい渓流が出迎えてくれて,深い安堵を覚えた。
しばらく草深い林道を歩き,適当なところから沢に降りる。このあたりの谷も豪雨の影響で荒れてしまっているのではないか,と不安を抱えながら谷底に降り立つと,いつも通りの美しい渓流が出迎えてくれて,深い安堵を覚えた。
越美国境の深い森が,豪雨の中でも谷を守ってくれたのだろう。ただ,やはり平水よりは水量が多いように感じる。
越美国境の深い森が,豪雨の中でも谷を守ってくれたのだろう。ただ,やはり平水よりは水量が多いように感じる。
この滝は右手の壁を登る(左手から巻くこともできる)。
1
この滝は右手の壁を登る(左手から巻くこともできる)。
長トコ谷(右)と滝ヶ谷(左)の二俣に到着。右の奥に長トコ谷の3段30m滝の最下段がちらりと見えている。今回は左の滝ヶ谷に入る。
長トコ谷(右)と滝ヶ谷(左)の二俣に到着。右の奥に長トコ谷の3段30m滝の最下段がちらりと見えている。今回は左の滝ヶ谷に入る。
滝ヶ谷は,深い釜を持つ美しい2m滝から始まる。左手の壁を登って越える。
滝ヶ谷は,深い釜を持つ美しい2m滝から始まる。左手の壁を登って越える。
2条4m滝。
2m滝。深い緑を眺めながら,小滝を越えていく。やっぱりこの辺りの谷は雰囲気がいいな。
2m滝。深い緑を眺めながら,小滝を越えていく。やっぱりこの辺りの谷は雰囲気がいいな。
と,急に立派な10mほどの滝。さすが滝ヶ谷,滝が多いな。
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と,急に立派な10mほどの滝。さすが滝ヶ谷,滝が多いな。
この滝は右岸側の壁を登る。残置ロープがあるが,いかにも切れそうな古いもので,頼らないほうがいい。この滝を最後に,残置ロープの類は見られなくなった。(この谷に限らず,この辺りの谷は序盤の滝だけ中途半端に残置ロープがあることが多い。なんでだろう?)
この滝は右岸側の壁を登る。残置ロープがあるが,いかにも切れそうな古いもので,頼らないほうがいい。この滝を最後に,残置ロープの類は見られなくなった。(この谷に限らず,この辺りの谷は序盤の滝だけ中途半端に残置ロープがあることが多い。なんでだろう?)
10m滝を越えると,そのすぐ上に美しいナメ滝が連なっていた。
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10m滝を越えると,そのすぐ上に美しいナメ滝が連なっていた。
その後も断続的に小滝が出てきて,一つ一つ越えていくのが楽しい。
その後も断続的に小滝が出てきて,一つ一つ越えていくのが楽しい。
気持ちいいねぇ。
1
気持ちいいねぇ。
そして,標高590m二俣。とりあえず,左俣の壁小屋谷を探索する。記録を見たことがなく,気になっていた谷だ。
そして,標高590m二俣。とりあえず,左俣の壁小屋谷を探索する。記録を見たことがなく,気になっていた谷だ。
壁小屋谷に入る。水量は少なくなるが,狭まった谷に小滝が続き,いい感じ。
壁小屋谷に入る。水量は少なくなるが,狭まった谷に小滝が続き,いい感じ。
簡単に直登していける。
簡単に直登していける。
そして,5m滝の奥に,大きめの滝が!
そして,5m滝の奥に,大きめの滝が!
