虎毛山塊 虎毛沢遡行 役内川源流と皆瀬川源流を跨ぐ旅


- GPS
- 56:00
- 距離
- 24.1km
- 登り
- 1,527m
- 下り
- 1,528m
コースタイム
13:50 駐車地
14:15 ガンジャコース駐車場(通行止めポストあり)
14:25 ガンジャ登山口
16:15 高松-虎毛縦走路分岐
16:20 稜線から下降開始
17:45 赤湯左右出会い
18:10 噴煙地(c650左岸で野営)
8/14(Thu)
08:05 c650噴煙地
09:30 虎毛沢出合
11:35 第一ゴルジュ滝(右岸通過)
12:00 第二ゴルジュ滝(左岸高巻き)
12:15 第三ゴルジュ滝(右岸通過)
12:45 大滝(左岸ロープ使用)
13:40 虎毛沢遡行終了(c690右岸で野営)
8/15(Fri)
07:05 c690右岸野営地
07:10 支沢取り付き
08:30 縦走路稜線c960(ツブレ沢へすぐに下降)
c850付近まで降りて引き返す
09:30 稜線復帰
09:55 P902
10:30 P1037
10:50 P1056
11:15 P1033
11:40 高松-虎毛縦走路分岐
12:55 ガンジャ登山口
13:05 ガンジャコース駐車場(通行止めポストあり)
13:25 駐車地
天候 | 8/13(Wed)曇のち晴れ 8/14(Thu)曇ときどき晴れ 8/15(Fri)曇のち雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2014年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
今回は戻りにツブレ沢を下降する予定(予定は予定で終わってしまったが‥)だったので、途中の「水上沢林道起点」の標識(地形図で491記載の右に折れる林道)から少し行った先にある駐車スペースに車を停めて長い林道歩きをした。 湯ノ又沢、もしくはガンジャコースを主に楽しまれる方は林道を湯ノ又温泉跡方面へ行く。突き当りは車両通行止めになっており、車数台駐められるスペースが有る。ノート記入式のポストがある。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
✿湯ノ又沢右又は概ね黄色いナメの渓相が続く。大きな滝がないので、沢歩き初心者が練習するには良い沢。一方で、並走する登山道は歩く人が余りいないのか、荒れ気味の印象。特にコンタ900付近は倒木があり、蛇行する登山道をわからなくしている箇所があったのでご注意を。登山道は登りより下りで迷いやすいかもしれない。 ✿稜線から赤湯又沢右又への下降点について。地形図を見るとP1135と南方のP1120の間であれば、どこを下りても赤湯又沢右又に合流するが、僕は藪こぎなしの特異点を見つけたので紹介する。地形図上でP1135南方のコルがちょうどガンジャ口登山道と縦走路との合流点である。ここから稜線縦走路を南に少し行くと、登山道が泥濘んでいる箇所がある。しかも東側を見ると、ここだけ丁度藪が切れて草原みたいになっている。これが赤湯又右又の下降点である。あくまで推測ではあるが、稜線上の登山道で泥濘を見つけた場合、その場所と言うのはつまり沢の始点であり、地形図上ではコルになっていることが多いのではないかと僕は思う。 ✿赤湯又沢右又は大きな岩の渓相が続く。左又と右又の出会に大きな滝がある場所が赤湯又沢の核心部と言っていいだろう。 ✿温泉の噴気が上がる場所は左右の出会いを過ぎて、650m付近の左岸にある。人が入れるような湯船は見つけられなかったが、この一帯は地熱の影響があり、テント内部で寝ながらにして岩盤浴を楽しめる。 ✿虎毛沢の出会いには双方の沢それぞれに大きな滝がある。赤湯又沢の滝は階段状になった左岸を容易に降りられるが、そこから虎毛沢にある滝を遡行するには釜の深さに加えて流れ落ちてくる水流の強さがあり、通過が難しいと思われ、赤湯又沢の右岸から虎毛沢左岸へ高巻いた。 ✿虎毛沢には遡行が困難な3つのゴルジュ滝がある。まともに通過できたのは第一と第三のみ。第二は大きく高巻いた。向き合う人それぞれに通過方法があり、楽しめると思う。 ✿虎毛沢690m付近、右岸に少し広くなった地形があり、テント場として利用できる。 ✿稜線に抜けるエスケープ沢について。虎毛沢左岸690m付近に支沢の滝があるので判断がつく。沢全体がナメ滝みたいな沢である。脇の灌木を利用して登る。 ✿稜線からツブレ沢への下降について。今回僕が誤って降りてしまった沢は下降には使えないと思われた。高度な技術がある方であれば難なく降りてしまうのかもしれないが、通常はおすすめしない。当初降りるはずだった一つ北側の湾曲した沢については今後の課題としたい。 ✿高松〜虎毛縦走路は明瞭な踏跡があるものの、笹が覆い隠しつつあるワイルド系の道。地形図でも分かるとおり、とにかくアップダウンが激しい森を歩くのが特徴。関山峠から登る船形山の破線ルートや、面白山界隈のルート、丁山地の周回ルートに似ている。これらコースを楽しめる方であればお勧めしたい。しかし標高が低いので、涼しい日を狙うべきである。 |
その他周辺情報 | 秋の宮山荘 http://www.akinomiya.co.jp/spa.html 日帰り入浴 10:30〜20:00 600yen |
写真
装備
個人装備 |
長袖インナー
タイツ
ズボン
ネオプレーン靴下
ネオプレーンすね当て
グローブ
雨具
着替え
軍手
フェルト底シューズ
ピンソール
ザック
食糧
行動食
非常食
飲料
日本酒
ハイドレーション
地図(地形図)
コンパス
ヘッドランプ
予備電池
iPhone4(GPS)
ビオフェルミンS
保険証
iPhone5(携帯)
時計
タオル
モンベルシェルター
エアマット
シュラフ(モンベル#7)
グラウンドシート
ナイフ
カメラ
30mロープ径8mm
ハーネス
ヘルメット
確保機(ATC)
ロックカラビナ
カラビナ
スリング
ロープスリング
ノコギリ
ライター
着火剤
ラヂオ
ガス
ガスストーブ
チタンコッフェル
ビニール袋大
Ziploc
トイレットペーパー
小スコップ
財布
車の鍵
歯ブラシ
1dayコンタクトレンズ
USB充電器
iPhoneコード
ウェットティッシュ
カネボウALLIE(日焼け止め)
* ̄(エ) ̄)ノやぁ
|
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備考 | ✿ハーケン、ハンマーを忘れたことは反省点。それからアブの群衆対策として蚊取り線香、ムヒ等は持参したほうが良い。 ✿沢靴に装着するピンソールは急斜面の藪こぎで非常に役立った。これがあれば、通常の登山道の下りも沢靴で安全に降りられる。 |
感想
湯ノ又沢ではなくてワルイ沢を遡行し、赤湯又沢左又を下降する計画だった。初日のスタートが遅くなり、湯ノ又沢を登ることにした。湯ノ又沢はかつて三滝沢を遡行した時に下りで利用したことがあり、大体どれくらいの時間があれば通過できるかを知っていたのだ。
赤湯又沢右又へは適当な場所から下降を開始しよう。少しくらいの藪は覚悟の上だった。登山道で泥濘に気づき、東側に藪の切れ目を発見し、しかもそれを降り始めたら一切の藪こぎなしで沢に降りられたのは幸運だった。この沢旅はきっと困難もなくスルスルと遂行できるのではないか。安易にそんなことを考えたほどだ。
事前にネットで調べた情報通り、赤湯又沢左右出会いを少し過ぎると高々と煙が上がる噴煙地が見えてきた。日の入り前にはなんとか到着したみたいだ。18:00を少し過ぎて奥深い森の渓谷はうっすらと暗闇につつまれつつあった。焚き火をたいて食事の支度をする。沢水を汲みながら入浴できそうな湯船がないか辺りを探し回ったが、見つけられなかった。もくもくと立ち昇る噴煙を眺めながら、焚き火の前で食事する。周囲の木々は黒い影となり、水色の空もやがて闇に同化してしまった。誰もいない奥深き山塊の沢でひとり、僕も暗闇に潜り込んだ。
