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Yamareco

記録ID: 5681363
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
剱・立山

19970726-28台風のはざまの剱岳、立山別山

1997年07月26日(土) 〜 1997年07月28日(月)
 - 拍手
dada5555 その他6人
GPS
56:00
距離
17.2km
登り
1,842m
下り
1,844m

コースタイム

1日目
山行
3:15
休憩
1:12
合計
4:27
7:26
42
8:08
8:20
53
9:13
9:24
32
rest
9:56
10:26
39
11:05
11:24
29
rest
11:53
2日目
山行
5:29
休憩
2:25
合計
7:54
6:05
20
6:25
6:28
43
7:11
7:22
46
8:08
0:00
35
平蔵ノコル
8:43
9:35
28
10:03
10:08
35
平蔵ノコル
10:43
10:57
35
前剣直下
11:32
11:41
17
11:58
12:35
21
12:56
13:10
49
rest
3日目
山行
3:20
休憩
2:26
合計
5:46
7:57
21
8:18
0:00
55
9:13
0:00
26
9:39
9:56
60
10:56
11:30
29
11:59
13:34
9
13:43
室堂
天候 7/26:曇時々雨
7/27:晴
7/28:曇時々雨
アクセス
利用交通機関:
電車 バス
室堂がスタート&ゴール
その他周辺情報 ミクリガ池温泉
予約できる山小屋

感想

 梅雨明け10日の好天を狙うつもりで、職場の仲間達と北アルプス北部の立山・剱近辺を歩いてきました。しかし、迫り来る台風9号の影響で当初の計画通りには進まず、剱岳と立山別山の登頂に終わりましたが、台風の影響は最小限で、山小屋はすいていて1グループで一部屋取れるというこの時期にしては超ラッキーな面もありました(^_^)。

 迫り来る台風に職場の者から「大丈夫かいな」といわれつつ、大阪発の直通バスに乗り込み一路室堂へ!予定より早く7時10分頃には室道到着、曇ってはいるが雨は時折パラつく程度。しかし、風が強い。水をくみ、見繕いをしてさっそく出発。
 当初は雷鳥平から新室堂乗越に登り奥大日岳を往復して別山乗越に行く予定だったが、強風と悪天が予想されたため雷鳥坂から直接別山乗越を目指した。
 雷鳥平キャンプ場から雷鳥沢を木橋で渡った所でやや雨が強くなり、雨具とザックカバーを装着、ついでに休憩とした。ここから標高差約500mの登り。最初沢筋から尾根に登り、ジグザグに高度を稼いでいく。降りてくる人たちが言うには「昨日はドピーカン」「上部は風が凄く強い」とのこと。背後の室堂があっと言う間に低くなり、箱庭のようである。登山道の両側の沢にはミヤマキンポウゲ、ハクサンイチゲ等の高山植物が咲き誇り登りのしんどさを慰めてくれる。雷鳥沢から1時間弱、休憩とした。しかし、順調なペースである。
 風が強まる中登行を続ける。春には登路となる沢は今は百花絢爛のお花畑と化していて、目をなごませてくれる。傾斜が急になり稜線が近づいてくると、唐突に剣御前小屋が目に入り、別山乗越到着。
 風が強く、結局小屋に入っての大休止とする。この強風を見ればやはり奥大日岳の往復を中止したのは正解だったようだ。小屋は休憩料100円だが何か注文すると休憩料は只となり、私とF氏以外は熱いインスタントのおしるこを注文、以後、剣御前小屋はしるこ小屋と呼ばれることとなった。
 30分の休憩後、強風の中、剣山荘に向かった。最初から雪渓のトラバース、更にしばらくしてまた、雪渓、しかし、斜度は緩く、みんな危なげなく歩いていった。何故か徐々に天気は良くなっていくようで、剱岳にかかるガスも少しずつ薄くなっていく。幾つか尾根を回り込むと剣山荘が眼下に見え、雪渓の横で休憩。すると剱岳が遂に顔を出し、記念写真の嵐となった(^_^)。 20分弱休憩後、出発するが、剣山荘は近いようで時間がかかる。
 クロユリノコルへの道と分かれ、下っていき、やっと剣山荘到着。一泊二食付きで¥8400。二階の一番端の10畳の部屋に案内され(うるさそうなグループと思われたのだろうか?)、入口の土間でミニ宴会の始まり。コーヒーや紅茶を沸かしビールを飲み、といった状態であり、台風の影響で登山者の少ない小屋で目立っていたかもしれない。
 ひとしきり騒いだ後、部屋に引き上げひと休み。時折晴れ間が見えるが風は相変わらず強い。TさんとNさんと三人で外に出て強風の中、一服剣を目指してポコポコ歩いていく。しばらくしてS氏が大学時代にスキーの距離競技で鍛えたパワーでやって来るのが見え、風の弱い所で待ち時間とした。S氏と合流して更に進むがますます風が強い。やっとの事で一服剣到着、強風で立っていられない程だ。しかし、西方は視界が開け、能登半島も望めた。
 下りはアッというまに小屋に帰着、すると丁度風呂タイムであり、絶望的な天気予報を喫茶室で見た後、汗を流しに一風呂浴びた。部屋で休んだり、高山植物の勉強(?)をした後、17時から夕食(メニューは忘れた(^_^;))。この時期これだけしか宿泊者がいないのか、と疑いたくなるくらいにすいていて、まさに台風様々である。
 夕食後は貸し切り状態の部屋に戻ってウノタイム(^_^;)。19時前のNHKの天気予報でも台風はスピードが遅く、天候は良くなりそうもなく明日の剱岳登頂は無理か、と思われた。20時には就寝したが、夜間も強風が続き、小屋全体が揺れる時も多かった。台風で剣沢小屋が倒壊したという話がふと頭に浮かんでしまう夜だった。

