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Yamareco

記録ID: 789085
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
甲信越

【薮山レコ】毛無山(下田山塊)〜光明山経由で砥沢川横断〜

2006年05月15日(月) [日帰り]
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GPS
--:--
距離
18.3km
登り
2,199m
下り
2,196m

コースタイム

日帰り
山行
13:20
休憩
1:25
合計
14:45
4:00
130
光明山登山口
6:10
6:15
75
万之助山
7:30
10
7:40
7:55
55
雨量計
8:50
9:00
150
砥沢川渡渉
11:30
11:55
100
毛無山
13:35
13:55
125
砥沢川渡渉
16:00
16:05
15
雨量計
16:20
16:25
45
光明山
17:10
95
万之助山
18:45
光明山登山口
記録が古いので記録の詳細については正確ではありません。

標高差  約+680m(登山口→光明山)  約−540m(光明山→砥沢川)
     約+700m(砥沢川→毛無山)
天候
過去天気図(気象庁) 2006年05月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
コース状況/
危険箇所等
富士山の西方の毛無山ではなく、新潟県の川内山塊の毛無山です。
光明山から先は登山道ありません。増水期の砥沢川の渡渉はかなり厳しいです。
朝日に染まる青里岳
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朝日に染まる青里岳
新緑のブナ林を登り万之助山を目指す
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新緑のブナ林を登り万之助山を目指す
万之助山から望む中光明、光明山へ連なる尾根。果てしなく長く感じる。
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万之助山から望む中光明、光明山へ連なる尾根。果てしなく長く感じる。
フイゴの立背付近より振り返る万之助山
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フイゴの立背付近より振り返る万之助山
足元には春の花が満開。オオバキスミレに元気を貰う。
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足元には春の花が満開。オオバキスミレに元気を貰う。
アスマシャクナゲ、タムシバ、粟ヶ岳。
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アスマシャクナゲ、タムシバ、粟ヶ岳。
光明山山頂に到着。守門岳方向。
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光明山山頂に到着。守門岳方向。
粟ヶ岳方向。
辿ってきた、万之助山方面へ連なる尾根、
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辿ってきた、万之助山方面へ連なる尾根、
粟ヶ岳アップ。
南峰のパノラマ。左から浅草岳、丸倉山、黒姫、守門岳、大岳。(元サイズ→拡大)
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南峰のパノラマ。左から浅草岳、丸倉山、黒姫、守門岳、大岳。(元サイズ→拡大)
光明山の少し奥にある雨量計。笠堀ダムの関連施設(県)。
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光明山の少し奥にある雨量計。笠堀ダムの関連施設(県)。
雨量計先の峰より望む砥沢川源流部の峰々。中央奥は中の又山。
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雨量計先の峰より望む砥沢川源流部の峰々。中央奥は中の又山。
宿砥沢の雪渓を下る。正面奥の尖った峰が毛無山。
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宿砥沢の雪渓を下る。正面奥の尖った峰が毛無山。
紅葉のような新緑。
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紅葉のような新緑。
下ってきた雪渓を振り返る。亀裂少なく歩きやすい。
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下ってきた雪渓を振り返る。亀裂少なく歩きやすい。
どんどん正面の毛無山が大きくなる。
どんどん正面の毛無山が大きくなる。
雪渓を下り切った平坦地が宿砥平(広川原)。険しい砥沢川より一段高い段丘にあり枯れた葦が堆積している。昔は数十件の砥切小屋が建っていたとは想像がつかない。
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雪渓を下り切った平坦地が宿砥平(広川原)。険しい砥沢川より一段高い段丘にあり枯れた葦が堆積している。昔は数十件の砥切小屋が建っていたとは想像がつかない。
宿砥平から沢筋を下り砥沢川へ降りる。
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宿砥平から沢筋を下り砥沢川へ降りる。
下ってきた宿砥平方面を振り返る。
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下ってきた宿砥平方面を振り返る。
午前中はそれほど水量は多く無い。飛び石で問題なく渡渉。
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午前中はそれほど水量は多く無い。飛び石で問題なく渡渉。
砥沢川を少し下降すると右からシンブ沢が合流する。このシンブ沢を詰めて毛無山の南西尾根を目指す。
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砥沢川を少し下降すると右からシンブ沢が合流する。このシンブ沢を詰めて毛無山の南西尾根を目指す。
沢の下流部は荒れている、が遡行可能。
沢の下流部は荒れている、が遡行可能。
しばらく進むとやや大きな滝が出てきて遡行不能。左岸を巻いて通過。
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しばらく進むとやや大きな滝が出てきて遡行不能。左岸を巻いて通過。
再びシンブ沢に降りると沢は開けて雪渓がでてくる。
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再びシンブ沢に降りると沢は開けて雪渓がでてくる。
振り返ると尖った光明山がかっこいい。
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振り返ると尖った光明山がかっこいい。
