奥穂高岳

コースタイム
⇨涸沢小屋14:00⇨16:33穂高岳山荘
2日目: 穂高岳山荘6:00⇨奥穂高岳山頂6:50⇨8:30紀美子平9:00⇨11:20岳沢ヒュッテ⇨14:22河童橋
天候 | 一日目:晴れ 二日目:ガスのち晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2010年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
帰り:バス→新島々⇨電車→東京 |
写真
感想
今回は6年ぶりの穂高岳!
当時は登山を始めてまだ日が浅く、とにかく無我夢中でしたから当然余裕がなく、かなりキツかった記憶がありました。そして二日めから雨と強風で、尾根は何も見えなかったので、今回は晴れを期待しつつ、涸沢の紅葉などの想像に胸を膨らませつつ、いざ出発です!
一日め、晴れ。今回は女子2人、計画も頑張って一泊2日でのタイトなプランに決めたので、帰りの体力キープの事を考えて初めて公共の乗り物を利用してみました。これなら、不眠の運転疲れで歩きながら意識を失う事もないし。(過去に北岳山中でリーダーが歩き寝入りを…)なんといっても上高地まで直に着くからとってもラクチン!一人とか二人とかなら今度からこれにしよう、と思いました。
徳沢、横尾までの林道コース、平地がダラダラなが〜い感じがして、今までは結構苦手に思っていたけれど、涸沢に着くまでの間、いつもの登山と比べ身体のコンディションが明らかに違いました。いつもは山に体が馴染むまですごく汗をかくのに、平地を2時間以上歩いたおかけで体もすっかり環境に慣れて、発汗もそこそこな感じで不快感なく爽快に通過できたのでした。なるほど、これは合理的なコースであるな〜、と考えを改めることになりました。
本谷橋付近は沢山の人で賑わっていました。この時期は混むと聞いていたけれど、確かにここからしばらくの間、団体さんの連結現象が起きていました。すでにかなりお腹が空いてきてしまい、行動食のカキピーをたくさん消費してしまいました。でもゴハンは、涸沢までガマンガマン。
涸沢ヒュッテと山荘の分岐点で、空いている山荘方面の道をセレクト。さくさく登ってすり鉢の絶景へ! バツグンの天気に恵まれ、青い青い空、ナナカマドがたわわに実り、周辺の紅葉は、黄色部分がきれいで、目にしみました。繊細な色の奥行きが写真では伝えきれなくて残念です。
待ちに待ったお昼は、定番マルタイラーメンに卵をいれて、山のささやかな贅沢です。たまたま持っていっていたカモミールティーが涸沢ゴハンにぴったりでした。
たっぷり一時間くらいランチ休憩して、いざ出発。ところが、なんという事でしょう山荘でソフトクリームに出会ってしまいました。すっかり登るスイッチが入ってしまっていたので、この誘惑をどうするべきか真剣に悩んだあげく…同行のkanayamyamさんにお許しをいただきつつ、せめて空気イスをしながら食す事にしました。ミルク味がとても濃厚で幸せな気分になり、スッキリ満ち足りた気持で再出発。
ガレ場を登ってふと振り返ると、色とりどりの豆粒の様な涸沢のテントが見えて、なんとも可愛らしい風情です。気持ちはなごんだのもつかの間ここからが難関でした。空気が薄くなってきて、ちょくちょく息が切れてしまいます。脚の疲れもいよいよ出てきて、少し登るとすぐに乳酸が溜まる感じでした。
ザイテングラートに乗り上げ、ふーっ、と一息。ちょうど下山してきた中高年の団体さんと一緒に一本休憩を。うかがった話では、晴れた尾根は絶景だったそうです。これから涸沢で一泊されるとの事。そういえば、以前にたくさんの山を経験された知人の方から聞いた、涸沢での雪上テント泊の話をふっと思い出しました。夜、眠れずにテントから這い出すと、積もった雪の静寂、涸沢カールはぼんやりとうかんでいて、見上げると夜空に無数の星々だけがくっきりと見えていたんだそうです。その光景はあまりにも幻想的で、ずっと昔の経験なのに忘れられない記憶なんだそうです。私もいつか、そんな体験をしてみたいなあ。涸沢だけのピストンなら,自分にも実現できるのかな?
