信州一周―山と遺跡の旅4)三ツ頭・野辺山・平山郁夫シルクロード美術館
- GPS
- --:--
- 距離
- 8.1km
- 登り
- 1,028m
- 下り
- 1,011m
コースタイム
天候 | 雨のち曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2014年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 タクシー
|
コース状況/ 危険箇所等 |
三ツ頭から前三ツ頭に下る場合、ガスがひどいときは尾根がわずかに湾曲するーおそらく標高2400mあたりで、尾根がわずかに左(東)に湾曲するが、ガスで見えないと、直進方向に踏み跡のようなものが見えて、そこを下るとガレ場の谷を進んでしまう。すぐに気が付いたが、下調べや地図読みをおろそかにすると危険なので、ここには標識を立てておいた方がよさそうだ。 |
写真
感想
夜じゅう雨音がしていた。朝、5時前に目が覚めると、外に出て空を見る。現在は止んでいるようだが、樹木から滴る音が絶え間ない。ロッジのオーナーと相談する。今日は予報では曇り。コースには雨で滑りやすい危険個所はほとんどないということだったので、少し考えて、出発することにした。オーナーの車で乙女山駐車場に向かう。途中コンビニで朝食+行動食を購入し、5時45分過ぎに駐車場到着。朝少しためらったので15分くらい予定より遅れている。登り始めると、雨に濡れた植物でズボンがぬれる。雨具を着用するか迷ったが、気温が上がれば下山時には乾くかもと楽観し、そのまま進む。さほど草が被っている場所は多くなさそう。10分ほど登ると天の河原という広場に出たので、朝食用のサンドウィッチを少し食べる。すぐ先で八ヶ岳自然歩道(観音平ー美しの森)が交差する。この辺りまではまだ雨は止んでいたが、しばらくすると再び雨が降ってきた。しばらくはなだらかな歩きやすい道なので、傘をさして雨具はまだつけなかった。気温が意外と高かったので、雨具は暑すぎると判断ーーしかしやがて雨脚が激しくなり、大分体を濡らしてしまう。8月31日ともなれば山は秋。ホタルブクロなど晩夏から秋の花が登山道沿いに咲いていて、登りもつらくない。海抜1800mの標識を過ぎるとコバノココメグサなどが現れ、標高1870m付近で小広い平らな場所に出る。しかし雨が強くなり海抜2千メートルの標識を過ぎると、傾斜がきつくなり、ここから前三ツ頭までが一番きつい登りらしい。急になったので傘をたたみ、雨具を着用、ただし、間もなく止むのではないかという希望的観測で上着だけで済ます。「ここが一番きつい登り」という標識があり、前三ツ頭まで30分という標識の手前あたりで雨は止みはじめ、日差しが時々出るようになる。やがて前三ツ頭が見える岩場に差し掛かると、イブキジャコウソウ、タカネナデシコなどが登山道わきの崖に咲いていたので、撮影する。さらにマルバタケブキやイタドリ、コゴメグサなどを見ながら登ると8時25分、前三ツ頭に到着、登山口から1時間40分くらい。マツムシソウやチシマギキョウ(イワシャジン?)、タカネナデシコなどが岩場に咲いている。ここで、おにぎりを食べて補給し、先に進む。ガスでほとんど見えないが、時折雲間から日差しが漏れ、三ツ頭が少し見えている。すぐ上で三人の女性ハイカーが休憩中、権現赤岳縦走中に雨に降られたので、赤岳はあきらめてこちらに下山してきたようだ。今日会ったのはこの三人と、下山中にすれ違った一人の男性のみだ。マツムシソウ、コゴメグサ、オタカラコウ、セリバシオガマ、ヤマゼリ(センキュウ??)などの花を見ながらやや岩混じりの尾根を上り詰めると45分くらいで三ツ頭に到着。ガスで何も見えず、すぐ下山にかかる。一本道でなんでもない下山道のようだが、ガスがひどく、何も見えなくなり、前三ツ頭手前のザレ場を進んでいくと、「あれ、おかしい――谷に下っていくーー」尾根道のはずがザレた谷を下っている。間違えたーー。左上(東)を見ると上に尾根がある。ザレ場を尾根に向かって登りなおすと尾根上に踏み跡が見えた。ここは標識がないので下山でガスが深い時は要注意だ。うっかりまっすぐ下りそうで踏み跡らしきものも続いているように見えるのだった。尾根筋がわずかに湾曲しているところに注意。
