【日光】野門沢アイスクライミング


- GPS
- 23:51
- 距離
- 16.1km
- 登り
- 1,729m
- 下り
- 1,717m
コースタイム
- 山行
- 9:46
- 休憩
- 0:59
- 合計
- 10:45
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2023年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
・八汐原林道のゲート前に駐車。ゲート前は広くなっているが、積雪が多く、除雪してから駐車した。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
【アプローチ】 ・八汐原林道終点までは積雪があったりなかったり。適宜ショートカットするほうが速い。 ・野門から富士見峠を経て日光に下る峠道は江戸時代以前からの歴史がある古道らしく、所々にしっかり道普請された跡がみられる。なお、地形図の破線の位置は不正確である。 ・布引の滝遊歩道は、特に沢を横断する箇所が荒れている他、雪が積もっていると分かりにくい箇所も多いが、概ね通行には問題ない。 ・1637m標高点の北では、遊歩道を外れてトラバースするほうが楽。ピンクテープが設置されている。 ・布引の滝の前衛滝は、氷結が良ければ直登できるが、今回は左岸から巻いた。残置ロープ有だが、悪いので下降時は懸垂下降の方が良い。右岸から巻く記録もある。 ・幕営適地は、林道終点及び遊歩道途中の広場。河原にも幕営可能そうな場所があった。 ・水は、遊歩道が帝釈沢右俣及び左俣と交わる地点から取れる。 【氷瀑】(いずれも仮称) ・帝釈沢左俣右沢の氷瀑:落差20m程度、立木までRS35m程度。左の緩傾斜部IV+。右の垂直部は登っていないがV程度か。この右にも登らなかった氷瀑あり。 ・帝釈沢下の大滝:帝釈沢左俣左沢にある氷瀑で、IV、RS40m程度。左にも氷結が悪かった氷瀑あり。 ・帝釈沢大滝:下の大滝の上にある氷瀑で、V、RS50m程度。幅が広く、同時に複数のラインでも登れる。 ・夫婦の氷瀑:右が雌滝、左が雄滝。雌滝はIV+、RS65m。雄滝はV+、RS60m。 ・布引の滝左の氷瀑:V、RS60m。上流にも緩傾斜の滝があったが、氷結が悪く登れず。 ・布引の滝左の氷柱:中央の氷柱部がV、RS20m。左の緩傾斜部ならIV程度か。 |
その他周辺情報 | 【地名】 ・八汐原林道という名称は用例が少ないが、以下で使われている。八汐原がどこかは不明。野門林道としている記録もあるが不正確と思われる。 https://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000090446.pdf https://ameblo.jp/photojbl/entry-12458296241.html ・野門沢支流の名称は、登山大系によると、1290m左岸が帝釈沢、1680m右岸が三界沢、1980m左岸が専女沢、2100m左岸が剣ヶ峰沢。渓流釣場事典によると、920m左岸が小山岩沢、1015m右岸が長岩沢、1680m右岸がヤゾノ沢。関東周辺の沢には枝沢名の記載がない。 ・野門沢の氷瀑群の開拓はされており、氷瀑に名称もついているという噂を聞いているが、詳細は不明であるため、今回は別に仮称を付けた。 【その他】<2023.7.1 岳人の記録について追記> ・布引の滝は、今回は融けていたが、3月14日でも凍っていた年もある。 https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-600825.html ・岳人454号に、宇都宮白峰会による布引の滝冬季初登(1985年1月20日)の記録がある。布引の滝主瀑のみの登攀。この記録内の記述によると、1975年正月に大阪わらじの会により冬季遡行が行われているが、布引の滝は高巻かれている。 ・今回登った氷瀑は、関東の氷瀑の中では比較的標高が高く、北面で日当たりが悪い上、水量が少なく融けにくいことから、登れる期間が長いと思われる。シーズン終盤に行くのに良い。 |
写真
装備
備考 | 遊歩道を外れてトラバースする箇所ではチェーンスパイクが有効 |
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感想
【計画の経緯】
もともとS井と2人で別の場所を予定していたが、金曜の積雪と高温で雪崩リスクが高いと判断。標高が高く北面で、暖かさが続いていても氷が残っていそうな、野門沢へ転進、他のメンバーも合流して5人となった。