いつかの夢に思いを馳せつつ、我に返り、岩尾根の急登、この日最後の難所に挑みます。
だんだんガスが出てきました。
なかなかの急登が続きます。一歩一歩足を進めますが、気がつくと後続らしき人の気配は無く、ああ、この日最後の登り客になっちゃったみたい?お日様も曇っているけど何だか傾いてきちゃったし、でも、焦りは禁物です。たゆまず登っていくと、近くで鳥のさえずりと同時に目の端を何かが飛び去って行く気配を感じました。もしやライチョウさん?探しても見当たりません。幻聴なのか、幻覚なのか、でもまだまだそこまでこたえてないはず〜、とおもっていたら、一緒のkanayamyamさんも聞いていたみたい。明日は会えるといいな、と思いながらまたワクワクしてきました。残り20分の地点で、小休憩を一本取って一気に上り詰めます。
16時33分、ようやく奥穂高山荘に到着 ! 嬉しさと安堵のあまり全身を解放したくなり思わず仰向けに寝ころがってしまいました。(背後に無線交信中のkintakunteさんがいらっしゃいました。)
外のテーブルではすでに中高年のグループさんが、楽しそうに夕食の宴を催し始めていました。私達も早くテントを張って、ゴハンを食べて明日に備えるぞー、と思いながら小屋の中へ入ると、温か〜い湯気、小屋内のテーブルで煮炊きしたり、お酒をたしなんでほっぺたの赤い人たちの楽しげなムードに誘われて、まずはビールで乾杯して今日の労をねぎらう事にしました。テント泊の身分なのに、ちょっとだけ、ね、と思ってこっそりロビーで頂いてしまったら、やっぱり怒られちゃいました。ごめんなさい。つい間がさしただけなんです。もう致しません…。
温まったところでテン場へ移動。テント場は段々畑状のエリアは結構埋まりつつありました。てっぺんの吹きさらしの場所はまるきり空いていたけれど、風びゅうびゅうで吹き飛ばされそうな趣だったので、引き返して段々畑に設置する事に。kanayamyamさんの、めでたく新たに購入されたテント、軽くて組み立ても簡単!あっという間に快適な住処をこしらえる事ができました。感謝です。私もマイテントを購入する際の参考にします。
晩ご飯はテントから半分身を出す感じで調理して頂きました。うーん、やっぱり寒い。小屋の前を通る時、中での暖かそうな宴を覗いていたら、ちょっぴりマッチ売りな気分になりました。でも考えてみたらいつもの事、今の今まで他力テント泊ばかりで小屋泊を一度もした事がないのでその実はよくわからないのです。小屋を利用するかどうかは別として、そろそろ宿泊についても自立を考えなくてはね。
明日は予報では午後から雨。知ってはいたけれどハズレを期待してここまできました。いよいよ明日の天候で現実と向き合わなくてはいけません。場合によっては頂上へ行ったらピストンで涸沢から下山も考慮しなくてはだね、と2人で話し合い、シュラフに入ります。どうかどうかせめて下り始めるまで降らないで、と祈りながら眠りに着きます。
4時過ぎに起床、周囲はすっかりガスに満ちています。朝食後にパワーバーのバナナ味で血糖値を一気に上げて、体にスイッチを入れます。小屋の方に向かうと、すでにご来光を目指して登っていく人達のヘッドランプの光が、霧の中でちらちらと見えていました。ぼうっと見ているとホタルみたいでした。
テントをたたみ6時、霧と強風の中、登り開始。濡れたはしごから手足を滑らせないように注意深く足を乗せていきます。ほぼ直登に近い場面もしばしば。両手両足に神経を集中させ、岩場をリズミカルに登っていきます。身体の芯が燃えてきます。大変危険な状況なのに、なぜだか全身が喜んでいました。そういえば、過去をふりかえると5年前の槍ヶ岳もしばらく後の北岳も、強風に雨で全身びしょ濡れで、吹き飛ばされそうで必死だった事を思えば、これならまだ全然ましだ〜、と前向きに思えたのでした。いよいよ奥穂高岳山頂に到着。
小さな岩の突起をヨイショと登って石碑の前で記念撮影 ! 登頂を喜ぶ人達の、揃いの記念撮影を代わる代わるうってかわっている親切なおじさんが印象的でした。気がつくと結構自分達のレインウェアの表面が濡れていました。慌ててここでザックカバーをかけて、再出発。悪天候なれど雨では無いし、これからピストンで降りるなんてプランは、お互い話し合うまでも無くすっかり頭に無くなっていました。こうなったら前進あるのみ、です。
