奥久慈ハイキング 西金から下野宮 県北ロングトレイル
- GPS
- 11:24
- 距離
- 23.0km
- 登り
- 2,082m
- 下り
- 2,029m
コースタイム
- 山行
- 10:14
- 休憩
- 1:10
- 合計
- 11:24
天候 | 晴れ時々雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2023年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
白木山分岐から第二展望台間の登山道で複数の崩落箇所がありました。通行不能ではありませんが相当用心して通過します。特に崩落した部分はぬれていて土が崩れやすくてとても滑りやすくなっています。天候によってはこれに凍結が加わります。 崩落箇所ほど悪くはありませんが倒木が登山道を完全にブロックしている箇所も複数ありました。場所によっては巻く必要もありました。 山行日の気温は高かったため、登山道の凍結は余り見られませんでした。凍結箇所を避けて歩けば滑り止めは不要でした。ただし3月までは天候によって凍結の具合は激変するので、簡単な滑り止めを携帯することは必須です。 大子アルプス21峰は県北ロングトレイルの一部として開通してから、どんどん歩きやすくなっていますが、急斜面の登り降りを20回以上繰り返すきついコースです。またエスケープルートも実質ないので、時間配分に注意します。 水郡線は日中極端に本数が少ないのでダイヤをあらかじめ確認します。 |
写真
装備
備考 | ヘッドランプ、ゴム引き軍手(商品名「タフレッド」)、スマホGPS、タオル、水2L(ほとんど飲みました)、行動食(菓子パン、おにぎり) |
---|
感想
1月に積もった雪の影響が登山道崩落に出たような感じだった。一方第後アルプスは気持ちが悪いくらい歩きやすかった。総じて快適な縦走だった。
追記
ダイヤ改正による大幅な減便は回避されて良かった。
ーーー以下は自分のためのメモーーー
■最後の縦走になるかもしれない
水郡線の常陸大子以北は極端に利用者が少ない。一日、一キロ当たりの利用者数(輸送密度)は今回の縦走の帰路で用いている下野宮が含まれているところの常陸大子-磐城塙間では152人である。輸送密度が1000人/キロ・日を下回る路線は存廃を検討するというから、今年3月18日のダイヤ改正で常陸大子以北の水郡線が廃止される可能性がある。
参考:
https://nordot.app/924426432528662528?c=62479058578587648
今回の縦走は下野宮駅から西金駅まで水郡線に乗れることが前提になっているから、改定ダイヤの内容によってはもう縦走できなくなるかもしれない。
コロナで県外登山を控えてきた自分のおなか周り(体脂肪)と脳内(ストレス)の緊急事態宣言から解放してくれたのが西金ー下野宮ハイキングだ。歩けるうちに歩いておきたい。
■中止か決行かで揺れた
下野宮発の西金方面の汽車は1532、1732あたりが候補になる。特に登山後に車窓からの景色を楽しもうとするのであれば1532に乗りたい。
前回(今年1月)は11時間程度で歩いているから4時スタートならいけるだろう。4時スタートなら家を3時に出なければならないが、それには2時起床だ。
ところが土曜日にはその日の登山で着ていた服の洗濯(土曜には薮山をやったのだから土だらけ)などで手間取り、就寝は10時になってしまった。3時にガラホの目覚まし時計をセットして床に就いた。
アラームの音を聞かず、ひとりでに目が覚めた。目覚ましのセットを誤ったのかと時刻を調べて驚いた。1時ではないか。3時間しか眠っていない。遠足当日の子供状態か、前日の登山の興奮が残っているのか。それにしても大子アルプスは3時間睡眠でやれる山ではないだろう。
実際からだが動かない。腰から下が重いし、二の腕から指先までがひりひりする(岩を攀じたあとの指先のヒリヒリ感は達成感があって悪くはない)。筋肉の状態的にも11から12時間歩くコースをやる状態ではないだろう。
