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Yamareco

記録ID: 7139497
全員に公開
沢登り
大峰山脈

【大峰】冬小屋谷 遡行

2024年08月13日(火) 〜 2024年08月14日(水)
 - 拍手
GPS
32:00
距離
10.7km
登り
1,269m
下り
1,278m

コースタイム

1日目
山行
8:00
休憩
0:00
合計
8:00
9:30
20
駐車地
9:50
20
池郷川の堰堤
10:10
440
冬小屋谷出合
17:30
八丁河原
2日目
山行
9:40
休憩
0:00
合計
9:40
6:00
300
八丁河原
11:00
180
P1274付近稜線
14:00
70
奥佐田山付近を通過
15:10
30
池郷川の堰堤
15:40
駐車地
天候 両日とも晴れ
過去天気図(気象庁) 2024年08月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
池郷川沿いの白谷池郷林道の標高点524mカーブ路肩に駐車(2〜3台程度駐車可能)。同カーブから池郷川に降りる踏み跡が付いている。白谷池郷林道は舗装されており走行は問題ないが,落石が多いので注意。
コース状況/
危険箇所等
・ 冬小屋谷は,さすが池郷と言った感じで両岸が終始立っており,高巻きが概ね悪い。もう二度と谷に戻れなくなるのでは…と不安になるほど高く巻かされることもしばしばだが,粘り強くルートを探ればやがては谷に戻れる箇所が必ず見つかるので,根気強さが必要。こんな谷ですので,複数人パーティかつ登攀力があるのであれば,滝場はなるべく直登したほうが総合的に言って時間と体力の節約になると思う。
・ なお,幕営地の八丁河原には何故か蚊があまりおらず,結局防虫ネットは使わずじまい。たまたまかもしれませんが。

【下山ルートについて】
・ 複数人パーティで車を2台用意できるのであれば,ルート本やネット上の記録にもよく紹介されているとおり,前鬼林道に車を回送しておけば話が早いが,なにぶん単独のためこの手段が採れないので,奥佐田山を経由してスタート地点の堰堤まで戻る方法を採った。
・ 遡行後に登り上げるP1274付近から前鬼林道に降りる林道のゲート(P885とP837の間の鞍部)までは他の記録と同じく稜線上を歩く。前鬼林道に降りる林道のゲートから奥佐田山までは稜線上に比較的きれいな林道が続いており,それが辿れる。林道は奥佐田山の西尾根の途中で途切れ,そこからは西尾根上の薄い踏み跡を追って池郷川へ降りていく。尾根が南西に分岐した後の激下り箇所は,尾根のつながりが分かりにくいので読図を慎重に。だいたい標高500mくらいまで下ってくると,はっきりした作業道に突然ぶつかるので,あとはこの道を池郷川の堰堤まで下りきり,駐車地の白谷池郷林道まで登り返せばOK。P1274から大体4時間半くらい。
池郷川沿いの白谷池郷林道を落石を避けつつ走り,地形図で標高点524mが記載されているカーブの路肩に駐車。2〜3台は駐車余地がある。
池郷川沿いの白谷池郷林道を落石を避けつつ走り,地形図で標高点524mが記載されているカーブの路肩に駐車。2〜3台は駐車余地がある。
駐車したカーブに写真の「保安林」の看板があり,そこから池郷川に降りる踏み跡が続いている。踏み跡は明瞭で,一度見つければ見失うことはないと思う。
駐車したカーブに写真の「保安林」の看板があり,そこから池郷川に降りる踏み跡が続いている。踏み跡は明瞭で,一度見つければ見失うことはないと思う。
池郷川の堰堤まで降りてきました。連日の猛暑のせいか,水量はだいぶ少ないようだ。
池郷川の堰堤まで降りてきました。連日の猛暑のせいか,水量はだいぶ少ないようだ。
遡行を始める前に,帰路に使う予定の奥佐田山西尾根の山道をチェックしておく。近年では奥佐田山を経由して直接池郷川の堰堤に戻る下山ルートを取っている記録がほとんどなく,このルートが生きているのか不明だったためだ。残念ながら,写真のとおり堰堤すぐ下流側の吊橋は落ちてしまっているようだが…
遡行を始める前に,帰路に使う予定の奥佐田山西尾根の山道をチェックしておく。近年では奥佐田山を経由して直接池郷川の堰堤に戻る下山ルートを取っている記録がほとんどなく,このルートが生きているのか不明だったためだ。残念ながら,写真のとおり堰堤すぐ下流側の吊橋は落ちてしまっているようだが…
なんと,吊橋の残骸のたもとから,奥佐田山西尾根に向けて比較的明瞭な山道が伸びているのが確認できた。写真のとおり新しいピンクテープまである。どうやら奥佐田山西尾根の下山ルートは使用できそうで,ひとまず安心。(何のためにこの道が維持されているのかは謎だが,おそらく林業関係だろう)