主要な沢の出合には必ずと言っていいほど滝がある気がする。それもその滝の多くは特有の趣きがある。写真ではうまく表現できないかもしれないが、絵を描いてみたいという衝動に駆られる。沢の出会いはドラマティックな場所なのだ。虎毛沢と赤湯又沢の出会いはまたいつか訪れてみたい場所になった。
噴煙地で朝を迎えて出発の準備をしていると、何処からか"こんにちは"と聞こえた。沢音にかき消されてしまいそうな挨拶だ。こんな場所に、しかもこんな早朝に誰かと見上げたら、沢装備の男性二人が立って居た。今朝、湯ノ又沢を登って、赤湯又沢を下降してきたという。このまま春川に出て、大湯温泉が終着とのこと。これから虎毛沢を遡行すると僕が言うと、エスケープルートを教えてくれた。以前遡行したことがあるから間違いがないという。この時まで僕は虎毛沢を最後まで詰めて虎毛山直下c1250辺りで夏道に出るつもりでいた。教えてもらったルートはあくまで、どうしようも無くなった時に使おう。この時はそう思った。
虎毛沢は初めてだと僕がいうと、それともう一つ忘れていたよという風に教えてくれた。ゴルジュがあり、泳ぐよと言うのである。これも何とかなるだろうと安易に考えていたが、実際に通過してみると、かなり体力を消耗した。二日目は予定通り、虎毛沢の途中で遡行を切り上げることになった。
その夜三日目の予報が気になり、ラヂオをつけた。周波数を左から右へ何度も移動させ、天気予報を探したが入らない。電波の入り具合と言うのは時間によって変わるのだろうか?少し後にためしたら、比較的鮮明な音声が入った。
ーーーーーそれでは天気予報をお伝えしますーーーーー
明日の関東地方は前線の北上で‥埼玉は‥千葉は‥
以上東京からお伝えしました。
首都圏の電波が入った。東北のお天気はお伝えしてくれない。
しばらくしてまた別の電波を検索してみると、明日の新潟は‥と新潟の話題しか上らない。新潟の電波が入った(笑)
そんな調子で今度は北海道の電波を受信してもう諦めようかと思ったとき、砂嵐の奥から微かに「明日の東北地方は‥」という声が聴こえた。何故に東北に居ながら東北の電波をキャッチできないのか。砂嵐と沢ノイズに今にもかき消されそうなかすかなアナウンサーの声に耳を澄ました。明日の庄内地方は前線の影響で雲に覆われ‥
次だ秋田は。
明日の秋田県は雨で昼過ぎから‥ザーーーーー
電波が途切れた。
こんな具合で何となく北上する前線の影響で昼過ぎから強い雨が降るだろうことを知った。明日はエスケープするぞ。決めた。
最終日はラヂオの天気予報通り、稜線に復帰した直後に前線の通過で本降りになった。下降地点を見誤り、ツブレ沢に降りられなかったことで僕は命拾いしたのかもしれない。そんなことを考えながら今にも道が無くなりそうな雨の縦走路をひたすら歩いていた。
コメント
この記録に関連する登山ルート
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しばらく山行記録を拝見していないので,何かあったのかな,と心配していました。2泊3日という「山ごもり」に集中させていたんですね。
虎毛沢の命がけの滝下りなど,すごいです。
装備も参考になりました。※日本酒を飲むんですね。
私は来週ワルイ沢で「沢遊び」をしようと思っています。
ここ最近はまとまって山に行けるチャンスがありませんでした。
僕に何かあれば、それは熊に食べられてしまったとお考えください
冗談はさておき、ワルイ沢ですか‥
ネットで調べた感じですと、レベルが高い沢の印象を持ちました。
実際に滝と対峙したとき、越えて行けるかいけないかはご自身にしか分からないでしょう。
無事に帰ってきてくださいね。
