麦草岳



- GPS
- 07:50
- 距離
- 9.7km
- 登り
- 1,399m
- 下り
- 1,401m
コースタイム
- 山行
- 6:07
- 休憩
- 1:43
- 合計
- 7:50
過去天気図(気象庁) | 2025年03月の天気図 |
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アクセス |
写真
感想
花冷えの候、冬の陽気への逆戻りを思わせる週末の空模様。
全国的に空は塞ぎがちなるも、中央アルプス、殊にその南麓において天候の佳き兆しあり。かねてより心惹かれし麦草岳への旅路、遂に開かれんとす。
前日までの雪量いかほどか、トレースはありや、頂への道程は果たしてラッセルを要すや、風の猛威はいかばかりか――不安を抱きつつ、夜明け未だ浅き六時前に登攀を始む。
コガラ登山口の駐車場には、登山者の車の列いくつか見受けられ、いささか心強し。
渡渉の後アイゼンを足に装着せり。
ここより山頂へと直線にして険しき急登の始まりなり。
トレースもあり、樹林帯の雪は深さもさほどならず、アイゼンの効き目頼もしきことこの上なし。
時に耳に小鳥のさえずりを感じ、春の息吹、微かに胸をよぎるも、空気の冷ややかさ、風の鋭さ、冬山の厳しさに否応なく引き戻される。
北斜面を辿り歩むゆえ、陽のぬくもりは与えられず。
七合目の避難小屋にてしばし息をつぎ、その後の登攀は傾斜更に厳しくなるも、霧氷の美を心に刻みつつ森林限界を超ゆれば、凛としたる中央アルプスの威容、遂に姿を現せり!
「おお、木曽駒なり」と写真に夢中となる折、同行の仲間に諭される。
雲間より現る尖峰は、宝剣岳の穂先なり。木曽駒の位置はこれより程近し。前衛峰木曽前岳と見紛いし我が判断、やや浅はかに過ぎたり。
雪形の世界は、まるで墨絵に描かれたる急峻な芸術品。
春の気配は未だ遠く、雲の動きにのみ時の流れを感じるばかり。
強風の中、身体を谷底へと誘おうとする圧力に耐えつつ、自然の威厳と相対す。
美しさを超え畏怖をもたらす山容に立ち、足の疲労とともに現実の世界へと還されし我らが心に深き感慨、残りぬ。
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