なんと,吊橋の残骸のたもとから,奥佐田山西尾根に向けて比較的明瞭な山道が伸びているのが確認できた。写真のとおり新しいピンクテープまである。どうやら奥佐田山西尾根の下山ルートは使用できそうで,ひとまず安心。(何のためにこの道が維持されているのかは謎だが,おそらく林業関係だろう)
下山ルートの存在を確認できたところで,堰堤を越え,冬小屋谷出合いへ。やはり深い瀞となっておりいきなり泳がされるが,今日も朝から猛暑なので,水に浸かっていたほうが気持ちいい。
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下山ルートの存在を確認できたところで,堰堤を越え,冬小屋谷出合いへ。やはり深い瀞となっておりいきなり泳がされるが,今日も朝から猛暑なので,水に浸かっていたほうが気持ちいい。
冬小屋谷の出合。渇水もあると思うが,思ったより水量が少ない。が,出合からいきなりゴルジュなのはさすが。
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冬小屋谷の出合。渇水もあると思うが,思ったより水量が少ない。が,出合からいきなりゴルジュなのはさすが。
斜滝を越えていくと,その先に大きな滝が見えてきた。
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斜滝を越えていくと,その先に大きな滝が見えてきた。
冬小屋谷の門番,30m大滝。美しい滝だ。周囲はぐるりと圧倒的な岩壁に囲まれており,遡行開始3分にしてこの先の険しさが思いやられる光景を突き付けられた感じ。
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冬小屋谷の門番,30m大滝。美しい滝だ。周囲はぐるりと圧倒的な岩壁に囲まれており,遡行開始3分にしてこの先の険しさが思いやられる光景を突き付けられた感じ。
左岸にやや壁が低くなった箇所があり,そこを攀じて高巻きに入る。しょっぱなからいきなり悪い。
左岸にやや壁が低くなった箇所があり,そこを攀じて高巻きに入る。しょっぱなからいきなり悪い。
樹林帯に入ってから,なるべく低く巻くべくトラバースしていくが,やがて高い岩壁に前途を阻まれ,大高巻きしか道がないことを知る。(写真の木の間に見える白いものは全て岩壁)
樹林帯に入ってから,なるべく低く巻くべくトラバースしていくが,やがて高い岩壁に前途を阻まれ,大高巻きしか道がないことを知る。(写真の木の間に見える白いものは全て岩壁)
岩壁に追い上げられるように登っていくと,唐突に植林帯にぶつかる。しかし,この植林帯の下は濃密なシダのブッシュで,北陸の笹薮並みにタチが悪い。岩壁にもシダブッシュにもぶつからない高度を維持しながら巻きを継続。
岩壁に追い上げられるように登っていくと,唐突に植林帯にぶつかる。しかし,この植林帯の下は濃密なシダのブッシュで,北陸の笹薮並みにタチが悪い。岩壁にもシダブッシュにもぶつからない高度を維持しながら巻きを継続。
やがて岩壁の途切れ目に見つけた小尾根を辿り,ようやく歩いて谷に戻ることができた。かなりの大高巻きだったため,巻き過ぎてしまったのではないかと懸念していたが,降りた地点は30m大滝の落ち口がすぐそこに見える位置で,逆に愕然とした(こんだけしか進んでないのか…)。
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やがて岩壁の途切れ目に見つけた小尾根を辿り,ようやく歩いて谷に戻ることができた。かなりの大高巻きだったため,巻き過ぎてしまったのではないかと懸念していたが,降りた地点は30m大滝の落ち口がすぐそこに見える位置で,逆に愕然とした(こんだけしか進んでないのか…)。
エメラルドの淵を泳いで進んでいく。高巻きで火照った体に冷たい水が気持ちいい。
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エメラルドの淵を泳いで進んでいく。高巻きで火照った体に冷たい水が気持ちいい。
お次は17m滝。この谷の滝は,磨かれた岩盤をすらりと一文字に滑り落ちるような,美しいものが多い。これは左岸巻きするが,ここはそれほど苦労しなかった覚えが。
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お次は17m滝。この谷の滝は,磨かれた岩盤をすらりと一文字に滑り落ちるような,美しいものが多い。これは左岸巻きするが,ここはそれほど苦労しなかった覚えが。
この4mは釜を泳いで右手の壁を直登。登れる滝が出てくると何だか安心する。
