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ヤマレコ

記録ID: 84618 全員に公開 積雪期ピークハント/縦走八ヶ岳・蓼科

厳冬の天狗岳 初冬山で吹雪にラッセル、ビバーク。。

日程 2005年01月30日(日) 〜 2005年01月31日(月)
メンバー
 stk
天候曇り後雪 稜線は吹雪のち晴れ
アクセス
利用交通機関
車・バイク
中央道南諏訪I.C.〜渋の湯
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地図/標高グラフ


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コースタイム [注]

1日目
渋の湯〜黒百合ヒュッテ〜東天狗岳〜西天狗岳〜第二展望〜第一展望〜唐沢鉱泉(ビバーク)
2日目
唐沢鉱泉〜渋の湯
コース状況/
危険箇所等
東天狗から先はトレースなし 第一展望あたりでトレースが復活した。
降雪直後で新雪ラッセル

以下写真
Nikon D70 AiAF Zoom-Nikkor f/3.5-4.5D IF-ED
ファイル fuyuyatsu_data.gif 高度記録(Pro Trek) (更新時刻:2010/10/29 02:44)
過去天気図(気象庁) 2005年01月の天気図 [pdf]

写真

前泊した渋御殿湯の部屋。分厚い氷が。。
2005年01月29日 20:07撮影 by NIKON D70, NIKON CORPORATION
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前泊した渋御殿湯の部屋。分厚い氷が。。
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黒百合平への道。こんな積雪
2010年11月08日 22:03撮影 by NIKON D70, NIKON CORPORATION
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黒百合平への道。こんな積雪
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黒百合平への道2
2010年06月07日 21:46撮影 by NIKON D70, NIKON CORPORATION
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黒百合平への道2
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黒百合ヒュッテ 入らず通過
2010年11月08日 21:41撮影 by NIKON D70, NIKON CORPORATION
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黒百合ヒュッテ 入らず通過
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東天狗へ一直線 風がかなり強く視界も悪い
2010年11月08日 22:05撮影 by NIKON D70, NIKON CORPORATION
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東天狗へ一直線 風がかなり強く視界も悪い
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東天狗への急登。ルートはさっぱりわからないが、かすかなトレースと先行者を頼りに進む
2010年11月08日 21:59撮影 by NIKON D70, NIKON CORPORATION
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東天狗への急登。ルートはさっぱりわからないが、かすかなトレースと先行者を頼りに進む
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頂上付近 ホワイトアウトに近くて何が何だか。。
2010年11月08日 22:17撮影 by NIKON D70, NIKON CORPORATION
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頂上付近 ホワイトアウトに近くて何が何だか。。
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頂上付近の岩を巻く
2010年11月08日 22:01撮影 by NIKON D70, NIKON CORPORATION
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頂上付近の岩を巻く
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東天狗岳下り
2005年01月30日 11:22撮影 by NIKON D70, NIKON CORPORATION
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東天狗岳下り
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西天狗がかすかに見えた。トレースは無いが特攻
2010年11月08日 21:59撮影 by NIKON D70, NIKON CORPORATION
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西天狗がかすかに見えた。トレースは無いが特攻
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東西天狗の鞍部
2005年01月30日 11:26撮影 by NIKON D70, NIKON CORPORATION
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東西天狗の鞍部
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西天狗頂上。突然晴れてきた!
2005年01月30日 11:59撮影 by NIKON D70, NIKON CORPORATION
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西天狗頂上。突然晴れてきた!
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西天狗下り
2005年01月30日 12:02撮影 by NIKON D70, NIKON CORPORATION
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西天狗下り
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南八ヶ岳の景観
2005年01月30日 12:07撮影 by NIKON D70, NIKON CORPORATION
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南八ヶ岳の景観
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エビのしっぽ
2005年01月30日 13:24撮影 by NIKON D70, NIKON CORPORATION
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エビのしっぽ
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唐沢鉱泉に降りて助かったと思ったが。。。
2010年11月08日 22:01撮影 by NIKON D70, NIKON CORPORATION
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唐沢鉱泉に降りて助かったと思ったが。。。
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ビバーク後生還!!(この時はホントにそう思った) 全身で喜びを表す!
2005年01月31日 08:10撮影 by NIKON D70, NIKON CORPORATION
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ビバーク後生還!!(この時はホントにそう思った) 全身で喜びを表す!
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撮影機材:

感想/記録
by stk

満を持して初めての冬山登山。まずは冬山初心者向けの北八ヶ岳天狗岳にいく事にした。ルートは一般的な渋の湯〜黒百合ヒュッテ〜東天狗〜西天狗〜唐沢鉱泉〜渋の湯。黒百合ヒュッテで一泊するのが普通らしいが朝早く出る事で2時間を前倒しにする計画だ。

「登山前夜」
初日は登山口の渋の湯までという段取り。UDAがうちに来て1台でスタート。ここで思わず登山靴をわすれそうに。あやうく現地即解散になるとこだった(笑)。しっかり再確認し中央高速で諏訪をめざす。おりてから八ヶ岳方面へ。ある程度進むと雪が多くなってきたが道はそれほどでも。いけるとこまでチェーンなしでいきそろそろ滑るかなってとこで装着。年末に買った奴だ。2回目で二人いた事もあり10分ちょいで装着完了。そこから先は急に凍結箇所や坂が増え、まさにベストタイミングの交換だった。
標高1500mを超える頃から雪がちらつく。いよいよという気分が高まってきた。17:30過ぎに宿に到着。車内で暖まったせいか寒さはそれほど感じず。外に出ると新雪が10cmくらい積もっていた。ドア凍結を考慮し荷物は全て部屋へ。すぐに夕食となった。可もなく不可もなくといった夕食の後は9時まで装備チェック。というかお互いの自慢大会(笑)。後は雪上技術の再確認。そしてルートの最終確定をした。温泉が10時までなのですばやく入る。風呂上がりにビールを2杯ほど飲みつつパッキングをすます。12時には寝たが子供みたいに興奮して(笑)眠れず寝たり起きたりだった。

「初冬山の朝」
5:50にアラームがなる。眠りが浅いのですぐ起きて準備と朝食をすませる。
初冬山という事で寒さがどんなものかを体験するのも今回の目的の一つ。上は速乾性のシャツにセーター、インナーのグースダウン、その上に防水のゴアテックスのレインウェアを着る。下は高機能タイツ、膝下はレッグウォーマーをあて、テニス用のズボン、その上にゴアのレインウェア、その上にスパッツだ。上は心配ないが下はもしかしたら寒いかな?という予想。
そしていよいよ外へ。夜のうちに5cmほど積もった模様。今も小雪が降り続き太陽は全く見えない。首からかけたカメラのストラップにつけたプロトレックの温度計はすぐに氷点下をしめす。しかし着こんでいるため寒さはまったくなし。登山口からはすぐに斜面になるのがわかっていたので最初からアイゼンを着ける。訓練を兼ねてアウター手袋をしたままやったためちょいとてこづった。時間は6:30を過ぎいよいよ出発だ。

「初陣」
同じ宿の登山客3人は既に出発していてトレースが明瞭に付いていた。およそ2時間でいける黒百合ヒュッテを目指し登攀開始。アイゼンをつけての登りはそれだけでなんとなく緊張感が高まる。しょっぱなからある程度の傾斜なので早速暑くなってきた。新雪のためアイゼンはほとんど刺さらず意味がない感じ。はずすのも大変なのでそのまま進む。
150mくらい上がるとUDAがさっそく暑さで服を脱ぐという。自分も同感だったのでインナーのグースダウンをたたみザックにしまう。これである程度快適になった。温度計は-7℃くらい。雪は相変わらず静かに降り続いている。手袋に落ちる雪はスキー場高所と同様に結晶の形が明確に分かる。乾燥雪なのでザックや手袋についてもくっつかず濡れる事はない。登攀再開したが100mも上がる前にUDAが暑すぎるらしく、下のアウターをはずした。確かにまだ樹林帯で風が全くなく冬山の厳しさは感じない。ただし稜線や山頂では相当寒いはず。気を緩めずに黒百合ヒュッテを目指した。

途中出会ったのは単独行の男、6人くらいのパーティー、2,3人のパーティー2組くらいでいずれも下山客だ。おそらく朝黒百合ヒュッテを出たと思われる。標高2300mを超えるあたりから少し風が吹いてきて温度はプロトレックの計測範囲外(-10℃以下)となっていた。UDAが少し寒くなってきたな、とつぶやく。道もそこそこ急で、意外と遠いなーと感じていると突然、黒百合ヒュッテが姿を現した。
予定の2時間より15分ほど早く黒百合ヒュッテ到着。小屋の前では20歳?くらいのグループ10人程度がそりで遊んでいた。山小屋入り口にかけてある温度計は-15℃。ま、そんなもんかなーという感じで一息いれる事にする。アイゼンを一旦はずし装備を再度整える。手袋をはずすとさすがに凍るように寒い。さっき脱いだグースダウンのインナーを再度着込む。UDAも先ほどはずしたアウター上下を再びまといアイゼンを締めなおす。いよいよ東天狗岳への登頂をめざす。