沢の写真は難しいですね
遡行中、良い景観に出合って写真に撮ってもどうもイマイチで・・・
自分が見た通りのイメージでなかなか撮れないのが悩むところです。
私も絵で表現出来たらなぁ、と思う事があります
温泉が湧く沢は面白そうですね。
沢の朝は寒いので、温泉の近くで野営、なんて快適そうで良いなぁ。
泳ぎでのゴルジュ突破は辛そうですが、虎毛沢も面白そうな沢ですね。
虎毛山塊の沢は、未知の領域ですが、私も訪れてみたいものです。
2泊3日の長い沢旅、お疲れ様でした
北海道の旅はいかがでしたか。
コンパクトカメラだと広角が足りなくて沢を含めた周りの環境を表現しきれないような気がしますね。
であれば、絵を描いて表現するのも面白いと思うのですが、足場がどこもかしこも厳しいですね。
沢に温泉が湧いているのは中々珍しいのではないでしょうか。
Luskeさんには虎毛山に突き上げる"春川ダイレクトクーロワール"をそのうちご一緒していただきたいです。
今回、単独での遡行も考えましたが僕の今のレベルでは難しいと判断しました。
そしていつか万滝沢‥これは日本の沢を代表するルートの一つと僕は考えております
さすがはtooleさん…すごいことしているのは分かるのですが、凡人以下の私にはイマイチ現実感が…
で、ものすご〜く気になる装備品 * ̄(エ) ̄)ノ
ザックに入っているのか、乗っていたのか…
凡人以下って?
大抵の人間はみんな凡人ですから気にすることも無いと思いますが‥
沢登りする人間は"変人"かもしれませんよ
"あのお方"はスーパー山岳ガイドですね。
いつも登山口で合流するんです。
でも何も助けてはくれません
とりとめのない言葉を一方的に投げかけてくるだけなのです。
付かず離れず山を一緒に歩いてくれて、いつのまにか居なくなっています
僕だけ?
遅コメ失礼します。このレコは週末に改めてじっくり勉強させていただこうと思っておりました
二万五千図「秋の宮」「桂沢」を広げながら拝読しました。非常に中身の濃いレコですね
自分の見ることのできない世界を見せてくれるtooleさんにはただ脱帽し、感謝ですが、十分にお気をつけて。
3日目、稜線に復帰してから高松岳手前まで2時間ほどで歩ききったのもスゴイです。これだと自転車利用で高松〜虎毛を軽く日帰り縦走できますね
ツブレ沢上流の湾曲した沢というのは歩き易そうですね
kamadamさんは今頃真昼の山頂かと思いましたが、今年は登らなかったのですね。
虎毛山の北東側の山域は地形図を眺めてはいつか歩いてみたいと思っておりました。
沢を登って、反対側に降りてまた登るという山行をしていると、その山の造りと言いますか、立体的な構造の成り立ちをよく理解できますね。
帰ってきて、再び地形図をゆっくりと眺めては下降できなかった沢のことを思い出しています
この虎毛の奥深い山域はもう少し掘り下げて歩いてみたいと思います
コルの泥濘地と沢への下降点の関係性。
私は沢をやる技量を持ち合わせてませんので、
よく分かりませんが、
こういった細かい観察に感心しました。
それはそうと、お酒は何を飲んだのでしょうか?
酒に弱い酒好きとしては気になるところです。
稜線上を歩いていて、沢の始点を知ることができたら面白いと思いました。僕の推測が少しでも当たっていれば、一般的な水場をあまり気にしなくても良くなるかも知れません。水が必要であれば稜線上の泥濘を見つけてその地点から谷側へ少し下れば水を得られる事になりますね
人が多いメイジャーな山域では登山道を外れる事を良しとしない風潮が色濃いですから、あまり大ぴらには使えないかもしれませんけどね
山に持っていく酒は、どこでも売っているアルミ缶に入った日本酒です
一升瓶を担いで行きたいところですが、翌日に影響ないくらい程々に楽しめればいいのではないでしょうか
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