 27日(日)は4時過ぎに山小屋の親父の放送で目が覚めた。結局、台風の影響は最小限だったということだったが、なかなか味のある放送だった。更に朝食は5時頃とのことだったが4時45分頃に朝食の用意ができたとのこと、天気の回復に合わせて早くに準備したのだろうか?
 朝食を済ます頃から登山者が続々と剱岳に向かって出発していく。我々も青空が広がりつつある中、出発した。風は昨日より弱いとはいえまだまだ強い。みんな調子はまずまずそうで一服剣まで20分で到着。前剣が大きく立ちはだかり、本峰は見えない。後続の中高年大パーティが後に来ているので早々に先に進んだ。
 少し下ると右方に真砂沢の山小屋が見えた。そして、前剣への浮き石の多い登り。ここでも大パーティを追い抜く。落石・浮き石に注意しつつ、順調に高度を稼ぎ、大岩の鎖場の下で夫婦連れを追い抜く。稜線に出ると風がまだ強いが、今日も能登半島がよく見えている。
 そこから少しの登りで前剣頂上。剱岳本峰が大きく威圧的である。ここからは鎖場が幾つも出てくる。そこを越えるとしばらくは鎖場もなく、途中から稜線の西側に入り風も無くなったが、次の鎖場で稜線の東側に出るとまた風が吹き付けた。
 幾つかの鎖場を越えていくと右手に平蔵谷が近づき、前方にはカニのタテバイが近づいてくる。先行パーティが取り付いており、我々も気合いが入ってくる。平蔵ノコルは素通りしていよいよカニのタテバイに取り付く。スタンス、ホールドはしっかり整備されており所々腕力を駆使してゆっくり登っていく。途中右側のルンゼに抜けた方が簡単かとも思ったがそのままルートを登り、バンドに出て右にトラバースするとカニのタテバイも終わり、あとは頂上までは鎖場はない。
 ここからは頂上までのガラガラの斜面を登頂の喜びを噛みしめるかのごとくゆっくり登っていき、早月尾根分岐を過ぎ、痩せ尾根になると頂上の祠と憩う登山者が見え、遂に剱岳登頂\(^_^)/。 剣山荘から2時間38分で思ったよりかなり早く着いてなかなか足のそろったパーティであることがうかがえる。とりあえず記念写真を済ます。目を東方に向けると後立山方面の稜線にはガスがかかっている。南方の立山方面の登ってくる途中は見えていたが今はガスで見えない。西側は早月尾根、早月小屋、馬場島、富山方面、日本海、能登半島と良く見えている。北方は剣北方稜線、小窓尾根、毛勝三山から東芦見尾根と見えていたが東側からガスが上がり、あまり見えなくなった。祠の西側の風の当たらないところで大休止、はるばる持って上がったデサート用の杏仁豆腐や行動食をそれぞれ食べてエネルギーを補給。
 ガスが徐々に多くなってきて、1時間弱頂上に留まった後下山開始。早月尾根分岐を過ぎ、カニノタテバイからの道との合流点を過ぎるといよいよカニノヨコバイである。徐々に下って鎖に掴まってヨコバイに降りる所が高度感があり、つい恐怖心を抱くと体が岩にへばりついて黄色いペンキが塗ってあるスタンスが見えなくなって見ていて滑り落ちそうで非常に恐い。どうにかクリアし、あとはハシゴと鎖をつつが無くこなして平蔵のコルのトイレの横に降り立った。
 少し休憩し、更に鎖場の続く道を行く。特に帰りは苦労することもなく前剣の巻き道に入り、前剣直下で休憩。振り返ると剱岳本峰が大きい。このパーティでよくあそこまで登ってきたものだとつくづく感慨深い!
 前剣の下りからは落石に気を付けながらゆっくり下る。武蔵のコルから一服剣への登り返しが思いの外しんどい。一服剣からは剣山荘が眼下に見え、ああ降りてきたなあ、といった気分になる。
 剣山荘に戻り、荷物の整理をし、御前小舎に向けて登り始めた。
 クロユリノコルへの分岐まで距離は短いがやや急な登りでみんなの息使いが荒くなる。分岐点からしばらく行った尾根を越す所で休憩。剱岳を振り返ると本当に行って来たのか、とやっぱり思えてしまう。ここから別山乗越まではダラダラ登りで、ゆっくりと登っていく。
 剣御前小屋に到着して、受付を済ませて、とりあえず、荷物を2階の部屋に置き、1階の自炊室で店開き!Nさんの出してきた瓶のワインにはみんな意表を突かれた感じ。一度開店するとあとは騒ぎすぎて、小屋のおやじさんに注意を受ける羽目となってしまった。
 部屋に戻って17時半の夕食まで熟睡。起き抜けの夕食は残念ながらたくさんは食べられず、夜間の空腹の原因となってしまった。明日の好天を期待し、別山で御来光を見ようと朝食は弁当にしてもらったが、7時前の天気予報では台風9号は山陰沖に居座り、どうも明日は今日よりも悪いみたいでがっかり。その後、百名山のビデオで立山・剱岳・薬師岳を見て、富山方面の夜景を見て床に付いた。
 剣御前小屋も今日はすいているみたいで、結局1グループで一部屋もらうことができた。尚、小屋とは別棟の公衆トイレは女性陣に言わすと風が下から吹き上げてきてお尻が冷たく、落とした紙が吹き上げてくるという「恐怖のトイレ」だったとのことだった。