5m滝を直登し,15m滝の前に立つ。なかなか立派な滝だ。
5m滝を直登し,15m滝の前に立つ。なかなか立派な滝だ。
しかも,ホールドが豊富で,水線右手に沿って直登していけるのが楽しい。壁小屋谷,なかなか良い谷じゃないですか。
しかも,ホールドが豊富で,水線右手に沿って直登していけるのが楽しい。壁小屋谷,なかなか良い谷じゃないですか。
15m滝を登り切り,滝頭から眼下を眺める。
1
15m滝を登り切り,滝頭から眼下を眺める。
15m滝の上には,5mほどのナメ滝が連なって迎えてくれた。
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15m滝の上には,5mほどのナメ滝が連なって迎えてくれた。
その後は平流区間。
その後は平流区間。
周囲はサワグルミやトチノキの森で美しい。
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周囲はサワグルミやトチノキの森で美しい。
しばらくすると,また小滝の連続が始まる。
しばらくすると,また小滝の連続が始まる。
この5mほどの滝は,直登しようとしたが,真ん中に突き刺さっている流木が邪魔で,さんざん冷水を頭から浴びた後にあきらめてクライムダウン。流木さえなければ簡単に抜けられそうだが…。
この5mほどの滝は,直登しようとしたが,真ん中に突き刺さっている流木が邪魔で,さんざん冷水を頭から浴びた後にあきらめてクライムダウン。流木さえなければ簡単に抜けられそうだが…。
その後も小滝が続々。
その後も小滝が続々。
壁小屋谷だけでなくカラ洞も探索したいので,適当なところで引き返したいのだが,面白そうな小滝が続くので,ついついずるずると登っていってしまう。
壁小屋谷だけでなくカラ洞も探索したいので,適当なところで引き返したいのだが,面白そうな小滝が続くので,ついついずるずると登っていってしまう。
気が付けば,周囲の森はさらに深く。
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気が付けば,周囲の森はさらに深く。
小滝が途切れない。恐らく,稜線まで小滝が続くのだろう。だいぶ水が細ってきたところで,ようやく引き返す決心がついた。
小滝が途切れない。恐らく,稜線まで小滝が続くのだろう。だいぶ水が細ってきたところで,ようやく引き返す決心がついた。
壁小屋谷を引き返していく。なかなか楽しい谷でした。15m滝は右岸から巻き下る。
壁小屋谷を引き返していく。なかなか楽しい谷でした。15m滝は右岸から巻き下る。
滝ヶ谷の本谷に戻り,遡行再開。
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滝ヶ谷の本谷に戻り,遡行再開。
しばらくしっとりとした緑の森と,穏やかな流れが続く。
しばらくしっとりとした緑の森と,穏やかな流れが続く。
標高650m二俣に到着。左のカラ洞に入る。
2
標高650m二俣に到着。左のカラ洞に入る。
カラ洞は,「空(カラ)洞」と言うくらいだから,滝も何もない谷だろうと予想しており,何も出てこないことを確認するためにちょっと覗くだけのつもりだったのだが…
カラ洞は,「空(カラ)洞」と言うくらいだから,滝も何もない谷だろうと予想しており,何も出てこないことを確認するためにちょっと覗くだけのつもりだったのだが…
あれ? 滝あるやん! しかも奥に大きめの滝が見える…
2
あれ? 滝あるやん! しかも奥に大きめの滝が見える…
8mほどの滝。右手から小さく巻き上がる。カラ洞,意外に「空(カラ)」じゃなかったな…
8mほどの滝。右手から小さく巻き上がる。カラ洞,意外に「空(カラ)」じゃなかったな…
その後もいくつか滝が。水量も少ないし,大したものではないのだが。
その後もいくつか滝が。水量も少ないし,大したものではないのだが。
やはりこの谷も小滝が断続的に続くようだ。これ以上大きな滝も出てきそうにないので,適当なところで探索を打ち切り,滝ヶ谷の本谷へ引き返す。
やはりこの谷も小滝が断続的に続くようだ。これ以上大きな滝も出てきそうにないので,適当なところで探索を打ち切り,滝ヶ谷の本谷へ引き返す。
滝ヶ谷本谷に戻り,遡行再開。なんだか急に両岸が立ってきたと思ったら…
滝ヶ谷本谷に戻り,遡行再開。なんだか急に両岸が立ってきたと思ったら…
おっと,これはなかなか立派な10m滝。
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おっと,これはなかなか立派な10m滝。
右手から回り込んでから直登。
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右手から回り込んでから直登。
すると,その先にも大きめの滝が連なっているのが見える。写真だと伝わりにくいが,現地だと見上げるような感じで,なかなかの迫力。