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この4mは釜を泳いで右手の壁を直登。登れる滝が出てくると何だか安心する。
この12m滝は,何となく登りやすそうに見えた右岸から高巻きに入るが…
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この12m滝は,何となく登りやすそうに見えた右岸から高巻きに入るが…
この右岸巻きが(たぶん)失敗ルート。岩壁が全く緩まず追い上げられ,再び大高巻きに。下降を試みては岩壁にぶつかって登り返し,を繰り返す。
この右岸巻きが(たぶん)失敗ルート。岩壁が全く緩まず追い上げられ,再び大高巻きに。下降を試みては岩壁にぶつかって登り返し,を繰り返す。
ようやく見つけた下降可能な小尾根からクライムダウンして谷に復帰。この時も,かなり巻き過ぎてしまったのではないか思っていたが,降りた箇所は12m滝の落ち口のすぐ上あたりでしかなく,本当にびっくりした。あの大高巻きで費やした時間は何だったんだ…
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ようやく見つけた下降可能な小尾根からクライムダウンして谷に復帰。この時も,かなり巻き過ぎてしまったのではないか思っていたが,降りた箇所は12m滝の落ち口のすぐ上あたりでしかなく,本当にびっくりした。あの大高巻きで費やした時間は何だったんだ…
そして,なめらかワイドな岩盤が美しい10m滝。これは確か左岸巻きした気が…
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そして,なめらかワイドな岩盤が美しい10m滝。これは確か左岸巻きした気が…
このあたりの小滝は直登気味に越えられた気がする。滝が多くて記憶が薄く,すみません…
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このあたりの小滝は直登気味に越えられた気がする。滝が多くて記憶が薄く,すみません…
大きな釜を湛えた,美しい2段13m滝。確か右岸巻きしたと思う。久々にそれほど難しくない高巻きだった気が。
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大きな釜を湛えた,美しい2段13m滝。確か右岸巻きしたと思う。久々にそれほど難しくない高巻きだった気が。
時々差しはさまれる伸びやかなナメ床。スタスタ歩けるってすばらしい。
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時々差しはさまれる伸びやかなナメ床。スタスタ歩けるってすばらしい。
ゴルジュっぽくなり,5m。これは左手の岩場が楽に登れる。
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ゴルジュっぽくなり,5m。これは左手の岩場が楽に登れる。
淵を胸まで浸かって通過
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淵を胸まで浸かって通過
そして見えてきた5m滝
そして見えてきた5m滝
この5m滝は久々にしっかりとシャワークライミングで直登。
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この5m滝は久々にしっかりとシャワークライミングで直登。
…したはいいものの,その先の4mほどの滝はツルツルで,釜を泳いだところで登り切れる自信が湧いてこない。残念だが,おそらく同じ目に遭った人が残したと思われる残置ハーケン(浅効きピトン2枚という恐ろしい構成)を気休めにハンマーで打ち直し,なるべく体重をかけないようにしながら,先ほど登ったばかりの5m滝を懸垂で降りる。
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…したはいいものの,その先の4mほどの滝はツルツルで,釜を泳いだところで登り切れる自信が湧いてこない。残念だが,おそらく同じ目に遭った人が残したと思われる残置ハーケン(浅効きピトン2枚という恐ろしい構成)を気休めにハンマーで打ち直し,なるべく体重をかけないようにしながら,先ほど登ったばかりの5m滝を懸垂で降りる。
そんで仕切り直して左岸巻き。リッジ上の写真の岩壁を越えるところがちょっと悪かっただけで,比較的楽に巻ける。
そんで仕切り直して左岸巻き。リッジ上の写真の岩壁を越えるところがちょっと悪かっただけで,比較的楽に巻ける。
が,谷に戻ろうと谷中をうかがうと,どう見ても登れそうにない15mほどの滝が! ノータイムで巻き継続を選択。結局,なかなかロングな高巻きになってしまった。
