林道日和茶坂瀬駐車場から寒峰(かんぼう)周回
- GPS
- 04:47
- 距離
- 7.1km
- 登り
- 778m
- 下り
- 781m
コースタイム
天候 | 晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2023年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
下山ルートの後半は一般ルートではない。林道着地点、滑落注意。 |
その他周辺情報 | 祖谷温泉は自然湧出源泉かけ流し。 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
ズボン
靴下
グローブ
防寒着
雨具
靴
ザック
昼ご飯
飲料
レジャーシート
地図(地形図)
コンパス
笛
ヘッドランプ
GPS
ファーストエイドキット
保険証
携帯
時計
サングラス
カメラ
シュリンゲ
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感想
ゴールデンウィークは恒例通り祖谷の隠れ家へ。隠れ家から眺める山々の神々しさに、心洗われる想いだ。一番奥に峻立する尖った山は矢筈山ですでに登っている。左手に大きく丸い山容を見せているのは前烏帽子である。さらにぐっと左方向に尾根は続き、その先にあるのが寒峰で、今回はこれを目指す。隠れ家の横の小尾根を少し登った展望地からは、正面の山腹にハート形の集落が眺められる。栗枝渡(クリシド)という名の集落である。その名は、源平合戦に敗れてここに落ち延びた安徳天皇一行が、祖谷川を倒れた栗の木(枝)にすがって渡り、ここに隠れ住んだという伝承に由来するという。一方、栗枝渡集落には八幡神社があるが、この神社には鳥居がないという。その理由はここが神道の社ではなくキリスト(クリシド)を祭っているものだからだとの説もあるそうだ。というわけで、謎めいた集落なわけだが、今日は隠れ家にほど近い下瀬トンネル脇の旧道から、車でこの栗枝渡に上がり、八幡神社の下をさらに奥ノ井へ、そして住吉神社脇から林道上部の駐車場まで行く。奥ノ井あたりから上は少しましになるものの例によってデリカではぎりぎりいっぱいの幅の急な隘路を行く。駐車場は今年開削された広いスペースで、眺めがよい。3月のフクジュソウシーズンに多くの人が登るようになり、それに対応すべく作られた駐車場なのだろうか。フクジュソウが終わった今は我々以外にあるのはブルドーザのみ。下山時にも我々の車しか置かれたいなかった。
駐車場から少し林道を登った右手に階段があり、そこから登っていく。足元にはミルフィーユのように薄い層の重なったキラキラ輝く岩屑が散らばっている。玄武岩かとも思ったが層状片岩という変成岩らしい。そして少数派ながら白い大理石(石灰岩)も交じっている。左の斜面は檜の植林、右は浅い窪状の地形に温帯広葉樹が生えたところに出る。そこに看板が立ち、フクジュソウ群生地であることが記されている。確かにフクジュソウの特徴的な葉が随所にみられるが、花は散って実がついている。その代わり、周囲には多くのヤマシャクヤクが今を盛りとばかりに咲き誇っている。花が開き切らない傾向の強いベニバナヤマシャクヤクとは違って、ヤマシャクヤクの花はきれいに開いている。ニリンソウに似た、しかし一回り小ぶりの花はトウゴクサバノオであろうか。群落を形成して咲いている。エンゴサクの紫も映える。植林の下からはウスバサイシンが多数ハート形の葉を出している。しかし、四国には幼虫がこれを食べるギフチョウ(もちろんヒメギフチョウも)はいないそうだ。緩斜面を過ぎると小尾根末端に達して道は左に曲がり、栗枝渡三角点に向かっての急登となる。コース中、ここが一番苦しい。三角点から右に折れまがると傾斜は緩んで眺望が開けてくる。西寒峰を巻いて山腹を行く辺りは、再び花園となり、フクジュソウの上部の群生地と思われる。ここにもヤマシャクヤクが数多く生えているが、まだ蕾だ。西寒峰の脇を抜けると広々とした園地となり、キジムシロの類が黄色く陽光に輝いている。周囲は美しい温帯広葉樹林で、快適な登行となる。正面のピークは寒峰か、いや少々近すぎる。進んでいくとやはり手前のピークであった。やがて木々がまばらとなって笹原に飛び出すと、本物の寒峰が大きく迫ってくる。四国の山々に特徴的なササの伸びやかな頂稜を行く。右側は急峻に切れ落ちて、高度感が快感を呼ぶ。見下ろせは祖谷の山郷がはるか下にのぞまれる。山頂からは雄大な眺めが広がり、烏帽子山へと続く稜線がうねうねと続いている。右手奥には三つのピークが綺麗に見て取れる。なるほど、三嶺と呼ぶのはこの山容の故か。誰もいない山頂でしばしくつろぐ。
ここから烏帽子山への稜線を少々進んで、古い道標の立つ地点から「奥ノ井」と書かれた道へと入る。一旦左寄りに進んでジグザグに下り、途中から右にトラバースして支尾根に乗る。あとは忠実に稜線を下っていく。支稜線直下は急であるが、その後はさしたることもない。1279mPKの手前の小鞍部には「寒峰」と指示のある道標が括られていて、林道終点へのルートは左に斜面を下っている。我々はなおも稜線を進む。ここから先はルート外であるがよく踏まれている。一気に下ってもうちょいで林道、という地点で尾根を離れ、右手に急斜面を下る。慎重に下って林道に降り立つ。ここから駐車点まではセメント被覆の車道となる。駐車場に戻る途中、水利作業をしている地元の男女に出会った以外は、誰にも合わない静かな山行となった。
隠れ家に戻って一夜を過ごし、翌日は大歩危で遊覧船の観光客となる。雨の予報が裏切られて見事な五月晴れ。なんだか得した気分のゴールデンウィークであった。
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