メントク・カングリ 6200m 〜ツォモリリの美しさに終始感動😭〜


- GPS
- 80:00
- 距離
- 18.2km
- 登り
- 1,527m
- 下り
- 1,584m
コースタイム
2日目 高度順応日
3日目 ベースキャンプ〜メントクカングリ6200m〜ベースキャンプ
4日目 ベースキャンプ〜コルゾック4500m
天候 | 4日間晴れ。降雨なし。 |
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過去天気図(気象庁) | 2023年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
5300mのベースキャンプまでは危険箇所なし。 ベースキャンプから山頂までのアタックは東陵を登るが、稜線ジャストは険しすぎて登れないので、南北の斜面どちらかを細かく巻きながらになる。尾根の北側は雪渓、南側は岩稜である(部分的に残雪あり)。今回ガイドのソナムは南側を多く使った。南の岩稜はロープを使わなくて良いのがメリットだが、落石とスリップ要注意である(実際、ガイド達は残雪で滑って危なっかしい場面もあった)。北側の雪渓は安全だが、アンザイレンの必要があるため、スピードが出せない。どっちもどっちであり、どちらにするかは趣味の問題だろう。 |
その他周辺情報 | ベースキャンプ5300mはツォモリリを眼下に見渡せる素晴らしい場所。高度順応の為にもぜひのんびり滞在して欲しい。 |
写真
人を拒絶するか思えるほどの自然の中でこれほど強固な宗教の営みがあることに私は激しくショックを受けました。
感想
ラダックのストック村でゲストハウス「にゃむしゃん」をやっている悦子さんから、また6000峰を登りませんかとお誘いがあった。前回登ったのは11年前。
ストックカングリ6123m:
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-214490.html
注)現在は登山禁止
11年前にラダックで初めてお会いした悦子さんとワンボのご夫婦だったが、その後日本でも何度かお会いし、随分仲良くなっていた。コロナが明けていきなりハードな土地に旅行に行くのも抵抗があったので、信頼出来る友人がいるラダックは旅先として適地だった。
コロナの最中は4000m以上の高峰を全く登っておらず心配もあったが、事前にできることはやろうと、5月から富士山4回、7月には北岳でテント泊行って体を慣らした。現地ではダイアモックスは6日間服用したせいもあり、高山病は頭痛だけの軽傷で済んだ。
一緒に登った佐藤さんは今回初めてお会いした。以前ウルトラマラソンをやっていたほど屈強な方で、私がついていけるか心配だったが、結果的に無事に登ることが出来た。厳しい環境の中で6日間何事もなく楽しく過ごせたのは、明るい佐藤さんがパートナーだったことも大きい。佐藤さんはツォモリリに来るのはなんと3回目だったので、色々詳しい情報も聞けたのも良かった。
メントクカングリの登山は標高が高いのは問題だが、技術的にはそれほど本格的なものではなかった。ただ、危険度は高く、特に落石とスリップによる滑落には十分注意する必要があった。ガイドもクライアント個人のケアは必ずしも十分ではないので、自分の身は自分で守る必要がある。これは以前登ったストックカングリとは大きく違うポイントだった。
登山目的の旅行だったが、結果的はツォモリリの湖の美しさに終始心を奪われていた。ベースキャンプの5300mから見下ろすツォモリリは本当に美しく、ここに来ただけでもういい!と思える場所だった。さらに、麓のコルゾック村のゴンパで僧侶や村民たちのツェチュのようなイベントにも立ち会うことができたのも貴重な体験だった。
人を拒絶するかにも見える厳しい環境の中で、よくもこれだけの文化の火を絶やさず、人々は生活を繋いできたものだ。ツォモリリの旅は景色の美しさのみならず、人々の営みも想像を超えた驚きに満ちたものだった。
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7/30 ◆ツォモリリまでの移動日
ラダックに入って3日目。昨日は4100mのトントンラまでハイキングに行き、高度順応はだいたい上手くいっている。果たして高山病を克服して6200のメントクカングリの山頂に立てるだろうか? 不安はあるがここまで来たらもう行くしかない。