が,谷に戻ろうと谷中をうかがうと,どう見ても登れそうにない15mほどの滝が! ノータイムで巻き継続を選択。結局,なかなかロングな高巻きになってしまった。
降りたところは素敵なナメ滝区間。久々に和むねぇ。こういうの多めでお願いします(疲れてきたらしい)
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降りたところは素敵なナメ滝区間。久々に和むねぇ。こういうの多めでお願いします(疲れてきたらしい)
ナメ滝を楽しく越えていく
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ナメ滝を楽しく越えていく
冬小屋谷が束の間に垣間見せる優しい表情
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冬小屋谷が束の間に垣間見せる優しい表情
それもすぐ終わって,またまたゴルジュへ。
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それもすぐ終わって,またまたゴルジュへ。
このあたりはサクサク水線沿いを進めて,楽しい区間。
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このあたりはサクサク水線沿いを進めて,楽しい区間。
直登できるのは楽しいんだけど,進めど進めど,ゴルジュと滝。
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直登できるのは楽しいんだけど,進めど進めど,ゴルジュと滝。
もうそろそろ八丁河原に着いてもいいんじゃないかと思うのだが,ゴルジュと滝が途切れない。
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もうそろそろ八丁河原に着いてもいいんじゃないかと思うのだが,ゴルジュと滝が途切れない。
あのぅ八丁河原は…
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あのぅ八丁河原は…
まだですか…。あ,きれいな滝。
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まだですか…。あ,きれいな滝。
この滝を左壁から直登し,その後のゴルジュ出口の滝を右岸から巻くと…
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この滝を左壁から直登し,その後のゴルジュ出口の滝を右岸から巻くと…
ようやく八丁河原に着。地形図上ではそんなに距離はないように思っていたのだが,大高巻きの連発で思わぬ時間がかかってしまった。
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ようやく八丁河原に着。地形図上ではそんなに距離はないように思っていたのだが,大高巻きの連発で思わぬ時間がかかってしまった。
今日は雨も降らなさそうだし,タープは出さずに河原にゴロ寝します。やっぱりこれが最高。決してタープを張るのがめんどくさくなった訳ではない(言い訳)。
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今日は雨も降らなさそうだし,タープは出さずに河原にゴロ寝します。やっぱりこれが最高。決してタープを張るのがめんどくさくなった訳ではない(言い訳)。
よく乾いた大量の薪のおかげで焚火も一発で燃え上がり,ごはんも会心の炊き具合。ペルセウス座流星群って昨日極大だったっけ? どうだったかなと思いつつ満天の星空を眺めながら眠りについた。
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よく乾いた大量の薪のおかげで焚火も一発で燃え上がり,ごはんも会心の炊き具合。ペルセウス座流星群って昨日極大だったっけ? どうだったかなと思いつつ満天の星空を眺めながら眠りについた。
翌朝。熟睡し過ぎたせいで燠も残さずに消えてしまった焚火をちょっと苦労して起こし直す。親戚にもらった佃煮をおかずにお茶漬けを食べ,出発。
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翌朝。熟睡し過ぎたせいで燠も残さずに消えてしまった焚火をちょっと苦労して起こし直す。親戚にもらった佃煮をおかずにお茶漬けを食べ,出発。
しばらくは穏やかな河原が続くが…
しばらくは穏やかな河原が続くが…