今日は土曜日の登山の記録を整理しよう。とりあえず寝なおそうとしたが眠くならない。起床直後の3時間は頭の切れる黄金の時間だ。体は重いけれども頭は働くだろうから、というわけで最後の力を振り絞って起床した、、、
元気じゃん。
布団の中の感覚とは裏腹に、若干の筋肉痛は残っているものの、布団から抜けてみると体が軽かった。これなら歩ける。準備は済ませてあるし、1時台に起床したおかげで時間はたっぷりある。当初の予定を少し前倒して3時少し前に出発した。夜明け前で道が空いていることもあって。3時台に西金駅に到着し、4時10分前に歩き出した。結果的にこの10分が大きなアドバンテージになった。
■天の川のち雨
天気予報は雨のち晴れだったが、西金駅では満天の星空。かすかに天の川が見えるような気もする。天気予報が外れて今日は穏やかなハイキングになりそうだと思いつつ、夜中の林道を大円地越へ向かった。ナウマンの足跡を通過したあたりで奥久慈岩稜を視界に捉え、星空をバックにした入道岩に昨日の感動を新たにした。
大円地から一般コースをのんびりと歩いていく。雪解け(?)の影響か上部の沢の水が登山道を浸していた。大円地越の気温は朝5時半で2度。暖かい。
大円地越から頂上稜線へ出る急登の最中に落ち葉がパタパタと音を立て始めた。雨だ。最近の天気予報はすごい。この朝のうちの雨を当てたのか?気温が高く結構汗をかいていたので、雨具を着込んで汗びっしょりになったら雨に濡れるのと同じことだと思ってそのまま登山を継続した。雨のち晴れなら長続きはしないだろう。山頂近くなってようやく明るくなってきた。雨もやんだようだ。
男体山山頂は6時で5度。昨日の暖かさがまだ続いているようだ。山頂の祠で昨日の入道岩登頂の感謝とこれからの精進を誓って長い間手を合わせた。
■登山道崩落
月居山への縦走中は男体山神社へ間違って降りかけてしまった。この薮を縫って降りていく急斜面はおかしいなと、登り返してみたのだ。しばらく歩いて考えてみればGPSアプリで地図上の位置を見ればよいことを思い出して確認してみると、懸念どおりの道間違えだった。さらに少し登り返して標識までたどり着くことができた。
白木山分岐から本格的に月居山方面縦走路に入ってからが悪かった。一番心配していた残雪の凍結はなく、どちらかというと凍結箇所は霜が凍結したものだった。また登山道が完全にアイスバーン化している箇所はなく、慎重に氷を避けて通れば、滑り止めを使わなくても何とか通ることができた。
ペースダウンはむしろ複数個所あった登山道の崩落だった。いずれも立ち木が根元から倒れることによってそばの登山道をえぐり、倒木とともに崩落したのだ。土の垂直の壁を攀じたり、倒木の根方までクライムダウンしたのちに登り返したり。
途中初めてすれ違ったハイカー(ランナー?)の方によるとその先にさらに2箇所崩落箇所があるという。崩落情報を交換してお互いの無事を祈念して別れた。
実際かなりひどい崩落があり、通れないことはないもののという状態であった。さらに崩落したての地面は水をたっぷり含んで大変に滑りやすい上に、場所によっては再凍結してアイスバーン化していた箇所もあった。通過に試行錯誤を要して時間を食ってしまった。もっとも昨日の疲れを考えるとこの試行錯誤はいい休憩だったのかもしれない。
第二展望台、鍋転山(第一展望台)で奥久慈の山々の景色に機嫌を良くし、いよいよ月居山が視界にはいった。そして最後の急登は登山二日目の脚には結構堪えた。かろうじてけいれんさせずに急登を通過し、月居山のジャンダルム(筆者が勝手にそう呼んでいる月居山の手前にある小岩塔)で三度奥久慈に続く低山の山並みを楽しんだ。時間を節約するために、このあとは来た道を引き返してジャンダルムを巻き、月居山頂前のコルから山頂を登り返した。今日はこの登り返しも普段に比べてきつく感じる。
下野宮1532の汽車に乗るための通過時刻のノルマはこう考えていた。
月待ちの滝1500:ただし1500月待ちの滝では駅までの3キロ余りの道のりは走りに近い。