ストック村のにゃむしゃんを8:30に出発。クライアントは私と佐藤さん、ガイドのソナム、コックのロブサン、アシスタントのヤンベルの合計5人、ドライバーを合わせて6人全員がジープに乗り込んで出発。ソナム、ロブサン、ヤンベルの3人は皆ザンスカールに住んでいるそう。これから向かうツォモリリとは真逆の方だ。ツォモリリまでは230キロくらい。6時間くらいかかる。
途中、チュマタンという所で休憩。ここは温泉があり湧き出しているところも見られる。食事に入ったレストランで、なんと佐藤さんの友人のインド人の方と遭遇。なんという奇跡。驚いた。
ツォモリリは標高4500mにある湖。同じような景色の湖では近所にパンゴンツォもあり、こちらはインド映画「きっとうまくいく」のラストシーンで有名になった。佐藤さんはツォモリリの方が好きだと仰っていた。
今日は湖には立ち寄らず、湖畔にあるコルゾック村を通り過ぎ、コルゾックプーという谷に入る。一段上がると草原の高台が開け、絶好のキャンプ地が広がっていた。ところどころに小さな小川が流れていて美しい場所だ。ここはヤクや羊の放牧の場所でもある。荷物を下ろし、ジープは帰って行った。明日から4日間、化石燃料動力なしの生活が始まる。
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7/31 ◆コルゾックプー4600m〜ベースキャンプ5300m
今日の工程は短いのでゆっくり出発。いきなり道がないので適当に登っていく。この辺りは放牧できるぎりぎりの標高である。踏み跡も薄く、ルートファインディングも適当だが、地形は温和で安全なので問題ない。高台に登ると今回目指すメントクカングリ6200mとツォモリリが見えてきた。ツォモリリの美しさに目は釘付けだった。
ベースキャンプは4時間ほどで到着。素晴らしい場所で一目で気に入った。ツォモリリより800m以上も上であるが、足元すぐ下に広がっている。座って景色を眺めているとあっという間に時間が過ぎる。景色を見ていると遠近感が狂ってしまい、頭がおかしくなりそうだった。
そのように景色をぼーっと眺めて午後を過ごした。その間、ガイド達は薬草やお祈りに使う香草を取りにあちこち歩き回っていた。薬草はアムチに高く売れるらしく、目の色を変えて探していた。
夜は満月に近い月がでた。真夜中でもライトは不要。おかげで星はあまり見えなかったがツォモリリの湖面に映る月明かりがとても美しかった。
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8/1 ◆ベースキャンプで高度順応
この日は高山病の症状が1番出る日だろうと警戒していた。ダイアモックスは三日前から服用中。朝起きると頭痛がひどいが、食欲はあり吐き気もない。想定内だったので少し安心だった。
問題なく歩ける体調なので、9時半から散歩に出ることにした。危ないかもしれないので、一応ソナムについてきてもらう。氷河の末端の5700m位まで登り、戻ってきたが、斜面は急で崩れやすい大岩が多くベースキャンプまでの牧歌的なルートとは違っていた。明日は暗い中で安全なルートを取らなくてはならない。不安はあるがソナムが上手くリードしてくれるだろう。
午後からは頭痛も少し良化した。昨晩あまり寝られなかったので少し昼寝もするが、テントの中は日差しで激暑である。やはり熟睡はできない。5300mでは致し方ないだろう。
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8/2 ◆ベースキャンプ5300m〜メントクカングリ6200m〜ベースキャンプ5300m
3時半出発。ソナムと私と佐藤さん、そしてコックのロブサンも同行する。ヤンベルは1人で留守番だ。月は山陰に入ったのでそれほど明るくない。ライトをつけて出発する。昨日登った氷河の末端までは崩れやすい岩に十分注意がいったが順調に到着した。
氷河の末端で東陵に取り付くが、稜線ジャストは岩が険しすぎて登れない。尾根の北側の氷河登るか南側のガレを巻くかだが、ソナムのルート取りは南側のガレがメインだった。ガレはロープを使わなくて良いのでスピードはとても早い。ただ小石がまぶしてある岩の道は滑りやすいので十分注意がいる。ところどころ残雪もあるので油断ならない。そして感動の日の出。山頂の稜線もだいぶ近くなった。
山頂直下で尾根の北側にスイッチしクランポンを装着。ここで先行していたスイスパーティを抜かした。彼らはアンザイレンでずっと氷河を登ってきていた。時間はとてもかかっていたが安全確実なシステムだ。
