鍬崎山 冬山研修会



- GPS
- 56:00
- 距離
- 15.5km
- 登り
- 1,601m
- 下り
- 1,435m
天候 | 連日晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
何箇所か急斜面があるが、いづれもツボ足で行動。 |
写真
感想
3月10日
ジェットスターの格安航空券をゲットしていたので10日に新千歳を出発しようとするが二つ玉低気圧の影響で全便欠航し自宅待機する。
3月11日
富山への直行便をとる。天候次第では引き返しか羽田へのエスケープの可能性もあったものの、2時間遅れで富山に到着する。好日山荘とダイソーで必要な装備をそろえて電鉄に乗り1時間ほどで研修所につく。前泊する学生たちと話したりトレーニングルームでクライミングしたりして時間をつぶす。前泊用の食料を忘れるが親切な学生にミートスパゲッティー(ダイソー)をごちそうになる。
3月12日
開会式ののち班別で登山計画や準備を行う。例の二つ玉低気圧の影響で研修所周辺の山では1m以上の積雪があり、雪崩の危険性が高いということで山域は大日岳周辺から大品山周辺に、日程は3泊4日から2泊3日に変更される。
パーティは6人の学生に2人の講師がつく形で行われる。今回は5班ある中の1班に分属になる。雪氷学や医療の講義を受ける。研修所の食事はあまりおいしくない。
3月13日
雪山でのリスク管理の講義を受ける。リスクの大きさは危険度と時間の積で判断されるという話を聴く。入山中の食料の準備や概念把握などパーティで準備する。
弱層テストの実技講習と雪崩捜索のデモンストレーションを見る。山スキー部での方法と大きく異なっている点は、一か所のピットで必ず2回テストを行い2回とも同じ結果が出た場合のみ記録し異なる結果が出たら3回目を行うこと、「手首、肘、肩、全力」の力加減が部のものよりずっと大きいこと、積雪層の観察にはピットの側断面を利用すること、雪柱はスコップの大きさではなく30センチ四方の大きさに切りだすことなど。そのほかに、コンプレッションテストの結果よりも硬度チェックを重要視すること、温度計は必須であること、新雪層の観察にはディープタップテストを利用することなど勉強することが多い。雪崩捜索では遺留品は必ず持ち上げてリーダーに見せること(雪崩れた人が埋まっているかもしれない)、プロ―ビングは鉛直方向ではなく斜面垂直方向に行うこと、掘り出された人は意識があっても自力で動くべきではないことなどを学ぶ。
その後、気象の講義を受ける。
3月14日
本当なら14日から入山だが、積雪の影響でこの日は実習を行う。
ビーコンチェックの方法から始める。ビーコンの電池残量の報告、メンバーがサーチしリーダーが離れる、メンバーがSENDした状態でビーコンをしまい一人ずつリーダーに近づきサーチされる。部の方法とは異なるが確実に全員のビーコンがSENDされていることをリーダーが確認できるように考えられた単純かつ正確な方法だと感じる。
その次にビーコン捜索訓練、というより練習である。この練習ではビーコンの初動捜索(埋没者の電波を受信していない状態)から行う。そうすると、ビーコンを非常時にも信頼して使うことができるということにつながる。
休憩の後、搬送ラッピング訓練を行う。スキー板がなくても方法論さえしっかり押さえていれば30分ほどで完成できる。基本として、保温と搬送を分けて考えてラッピングをすべきである。保温用のラッピングでツェルト、テントシート、銀マット、シュラフ、要救助者、シュラフとサンドイッチする。ツェルトは1人用では使い物にならないので2〜3人用が必要になる。テントシートは是非導入すべきである。これがあるだけでテント内の放熱と給水はかなり防げる。装備も濡れないし、凹凸も気にならない。要救助者には簡易ハーネスをつけるが、チェストハーネスではなく、かかとと腰を結ぶことでうまくいく。最後のラッピングはツェルトを両サイドから引っ張り上げてノリ巻きのようによじりまとめてマストノット、マストノットは2人一組で行うべきである。搬送用のラッピングで、もう一枚ツェルト、細引き(10m)を使用する。重要なポイントは要救助者を十分にラッピングできる縦横の大きさのあるツェルトが必要であることである。また、引っ張る方向の3点(頭、肩、肩または足、ひざ、ひざ)を利用して流動分散を作ると引っ張りやすい。搬送の際には肩掛のスリングと負傷者をカラビナでつなぐことで搬送がうまくいくことが分かる。最低限必要なカラビナの枚数は17枚(管付き3枚を含む)、スリング60センチ4本、120センチ3本+引き手に必要な本数であり、さらにビレイが必要であれば8mm以上のザイル、搬送者のセルフビレイ、アンカー構築用のカラビナ類が必要になる。
その後、ザイルワークの練習を行うが普段使い慣れない分多くの反省点があがる。まず、手袋を着用したときのザイルあつかいに慣れがないので時間がかかること。すっきりとしたシルエットの身なりをしないと思わぬところでザイルを引っかけてしまうこと。必要な装備を把握できないので道具の受け渡しに手間取ること。などである。実際に必要な技術はあまり多くはない。身につけておくべきは、8ノット、マストノット(クローブヒッチ)、ストラップ結び(ガースヒッチ)、ムンターヒッチ(半マスト)、ダブルフィッシャーマンズノット、程度である。
