川苔山〜赤杭尾根/百尋ノ滝経由
- GPS
- 07:05
- 距離
- 13.9km
- 登り
- 1,056m
- 下り
- 1,173m
コースタイム
- 山行
- 5:43
- 休憩
- 1:22
- 合計
- 7:05
天候 | 晴れ時々曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2014年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
|
コース状況/ 危険箇所等 |
■通行止め中の細倉橋〜百尋ノ滝の渓流ルートの現況を踏査。湿って滑りやすく、狭い橋も多い足元の悪さはあるが、落ちた橋以外に大きな崩落等はない。問題の「く」の字に曲がった落橋は、頑丈な鉄材の重み?で両岸に密着しており、人が取り着いた程度ではぐらつかなかった。落橋後、足をかけやすいように加工されている。岩稜やバリエーションルートの経験豊富な人なら渡るのは難しくない。雨天、増水時に近づくのは自殺行為。 ■赤杭尾根は4年ぶりだが、やや荒廃した印象。赤杭山西方で南が開ける区間50mほどは背の高いススキの藪漕ぎに。植林帯の急斜面を巻く道は幅が狭く、滑落要注意。 |
写真
感想
北アルプス笠ヶ岳登山で左膝の回復に自信がつき、かねて夏場に涼を求めに行こうと思っていた奥多摩・百尋ノ滝を訪ねることにした。ところが、肝心の渓流コースが通行止めとのこと。ヤマレコでは通過した山行記録も散見されるので、無理せず往復40分の渓流見物のつもりで引き返すことを視野に、早朝の電車に乗った。
奥多摩駅8時35分発のバスに乗る。ぎゅう詰めでも積み残したが、「このバスは先行の臨時便として運転します」とのこと。川乗橋でモタモタ準備していると、残った人の乗った続行バスが到着した。先行バスだけで15人ほどが降りただろうか。
初めは林道歩き。山際から差し込む朝の木漏れ日が気持ち良い。暑くも寒くもなく、気持ち良い爽やかさの中、心拍数120の脂肪燃焼ウオークを念頭にテンポよく歩く。笠ヶ岳で悩まされた気管支の調子もまずまずで、40分で細倉橋に着いた。10人以上が休憩していたが、あえてトラロープを越えて渓流ルートを目指す人はいない。いささか後ろめたいが、「自己責任」と口の中で呟いてロープを山側から回り込んだ。高山植物の保護地域などに踏み入る訳ではなく、行けるか行けないか、どう通るか、すべて自分で自分の力量を判断するバリエーションルートの山行の一種だと解釈する。
木橋を越え、V字に水流が落ちる滝を右手に進む。結構水量が多いので不安になる。長さ7mくらい、幅1mほどの木橋は鉄骨が支えていた。湿った踏板が滑りそうで慎重に渡る。斜面からの水流が細道を横切って、ごうごうと音を立てる本流に注ぐ。真新しい木橋もあり、決して荒れてはいないが、もともとスリリングな登山道なのだろう。もちろん、柵もロープも橋の欄干も一切ない。足元の岩も苔が生えて滑りそうだ。
鉄骨造りの木橋を4〜5つ越した辺りで小さな滝の上にかかる同様の木橋へ。取りつきは半ば沢の中で、慎重に橋へよじ登る。渡った先にまたトラロープで通せんぼがあり、「危険 この先沢に落ちる恐れ有り」と注意書きがあった。大雪だったこの冬、沢の残雪の上を歩かないよう注意した指示書を再利用したらしい。
このすぐ先が、通行止めの原因となった落橋現場。これまで見たのと同じ鉄骨の橋が「く」の字に曲がり、かろうじて両岸に着いている。想像だが、谷に集まった大雪の重みで曲げられたのではないか。ともあれ、渡橋できるかを検討する。沢床に降りて横からゆすってみたが、ビクとも揺れないので、ずり落ちる恐れは少なそうだ。踏板は鋸を入れて、梯子のように足先がかけやすいように切欠いてある。問題は、橋の先の急斜面を2、3mよじ登る必要があることだが、木の根や倒木をステップ、ホールドに当てはめて登攀可能と判断した。今日の水量なら、ひと跳びでも越えられそうだが、苔の多い足場が剣呑だ。
結局、橋を使って無事に対岸へ渡った。次の支流をまたぐ橋の所で休憩。すぐ先にその支流の滝があり、涼しい風が吹き降りてくる。今度の橋には中央に鉄製の橋脚も立っている。さらに、長さ20m以上、水面からの高さも6、7mあろうかという橋で本流を右岸へ渡った。苔むす渓流とはこれでお別れで、しばらく登ると前方に通せんぼが見え、林道経由の新しい迂回路と合流した。
次は本日のハイライト、百尋ノ滝。再びたくさんのハイカーと前後しながら10分ほど行くと、落差40mとも言われる見事な滝が見えた。急な階段2つで滝の下まで近づき、一休み。水量も豊富で、確かに一見の価値はある。写真に収めて出発すると、ジグザグの急登が始まった。決してゆっくり登っていたつもりはないが、30歳前後と見える男性4人が追い付いて来た。道を譲り、その姿が見えなくなったころ、ふと振り返ると後ろにも付いてくる人はいない。再び一人気ままに歩いていると火打石谷を詰めた渡渉地点が見え、若いカップルを追い抜いた。渡渉地点では先ほどの4人が昼食中だ。