前傾気分でどんどん進んでいくと、なにやら丸っこいものが動いているのを発見。ライチョウさんでした ! 5羽もいる ! ふっくらしててカワイイ…。そういえば、雷鳥広場という場所があったんだった。私達2人に加え後ろからやってきた団体さんの気配に気づいた様子でいそいそと逃げてゆくのでしたが、歩幅が小ちゃくてあんまり早く歩けない感じがまた可愛かったです。4.5年前に一度残雪の尾根で見かけてからというもの以降出会う機会がなく大好物の長野銘菓「雷鳥の里」のおまけの紙でしか愛でる事ができていなかったので、実物の可愛さにじーん、と感動しました。
その後緩やかな傾斜のアップダウンが続く吊り尾根歩き。景色はガスで全くと言っていいほど見えないので、しばらくするとずっと同じ所を歩いているんじゃないかという錯覚に陥ります。だんだんと歩行が単調に感じてきて、少しづつ気持が疲れ始めてきました。バランスを崩してよろけたりする箇所もしばしば。中くらいのサイズの石がゴロゴロとしていて、緩やかな道なれど足場は決して安定していないのです。疲れ果てるというよりは、けだるい様な、ぼーっとする様な疲労感でした。視線がすっかり足もとだけに落ちていたので途中でマーキングを見落とし、踏み跡に沿ってそのまま進んでいくと、稜線に出てしまいました。踏み跡が消えて、あれ、間違えたな…と気が付いたその時に、山頂で会った2人組に声をかけて頂き、無事軌道修正。ありがとうございます…。それにしても、間違った方向にしばらく踏み跡が続いていた事を思い返すと、やはりここを通った誰かも疲れが出てきていたのだろうなあ。気をつけなければ。晴れの日の縦走は格別な喜びがあって疲れなんてほとんど感じないけど、ずーっとガスの中でひたすら歩き続けるというのは、やっぱりこたえるものだなあ。こんな風に感じちゃうのってまだまだ青いのかな?ぐるぐる考えたりして進んでいくとザクザクと多方向を示すかっこいい木の案内板が見えてきました。分岐点、紀美子平に到着です!
前穂まで縦走したかったけれど、あいにくの視界の悪さで今回は断念する事に。やれやれだあ、と案内板の下で一本休憩。kintakunteさん御一行の記念撮影に一緒に混ぜて頂く事になりました。賑やかな記念写真ができて、とっても嬉しかったです。
これから重太郎新道を下って岳沢に向かいます。あ〜、ついに下るのかぁ、と少し寂しい気持に。そういえば、「紀美子平」という名称が気になったので後で小屋のサイトで調べてみたら、重太郎新道を開拓した今田重太郎という人の娘の名が由来という事でした。娘を背中に背負って遊ばせながら道を作ったのだそうです。とてつもなくタフガイです。すこし前に「剣岳、点の記」の映画を観た時も印象的だった事だけれど、今みたいに便利な装備も道具も無く、藪を掻き分け足を踏ん張って道を開拓したのだから、想像を超える領域です。こうして山歩きを楽しめるのもみんなそういう先人の恩恵によるものですね。何にでも当てはまる事だけど、「始め」を作った人は本当にすごいなあ。いろんな物が無かった時代のパワーって、計り知れない。改めてそんな事を思わせて頂きました。名前って意味深いなあ。
重太郎新道下り道、だんだんとガスが晴れてきて、焼岳がくっきりと顔を出し始めました。下方に岳沢も見えます。嬉しくなって、足取りが軽くなり出したその時、バランスを崩して初の転倒 ! ハイマツに顔面突っ込みでした。直接の原因は、不確かな一歩を取ってしまった際にザックの重みに身体を振られた事でした。つい楽しい気持ちが先行して、身体の疲れを忘れていた様です。こういう油断が一番いけません。この性格は、気をつけないと命取りになります。
傾斜に沿って倒れていたので荷物の重みでどうにも起き上がれず、カメ状態でうなっていると、背後からとても紳士な方が現れてザックごと引き上げてくれました。恥ずかしくてとても焦ってしまい、感謝の気持ちをお伝えしそびれてしまいました…。
次回はもう少し成長します。ありがとうございました…。
これがきっかけになり、ザックを更新する決意が固まりました。
途中、雷鳥広場でライチョウさんアゲインなるか、と期待しましたが、今回は会えませんでした。
カモシカの立場付近で一本休憩して、黄色の多い紅葉をじっくり目に焼き付けます。
岳沢までは、見え始めてからが意外と遠かったです。