すぐに入り口にCS滝が挟まったゴルジュにぶつかる。左岸のルンゼに入って左手の岩のリッジに登り,谷に戻るところは懸垂になるかと思いきや,割と楽に歩いて谷に戻れた。
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すぐに入り口にCS滝が挟まったゴルジュにぶつかる。左岸のルンゼに入って左手の岩のリッジに登り,谷に戻るところは懸垂になるかと思いきや,割と楽に歩いて谷に戻れた。
ゴルジュは続き,5m滝。
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ゴルジュは続き,5m滝。
直登できず,右岸から巻きに入る。本日一発目の巻きも,岩壁交じりの急斜面が続いて悪い。途中,懸垂で戻れそうな箇所があったが,ゴルジュ内に懸垂して登れない滝が出てくると面倒なので,巻きを継続。
直登できず,右岸から巻きに入る。本日一発目の巻きも,岩壁交じりの急斜面が続いて悪い。途中,懸垂で戻れそうな箇所があったが,ゴルジュ内に懸垂して登れない滝が出てくると面倒なので,巻きを継続。
ようやく歩いて谷に近づける箇所が見つかり,谷に降りていく。下流側にはどう見ても登れなさそうな滝が…。さっき懸垂を思いとどまって良かったー
ようやく歩いて谷に近づける箇所が見つかり,谷に降りていく。下流側にはどう見ても登れなさそうな滝が…。さっき懸垂を思いとどまって良かったー
谷に戻ったあと,すぐに出てきた淵の奥の2mほどの小滝が地味に小難しい。ザックを滝上に放り投げてから,ガバを掴んで思い切って体を引き上げて越える。
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谷に戻ったあと,すぐに出てきた淵の奥の2mほどの小滝が地味に小難しい。ザックを滝上に放り投げてから,ガバを掴んで思い切って体を引き上げて越える。
一旦谷が開けるものの…
一旦谷が開けるものの…
またゴルジュ。この小滝は淵を腰まで浸かって渡って簡単に越えるが…
またゴルジュ。この小滝は淵を腰まで浸かって渡って簡単に越えるが…
次のこの5m位の滝が登れず,右岸巻き。この巻きは簡単。
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次のこの5m位の滝が登れず,右岸巻き。この巻きは簡単。
この大岩が現れると再び谷が開けるが…
この大岩が現れると再び谷が開けるが…
またもや,すぐにゴルジュ。もうだいぶ上流に来ているはずなんだけど,ゴルジュの多い谷だなぁ。ここは左岸から簡単に巻ける。
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またもや,すぐにゴルジュ。もうだいぶ上流に来ているはずなんだけど,ゴルジュの多い谷だなぁ。ここは左岸から簡単に巻ける。
ここも軽く泳いで越える。
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ここも軽く泳いで越える。
ゴルジュが途切れ,穏やかな渓相に。やっと源流か? と思いきや…
ゴルジュが途切れ,穏やかな渓相に。やっと源流か? と思いきや…
またまたゴルジュ。さすが冬小屋谷,どうやらタダでは帰してもらえないらしい…
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またまたゴルジュ。さすが冬小屋谷,どうやらタダでは帰してもらえないらしい…
岩に隠れて見にくいですが,15mほどの滝。登れるかどうかギリギリのラインだったため,大事を取り,少し戻って左岸から巻きに入る。この高巻きも御多分に漏れず思ったより大きくなったが,小尾根を越えるようにして歩いて谷に戻った。
岩に隠れて見にくいですが,15mほどの滝。登れるかどうかギリギリのラインだったため,大事を取り,少し戻って左岸から巻きに入る。この高巻きも御多分に漏れず思ったより大きくなったが,小尾根を越えるようにして歩いて谷に戻った。
谷に戻ってからしばらく歩くと,早々と水切れの予感。慌ててプラティパスに下山用の水を補給する。
谷に戻ってからしばらく歩くと,早々と水切れの予感。慌ててプラティパスに下山用の水を補給する。
水が細くなっても,断続的に美しい岩盤のナメ滝が現れる。
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水が細くなっても,断続的に美しい岩盤のナメ滝が現れる。
そして唐突に20m滝。水はほとんど流れていないが,白く輝く岩盤が堂々としていて,思わずあっと見上げてしまう。これは右岸から簡単に巻く(昨日からの大高巻きの連続で,少しくらいの大きめの巻きは何でもなく思えてくる…)
