奈良葛城4：風の森峠・高天彦神社から金剛山＋南郷遺跡群・室大墓・秋津・鴨都波遺跡ー橿考研とガイドさんに感謝
奈良県
hirokok510
体力度について
- GPS
- 10:11
- 距離
- 39.0km
- 登り
- 1,384m
- 下り
- 1,408m
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標高グラフを拡大コースタイム
- 山行
- 9:08
- 休憩
- 1:03
- 合計
- 10:11
| 天候 | 曇り |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2015年08月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関：
電車 タクシー
自転車
|
写真
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タクシーで6時過ぎに自転車を取りに行き、そこから風の森峠に移動ー佐味というのは古い文献に出てくる葛城4邑（渡来人の邑）の一つか？
ガイドさんは現地発掘報告会に参加しており、友史会の遺跡地図も持参していた。私自身は昨日橿考研情報コーナーでコピーした友史会の地図をうっかり宿に忘れてきたーー
ガイドさんは実際に現場に来た記憶から地形を確かめつつ、極楽寺ヒビキ遺跡の場所を割り出したーー。これらの圃場の下に遺跡は眠っているーー
葛城蘇津彦をうたった万葉歌ー蘇津彦はおそらく実在の人物というより、この地域を何世代にもわたって支配した複数の豪族の複数の首長の集合体と考える研究者が多い
時間が足りないので、南郷大東遺跡、安田遺跡はカットし、名柄遺跡の後に多田（おいだ）桧木本遺跡を訪ねた。ここは南郷遺跡群の北縁で居住に適した場所と言われている。
昨年の奈良の旅では橿考研でここ出土の家形埴輪を見たが、その後、豪族居館・家形埴輪などを少し勉強したので、じっくり見たかったが、今年は南郷遺跡群の場所チェックで忙しく、見損ねてしまった――残念ーー
付近の救急病院の敷地内から出た鴨都波一号墳は一辺20m位の小さな方墳だが、三角縁神獣鏡や漆塗靭（ゆぎ）など豊富な副葬品が出ている。時代は襲津彦の時代より少し前という。
感想
早朝、タクシーの迎えが来る前に散策、五條駅を見てから、コンビニまで下り、朝食、昼食、行動食や飲み物などを購入して6時15分頃タクシーで工業団地の事務所にチャリを取りに行く。そこから今日の旅が始まる。まず風の森峠までは登り。3�卍�度でも今日最初のチャリの登りは長く感じられる。風の森バス停や「至風の森峠」はあったが、「風の森峠」自体はどこにあるのか見落とした。また風の森社も探したがわからず、そのうちに高鴨神社に出た。こんな山間部にしては随分と立派な神社だーー式内社でこの地の豪族、鴨一族の神社で、京都の上鴨、下鴨神社を含む全国の賀茂神社の総本社というが本当かな？？境内に入ると立派な建物がある。大修理中とある。さらに進むと大きな池があり、表参道が見える。私は裏から入ったようだ。
ウィキには
「当地は鴨氏一族の発祥の地であり、その氏神として祀られたものである。鴨氏はこの丘陵から奈良盆地に出て、葛城川の岸辺に移った一族が鴨都波神社を、東持田に移った一族が葛木御歳神社を祀った。後に、高鴨神社を上鴨社、御歳神社を中鴨社、鴨都波神社を下鴨社と呼ぶようになった。」とある。
また施設は
「摂社
東神社（天児屋根命・天照大御神・住吉三前大神）
西神社（主祭神 多紀理毘売命、配祀 天御勝姫命・塩冶彦命・瀧津彦命）
末社
八幡神社・一言主神社・猿田彦神社・金刀比羅神社・聖神社・稻荷神社・松尾神社・細井神社・大山神社・春日神社・雷社・市杵島神社・八坂神社・西佐味神社・祓戸神社・牛瀧神社・佐味護國神社」
とあり、なるほど、末社の小さな祠が多数あった。ただ時代による編成も大きいようだ。