小屋付近まで着くと、ジョッキ生ビールを片手に持ったおじさんが陽気に声をかけてきました。明日の早朝出発して山頂をアタックするのでしょう。
まずは腹ぺこを満たす為、小屋の前でゴハンにします。しばらくすると中高年の団体さんが到着。となりのテーブルに並び、賑やかな空間となりました。その方々はなんと、紀美子平でザックをデポしていた団体さんでした。
すごい。もう追いついてる!おそらくコースタイムよりも余裕で早いペースです。かなりの鉄の足、体力を持っておられます。リーダーが一人ストイックなのかと思いきや、他のメンバーの余裕の笑顔を見ると全員が強者とお見受けしました。60歳位のリーダーがこの後の天候を懸念して、ランチ休憩を30分程で切り上げるよう皆に号令をかけ、早々に出発して行かれました。
私達も約15分後に出発しましたが以降出会う事は無く…やはり、ストイックでした。
小屋を離れると辺りは木々で覆われすっかり森になり、名残惜しい道路をキノコ観察をしながら上高地へと戻りました。
河童橋でビールでカンパイ、お疲れ様!今回は運転が無いため好きなだけ味わっていくことができたのでした。今回の足の選択は、正解!
Kayotank さんこんばんわです。
紀美子平での写真撮影有難うございました。
結構いっぱいいっぱいで山行していましたで、きちんとした挨拶が出来ず、すいませんでした。
とりあえず無事に下山された事は何よりでした。
また何処かで同じ山を共有出来たら素晴らしいですね。
ではでは
kintakunteさんコメントまで、ありがとうございます
これ来るとうれしいものですね
パソコンの調子が悪く更新がウスノロですが、ヤマレコ楽しんでます
最初お見かけした時は、あまりのエネルギーオーラにてっきりガイドさんか、特別な任務の方なんだと思っていました。
そちらのグループの皆様、何だかとても楽しげにしていらしたのでこちらも伝染して、さらにうきうきとした気分になりましたよ
また共有できたら嬉しいです。
実はそちらの写真にわたしの転倒失態現場が…
今後、気をつけますね。
でも、これもいい思い出です
記録を見ると、一緒に登っていつつも、お互いのコンディションや感じ方が様々で面白いものだね!
自分が見落としていたことも気付かせて貰って・・・
ところでキノコ達、すごくきれいに映っているね。
あのとき、厳選して撮影していただけある!
ありがと〜
キノコ写真は他にもあったのだけど、何しに行ったかわからなくなっちゃいそうだったので、少し割愛して載せたよー。
これからもキノコハンターを続行します。
今の所、8月三頭山のメレンゲみたいなやつがピカイチなんだけどね。
そのうちそれも載せてみるよ〜
そちらの記録も楽しみにしてるよ
Kinntakunteさんと同じパーティーのke-mです。
宜しくお願いします。
きのこの写真、緑との感じが良いです!
図鑑に載ってるのみたいです。
転んでた姿は衝撃的でした!
怪我が無くてホントに良かったです。
また、どこかの山で出会えたら楽しいですね♪
コメントありがとうございます
もしやあの証拠写真は ke-mさんによるものですか?
ナイスなタイミングですね!
でも、あの時は注意力が足らず、とても反省しております。
体調を崩したりしてなかなか更新できずにいるのですが、先日性懲りも無く入山してしまい、キノコを含めて新たなる収穫があったので、のんびりと更新して行く予定です。
お時間あるときにでもまた覗いてみてくださいね
こんばんは〜
涸沢の雪上キャンプ、こないだ山と渓谷のバックナンバーを見てたら載ってました。確か2010 3月号かな
ゴールデンウィークなど、混むだろうなー、と思いつつ、
雪の上を歩いて涸沢まで行くのは楽しそうだし、何よりテントを雪上に張って過ごすのも魅力!
ぜひやってみたい、、と1人メラメラしてたので、kayotankさんの感想見て同感です。
この計画焦らず温めてみよ!色々雪の技術は学ばねばだね。
是非やろう!来年の目標だね
ああ、夢が叶います…。
燕岳の雪上テントで凍えたあの苦い経験も経て、次回は良い学習結果が出せそうだよね
その時はいよいよ新生マイ靴も本領発揮できます。
雪の学習、していきましょう!
楽しみです
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