生瀬富士1100:この時刻で通過できれば、月待ちの滝のノルマは余裕を持ってこなせる。
月居山0900:
月居山登頂時刻は0910だった。道の崩落のせいか若干遅れているが生瀬富士に1100に到着すればあとは頭を空っぽにして歩けば、強い脚のけいれんがなければ何とかなるだろう。
次の関門は月居山を降りて山王山への登り返しだ。ここで足をけいれんさせずに通過できるかどうかで調子がわかる。結果は、オーライ。かろうじてけいれんさせずに山王山頂を登頂した。寝床を抜けたときにそれなりに調子がよかったのはうそではなかったようだ。
汗びっしょりで歩いてきたので、山王山からの下山地点でほとんど夏と同じような薄着になり、目出し帽から頭タオル巻きに切り替えた。
■生瀬富士へ
次の懸念事項は滝川(袋田の滝と生瀬の滝を擁する川)の渡渉点が靴脱ぎなしでいけるかどうかだ。冬季は基本的には靴脱ぎなしでいけるはずなのだが、最近の寒さの緩みで、1月末に積もった雪などが融けていると多少水量が増している可能性もある。何組かのハイカーとすれ違ったが、靴を濡らしてきた形跡もないから大丈夫だとは思うのだが。
山王山を下っていると生瀬の滝上部の水量は多めで、水音も大きく感じられる。少しどきどきしながら、そして山王山下部の土付きの霜が解けたぬかるみに何度も足を取られながら渡渉点を目指した。滝川対岸に二人組みのハイカーがいる。一番深い部分で先頭が少しためらっている。結構難しいのか。しかし通過しているようだ。これなら大丈夫だろう。渡渉点は水量が前回よりは増していたものの、浅いところを選べば最後のいかだ橋まで順調に通過することができた。この橋が流されていたりするとかなり困難なのだが。
これで一安心。あとは体力勝負だ。まずは滝のぞきまでの連続急登だ。ここでは脚がけいれんしてしまったが、少し休むことでペースを取り戻した。
立神山までの登りはアップダウンが結構あり、ここがピークだろうと思ったところが偽ピークだったというところがいくつかある。しかし最近は体と心がそれに対して準備しているようで、ここはまだ山頂じゃないんだよなあ。あと二つくらい偽ピークがあるよなと用心しているから、期待を裏切られてどっと疲れることはない。
立神山を通過し、さらにひと歩きして生瀬富士南峰に到着した。時刻は11時10分前。余裕ができたから北峰まで行ってこようというわけで、いつもの直登のルートで北峰を往復することができた。前回通過したその日に設置された新しい天使のレリーフが再度行方不明に。あれはここにあってこそ意味があるのに。
■楽でも厳しい大子アルプス
生瀬富士の岩場をクライムダウンしてコルまで歩くと、本日の縦走の本番が始まる。峠の馬頭観音様に無事を祈り、土付きの急斜面に取り付く。ここは天気がいいとざらざらのアリ地獄で、雨のあとなどは湿ってつるつるで、進まない急登だったのだが、県北ロングトレイル開通後よく知られるようになって使用するハイカーが増え、すっかり歩きやすくなった。
そのせいか、今回全体的に歩いていて気持ち悪かった。自分の常識と比べて大子アルプスが非常に歩きやすくなっていたからだ。今までははいつくばってクライムダウンするしかなかった急斜面が、使い込まれることで階段のようなステップが自然発生していた。そのせいでずり落ちの度合いがずいぶんと少なくなったのだ。いつもなら大子アルプスの急斜面を這いつくばって登り降りするときに地面に噛み付かせる小石を携帯する(筆者は「石ピッケル」と呼んでいる)のだが、今回は石ピッケルは途中で手放してしまった。
それでもサディスティックな急斜面のアップダウンが20回以上続くコースであることには変わりはない。
急斜面に取り付くのとほとんど同じタイミングで、記憶に新しい音が再び耳に入ってきた。それは今朝夜明け前に聞いた落ち葉をたたく雨音だ。生瀬富士まではのどかに晴れていたではないか。実際空は明るい。天気雨の一種なのだろうか。樹林帯は直接には雨に打たれないし、気温は高めで薄着でいないときついので、とりあえず雨具は着ずに様子を見ることにした。