 28日は御来光を見ようと3時半起床のつもりで起きてみたが、外は雨(;_;)。 とても起きる気にはならずに又寝込んで結局5時半頃の起床となった。朝食は弁当を頼んでいたので、自炊室で朝から店開き!徐々に天気は回復してくるようで、立山を縦走するかどうか迷ってしまう。
 結局、縦走は取りやめ、空荷で別山まで往復することとした。空荷だと流石に速く、20分ちょいで別山南峰到着。ガスは辺りは晴れている。硯ヶ池と雪渓が美しい。別山最高点(北峰)目指してもう少し歩く。北峰はケルンが幾つかあるだけの静かな山頂!ここより先は別山北尾根として急激に落ち込んでいる。記念写真やらケルン作り(ミニ剱岳作り?)やらで山行最後の日を思いっきり楽しむ。
 小屋戻る途中も名残を惜しんでしばし休憩何ぞをとる。
 剣御前小舎に戻り、荷物をまとめて名残惜しいが下山開始。フーフー言いながらたくさんの人が登ってくるのを尻目に快調に下っていく。高山植物が美しい。ジャスト1時間で雷鳥沢到着。いつもながら下山はあっけない。雷鳥沢に架かる橋を渡った所に少しだけ残った雪渓で尻滑りや腹滑りを一人ずつ子供のように楽しめるのも山の良い所だ。「ああ、山って本当に良いよなあ」と立松和平風に思わず言ってみたくなる(^_^;)。
 ここからの登り返しは下りに慣れた体には案外きつい。途中、室堂在中のガイドみたいな人がいて、ハクサンボウフウやミヤマアキノキリンソウなど、わからなかった花の名前を教えてもらい、ようやくミクリガ池温泉到着\(^_^)/。
 とりあえず、入浴し、着替えて昼食。入浴料は一人\500。雨が降り出しそうな中、室堂バスターミナルに向かった。室堂からはバス、ケーブルを乗り継ぎ、立山駅からは予約していたサンダーバード立山号で一路大阪に向かった。

 一時は台風9号の接近でどうなることかと思ってましたが、思ったよりかは天気は良く、台風の影響は最小限だったようです。おまけに山小屋はこの時期にしてはガラガラでまさに台風さまさまといった感じで予定のピークの内、奥大日岳、立山、浄土山は行けなかったものの、メインの剱岳そして立山別山には登頂することができ、まずは満足すべき山行だったと思いました!

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