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Yamareco

記録ID: 472801
全員に公開
沢登り
甲信越

清津川・サゴイ沢〜龍ノ峰・苗場山・神楽ヶ峰〜苗場山林道

1993年07月31日(土) 〜 1993年08月02日(月)
 - 拍手
GPS
41:05
距離
30.9km
登り
1,828m
下り
1,986m

コースタイム

7/31 元橋(9:45)…赤湯下の橋(サゴイ沢入渓点)(14:10/15:10)…五重滝下(16:50/17:20)…8m滝下(17:30/18:00)…8m滝上・1160m付近(18:50)ツエルト泊
8/1 8m滝上・1160m付近(6:55)…ゴルジュ4m上(7:30/8:00)…次のゴルジュ(9:40)…土砂押出しの沢合流点(10:35)…15m滝下(14:10)上(14:20)…二俣(14:40/15:00)…稜線(18:00/18:20)…苗場山頂(19:10/19:20)…雷清水(20:15)…神楽峰(20:45)…上ノ芝(21:00)…和田小屋(23:30/0:00)…
8/2 …外ノ川ヒュッテ(2:00)…林道・竜ノ沢出合付近(2:50/3:20)タクシー→越後湯沢駅(3:54/6:34)とき450号→上野駅(7:59)
天候 7/31 曇り、 8/1 雨のち曇り
アクセス
利用交通機関:
電車 バス
7/31 上野駅(7:02)新幹線・あさひ369号(5650円)→越後湯沢駅(8:17/9:00)バス→元橋(9:38)

感想

 かつて、苗場スキー場の筍山の頂上から目にした苗場山は、深い清津川の谷を挟んで、ゆったりと横たわる姿が印象的でした。開けたスキー場のすぐ裏にありながら、奥深さが感じられ、心魅かれるものがありました。
 また、会山行の山スキーで行った神楽ヶ峰から見た苗場山は、大きな姿で、すぐ目の前に迫っていました。
 それから5年。その苗場山への登路として、サゴイ沢の溯行を計画しました。

 が、2日目の行動時間が20時間に及ぶという、まさに「やってしまった!」という山行になってしまい、初めての下山遅れとなりました。
 資料に「夜行日帰り」とあり、それを「1泊2日にしたのだから。」という安易な思いが、最後のほうまで頭にあったのでしょう。事前の確認不足と、ろくろく先の計算もせず余裕を出し続けた結果です。体にも無理をかけ、悪いことをしてしまい、参りました。

 ただ、夜9時の上ノ芝から見た、月と国道17号方面の明かりと平標山の風景は、心に残るものとなりました。
───────────────

7月31日(曇り)
 静かな朝の越後湯沢駅。すっかり雨という感じで、降りも強い。とりあえずバスに乗る。すると国道17号が清津川の谷に入ると、雨が降っていないし、空も明るい。地面も乾いている。
 元橋バス停下車。そこから少し南に行ったところで登山口の標識がある。少し登ると苗場プリンスがすぐ近くに見える。樹林の中を下り、橋を渡る。サッカーの練習場が出来ている。こういうものに見送られてスタートするのが、今どきの登山である。
 この先、林道には、なかなか上がれない。やはり、浅貝から直接林道を来たほうが、起伏も少なく楽そうだ。そしてそこからの長い林道。世間話で自然に会話をしながら行けるのが林道歩きの気楽な所だと思う。しかし、最初からこうやって時間を潰していいのだろうかという気がしないでもない。
 この谷は蝶の生息環境としても良さそうで、いろいろ舞っている。崖の好きなツマジロウラジャノメもいれば、エルタテハも姿を見せる。

 登山道に入るとすぐに棒沢の河原に出る。赤湯を目指すハイカーの休憩場所として賑わっている。けっこう歩いている人が多い。そこからの鷹ノ巣峠の登りは、半日歩いて来た体にはきつかった。

 赤湯下の清津川との合流点から入渓。登山道が鉄の橋で渡っている。
 しばらく休んで、支度を整える。5年間使ったウォーターソックスを履こうとすると、あちこち破けだすがなんとかだまして履く。そして出発。もう午後3時を過ぎている。雨が降りそうだ。
 資料によると、上流の昌次新道が横切る橋の下から入渓しても大差ないらしい。しかし、そこまで河原歩きだと思ったら大間違い。沢が右に折れると、いきなりゴルジュとなり、深い釜の奥に滝。「溯行図にないではないか!」と思っても、行くしかない。その上で左岸から12mの滝が落ち、昌次新道に出る。ここにも立派な鉄の橋が架かっている。