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そして唐突に20m滝。水はほとんど流れていないが,白く輝く岩盤が堂々としていて,思わずあっと見上げてしまう。これは右岸から簡単に巻く(昨日からの大高巻きの連続で,少しくらいの大きめの巻きは何でもなく思えてくる…)
20m滝を越えると,既に水が切れているのに,またゴルジュ。この巨大CSを越えるのが面倒そうに見えたので,ここで谷を離れることに決めた。登りやすそうな右岸の尾根に取りつく。
20m滝を越えると,既に水が切れているのに,またゴルジュ。この巨大CSを越えるのが面倒そうに見えたので,ここで谷を離れることに決めた。登りやすそうな右岸の尾根に取りつく。
取り付いた尾根は,針葉樹のブッシュが生えた岩尾根で,断続的に現れる岩を直上したり巻いたり,ちょっと苦労しつつも概ね順調に高度を上げていく。
取り付いた尾根は,針葉樹のブッシュが生えた岩尾根で,断続的に現れる岩を直上したり巻いたり,ちょっと苦労しつつも概ね順調に高度を上げていく。
そして登り上げたP1274付近。意外に眺めええやん。
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そして登り上げたP1274付近。意外に眺めええやん。
植林に覆われているかと思ったら,P1274のあたりは大峰らしいトウヒとブナの森で,なかなか雰囲気が良かった。
植林に覆われているかと思ったら,P1274のあたりは大峰らしいトウヒとブナの森で,なかなか雰囲気が良かった。
P1274付近から,眼下の冬小屋谷と,下山に辿る尾根,そして遠く連なる台高の山並みを眺める。
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P1274付近から,眼下の冬小屋谷と,下山に辿る尾根,そして遠く連なる台高の山並みを眺める。
そして下山へ。冬小屋谷の左岸尾根は,最初は薄い踏み跡らしきものがあるだけだが,P1016を越えたあたりから尾根上に廃林道が出てくる。道があるのはありがたいんだけど,この林道,とにかく滅茶苦茶な急勾配。こんな無茶な道の付け方したら,そりゃ崩れるわな…
そして下山へ。冬小屋谷の左岸尾根は,最初は薄い踏み跡らしきものがあるだけだが,P1016を越えたあたりから尾根上に廃林道が出てくる。道があるのはありがたいんだけど,この林道,とにかく滅茶苦茶な急勾配。こんな無茶な道の付け方したら,そりゃ崩れるわな…
そして,P885とP837の間の鞍部にある林道ゲートに到着。ここから地形図にも記載されている林道が前鬼林道に向けて分岐しているので,複数人パーティで車を前鬼林道に1台回送できるなら,ここから降りてしまったほうが得策。
そして,P885とP837の間の鞍部にある林道ゲートに到着。ここから地形図にも記載されている林道が前鬼林道に向けて分岐しているので,複数人パーティで車を前鬼林道に1台回送できるなら,ここから降りてしまったほうが得策。
しかし,私は単独でその手が取れないため,尾根上の林道をそのまま奥佐田山へ南下。というか,この林道,奥佐田山まで続いてるのね。最悪,悪路のヤブ漕ぎも覚悟してたから,これはちょっとびっくり。
しかし,私は単独でその手が取れないため,尾根上の林道をそのまま奥佐田山へ南下。というか,この林道,奥佐田山まで続いてるのね。最悪,悪路のヤブ漕ぎも覚悟してたから,これはちょっとびっくり。
車でも走れそうなくらいの現役っぽい林道が続く。林道は奥佐田山の山頂を回避し,西尾根に回り込んでもしばらく続く。
車でも走れそうなくらいの現役っぽい林道が続く。林道は奥佐田山の山頂を回避し,西尾根に回り込んでもしばらく続く。
奥佐田山の西尾根をしばらく進んだ後,林道は唐突に終点を迎える。しかしその先には,尾根伝いに薄い踏み跡が。
奥佐田山の西尾根をしばらく進んだ後,林道は唐突に終点を迎える。しかしその先には,尾根伝いに薄い踏み跡が。
始めはマーキングらしきピンクテープもあり,昨日の出発時に確認した山道がここまで続いているに違いないと思い,尾根を下っていくと…
始めはマーキングらしきピンクテープもあり,昨日の出発時に確認した山道がここまで続いているに違いないと思い,尾根を下っていくと…
尾根が南西に分岐して激下りを始めるあたりで,マーキングが消失し,岩まで出てきて,急にルート状況が悪くなる。あ,あれれ? 昨日確認した山道は,奥佐田山まで続いているんじゃなかったのか? じゃああの道はどこに?
尾根が南西に分岐して激下りを始めるあたりで,マーキングが消失し,岩まで出てきて,急にルート状況が悪くなる。あ,あれれ? 昨日確認した山道は,奥佐田山まで続いているんじゃなかったのか? じゃああの道はどこに?
