とある山・捜索編パート5



- GPS
- 06:42
- 距離
- 4.9km
- 登り
- 483m
- 下り
- 482m
天候 | 晴れ〜捜索にはもったいない天気 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年02月の天気図 |
アクセス |
写真
懸垂下降はちゃんとやれば安全なのですが、一つ間違えると死亡事故にもつながるリスクがあります。絶対に失敗は許されないので、直前に何度か繰り返しやってもらい、メンバーでお互いのセッティングを確認しあい、私が下でバックアップするという体制を取りました。
幸い飲み込みが早く、初めてとは思えないです。
感想
手がかりなきまま早くも5週間が経過しました。
最高の天気にもかかわらず捜索に参加します。
だって山スキーのブーツが壊れたんです(笑)
右のブーツが滑走モードにできなくなって、ユルユルで滑らないといけません。
慣れれば何とかなるのですが〜(笑)
さて本日は小さな山頂直下の急斜面を懸垂下降で下って調べます。
50mで3ピッチ使って谷まで降りましたが、手がかりなし。
まだ雪が残っています。
懸垂下降は一人ずつしか下降できないので、1本のロープに群がる(笑)人数倍の移動時間がかかります。
谷に着いたらお昼過ぎてました。
さすがに日の当たらない雪の積もった谷でお昼というのは寒いので、まだ行ってない谷筋を登り返します。
まあしょっぱいこと。ピッケルを刺したり枝にかけたりして登ります。
尾根沿いに取り付いた時にはすっかり汗をかいてしまいました。
ここから登山道に戻るのはすぐかと思いましたが、キレット部があり滑落の危険大。
捜索に行って遭難するのはご法度です。100%安全を保証できる行動が望まれます。
なのでロープを出してフィックスを張り、確保しての移動です。
久しぶりにやると思い出せるので訓練にはピッタリです。
遭難対策委員も若手が増えるのは喜ばしいことです。
基礎技術と知識、そしてリスク管理の考え方を伝えて行くことが大切で、私自身も含めて成長するいい機会です。
しかし、このエリアでは未発見の遭難者が4名となってしまいました。
1件を除いてすべて単独です。その1件も実際にははぐれた上での単独行動中での遭難でした。(後日気がつきましたが、4名全員が携帯電話を持たずに登山されています)
単独登山というのは、何かあった時にすぐにメンバーが知らせることができないという欠点があります。パーティーを組んでも、ロープで結び合ってた全員が滑落するとか、全員が雪崩に巻き込まれるという事例もありますから、パーティーなら安全というものでもないのですが。
単独でばかり行かれる方の中には、ネットや書籍からの情報だけで登山をされるケースが多いと思いますが、歩き方や道具の使い方などが適切かどうかを他の方から客観的に判断してもらう機会がありません。
そのため主観的な、それが場合によっては偏った判断になったままのことがきっとあるでしょう。
正しい技術と知識が何かを理解し、それに対して足りない部分が何かを客観的に判断し、それを補うべく勉強あるいは訓練して身につける。こういうフィードバックループが働いていれば、単独でも何でも心配はありません。
身勝手な判断や、間違いを正視できない姿勢、あるいは間違いを正当化するような屁理屈は、いずれは大きな失敗につながります。
大自然を相手にする登山には、運も贔屓も情も通用しません。
そこにはただ、大自然の法則が横たわっており、それに反するものは大きなしっぺ返しを受ける、それだけなのだと思います。
コメント
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鈴鹿や比良の捜索に携わるようになり、一般には出ない情報を得るようになってわかったことは「経験や体力に関係なく遭難は誰にでも起こる」ということ。
逆にちょっと自信があり「自分は遭難しない」との考えを持つ方にその傾向が多い。ということ。
本人の気持ちはわからないが残された家族がいかに辛い思いをするかということ。
「ありえないはありえない」
もちろん、わたしにも可能性はあります。
スキル、知識、経験、そして、自然に対しての畏怖の念、絶対に忘れないようにしたいものです。
一日も早く発見して純粋に山を楽しみたいものですね。
珍しく真面目なコメントに少々躊躇してます
そうですね。遭難はある一定の条件を満たせば起こらない、というものではないでしょう。
強いて言えば、「迷いようがなく、滑落しようにもできない、落石も雪崩もなく、そして多くの人が歩いている登山道のある山にしか行かない」という方針にすれば大丈夫なんでしょうけど。
自分は遭難しないとか、自分だけはちゃんとしているから大丈夫、と思った時点で既に正しい判断ができていないと言えますね。
私も常に「死」を意識してますよ。それは登山中だけでなく、街中を歩いている時も自転車に乗っている時も、車を運転している時も。いつもそこに死ぬ可能性があると。それは決してそんなに低くないと。
そういう現場やご遺族の方々と対面していると、そういう想像力が広がりますよね。
だから常に、いつそうなっても悔いがないようにと思っています。仮にそうなったとしても、今際の際には「我が人生に悔いなし」と思えるように。
senrakuya さん こんばんは
こわい、やばいと思った経験は確かにあり。
何とか無事に帰れているだけなんでしょうね。
ゆえに、少しでも安全に行動できるようになるための努力は惜しまない。
トレーニングの効果はありました。
雪グズグズの下り坂、けっこう足がさばけました
momochannさん こんばんは
>自分は遭難しないとか、自分だけはちゃんとしているから大丈夫、
>と思った時点で既に正しい判断ができていないと言えますね。
どこかで、そう判断して一歩前へすすむのですが、
すでにそこには、危険が迫っていた。
ある意味、「我が人生に悔いなし」と思えることも必要なんですね。
まだまだやりのこしたこと、やり切れていないことがたくさんあるので、
臆病でありたいと思います。
churaさんこんばんは。
冒険家や一流のクライマーというのは、ある意味この臆病という防衛本能が弱い遺伝子を持った方々なのかなと思います。大胆な野生の鹿がいればすぐ熊に襲われるでしょう。
私も結構ヘタレですよ。
だから西穂〜奥穂の縦走には二度と行きません
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