 この先しばらく平凡なゴーロが続く。やがて、五重ノ滝らしきものが現れる。どう見ると五重なのかよくわからない。右側を巻く。あまり大きく巻こうとすると、熊ノ沢の滝も巻いてしまうことになりそうだ。ここだというところで、懸垂で降りると、ちょうど沢を分ける滝の上に出られた。
 次に8m滝が現れるが、すぐ右側にもろい岩と泥のルンゼがあって、安易にそこに入るが上部がちょっと苦しい。こわごわ下って基部の斜面で、前向きになって靴で滑り降りたら、全身で滑ってしまった。そして、なんと右手はあちこち傷口が開いて、ひどいのはパックリいっている。泥の中の砂利は鋭利でこわい物だ。(この傷に関しては、帰宅後すぐ医者に行き、治療を受け、破傷風も心配なのでおしりに注射を打ってもらった。)
 気を取り直して、少し手前の斜面の踏み跡をたどる。バンド1つ分、余計に上に行ってしまったので、懸垂2回で沢身に降りる。
そこからは、寝ぐらさがし。少し行くと、沢が若干開けたので、「まあここで。」と、手をうってツエルトを貼る。

8月1日(雨のち曇り)
 出発は、7時少し前。今日最初のゴルジュを越えると、次のゴルジュまでは少し間がある。途中、キノコのような雪の柱が残っていた。
 左に曲がった次のゴルジュは、側壁が低くこじんまりとしている。その後は明るく開け、ゴーロが続く。土砂の押し出された沢が左岸より入り、左に曲がるとまたゴルジュ。いくつかの滝を越え、少し行くと左岸から沢が入り、また左に曲がってゴルジュとなる。5m滝を右岸、次の6m滝を左岸から巻き、この先連続する滝を気持ち良く越える。ここは、まとまりもあって良いところだ。右岸からの立派な滝の流入も見る。沢が右に折れると、ゴルジュ出口らしい15m滝が現れる。右手のもろい岩尾根に上がると、初めて稜線が見えた。まだまだ高い。そこからは、自然に沢身に降りられる。そこで核心部は終わる。両岸が狭まり、急に源流の感が強くなる。

 二俣は、手前で中間尾根のピークが望め、明瞭である。水量は両俣共にもうわずかだ。しばらく休むがまだ余裕。まあ、なんとかなるだろうと思う。
 左俣を沢沿いに忠実に詰めるとヤブになる。傾斜も強くなかなか進めない。背丈よりもはるかに高いネマガリタケらしきものが密生した中をかきわけ掴みながら行くしかない。ここで思わぬ時間を食う。ニッコウキスゲ咲く稜線が呼んでいるがなかなか進まない。少し右に寄ってしまったようだ。最後に傾斜の強い露岩のある草付を登ると、ニッコウキスゲとワタスゲに囲まれた池塘が待っていた。午後6時頃だ。振り返ると、もう少し左手を登れば踏み跡があり傾斜も緩そうだった。

 北に登山道を辿ると苗場山上湿原の南端に出る。踏み跡も細く、池塘と一体化していて好ましい。ガスが出て視界が利かないが、すばらしい所だ。登山道の分岐点に出ると木道があってそこから先は、表土が流れ荒れていた。同じ湿原ながら、前半のすばらしさとは対象的な風景だ。
 そして山小屋のある山頂へ。だいぶ薄暗くなってくる。記念撮影をして神楽ヶ峰方向に下ったところで休憩。明日は、2人とも仕事なのでこのまま下るという方針で、いよいよ暗闇の下山となる。ヘッドランプだよりの下りは、歩みが遅い。
 夜9時に上ノ芝。月明かりに池塘が光り、正面に平標山が大きく構えている。木道に座ってひと休み。こんな時間に自分達は何をしているのだろうか?ただでさえ非日常的な山登りで、こういう状態になると、本当に妙な気持ちになってくる。それでもまだ、今日は帰れないにしても越後湯沢には行けそうな気がしていた。風呂もあきらめてはいない。

(8月2日(曇り、月見える))
しかし、明るく開けた和田小屋あたりで0時をまわると、やる気なくなり、歩みが遅くなる。ザックが肩に食い込み、足も重い林道歩きに変わる。祓川を過ぎ、外の川ヒュッテも過ぎ、ゲートの外に出るとガルウイングのセラが止まっている。夜中も3時近くになっていた。
 背に腹は替えられないと友人が中に寝ている人を起こす。1人で無線を山でやり、降りてきて仮眠しているという、まあ自分達と同じような人だった。友人が、電話のかけられる八木原まで乗せてもらい、タクシーを呼ぶ。昔よく聴いたトラツグミの声が懐かしく響いている。
 しばらく待って、タクシーに乗ることができた。越後湯沢駅まで、深夜料金で4500円。駅に着くとなんと、明るくなってくる。しかし贅沢は言えない。あのセラがいなかったらまだ歩いているのだ。とりあえず終わった。
 駅近くのコンビニで、カップラーメンとおでんを買って、早朝の静かなベンチでボーッとする。
 5時になると、駅が開いた。待合い室の畳で1時間ほど寝て、朝1番の新幹線に乗り込んで帰京した。

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