多少混乱しつつも,慎重にコンパスで南西を確認しつつ,ヤブっぽい尾根を下っていくと…
多少混乱しつつも,慎重にコンパスで南西を確認しつつ,ヤブっぽい尾根を下っていくと…
唐突に,明らかに整備された林業用の作業道に遭遇! ここで謎が解けた。作業道は尾根伝いではなく,山腹を巻くように付けられており,昨日池郷川の堰堤付近で確認した山道は,ここから分岐して池郷川に降りていたのだ。(この山腹の作業道は,どこまで続いているかは不明だが,もしかしたら冬小屋谷遡行時のエスケープルートにもなり得るかもしれない。)
唐突に,明らかに整備された林業用の作業道に遭遇! ここで謎が解けた。作業道は尾根伝いではなく,山腹を巻くように付けられており,昨日池郷川の堰堤付近で確認した山道は,ここから分岐して池郷川に降りていたのだ。(この山腹の作業道は,どこまで続いているかは不明だが,もしかしたら冬小屋谷遡行時のエスケープルートにもなり得るかもしれない。)
ここからは整備された作業道を池郷川へ下っていく。整備されているとは言っても,木製の階段は朽ち,かなり切れ落ちた箇所もあるので,滑落には注意が必要。お,やっと池郷川の白い河床が見えてきた!
ここからは整備された作業道を池郷川へ下っていく。整備されているとは言っても,木製の階段は朽ち,かなり切れ落ちた箇所もあるので,滑落には注意が必要。お,やっと池郷川の白い河床が見えてきた!
スタート地点の堰堤に無事戻って来ることができた。池郷川を渡渉し,急な斜面をコンター150m分登り返し(疲れた体には地味にこたえる登り),車の待つ路肩へ。
スタート地点の堰堤に無事戻って来ることができた。池郷川を渡渉し,急な斜面をコンター150m分登り返し(疲れた体には地味にこたえる登り),車の待つ路肩へ。

装備

備考 ・ フェルトソール沢足袋使用。それほどぬめりはひどくないように感じたし,岩を登るシーンが多いので,ラバーでも良いかもしれない。
・ 40mロープ,ハーケン数枚,スリング数本など沢登りの基本装備を携行。長めのロープ必携。

感想

 〇〇小屋谷,という名前の谷はいくつかあって,何だか気になってしまう。例えば,紀伊半島には冬小屋谷の他にも絵馬小屋谷や不動小屋谷があるし,よく行く越美山地の日野川の奥にも夏小屋谷なんていうのがある。メジャーどころで言えば,北アルプスの黒部にも棒小屋沢がある(思いつかないだけで,他にもたくさんありそう)。
 きっと地元の山仕事人たちが何らかの小屋を建てていたに違いない,と素人考えに思うのだが,何のために,どんな小屋を建てていたのだろう。冬小屋谷と夏小屋谷なんて,季節が正反対で面白い。そしてさらに興味深いのは,どの〇〇小屋谷も,なかなかの険谷ぞろいだということだ。一見して人為を拒むかのような,こんな滝や廊下の多い谷のどこに小屋を建て,どんな杣道を付けて通っていたのだろうと考えると,何だか不思議な気分になる。特に何か地誌を当たって調べたというわけでもないので,オチのない話で恐縮なのですが。
 さて,冬小屋谷。地形図を見た時は,そんなに流程が長いわけでもないので,これは頑張れば一日でも抜けられるかも?と思っていたが,そんな不遜な考えを一瞬でも脳裏によぎらせた私が愚かでした。一支流とはいえ相手はあの池郷,簡単に行くわけがないのである。高い岩壁に鎧われた滝が連続し,確保も登攀力もない単独行者としては為す術もなく高巻きに入るのだが,ひとたび高巻けばほぼ確実に大高巻きになる。これは巻き過ぎてしまったに違いないと危惧しつつ谷に降りると,なんとすぐそこに巻いた滝の落ち口がまだあって再び愕然とする。まあ沢登りあるあると言われればそのとおりなのだが…。
 いつも通り遡行図は携行しておらず,また読図の目印になるような大きな枝谷の流入もなく,そして何より滝とゴルジュがとにかく多すぎるので,途中で谷のどのあたりまで進んでいるのか判然としなくなり,なかなか幕営予定地の八丁河原が見えてこないので結構あせった。一時は八丁河原を通り過ぎてしまったのではと本気で思い込みそうになったくらいだった(実際に八丁河原を見てみれば,それはあり得ないことだと分かるのだけれど)。
 最近はこういうストレートな険谷に入っていなかったので,(ちょっとオーバーですが)「自分なりに悪場を生き延びて,先に進む」という沢登りの大きな楽しみの一つ?を思い出した気がする。八丁河原で寝ころびながら眺めた満天の星空では,ペルセウス座流星群のおこぼれで流れ星もいくつか見ることができました。良い谷でした。

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