【山行】
○1日目
八汐原林道のゲート直前で、急に積雪が増え、車がスタック。頑張って除雪して駐車スペースを作ったが、結構大変だったので、戻ったほうが早かった。何やってるんだか。
林道は適宜ショートカットしながら進み、展望台から見えた布引の滝は、予想通り大穴が開いて小り、登るのは厳しそう。その先、林道の踏み抜きが激しくなり、かんじきを付けたが、その先でまた雪は減ったので、必ずしも必要ではなかった。
林道終点で、ジャンボテントを持っていて荷物の重いLと酒瓶を持っていて荷物の重い西の佐藤がここで幕営したいと希望したため、ここで幕営。林道東側の台地が、平らで眺めも良くちょうど良かった。
遊歩道に入るころには気温が上がっており、雪が腐ってきてラッセルが面倒。遊歩道を外れて氷瀑へ向かうとさらに面倒。tamoshimaは春の雪山には行かないので、今までで一番最悪な雪質だった。
不快なラッセルをこなして登っていくと、日当たりが良くなって雪は減り、最後はトラバースして氷瀑へ。20m程度の手頃な氷瀑(帝釈沢左俣右沢の氷瀑)があったので、tamoshimaリード。程よく緩んだ氷で登りやすい。
左隣にある帝釈沢下の大滝を登っているntsummi、NG野、西の佐藤を見送り、S井とさらに左へトラバースしてみると、立派な氷瀑が2つ並んでいるではないか。しかも、良く凍っている。とりあえず、右の易しそうな雌滝から登るが、60mロープでぎりぎり足りず、最終盤5mほどをコンテで登った。この滝も適度に氷結が緩く快適。
ついでに上流をチラ見してみたが、寝ていて氷結が悪い滝が1つあるくらいで、いまいち。時間の関係で、雄滝にTRを張って登ることにする。雄滝は雌滝よりも立っていて、TRでもそれなりの登り応え。右の垂直部ならVI-はありそうだし、時間があればもっと楽しめそう。
登攀終了後、尾根を下って遊歩道の広場まで降り、登攀具をデポして帝釈沢右俣で水を汲んで、テントまで戻ると、暖かさのためテントの外で宴会している3人がいた。
○2日目
2日目は布引の滝まで見に行きたいと思っていたが、ラッセルが大変そうなので、tamoshima、S井、西の佐藤の3人で向かう。広場から先のラッセルは、予想していたほどの大変さではなく、朝で雪が締まっているためかんじきもそれなりに有効で、前衛滝の下へ。前衛滝は、一応左が繋がっていたので登れなくはなさそうだったが、ロープは必要で面倒そうなので、左岸巻きを選択。アイゼンを付けてナメ氷を少し登って、チェーンスパイクに換えてトラバースしていくと、さしたる困難はなく布引の滝下に着いた。
布引の滝は下段が全然繋がっておらず、全く登れそうにないが、狙っていた左側の氷瀑はよく凍っているし、そのさらに左の氷柱も良さそう。まずは左の氷瀑を登ることにして、落差を計測すると50m弱なので、60mロープで届きそう。tamoshimaリードで登ると、下部の強傾斜部はまずまずの登り応えで、上部の緩傾斜部はふくらはぎパンプ系。どちらの要素もある良い氷瀑だった。
上流にも、さほど傾斜の強くない滝があるのでついでに登ろうと、tamoshimaリード。しかし、雪の下に氷があるかと思ったが、ない。雪を払いのけると岩と水流が出てきたため、敗退。まさか、この標高とこの水量で凍っていないなんて。
左の氷瀑を懸垂下降し、次にさらに左の氷柱を西の佐藤リード。90度近い傾斜はあるが、氷が適度に緩んでいて登りやすい。しかし、アックスを刺し過ぎて、抜けずに西の佐藤は苦労していた。この氷柱は終了点に良い木がないのでV字スレッドで懸垂下降し、シーズン最後のアイスクライミングは終了。
ラッセルが面倒なので、行きに巻いた前衛滝は帰りも巻くことに。tamoshimaは、滝屋が設置したと思われる残置ロープ伝いに下ってみたが、結構悪く、懸垂下降した西の佐藤とS井が正解。
帰りがけ、前衛滝の下流右岸にある氷柱を改めてよく見てみたが、よく立っていてVはありそう。同じ会の先輩であるRげんの初リードがこの氷瀑だと聞いているが、今年の氷結状況だったらそれはあり得ないだろう。やはり、氷瀑はその時々で随分違う。
決めていた集合時間の15時ちょうどに幕営地に戻り、撤収。緩んだ雪に悩まされながらも下りなので楽で、1時間かからずに車に戻れた。
【感想・総評】
暖かい日が続く中、氷瀑が残っているかどうか半信半疑で行ってみたが、想像以上に多くの登れる氷瀑があり、とても充実した。アプローチが近くはないものの、シーズン終盤でも登れる氷瀑として、価値あるゲレンデだと思う。
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