高鴨神社から斜面を登っていく。遺跡のアクセスばかり考えて、遺跡と遺跡をつなぐルートの地図が半分しか頭に入っておらず、そのまま進めばよいものを引き返して、30号線まで急斜面をチャリを押して進む・30号線は北側に向かって下り、すぐに高天口（高天彦神社入口）に出る。左折して高天彦神社に向かって登る。ママチャリで登るのはきつく、またこれから登る金剛山とそれ以降の遺跡巡りに体力を残さねばならないので、頑張りすぎは禁物だった。30号線の入口から高天彦神社まで標高差100m強、距離にして1�劼發覆ぁＥ个訶喘罅�7時半過ぎ「県営ほ場整備事業竣工記念」の石碑があった。南郷遺跡群の多くは、この圃場整備事業の事前調査で発見され、そして残念ながらほとんどの遺跡は新しいほ場の下に眠って、現在では発掘関係者以外はどこにあるのか、良く分からない状態だ。
結局、8時ごろ、高天彦神社駐車場に到着し、チャリを駐車場端に止め、不要な荷物をチャリの籠に残し。出発した。8時10分過ぎ、伏見道分岐から郵便道を進む。観光ボランティア・ガイドさんと11時半に神社前で会うことにしているので3時間半で戻らねばならない。一番早い郵便道を行く一手だ。山頂まで行けるかどうかわからない。既に当初計画より、1時間近く遅れている。郵便道は植林地の中の若干くらいやや単調な道。ところどころ、崩れたり、木の根がむき出しだったり、段差のある階段が続いたりと、結構傾斜もあって、楽ではない。こんな道をかつて郵便屋さんが山頂の神社まで届けたのか？？？！！！途中ヤマアジサイと思われる可愛らしいピンクの花が咲いていた。伏見道分岐から1時間40分くらい、9時50分すぎにダイアモンドトレールに出る。10時にすぐ先に一の鳥居、そこから5~6分で葛木神社に出る。1125mの最高地点が上の境内にあると書かれているので、早速階段を登り、参拝。もう10時10分近いので（カメラとGPSの時計があっていないようだがーー）、山頂広場まで行かずにすぐ下山する。ガイドさんにスマホで連絡し、11時半までに下山できそうだと確認する。快調に下るが後後のことを考えてあまり無理なスピードは出さない。今日一日の体力配分を考えながら下る。最初の鹿柵入口まで1時間10分くらいで下った。待ち合わせの神社に11時25分頃到着し、荷物を整理し、休憩しながらおいなりさん弁当を食べてエネルギー補給、ガイドさんがやってきて休憩所の東屋で打ち合わせ。これから訪問する遺跡と順路を確認、私が用意してきた二つの地図（一つは橿考研学芸員さんが作成したもの）を見ながら極楽寺ヒビキ遺跡から鴨都波遺跡に至る行程を確認。ガイドさんはバイク、私はチャリで下り始める。
最初、少し下ったところで往路とは別の道を進み、展望のよい高台に出る。ガイドさんはここから南郷遺跡群や室大墓、巨勢山古墳群などの立地、地形的な概要を説明、下って極楽寺ヒビキ遺跡の入口を探す。ガイドの松浦氏も橿考研の友史会会員で橿考研で見た分厚い友史会遺跡地図を持参していた。ただし遺跡のアクセスは書かれておらず、学芸員さんの地図とかつてヒビキ遺跡の現地説明会や友史会見学会などで来た時のことを思い出しながら案内。新しいほ場のあぜ道に近い細い道を進む。二光廃寺遺跡（これもほ場の下で案内板も何もない）入口と同じ道を入り、途中でガイドさんはスクーターで先に進んで道と景観・地形を調べ、当時を思い出したと遺跡発見の場所を案内してくれた。自分一人では、おそらくこの複雑な地形と道、ほ場との関係を把握してこの場所には来られなかったろう−−来てもここがそれという確信はとても持てなかったと思われる。やはり考古のガイドさんにお願いしてよかった。さて、ここから予定では南郷太東＋安田遺跡を訪問する予定だったが、ガイドさんもこれには自信がなく、時間的にも厳しいと判断し、割愛して極楽寺に向かう。極楽寺では参拝ではなく、少しく高台なのでさらに南郷遺跡群やその他の葛城氏関連遺跡や大和盆地全体を見渡せるということだった。次に近くの銅鐸・銅鏡埋納地を見る。石碑があった。