こちらは休まず進発。ほどなく足毛岩ルート分岐に至り、やはり人の少なそうな同ルートに向かう。軽く下って別の沢に近づくと、左上の斜面に男性1人が立っていた。バリエーションへ入ったというより、何となくルートを見失った様子だ。
首をかしげつつ進むと、源流近い感じの荒れた沢に至った。渡った先に踏み跡がありそうだが、倒木などで渡渉点ははっきりしない。一方、薄い踏み跡が渡らず右岸伝いに上流へ伸び、奥に小さな滝が見える。とりあえず踏み跡を30mほど入ると、大きな岩の手前で左へ曲がり、急速に不明瞭になってしまった。そのまま行くと男性がいた辺りの斜面に至るはずだ。
引き返して強引に水の少ない沢を渡ると、果たして「保安林」の看板があるはっきりした道があった。新しそうな針金で作った柵の間を抜け、南に向きを変えて斜面をトラバースしていく。20分ほど歩いて、やっと足毛岩の肩の道標に至り、道を間違えていないことが確認できた。
この先は標高差250mほど急な尾根を直登する。案の定、ほかに人っ子一人通らない静かな道を息を喘がせて登り、稜線に躍り出た。向こうに川苔山らしきピークが見える。最後の急登と思って詰めた先は偽ピークで、もう1段上が本当の頂上だったが、どうやら予定時刻の正午に登頂することができた。
着いてみれば、子供連れから年配ハイカーまで大勢が頂上でランチを楽しんでいる。こちらもコッヘルでお湯を沸かしてマジックパスタを作り、仲間入りした。朝よりだいぶ雲が増えて、時折日が陰るとすっと気温が下がる。
小一時間ゆっくりして出発。下りはやはり人影少ない(はずの)赤杭尾根を古里駅へ向かう。頂上からあふれて登山道沿いの木陰で休憩するハイカーを横目に、まずはまっすぐ東の曲ヶ谷北峰へ登り返した。振り返ると、川苔山では木々に隠れていた蕎麦粒山がはっきり見える。ここで指導標に従って右へ。少し登り返すと、間もなく南峰に至る。再び幅広く刈り払った防火帯状の尾根となり、気持ちよく歩みが進んだ。
盛りを過ぎたマルバダケブキの残り花に、渡り蝶のアサギマダラが止まっている。15分ほどで防火帯の尾根から右へ道が折れ、南東へ急勾配の尾根を下るとエビ小屋山分岐。ここから北斜面を辿り、やがて林道に飛び出す。しばらく砂利道を歩いてから林道を左に分け、南が明るく開けると、このコースで数少ない見晴し展望地点に到着する、はずだった。
西の方に本仁田山らしいどっしりした姿が見える。南の大きな山は大岳山だろうか。この先、もう少し視界が開けた所があるはずという記憶をもとに進むと、背丈より高いススキの藪に入ってしまった。4年前の秋は、こんな大きなススキなんてなかったはず。景色を楽しむどころか、半そでの腕を引っかかれないように藪を漕ぐのに苦労した。
50m余りで林に戻り、ほっとして進んでいくと「あと10m」と記された意味不明の赤杭山の標柱。10m先はただの林で、山頂なんてカケラもない。この後は、ほとんど展望も期待できず、多少痛み始めた左膝をだましだまし下り続けた。わずかに開けた視界から見えたのは、赤杭山の山腹を切り崩した巨大な砂利採取場?だけだ。
大きな杉が1本立つ尾根で南斜面に乗越し、10分でズマド山手前の古里駅と川井駅方面の分岐へ。この辺りは60度近い急斜面に細々としたトラバースの踏み跡が伸び、岩場のようなつかまる所もないので、足を滑らせたら大けがすること確実だ。この難所をクリアすると、わずかに視界が開け、城山とその足下にアーチの目立つ新しい橋が見えた。まだかなり下らなければならないようだ。
20分後、道が緩やかになり、ようやく森の先に民家の屋根が覗いた。開けた所へ出る直前に汗を拭きとり、タオル地の頭巾をはずして帽子に替えた。擁壁の階段を降りれば登山口。駅への最短経路を探すと、道路向かいに小さな標柱があり、細道をほぼ真っ直ぐ辿るルートであったことを思い出した。
指示の通り歩いて線路脇に着くと、ちょうど上下線の電車が停車中だった。どうしようと思う間もあらばこそ、どちらも出発。仕方ないので踏切を渡り、古里駅の待合スペースにへたり込んだ。少々遅くなったが、今日も河辺駅前の温泉で疲れをいやして帰るつもりだ。
「電車が行ってしまった…」哀愁が漂ってます。
ここは奥多摩らしいしっとりとした沢ですね。
きれいな沢の写真をみると、その沢を歩いている自分の姿を想像してしまうのは病気ですかね?(笑)
百尋の大滝も立派で、写真を拝見しただけで飛沫と轟音とマイナスイオンを感じるようです。
これは条件反射かもしれません。(笑)
先般の2泊3日の冒険で歩く事にだいぶ自信を回復されたようですね。
私自身、半年前には決死の思いで2時間のハイキングをしていた事が嘘のようです。
現在でも下降では膝が痛むので、補助のステッキ(1本壊し2本目です)は欠かせません。
来月の除去手術後には楽になるのかどうか…。
蔵王楽さん、適度に無理を重ねてお大事に!
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