黒川鶏冠山 〜優しい夏の日に〜 B16
- GPS
- 04:25
- 距離
- 8.7km
- 登り
- 754m
- 下り
- 422m
コースタイム
- 山行
- 3:43
- 休憩
- 0:37
- 合計
- 4:20
天候 | 晴れのち曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2014年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
復路 柳沢峠15:40(山梨貸切自動車バス)16:30塩山駅 800円 |
コース状況/ 危険箇所等 |
黒川山見晴台から西には道は無し。2万5千分の1地形図に記載あるものの、既に廃道。 |
写真
感想
〜夏の名残と秋の気配に〜
しばらく見ないと、愛しい恋人の笑顔のように山梨側の富士が見たくなる。「大気は不安定です」かまわず塩山8時30分発のバスに乗り込む。予想に反して乗客は少なく満席ではない。さらに意外だったのは大菩薩登山口降車が4名に対し、柳沢峠以遠に向かったのが10名であったことだ。
落合バス停の手前、鶏冠山登山口で下車、ゆっくりと歩きはじめる。急登らしい急登もなく北面の緩やかな道を、緑を楽しみながら進む。登山を再開してほぼ1年、最近は以前のように何かを考えながらではなく無心で歩けるようになった。
黒川鶏冠山、良い山だ。大菩薩の陰に隠れて目立たぬ存在だが、登山道は十分整備され、場所により眺望も得られる。訪れる人は少ないが危険個所もなく、不安を感じることなくゆっくりと静かな山歩きを楽しめる。女性の一人歩きが多いのも頷ける。
と言いつつも油断は禁物で、2万5千分の1地形図に従い、黒川山見晴台から西へ続く道があると信じてしまったことにより思わぬ藪漕ぎを強いられた。途中まではっきりとした踏跡があったため迷わず進んだが、藪漕ぎ箇所の多さに徐々に不安になり、とうとう行き詰まるという典型的なコースアウトを演じてしまった。帰宅後、昭文社の山と高原地図を見ると見晴台から西は完全に道の記載は無く、かなり前から廃道であったことを知る。
それにしても上空の寒気のせいか標高1700mでも涼しく、8月とは思えないほど快適な山歩きである。登山道に復帰してからは、今日はゆっくりと歩くべきとの暗示であると解釈し、気持ちの良い道を楽しく歩くことに専念した。藪漕ぎとルートファインディングに余計な一汗かいたため、シャツを着替える。ここから先はエアリズムに任せることにしよう。
それでも六本木峠では大いに迷った。予定より1時間早い到着である。問題なく丸川峠経由で大菩薩登山口まで辿り着けるはずだ。現にほぼ同時に峠に到着した女性も丸川峠方面に向かったばかりである。果たして今日初めて腰を下ろしながら見出した答えは、いつもと異なる選択をしよう、だった。
柳沢峠までは小1時間で着く距離にいる。バスの時間を気にせず、何の不安もなく、ただそこにいることだけを楽しんで歩いた。途中、笠取山を始めとする水源の山々を見渡せる展望台で秋の気配を感じ、ブナ林のざわめきと花ノ木沢の清流に触れ、夏の名残を惜しんだ。
どんなにゆっくり歩いても目的地は近づく。柳沢峠では茶屋で1時間、バス停付近で40分の時間を費やす。やがて定刻どおりやってきた頼もしいバスには4人が乗り込んだ。そのバスの車中からようやく富士が見えた。それは彼の人の一瞬の微笑みにも似て。
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