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すると,その先にも大きめの滝が連なっているのが見える。写真だと伝わりにくいが,現地だと見上げるような感じで,なかなかの迫力。
また10mほどの滝。左岸から巻き上がる。
また10mほどの滝。左岸から巻き上がる。
その上には15mほどの立派な滝が。なかなか見栄えのする滝で,滝下でおにぎりを食べつつ,しばし小休止。
その上には15mほどの立派な滝が。なかなか見栄えのする滝で,滝下でおにぎりを食べつつ,しばし小休止。
この滝は左岸から巻いていくが,急斜面かつ大きめの高巻きとなり,今回の山行では一番大変だった。
この滝は左岸から巻いていくが,急斜面かつ大きめの高巻きとなり,今回の山行では一番大変だった。
左岸巻きを継続してくと,さきほどの15m滝の上にも2段ほどナメ滝が連なっているように見える。これも通算すれば,全部で5〜6段ほどの連瀑ということになる。滝ヶ谷のハイライトと言ってもいいだろう。
左岸巻きを継続してくと,さきほどの15m滝の上にも2段ほどナメ滝が連なっているように見える。これも通算すれば,全部で5〜6段ほどの連瀑ということになる。滝ヶ谷のハイライトと言ってもいいだろう。
高巻きを終えて谷に降り立つと,その上にも小滝が連なっていた。
高巻きを終えて谷に降り立つと,その上にも小滝が連なっていた。
だいぶ水は細くなってくるが,まだまだ小滝は続く。
だいぶ水は細くなってくるが,まだまだ小滝は続く。
最後は両側を壁に挟まれたルンゼ状の谷となる。
最後は両側を壁に挟まれたルンゼ状の谷となる。
チョックストーンに阻まれて登れなくなったところから,右手の尾根に這い上がった。藪は薄く登りやすいが,まさかこれで終わるほど越美国境稜線は甘くないだろう…
チョックストーンに阻まれて登れなくなったところから,右手の尾根に這い上がった。藪は薄く登りやすいが,まさかこれで終わるほど越美国境稜線は甘くないだろう…
やっぱり来た! 背丈を越える藪の来襲。ただ,7月に経験した薙刀山の藪に比べたら,まだ話の分かる藪というか,掻き分ければ通してくれる藪と言える。
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やっぱり来た! 背丈を越える藪の来襲。ただ,7月に経験した薙刀山の藪に比べたら,まだ話の分かる藪というか,掻き分ければ通してくれる藪と言える。
笹薮との格闘を続け,笹ヶ峰の北峰に立った。藪は腰丈ほどで,しばし藪漕ぎから解放された。しかし,稜線上は濃いガスで,残念ながら眺めはない。
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笹薮との格闘を続け,笹ヶ峰の北峰に立った。藪は腰丈ほどで,しばし藪漕ぎから解放された。しかし,稜線上は濃いガスで,残念ながら眺めはない。
北峰から笹ヶ峰に向かうが,再び笹と灌木の濃い藪。かなり歩きにくいが,薄い獣道があるため,なるべくそれを辿る。
北峰から笹ヶ峰に向かうが,再び笹と灌木の濃い藪。かなり歩きにくいが,薄い獣道があるため,なるべくそれを辿る。
そして,笹ヶ峰(三等・長床)に到着。この三角点を撫でるのは3回目だ。
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そして,笹ヶ峰(三等・長床)に到着。この三角点を撫でるのは3回目だ。
笹薮に包まれた笹ヶ峰山頂。積雪期には360°の素晴らしい眺望が得られる山頂なのだが,それが信じられないくらいの薮の壁。
笹薮に包まれた笹ヶ峰山頂。積雪期には360°の素晴らしい眺望が得られる山頂なのだが,それが信じられないくらいの薮の壁。
藪の中には,ツルリンドウが可憐な花を咲かせていた。
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藪の中には,ツルリンドウが可憐な花を咲かせていた。
プレートのない山頂だと思っていたら,こんな小さなプレートを発見! 結構古いものだと思うが,無雪期3回目にして初めて気づいた。
プレートのない山頂だと思っていたら,こんな小さなプレートを発見! 結構古いものだと思うが,無雪期3回目にして初めて気づいた。
立ち去る前に山頂を振り返る。濃いガスが行き交う中,一面の笹藪がおぼろげに揺れていた。
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立ち去る前に山頂を振り返る。濃いガスが行き交う中,一面の笹藪がおぼろげに揺れていた。
本当はロボットピークまで稜線を歩いて,ロボット尾根経由で下山しようと思っていたのだが(この稜線は意外に歩きやすく,眺めも良い),このガスでは全く面白くないので,最短距離で沢を下降してしまうことにした。