三ツ頭から15分で前三ツ頭を通過、誰もおらず何も見えない。休憩もせずひたすら下る。ガスの中、足元の花を眺めながら前三ツ頭から45分くらいで海抜二千メートル標識まで下る。途中、登って来る男性ハイカーとすれ違う。今日最後に出会ったハイカーだった。登っているときはさほど長く感じなかったが、下ってみると結構長く感じる。また気温が下がったようで濡れた体が冷えてきて寒い。標識からさらに30分で登山道の真ん中に置いてあるベンチを通過。さらに15分で天ノ河原に戻った。ここには駐車場から登ってきたアベックが休憩中。ここでタクシーを呼び、小さく軽めのコンビニ弁当を食べて、駐車場に下る。駐車場から少し下ると天女山だが、今回は時間がない。服が雨でぬれて体が冷え切ってしまったので、濡れたシャツを脱いで長袖に着替えると、少し暖かくなり、落ち着いた。しばらくしてタクシーが来たので、乗り込んで野辺山に向かう。甲斐大泉まで行って電車を使えば大幅に安いが、小海線の本数が少なすぎる。後の予定がなければ駅まで一時間歩けばよい。
野辺山の南牧村美術民俗資料館には12時20分頃到着した。ここには野辺山の矢出川遺跡(主として旧石器)の出土品などが展示されている。受付女性と話をする。この女性は山歩きもするし、地域の考古学会にも所属しているという。山や遺跡などの話をひとしきりした後、展示を拝見する。ここは残念ながら学芸員を置いていないため、展示は矢出川遺跡発掘などに関係した堤隆氏がすべての展示品、展示パネルなどを作成されたそうだ。また最近の発掘でこれまでよりも古い三万年前の石器の出土があり、屋代の県立歴史館に展示されているそうだが、神子柴の展示しか思い出せない。写真が残っていないので
撮影できないコーナーにあったのか??見たような気もしてきたが――
一通り展示を見てから次の甲斐小泉方面の列車は13時50分までないので、受付の女性と再びよもやま話をして、また美術の方の展示も見た。
「市川大一郎作品展メルヘン・パステル画展−野菜たちのかくれんぼ」(2014年7月1日(火)〜9月15日(月))という展示で、意外と面白い。色々な野菜が主人公の日本では珍しいメルヘン調のパステル画展だ。なんだか癒される感じ。
気分が和んだところで次の列車で甲斐小泉に向かう。駅は資料館の裏手からすぐだ。小海線は夏休み最後の日曜日だからか、何かイベントがあったためか、鉄道ファンなどでごった返し、満員だ。小淵沢駅の一つ手前の甲斐小泉駅で下車、平山郁夫シルクロード美術館は駅の目の前だ。駅で次の列車時刻を確認ーー一時間半後だ。西アジア・中央アジアの仏教美術の教室の講師がこの博物館の学芸員で、入場券をいただいているので、今回初めて訪問することになった。美術館に展示室に入ると、まずガンダーラの仏像などが並んでいる。ここは平山氏らが蒐集した最も古い仏像などが並んでおり、世界的にも知られているようだ。ギリシャ彫刻のような仏像を見ていると不思議な気持ちになる。日本に渡来した様々な仏像、神像のほとんどは、インドや中央アジア、西アジアの様々な神様が元になっており、日本でも神仏習合といわれるが、西アジアでも事情は変わらない。ヒンズー教、ゾロアスター教、キリスト教、ヘレニズムなどのごった煮だ。それが次第に不寛容な一神教ばかり強くなったのが、不幸の始まりかーー??
西アジアの仏教遺跡・石窟など、近年多くが一層の破壊にさらされている。平山氏はそうした遺跡の保護のために国連などを通じて走り回った。そうした保護の記録資料も展示されていて、興味深い。同氏のシルクロードの絵画と合わせて鑑賞、見学できる。見学を終えて、ガンダーラ仏などの図録をいくつか買い求め、次の列車で小淵沢駅に出て、昼をほとんど食べていないので、駅構内の立ち食い蕎麦で「馬肉蕎麦」を食す。これを食べると信州を旅した気分になる。預けておいた大荷物をロッカーから回収し、帰宅の途に付いた。
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