実技講習の後、研修所裏でテント設営を行い、テント泊とする。エッセンは毎回生米を炊く。
3月15日
研修所=有峰口―極楽坂山―瀬戸蔵山C1 終日晴れ
ルートの詳細についてはあまり参考にならないと思うので山行中に講師に指摘されたことなどを中心に説明する。
入山地点はブッシュの生えた腐れ雪の急登なのだが、わかんにピッケルスタイルがスタンダードのようでストックは使わない。こんなところでピッケルが役に立つのか甚だ疑問だったがふつうにストックと同じようにして使える。場所によってはストックはいらないのかもしれない。
この日は自分がリーダー担当でパーティに指示を出す。このとき、リーダーは必ずしも列の最後尾にいるべきではなくルートの把握と行動意思決定を行うために先頭で歩くべきだということを指摘される。リーダーを務めるのならどんな場所でも先頭でラッセルできて当たり前ということである。休憩場所の選定には危険の少ないポイントを選ぶべきであること。地形の把握はこまめに行うべきこと。ザイルを出す判断、危険地帯の通過にかける時間など。今回パーティが6人と多く全員と会って2〜3日目で意思の疎通と議論が非常に難しく皆言うことがばらばらでテント設営場所を決めるのに1時間30分も要する。
時間は誰にも平等にあるのでリーダーの時間の管理は重要であること。山では無駄なことやどうでもよいことに時間をかけることが危険なことであること。後輩は殴ってでも従わせないとその後輩を山で死なせることになるということ。先輩は手を抜いたり、楽をしようとしたりすることで後輩がそれをまねするということ。など、リーダーの役割について学ぶ。
3月16日
C1−大品山―ポイント1429引き返し―大品山C2 終日晴れ
テント撤収中に雪崩の音がする。大日岳の方向で雪崩れたようだったが、そのことに気がつけなかった。それは目をつむり、耳をふさぎながら登山していることと同じであると指摘される。デッパ前のトイレタイムは重要であること。自身の体調管理が山の環境を五感で感じることにつながることなどを指摘される。大品山通過後、わかんが調整不足で外れてしまい反省点があがる。また、弱層テストの練習を行う。他の山岳部員はピットの大きさや叩き方など結構いい加減である様子。自分は妙に頑張りすぎて高さ2mくらいのピットを掘ってしまう。
大品山に戻り、前日の反省点を踏まえてテントを張る練習を行う。何とも情けない。その後、雪洞を3人一組で作成する。形はうまくいったものの気温が高く雪洞内で融雪水が滴り崩落の危険があるので宿泊はせず。その代わり雪を解かさずに水を獲得する。翌日、雪洞は崩れていた。
3月17日
C2−粟巣野スキー場―搬送訓練―研修所下山 終日晴れ
早朝のルートは前日のうちに確認しておくべきであること。コンパスを切って歩くときには目標地点を決めてから安全を考えたルート取りをすべきであること。入山する山だけでなくその周辺の地形も概念把握していることで地図読みの精度が上がること。リーダーシップとフォロワーシップ。危険地帯での行動意思決定に時間がかかっていたことなどの指摘を受ける。その後、スキー場脇をわかんで下るが、何とも言えない気分である。
下山後、搬送訓練を行うが、要救助者を運ぶのに夢中になりルートファインディングがおろそかになり間違ったところに出たり、意味もなく危険地帯に入っていったりと多くの無駄が出る。最後にはザイルを使ったロワーダウンを行うが、20度くらいの結構な斜度のあるところでも要救助者を引っ張るために力が必要で大変だと感じる。ザイルでの確保搬送では、短い距離ならよいが、長い距離で何ピッチもかけて移動する必要があると50mザイルは1本では足りない。2本以上必要になる。
研修所に戻り、洗濯などして就寝。
3月18日
最終日。午前中は装備の片づけ、班ごとの反省会となる。個人の反省点がいくつか上がったが、パーティとしての反省点が多く上がる。リーダーシップをとりメンバーを安全に目的地に連れていくことの重要性、リーダーに慕うメンバーシップ(フォロワーシップ)の重要性、雪崩などのリスクマネジメント、細かな作業を確実に行うことなど。反省点の多くは答えが明確で簡単な問題点ばかりである。基本に忠実に登山を行うことの大切さとその難しさを改めて考えさせられる。
午後には全体でのオリエンテーションで「今後リーダーとしてどの山域のどのルートを選びその山行を達成するために何をするべきか」というテーマで一人2分間のスピーチを行う。海外の6000m峰を目標にしている学生もいれば、夏山のバリエーションを目標にしている学生もいて各部、各人の個性を観ることができておもしろい。
その後、オリエンテーションと閉会式で各講師から様々な言葉をもらい山に行くモチベーションをもらいこの研修会は終了となる。
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