本当はロボットピークまで稜線を歩いて,ロボット尾根経由で下山しようと思っていたのだが(この稜線は意外に歩きやすく,眺めも良い),このガスでは全く面白くないので,最短距離で沢を下降してしまうことにした。
下山は長トコ谷の支谷の夏小屋谷へ。昨年遡行した際に,全く滝が出てこなかったので,下降路にはぴったりだな,と思っていた谷だった。やはり穏やかな谷で,サクサク下れる。
下山は長トコ谷の支谷の夏小屋谷へ。昨年遡行した際に,全く滝が出てこなかったので,下降路にはぴったりだな,と思っていた谷だった。やはり穏やかな谷で,サクサク下れる。
長トコ谷の本谷に合流してからは,いくつか滝が出てくるが,ほとんどは簡単にクライムダウンor巻き下れる。
長トコ谷の本谷に合流してからは,いくつか滝が出てくるが,ほとんどは簡単にクライムダウンor巻き下れる。
焼小屋谷出合のすぐ下で出てくる3段25m滝は左岸から巻き下り。
焼小屋谷出合のすぐ下で出てくる3段25m滝は左岸から巻き下り。
さらに滝ヶ谷出合いの手前で出てくる3段30m大滝も左岸から巻き下り。ここは切れ落ちた斜面のトラバースもあり,ちょっと注意が必要。
さらに滝ヶ谷出合いの手前で出てくる3段30m大滝も左岸から巻き下り。ここは切れ落ちた斜面のトラバースもあり,ちょっと注意が必要。
今朝のスタート地点である,長トコ谷と滝ヶ谷の二俣に戻ってきました。あとは出てくる滝を適当に巻き下って林道に上がり,駐車地に戻った。
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今朝のスタート地点である,長トコ谷と滝ヶ谷の二俣に戻ってきました。あとは出てくる滝を適当に巻き下って林道に上がり,駐車地に戻った。

装備

備考 ・フェルトソール沢足袋使用。結構ぬめりがあるのでフェルトがおすすめ。
・40mロープを携行したが使用場面なし

感想

 好きな2万5千分の1地形図の名前を答えろ,と言われたら,まず浮かんでくるのが「広野」である。そこに描かれている山や稜線のほとんどに登山道がない,という点がまず最高である。さらに谷は谷で,金ヶ丸谷や根洞谷,赤谷などの奥美濃の秘境に加え,福井県側にも日野川源流の前谷や大河内川などシブい谷が揃っている。この地図を広げて眺めているだけでもワクワクした気持ちになる。
 しかし,この山域を含む福井県の南越前町は,今年8月初旬の豪雨により甚大な被害を受け,広野ダムのアクセス路である県道も一時通行止めとなっていた(落合橋は未だに通行止め)。地元の方々の辛苦は想像するに余りあり,山登りのためにノコノコと出向くのも申し訳なくて,しばらくこの山域から足が遠のいてしまっていた。久しぶりに道路情報を調べると,う回路が整備されて広野ダムに入れることが分かったので,日野川の源流に入ってみることにした。あの美しい渓谷は,豪雨で変わり果てた姿になってしまっていないだろうか,と心配しながらも,車を走らせた。
 久々に入渓した日野川源流の大河内川は,以前と変わらぬ澄んだ水と溢れる緑で迎えてくれた。越美国境の山々の豊かな緑が,豪雨の中でも谷を守ってくれたのだろう。しかし,ところどころの滝に引っかかっている大きな倒木を見るにつけても,やはりかなりの増水に見舞われたことが推し量られた。
 今回入った滝ヶ谷は,長トコ谷と分かれた左俣で,越美国境の笹ヶ峰から壁小屋丸にかけての稜線に突き上げている谷である。滝ヶ谷の本谷自体は,その名の通り滝の多い谷として,福井岳人倶楽部の「越の谷」をはじめ,ごくたまに記録を見る谷なのだが,その支谷である壁小屋谷やカラ洞は記録を見たことがなかったので,これらの支谷の探索もかねて入渓してみたものだった。
 滝ヶ谷は,カラ洞と分かれた後に現れる連瀑帯がなかなか迫力があった。これまで,大河内川流域では,長トコ谷の3段30m滝が一番の大滝だと思っていたが,滝場としてはこちらの方が規模が勝っているかもしれない。また,支谷としては壁小屋谷が(本谷ほどではないにしても)面白い。2段20m滝も快適に直登できて楽しめる。滝ヶ谷本谷から笹ヶ峰に登った後,壁小屋丸まで縦走して壁小屋谷を下降すれば(もしくはその逆でもいいだろう),当分ササは見たくない,というくらいのお腹いっぱいの藪山山行を楽しめるだろう。

 笹ヶ峰からの下降を終え,長トコ谷の大滝も下り切って一息つき,もうすぐ林道に上がろうとしたところで,ふと下ってきた谷を振り返った。なんとなく,誰かのか細い声が背後から聞こえてきたような気がしたのだ。当然,谷にはだれもおらず,夕闇に沈み始めた渓谷が仄暗く瀬音を響かせているだけだ。しかし,恐ろしいような気はしなかった。そういう微かな呼び声が背後から聞こえてくるような場所と時刻が谷にはあるという,ただそれだけのことだ。災害を経ても元のままの姿で私を迎え入れ,また送り帰してくれた谷に感謝しつつ,十五夜の月を車中から眺めながら帰路に就いた。

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