山頂は驚くほど静かだった。ただツォモリリが眼下に美しく横たわっているだけだった。湖を挟んで東にはルーサルカングリ。この山は6600m以上ある。簡単に登れそうだが、中国との国境が近いので軍事的な理由で登山はできない。西にはザンスカールの山々も見えた。かなり遠くだが、魅力的な稜線だった。ガイド達がザンスカール出身だということもあり、私は今回の旅行でザンスカールにとても興味を持った。山々を見ながら、次回はあっちだ!と密かな決意をしたのだった。
下山はあっという間だったが、途中小さな雪渓でソナムがスリップして危ない場面があった。落石も怖いので気が気ではなかった。尾根の南側を巻くルートは安全確保が難しいとつくづく思った。
ベースキャンプではヤンベルがご飯を作って待っていてくれた。無事に下山し脱力して思いっきりリラックスした。午後も昨日と同じように、ただツォモリリを眺めて過ごした。
8/3 ◆ベースキャンプ5300m〜コルゾック4500m
昨晩ダイアモックスを飲むのをやめたらこの日の朝はひどい頭痛で参った。もう下山だと油断していたが、やはり5000以上の睡眠は油断ならない。ガイド達ザンスカーリーも頭痛であまり眠れないと言っていた。地元民でも辛いんだから、軟弱日本人はダメで当たり前だろう。でも佐藤さんはなんともないらしい。ダイアモックスも飲んでいないのに、スゴすぎる。
ツォモリリを見ながら贅沢な下りであっという間にコルゾック村まで降りてきた。村から徒歩5分の川沿いにキャンプを張り最後の夜を過ごす。時間は潤沢にあるので、佐藤さんオススメのビューポイントでツォモリリを眺めた。ベースキャンプもよかったが、湖面そばで眺めるのもまた良しだった。
そのあと、村のコルゾックゴンパを見学したが、何かのイベントをやっていて大勢の人が集まっていた。たくさんのお坊さんが集まりお経をあげていた。先程まで人っ子一人いない大自然に身を置いていたのに、この変わりようには驚きだった。お寺の裏山が6000峰。ラダックの驚きはどんな辺鄙な場所でも必ずお寺があり、人々が集っていることである。このように宗教や文化的なものを大切にして何百年と厳しい土地で命を繋いできたのだ。
夕食ではロブサンが登頂お祝いのケーキを焼いてくれた。ロブサンは料理が本当に上手でケーキも美味しかった。標高も4000m台になったため、この晩は思いっきり熟睡出来た。
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8/4 ◆ストック村にゃむしゃんまでの移動日
この日は移動するだけ。早くにゃむしゃんの皆さんに会って、美味しい料理を食べながら登山を報告したい。一目散にストックまで帰ってきた。
UTカングリから無事に戻ってきた方々と楽しく飲み食いしながら夜は更けていった(ラダックに入ってから初めてビール解禁!)。にゃむしゃんはいつでも旅人を暖かく迎えてくれる。明日はもう日本に向けて出発しなければならない。残念ではあるが、日本から遠く離れたラダックにこのような「巣」のような場所があるのは本当にありがたいことだと改めて思った。
コメント
この記録に関連する登山ルート
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海外の山は、なかなか馴染みがないのですが、天国のような景色と共に興味深く拝見いたしました。
淡々と山を楽しんでいらっしゃるtriglabさんのレコからは、いつも刺激をいただいています😊。ありがとうございます。
コメントありがとうございます。
ラダックは標高が高いことを除けば、難易度は低い山が多いです。ラダックは治安がよく、人も穏やかで、生活風土もエコで興味深いです。旅行先にするにしても、そして旅行ついでに山に登るにしてもとても良い行き先だと思います。
機会がありましたら是非…。
素晴らしい景色なんですね‼︎
ベースキャンプ地を最終目的地にして行ってみたくなる場所です(´∀`*)
オキシメーター、4000m以上では70台は普通で、私は60台になることもしばしばです。60台の時はだいたい頭痛と吐き気で辛くなります。今回は70までは下がりましたが、なんとか平気でした。コロナの時は95を切ったらヤバいとかテレビで言ってましたが、何言ってんの?と思ってました😂
5000m以上で寝るのは地元民でも辛いと言ってました。でもそれを補って余りある風景でした。近頃景色を見てもあまり感動しなくなっていたのですが、今回は飽きる暇がなかったです。
ラダックも本当に色々な場所があり、感銘を受けること間違いなしですよ。次はザンスカールに行きたいと思っています。
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