「洗礼1:地吹雪の稜線」
道がわかりづらいためコンパスで東天狗岳の方向を確認し、山頂へのトレースを発見。ここからは痩せ尾根で東側斜面が切れ落ちているため、注意が必要な箇所だ。滑落したら命はないだろう。稜線らしく強風が吹きあれてきた。突風で体が飛ばされないよういつでも耐風姿勢を取れるように心構える。雪や地面の氷が顔にあたり痛いため風下を向きつつ進む。UDAは目出帽を装着した。強風でトレースが消えている所が多いが尾根づたいに進む道は一つなので迷う事はない。場所によっては岩、氷がミックスになっているところもありガチャガチャとアイゼンが音をたてる。
そしていよいよ最後の急登が見えてきた。

二人ほど上のほうに張り付いているのが見える。正直「結構急だなー」と感じた。しかもここは膝近い新雪で道はまったくわからない。半ばラッセルのような雰囲気だ。ますます風が強くなり視界は悪くなる。上の二人がつけたトレースに添いアタック開始。案の定雪が深く登りづらい。がに股でキックステップをしてザクッザクッと雪を踏みしめて登る。
上の二人は急登にてこづっている様子ですぐに姿が近くなってきた。突風のたび体をしっかり固定してかなり慎重に登っている様子。とはいっても体を飛ばされるほどではないのでこちらはある程度勢いをつけて登っていく。夫婦の2人パーティーであろうか、最初に女性の方に追いつき道を譲ってもらった。
急斜面でのキックステップにも慣れそのまま一気に頂上目指して突き進んだ。頂上まで50mくらいのところで男性の方に追いつき先にいかせてもらう。ここまでくればあと少し、ただし寒さはハンパじゃない。体はウェアで寒くないが露出している顔が凍てつくようだ。最後は岩がごつごつし鎖場になっている。岩には樹氷ならぬ岩氷?が風上に向かって育っていた。10月の硫黄岳を思い出す強風が氷の粒をのせ顔を叩く。ゴーグル買ってくりゃよかったなと考えつつ、顔を背けるわけにもいかないのでそのまま進む。鎖は使わずピッケルワークで岩場を越えると頂上は目の前だった。

岩場をトラバースしつつ進むといよいよ東天狗岳の頂上だ!視界は最悪だがとりあえず写真を何枚か撮る。寒さで動作するか不安だったがボディのバッテリー側にカイロを巻いた甲斐があったか、D70のシャッターは問題なく切ることが出来た。頂上付近は数人いる程度で風がすごいため長居する人はいない。UDAは目出帽は鼻水が凍って使い勝手が悪いとぼやいている。
と!ここでアイゼンをはじめてひっかけた。アイゼンに慣れていない人は前爪を地面にひっかけたり自分の靴に引っ掛けたりして転ぶ事が多いそうだ。場所によっては致命的な場合もある。自分の場合は方向転換の際、靴同士をアイゼンで引っ掛けた形だがこれも多いケースらしい。ただしバランスを崩しかけただけで転倒には至らなかった。
寒さがひど過ぎるので第一目標の東天狗をあとにし西に見える西天狗岳に向け歩を進める事にした。

強風の頂上付近を西に向け慎重に降りだした。西に向かった人はいないのかトレースは全く無い。ただし、吹雪の向こうに西天狗岳はうっすらと見えているのでそちらに向かえばよい。急な箇所はトラバースしつつくだった。雪はところどころで深くズボっと膝くらいまで入る箇所もあった。このあたり西の空がたまに明るくなる。

丁度昼ごろで太陽は真南にありうっすらと見える事もあった。50mちょい下り進むと西天狗岳の東斜面の登りが始まる。トレースはもちろん無く雪は東天狗よりも断然深い。腰くらいまで埋まる場所も多かった。新雪をまさに漕ぐといった感じで登ってゆく。木が丸ごとうまっている場所もあり足場探しに苦労。100m弱を登るのに30分以上かかった。
そしていよいよ西天狗岳頂上。ここは山頂がかなり広い。そして見渡して驚いた!一気に雲が取れ美しい冬山の景観が目の前に広がる!

