沢ルート復活初日の幌尻岳



- GPS
- 30:18
- 距離
- 32.2km
- 登り
- 2,282m
- 下り
- 2,289m
コースタイム
- 山行
- 8:59
- 休憩
- 3:02
- 合計
- 12:01
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2022年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
飛行機
・国道237号からとよぬか山荘までは2ルートあります。南側の道道845号と北側の道道638号のどちらも使えますが、快適に走れるのは南側の道道845号、北側の道道638号は少し狭い峠道がありますが国道に出るのが早いです。どちらも舗装路なのでレンタカーでも安心ですが、野生動物の飛び出しにはくれぐれも御注意を。 ・とよぬか山荘からのシャトルバスは、所要時間約55分でした。マイクロバスの中では飲み物の販売があります。バスの発車前にコーラで乾杯できたのは嬉しかったです。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
【渡渉について】 ・しばらく晴天が続いていたとはいえ、男性の膝がちょうど隠れるぐらいの水量があります。 ・痺れるような冷たさです。雪解け水のある7月やより寒い9月下旬はもっとつらくなると思います。 ・ストックがあったほうが確実に、安全に渡渉することができます。 ・苔でヌメヌメツルツルなところもあるので、沢靴に履き替えるとより安心です。 ・渡渉区間の中には岩場の上り下りがあります。鎖はしっかり付いていますが、ヘルメットがあると安心です。 【ヒグマについて】 1箇月もの間、登山者がほぼ歩いていなかった沢ルート。人がいないものだと思ってヒグマが伸び伸びと歩いていそうで恐怖でしたが、幸い、登山道上でヒグマと会うことはありませんでした。 幌尻山荘から山頂までの間、登山道上にヒグマの巨大な糞が2個。命の水付近で強烈な獣臭が2箇所。帰りの幌尻山荘〜北海道電力取水施設の間に新しい糞が2個追加されていました。確実に、彼らの生息域の中に足を踏み入れることになります。 なお、北カールでは、食事中の熊の親子を遠くから見ることができました。 【熊撃退スプレーについて】 ヒグマが怖くて羆撃退スプレーを持っていきたい人は多いと思います。 北海道のホームセンターは取り扱っているお店も多いようです。とはいえ1本1万円もするものなので、在庫が潤沢にある訳ではなさそうです。私は千歳市のホームセンターに電話して取り置きしてもらいました。 なお、飛行機で持って帰ることはできないので、惜しいですがとよぬか山荘で引き取っていただきました。あんまり本数が多すぎても困らせてしまいそうなので伺った上になりますが、ヒグマ出没地帯なので活用の機会はあるそうです。 【幌尻山荘について】 ・1泊2000円+トイレ使用料金1000円がかかります。 ・受付時に携帯トイレ1個が配布されます。 ・薄目の折り畳みマットが配られますので、薄めのマットで平気であれば個人マットは持っていかなくても大丈夫です。 ・この日の宿泊者は11名。1人当たりのスペースにはかなり余裕がありました。 ・火器の使用は外でとの指示がありました。雨が降ると長時間の調理はなかなか辛いものになりそうです。 【トイレについて】 ・トイレはバスの終着点に仮設トイレ、北海道電力取水施設に携帯トイレブース、あとは幌尻山荘の計3箇所となります。 【水場について】 ・煮沸の手間を考え、エキノコックス対策で浄水器を持参しました。 ・バスを降りたところから幌尻山荘までは沢を多数横断するのであちこちで給水可能です。 ・幌尻山荘は小屋前にシンクが置いてあって、綺麗な水が常時出ています。 ・命の水はしっかりと出ていました。登山道から約1分下ったところにあります。 【手足の発疹について】 自宅に帰ってから手足がかゆくてポリポリ。 毛虫かなぁ、そういえば刺のある植物あったなぁ。 右手、左手、左足。赤くなって結構かゆい。 肌が弱い方はしっかり保護した方がいいかもしれません。 |
その他周辺情報 | 帰りは国道に出てしばらく南側に進むと現れたびらとり温泉を利用しました。(入口の看板が目立たないのでナビ設定をお勧めします。) なお、午後2時半でレストランが終了してしまい、ご飯を食べ損ないました・・・。 正午に登山口を出発するバスを利用するなら、さくっと移動・さくっと入浴か、入浴前の食事が良さそうです。 |
写真
装備
個人装備 |
ゴアテックス雨具上下
タイツ
ズボン
厚手靴下
手袋
防寒着(薄手フリース+薄手ダウン)
登山靴(goro S-8)
渓流靴(釣り具屋で購入した5千円のもの)
予備靴ひも
ザック
ザックカバー
行動食
非常食
飲料(ポカリ等2.5L)
ガス缶110G(モンベル苫小牧店で購入)
コンロ
コッヘル
食器
ライター
山と高原地図
コンパス
熊鈴
笛
ツェルト
ヘッドランプ
モバイルバッテリー
筆記用具
ファーストエイドキット(絆創膏・包帯・テーピング・湿布・カイロ・痛み止め・抗ヒスタミン剤)