次に一言主神社を見学、古事記や日本書紀にも出てくる由緒ある神社で、古事記では天皇が奉納して、葛城氏の権勢が強い時代を表し、日本書紀では天皇は奉納せず、葛城氏の力の衰えた時代を反映している、という。境内にはお百度参りの百度石が二墨に置かれ、お百度参りの歩き方が示されている。また千二百年を越えるという銀杏の木やこの神社にちなむ万葉歌碑もある。茨城県をはじめ全国にある一言主神社はあるいは葛城の地のように大陸や半島の渡来系の人々の集団移住と関係があるのか？？
ここから名柄遺跡に向かう。小学校の校庭から出てきた集落、居館跡の遺跡であり、河内から水越峠を越えて大和盆地に至る古来の幹線道路に面しているので、関所のような場所であった可能性もあるという。古代、外国からの死者も通た道か？（竹内街道の方か？？）また遺跡内の溝跡から、5~6世紀の時代の武器や木屑、漆の入った壺などが出ており、工房跡もあったと考えられている。名柄遺跡を後にして、大規模な集落跡があったという多田（おいだ）桧木本遺跡に下る。地図とガイドさんの土地勘を総動員して、多田集落を探し、その付近のほ場を見学、ほ場のどこか（というよりほぼすべて）に遺跡が埋まっているのだ。2時ころ、多田集落をあとにして、室の大墓に行く前に室交差点近くにある御所市文化財事務所を訪ねる。ここで文化財担当官の考古学者、藤田 和尊氏にお会いする。「古墳時代の王権と軍事」の著者で、古墳時代の甲冑や武器に関する精緻な研究を積み上げている学者だった。長話になって40分くらい、話をした後、資料をいくつかいただき、先を急ぐ。室大墓では付近にある大きな池が当時の周溝を一部を保存している。また石垣はかつての葺石が使われているという。墳頂に登り、長持形石棺の説明がある。4世紀後半から5世紀前半の時期では長持形石棺は天皇家に近い人しか使われないものという。考元天皇の曽孫、竹内の宿禰の子である葛城襲津彦の墓とする説もあるが、実在の人物かどうか諸説ある。ただし、古代の幹線道路の傍なので天皇家に近い筋であることは否定できない。また有名な家形埴輪をはじめ、様々な形象埴輪の列が石室を囲んでいたことが記されている。室大墓で3時を回り、次に秋津、中西遺跡に進む。ここは京奈和自動車道の建設予定地で、巨勢山下のトンネル工事と遺跡発掘で、工事はここで止まっている。全国最大の水田跡の遺跡であり、集落跡も検出され、現在もなお発掘作業が行われている。かなり広い区画が掘られ、ブルーシートがあちこちにかけられ、シートの間には水路跡や掘立柱穴のような跡が見えている。さらに何が出てくるのか、期待は高まる。
最後に鴨都波神社〜遺跡を見る。ここは「大和の弥生遺跡」のHPの記述によると、
「 遺跡は葛城山麓より東方に延びる低い丘陵状地形の東端にあたり、標高99〜101m、葛城山系に源流をもつ柳田川と金剛山麓より北に流れる葛城川の合流点に面し、水に恵まれた絶好の場所に立地しています。
昭和28年以降、発掘調査が行われ、全期間を通じて営まれた拠点集落であることが分かりました。
検出された遺構には溝、高床建物と見られる柱列、矢板を打ち込んだ柵列、竪穴住居跡、大溝、木器貯蔵穴などがあります。
遺物も木器、土器、石器などが多量に出土しています。
この遺跡から出土する遺物の特徴として、「紀伊型甕」が挙げられます。この甕は和歌山で見られる甕ですが、中期に入ると鴨都波遺跡でも見かけられるようになります。地理的に近い和歌山との関係がうかがえる遺跡です。さらに北に位置する橿原市の四分遺跡では、「紀伊型甕」と「大和型甕」の折衷型である「四分型甕」が見られます。
奈良盆地内の遺跡とはやや趣を異にした遺跡と言えます。」
と、ある。また付近の救急病院の入口付近に展示のある鴨都波一号墳は古墳時代前期中頃の一辺20mの小さな方墳だが、銅鏡や装身具など豊富な副葬品で知られている。弥生時代から続くこの地の有力者のお墓なのだろうか？
今日は橿考研博物館の垣内さんやガイドの松浦氏のおかげで何とか葛城氏地域の様々な遺跡を見学することができた。大いに感謝する次第。最後は4時過ぎに御所駅付近の自転車屋でブレーキ系統を修理していただき、御所駅付近の駐輪場に止めて、JRで五条駅に戻り、これで大分体力温存することができた。
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