沢の上流部はブナ林が広がる。適当に右斜面を登り南西尾根へ上がる。
沢の上流部はブナ林が広がる。適当に右斜面を登り南西尾根へ上がる。
毛無山の西肩(980m)を目指し岩っぽい尾根を上がる。
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毛無山の西肩(980m)を目指し岩っぽい尾根を上がる。
毛無山の西肩(980m)からは雄大な景色が広がる。南西方面。手前のブナ林の平坦地は金蔵沢中流部の段丘。(元サイズ→拡大)
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毛無山の西肩(980m)からは雄大な景色が広がる。南西方面。手前のブナ林の平坦地は金蔵沢中流部の段丘。(元サイズ→拡大)
急峻な尾根に守られたブナ林の段丘はオアシスのよう。後方は五兵衛小屋方面。
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急峻な尾根に守られたブナ林の段丘はオアシスのよう。後方は五兵衛小屋方面。
毛無山の西肩から北西方向を望む。左奥は粟ヶ岳、右奥は矢筈岳。手前の沢は清水沢。(パノラマサイズ)
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毛無山の西肩から北西方向を望む。左奥は粟ヶ岳、右奥は矢筈岳。手前の沢は清水沢。(パノラマサイズ)
V字型に刻まれたスラブ谷の清水沢と正面に矢筈岳。
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V字型に刻まれたスラブ谷の清水沢と正面に矢筈岳。
毛無山の西肩(980m)から毛無山(1043.7m)を望む。薮の吊り尾根でつながっている。
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毛無山の西肩(980m)から毛無山(1043.7m)を望む。薮の吊り尾根でつながっている。
毛無山の西肩より光明山、万之助山方面を振り返る。(元サイズ→拡大)
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毛無山の西肩より光明山、万之助山方面を振り返る。(元サイズ→拡大)
ようやく到着した、丸くて広い毛無山。山頂南部のみ残雪に覆われていた。
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ようやく到着した、丸くて広い毛無山。山頂南部のみ残雪に覆われていた。
三角点付近だけ刈り払いされているようだ。北西方向。
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三角点付近だけ刈り払いされているようだ。北西方向。
三角点と南側の残雪。
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三角点と南側の残雪。
滅多にお目にかかれない毛無山の三角点。
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滅多にお目にかかれない毛無山の三角点。
以下、山頂展望。浅草岳〜守門岳方面。(元サイズ→拡大)
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以下、山頂展望。浅草岳〜守門岳方面。(元サイズ→拡大)
粟ヶ岳〜青里岳方面。(元サイズ→拡大)
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粟ヶ岳〜青里岳方面。(元サイズ→拡大)
青里岳〜矢筈岳〜魚止山方面。(元サイズ→拡大)
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青里岳〜矢筈岳〜魚止山方面。(元サイズ→拡大)
御神楽岳〜東方面。裏の山はその姿をなかなか見ることが出来ない目立たない薮山。遠くて登頂困難な下田の山の一つ。
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御神楽岳〜東方面。裏の山はその姿をなかなか見ることが出来ない目立たない薮山。遠くて登頂困難な下田の山の一つ。
山頂を後に、再びシンブ沢を下降。
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山頂を後に、再びシンブ沢を下降。
想定どおり増水した砥沢川。一番川幅の狭い地点で走り棒高跳びのイメージで棒を支点にして越える。重荷でイメージ通りにはいかず岸の手前1mの浅瀬に着地。長靴浸水程度で事なきを得る。対岸から上流方向を撮影。
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想定どおり増水した砥沢川。一番川幅の狭い地点で走り棒高跳びのイメージで棒を支点にして越える。重荷でイメージ通りにはいかず岸の手前1mの浅瀬に着地。長靴浸水程度で事なきを得る。対岸から上流方向を撮影。
まともに沢底を渡れば流される水流。下流方向。
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まともに沢底を渡れば流される水流。下流方向。
宿砥沢の雪渓を登る。疲労した身体には辛い。
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宿砥沢の雪渓を登る。疲労した身体には辛い。
光明山を越え、フイゴの立背を振り返る。
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光明山を越え、フイゴの立背を振り返る。
前方に粟ヶ岳と笠堀湖を望む。
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前方に粟ヶ岳と笠堀湖を望む。
大日影沢源流部に広がる新緑を見ながら足早に下り、日没ぎりぎりに無事下山。
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大日影沢源流部に広がる新緑を見ながら足早に下り、日没ぎりぎりに無事下山。
☆おまけ(過去画像)
中津又岳(守門)から望む川内山塊の峰々(元サイズ→拡大)
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☆おまけ(過去画像)
中津又岳(守門)から望む川内山塊の峰々(元サイズ→拡大)
☆おまけ(過去画像)
駒形山北峰(1096m)より望む毛無山と大川流域の山(元サイズ→拡大)
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☆おまけ(過去画像)
駒形山北峰(1096m)より望む毛無山と大川流域の山(元サイズ→拡大)
☆おまけ(過去画像)
駒形山北峰(1096m)より望む矢筈岳方面(元サイズ→拡大)
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☆おまけ(過去画像)
駒形山北峰(1096m)より望む矢筈岳方面(元サイズ→拡大)