日焼け止め
ロールペーパー
携帯電話
サングラス
タオル
デジカメ
マスク
アルコール消毒液
浄水器
サブザック
ラジオ
ナイフ
個人用マット
シュラフ
着替え(Tシャツ・パンツ・靴下)
熊撃退スプレー
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---|---|
備考 | ・イワタニプリムスのガス缶は、空港近くのニッポンレンタカーの営業所、ホームセンターなどで買うことができます。 ・荷物が濡れないように、衣類やシュラフは確実な防水を。 ・スマホは防水の付いたものが多いですが、大抵は生活防水で多少かかっても大丈夫という程度です。水没させたら多くの場合は故障します。 |
感想
登山を始めて20年。
最近は山と高原地図を眺めると、初めての山でも大体の風景が想像できてしまって、登山を始めたころのようなドキドキ感、ワクワク感というものが大分薄れていたように思う。
幌尻岳は、そんなドキドキ感、ワクワク感を思い出させてくれた。
あぁ、冒険しているって気がする。
幌尻岳は、3年前の夏に計画し、とよぬか山荘まで行ったことがあるが、残念ながら悪天候による額平川の増水により、とよぬか山荘で時間を過ごすだけになってしまった。
そして、コロナ禍でシャトルバスが運行されない期間が続く。
ようやく復活したと思ったら、林道の寸断による運航中止。
更に、幌尻山荘の予約がなかなか取れず、チロロ林道から行くしかないかと諦めていたところでチロロ林道も崩落。
天気予報はまずまず。
とりあえず、チロロ林道から歩くことを前提に飛行機を予約。
水曜日の昼休みに予約の空き状況を見ると、幌尻山荘が空いているではないか。
さっそく予約を入れてみたが、とよぬか山荘のHPを見ると林道の復旧の目途が9月9日になってやっと分かるとのこと。え、林道復旧してないのに予約受け付けていたのか。しまった。
羽田空港に向かう直前、HPが更新されてバスが運行されることが確認できた。
よし、これは行けるか。
とよぬか山荘に着くと、車が全然とまっていない。
これは、あまりにも急展開なシャトルバスの運行開始で、誰も居ないのではないか。
管理人さんに話を聞くと、私意外に単独が1名、3人パーティー1組の5人の宿泊で、バスだけの予約も何人か入っているとのこと。少し安心した。
2段ベッドが複数配置された部屋でまったりしていると、幌尻岳で100名山達成という若者が現れた。そんな素晴らしい瞬間に立ち会えたら素敵だなと思った。翌日は朝も早いので早めに就寝する。
翌朝3時起床。3時半頃、バスが到着した。
バスは4時に出発。乗客は計10人。林道といいつつもそこそこの速度で走れていたのでさくっと到着するのかと思いや、約55分かかって登山口に到着。
登山口には休憩用(バスに遅れたときの避難用)のコンテナが1基と、仮設トイレ、それと水場だけ。
ヒグマが怖い。けれど私にはヒグマ撃退スプレーがある。周りに他の登山者が9人もいる。
晴れが続いていて水量も少ないだろう。よし、行くぞ!
トイレをのんびり済ませて出発する。
その割に誰も出発していない。先頭。いやだなぁ・・・。
写真を撮りながら歩いていくと、若者が追い付いてきた。
そして、幌尻岳で100名山達成の若者も。同じような速度で歩いていたら、自然と3人パーティーとなった。レベル99、レベル98、レベル69の3人パーティー。
なお、お互いに名前は知らない。
北海道電力の取水施設まではひたすら林道を歩く。
そこからすぐに渡渉が始まると思いきや、30分以上、沢沿いを高巻きつつ進む。
やがて濡れずに進むことのできる道が途絶えた。
ここから渡渉開始か・・・。
3年前に釣具店で買った渓流シューズに履き替える。一応、渡渉中に履くための薄手の靴下を用意しておいた。
最初の一歩を踏み出す。つ、冷たい!
天気が良く、水量も少ない。大体はスネの真ん中あたり。深いところで男性の膝までつかるぐらい。慎重に歩けば大丈夫。ピンクテープもはっきり見える。
右岸へ、左岸へ。再び渡るかと思ったら対岸には渡らずズブズブと水の中を直進。面白い。
15回ほど渡渉を繰り返したころ、突然、目の前に小屋が現れた。幌尻小屋、小さくてかわいい小屋だ。
幌尻小屋で受付を済ませ、軽く食事をして山頂へ出発。
しばらくは谷川岳や上州武尊を登っているような感覚になる広葉樹の樹林帯が続く。違いがあるとすればここまでにすでに4時間も歩いていて、ひどい疲れという程ではないにしても、体力を奪われた状態からスタートするということ。
命の水で給水して先に進むと強い獣臭。あぁ、ヒグマがいるんだなぁと実感することに。そういえば、この匂いはツキノワグマとほぼ同じ気がする。縄張りを主張するときにマーキングしているのだろうか。
やがて、景色が開ける。
北戸蔦別岳の山頂にテントが見える。分岐点から幌尻小屋に降りる登山道もくっきり。そして近くに見える戸蔦別岳。憧れの稜線が目の前に広がり、山頂が見えるのがとにかく楽しみで仕方がない。
(続く)
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