結局雨は大子アルプスを歩いている最中降ったりやんだりを繰り返していた。足もとが雨でぬかるんでいくことが心配されたが、自分が歩いている最中に雨のせいで足もとが気になったのは終盤の急斜面だけで、それ以外はざれがちの足もとが適当なお湿りで締まることによって靴がよく地面にとどまってくれた。
21峰をやみくもに歩き続けるのは心が持たないので、中途に自分なりのチェックポイントを設けている。生瀬富士側から歩く場合:
最初の急登後のピーク(番外)
三角点「赤坂」(18峰相当)とそのあとの眺望点
P373(14峰相当)
11峰とその手前の草地(トンネル上部)
7峰とそのあとの林道の横断点。
p327(6峰相当)
三角点「釜田」(4峰相当)
1峰
庚申塚とゴール
の順だ。
大体11峰、横断点後の登り返しで足がけいれんするのだが、今回もご多分にもれず両足太ももがけいれんした。それでもだましだまし歩かなければならないというほどのものでもなく、このくらいのダメージは仕方なかろう。ややペースを落としてけいれんが出ないように気をつけつつ、6峰前に少しコースを外れる番外ピークを寄って行くだけの元気も残っていた。
終盤5峰を越え、筆者が命のベンチと名づけている木製ベンチで最後の補給をすると、4峰相当の三角点「釜田」までが、判っていても精神的にはきつかった。偽ピークがいくつもあるからだ。ピークが見えても「ここまだ三角点じゃないからな」と言い聞かせながら、つりそうな足をつらないようにうまく調整しながら登り降りしつつ、小さい野原みたいな「釜田」のピークを踏んだ。
足がつるのが普通の疲労どかどうかは疑問もあるが、この程度の疲労だと、4峰を踏むと、あとはきつい登りがないからひと歩きだという気持ちになる。ものすごい下りで体力を消耗するのだが、踏み跡が発達して歩きやすくなったので、以前のように四つんばいでクライムダウンする必要もなくなったので本当に楽になった。
散々下った挙句に小岩塔の3峰に到着すると、残酷なアップダウンはほとんど終了だ。岩稜歩きっぽいところを通過するので疲労により墜落しないように用心しながら、偉大な久慈川と川沿いの豊かな水田(ただし今はまだ田起こし中)、そして奥久慈の延々と続く山並みを見て愉快になってくる。
大子アルプスを歩いている最中ずっと、1532の汽車で西金に戻れるかどうかが気になった。できれば日が残っているうちに水郡線に乗って、車窓から今日歩いてきた山並みを振り返りつつ車に戻りたい。
おおよそ月待ちの滝15時到着のペースは守れそうだが、15時到着ではそのあとの下野宮駅までの歩きがきつい。できれば15時10分前に着きたい。そう思いながら第1峰を通過した。時刻は1440。ここからは今までのサディスティックなアップダウンがうそのような快適なハイキングコースだ。どこにそんな元気が残っていたかというペースで庚申塚を目指した。1448に庚申塚と馬頭観音に手を合わせて縦走を終えた。
時間に若干の貯金ができた。途中の自販機で飲み物を買うこともできるぞ。
ゴールの下野宮駅に到着したのは1518。予定出発時刻より10分早いおかげで、汽車の到着時刻(1532)に余裕を持って駅に着くことができた。
下野宮からは、大子アルプスを眺め、常陸大子での車両連結のガチャガチャという音と振動に機嫌をよくした。さらに常陸大子からは久慈側沿いの峡谷と、この角度からがすごい長福山と男体山の雄姿に興奮する汽車旅を楽しんでゴールの西金駅に到着した。
■エピローグ
後日他の方の山行記録を読んだところによると、今年の奥久慈トレランのレースコースに大子アルプスが含まれるという。主催者はどれだけ鬼畜なのかと思う。
縦走の翌週、2月25日に改定ダイヤを掲載した時刻表が販売された。下野宮の時刻は1532が1531に改定されていた点を除くと変更はなく。筆者が一番心配していた常陸大子以北の水郡線の廃線、大幅な減便は回避された様子。しばらく水郡線を使った県北ハイキングを続けることができるだろう。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する