感想

 下田山塊の中央に聳える信仰の山、光明山。200年以上昔から砥沢川の上流から切り出された良質な砥石は光明山を経由して三条・燕などの消費地へ運ばれ、刃物産業を支えてきた。その径が光明山登山道として今も存在している。今回はこの砥石道をたどり光明山の先から砥沢川に降り、対岸のシンブ沢を遡り南西尾根から毛無山をアタックした。かつて100キロほどの砥石を担いだ村人が砥石道を行き交っていたとはとても想像しがたく、歴史ロマン漂うこの山道を辿ってみたいと思うようになった。

 今回のアタックは登山道の雪が融け沢の増水がある程度落ち着いた頃を狙った。赤茶けた月が西の峰に隠れ空が白み始めた頃、ヘッドランプを点けて光明山登山口を出発する。心配していた大日陰沢に面した露岩帯のヘツリ道には残雪は殆どなく順調に通過した。万之助山の先の小ピークまでの急な残雪斜面は慎重を要した。日当たりの良い登山道にはオオバキスミレやカタクリなどの春の花がいっぱい咲いており気持ちを和ませてくれる。下見のときナイフエッジになっていたフイゴの立背は夏道が出ていた。

 光明山の山頂広場を過ぎた所に雨量計(三条土木事務所)の建物がある。ここでアタックザックに必要最小限の荷物を詰め替える。雨量計から先には薮っぽいが踏み跡がうっすらと続いている。これが砥石道の名残かもしれない。弥十郎(720m鞍部)から雪渓に埋まった宿砥沢を下降する。砥沢川から一段上がった段丘には枯れたアシの堆積する広場(宿砥平)が広がっており、かつての砥切小屋のあった場所のようである。

 砥石川へ降りてみるとそれほど水量は多くないようだ。適当な転石を見つけて対岸へ渡った。そして川岸をヘツリながらシンブ沢の出合いまで下った。シンブ沢へ入渓すると最初は荒れているが、400mあたりから雪渓が出てきて歩きやすくなった。500m地点でで地形図にない落差7mほどの滝が現れ、右岸の急な薮スラブから巻いた。再び雪渓に降り登っていくと、徐々に沢は開け新緑のブナ林が広がってくる。750m付近から右股の雪渓を登る。810m地点で毛無山西肩(980m峰)から南西に延びる尾根に出る。
 
 880mあたりからは本格的な薮こぎが始まる。毛無山西肩は展望の良いピークで、光明山〜万之助山、守門岳〜浅草岳〜中の又山方面のパノラマが一望であった。目ざす毛無山は緩やかな吊尾根の先、指呼の距離に見える。しかし背の低い複雑にねじ曲がった薮が立ちはだかり、容易には近づけない。毛無山からの手荒い歓迎を受けているかのようだ。薮埃と蒸し風呂のような熱気に包まれ薮と格闘すること20分、憧れの毛無山についにたどりついた。

 毛無山は見た目以上に広くて丸い山頂で、豊富な残雪に覆われていた。運良く最高地点だけに残雪がなく三等三角点を確認することが出来た。川内山塊のど真ん中に位置する毛無山からの展望は言うに及ばず素晴らしい。川内山塊の盟主である矢筈岳を始め、青里岳、粟ヶ岳、駒形山、裏の山、光明山などの峰々が広がっている。沢に磨かれ鋭利な刃物で削ぎ落とされた不毛の斜面に覆われた山肌が周囲に広がる特徴的な山域だ。一方、毛無山の南西側(金蔵沢中流域)にはなだらかなブナの斜面が広がり、秘峰に守られたオアシスのような存在である。もう二度と訪れることのない毛無山からの絶景を十分に目に焼き付けてから山頂を後にした。

 展望の良い毛無山の西肩まで戻り、ここで腰を下ろして腹ごしらえをした。登りできつかった薮尾根は下りは速い。シンブ沢の雪渓も順調に下り砥沢川の渡渉点へ戻ってきた。ある程度は想定していたが、砥沢川は増水して茶色く濁っていた。朝、渡った飛び石は完全に水没しており、水流も速くなっていた。焦る気持ちを落ち着かせ沢を観察する。沢幅4mのうち、流れの速くて深い中央部さえ越えられれば何とかなりそうだ。拾ってきた棒を沢底に突いて幅跳びの要領で勢いをつけてジャンプしてみた。足元は水没したが、なんとか対岸の浅瀬に着地することができた。

 難所を越えてもまだ先は長い。宿砥平から高低差540mを登り切り稜線に這い上がる。雨量計の前で疲労した身体をしばらく休めた。光明山を越えてからは休憩の回数が徐々に増えてきた。それでも暗くなる前に岩場のヘツリ区間を通過し、なんとか日没ちょうどに登山口に着いた。身体は疲労していたが心は達成感で満ちていた。空を見上げるときれいな夕焼けが広がっていた。

(参考文献)
「古道巡礼」高桑信一 〜越後下田の砥石道〜
「知られざる山々」羽田寿志

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