正直、天気はあきらめかけていたので思わず大声を二人であげてはしゃいでしまった(笑)お互い写真を撮り達成感を味わっていたのだが、ふとしたタイミングでカメラのレンズキャップを落とした。強風であっという間にどこかへ消えてしまう。レンズの上にはフィルターも付いてるのでま、いいやとあきらめる。ただしこれが手袋だったら、、とか考えると恐ろしい。冬山で手袋をなくしたらあっという間に凍傷になり手を失うことにもなりかねない。ヘタにはずすのは本当に危険だ。

景色を満喫し寒くもなってきたので次の目的地へ向かう事にする。地図・コンパスを確認しようとしたところUDAが「あれ、地図がない。わたさなかったっけ?」と恐ろしい事を言い出す。もらった覚えはないが探しても見つからないという。冗談じゃないぞ!という事で探したところUDAのポケットにしっかり入っていた。上の方に移動してしまってすぐ見つからなかったらしい。。。相当ヒヤっとした出来事だった。見つからなかったら東天狗に戻ってトレースにそって戻らざるを得ないところだった。
西天狗の西斜面を250mほど降り、再度100mくらい登ったところに第2展望があり、目でもよく確認出来る。地図とコンパスを合わせるとよくわかる。まずはそこに向かって進むことにした。

「洗礼2 終わり無き猛ラッセル」
西斜面も登ってきた東斜面同様、相当に雪が深い。下りなのでまだいいが、時折腰まで埋まり身動きが取れなくなる。雪崩でうまって動けない理由がわかるような気がした。深い雪の中に岩があるところもあり、慎重に降りる。そして降りきったところから再び樹林帯だ。どこが道かほとんどわからないほどの積雪。ただし好天のため第2展望と思われるピークが視認できるので道なき道を進んでいく。
このあたりで日光がさし背景が暗い箇所で空気がキラキラ光って見えるポイントが何度かあった。木に積もった雪の結晶が落ちてるのかなー、と思っていたが、このときはよくよく考えると風はなかった。後でわかったのだがおそらくこれはダイヤモンドダストだった可能性が高い。
-15℃〜-20℃位まで冷え込み、風がなく日光がさす場合が観測条件となるらしい。空気中の水蒸気が極低温のため雲になる前に結晶になり、様々な向きに光を反射しゆっくりキラキラ光りながら落ちていく現象だ。ラッセルに必死だったのでカメラに収める事すら忘れていたが、あの静かに煌く美しさは今でも鮮明に頭に焼き付いている。

西へ進んでいくと、道の方から自分達に合流してきたかのように木に結び付けられた赤いビニールが確認出来るようになった。道がわからずに進むよりはやはり道のほうが安心出来るが。。。しかしここはまさに「道があったところ」としか言えない。トレースゼロで常時腰までの深い雪。正にラッセル地獄である。風がなく天気がいいので不安感はないが、このラッセルは相当に体力を消耗する。先頭はつらいのでUDAと交代しつつ進んでいく。15分ちょいでいけると考えていたポイントまで1時間たっても着かない。1時半を過ぎ今日中に下山できるのか?という不安が頭をよぎるようになった。
そしてこの山行で最も深い雪の難所(ここのラッセルはUDAにまかせた)をなんとか乗り切るとようやく第2展望である。天気は快晴になっており赤岳〜阿弥陀岳の稜線がはっきり見える。水分を補給しようとしたがザックの外のアミノサプリは当然のごとくカチンカチンに凍りついている。ザックの中の水を飲もうとしたがこちらも凍りついている。飲みかけだったのでひたすら振って溶かした。多少疲労はあるが、時間の問題もあるため長居はせず次のポイント第1展望を目指す。

地図からは尾根伝いでそれほど標高差はないルートだと読み取れる。ラッセルはあっても30分くらいで着くかな?という気持ちで樹林帯の深雪を再び漕ぎ出す。しかし一向にそれらしいポイントは見えてこない。看板が雪で埋もれて気づかずに通りすぎたのかなー?そういう思いが強くなってきた。時間を14時を大分過ぎている。渋の湯に戻るには微妙な時間帯になりつつある。第1展望はとっくに過ぎてて次のT字路が今に見え出すだろう。そういう期待を持ってラッセルを続けていくと、、、トレースが現れた。逆ルートから来たようでワカンを使って上がってきたらしい。だがあまりの深雪に第2展望への登頂をあきらめたのだろう。少し進むと期待を裏切って今頃第1展望が姿を現した。時間は14:30を少し過ぎている。第2展望からきっちり1時間かかった事になる。
昼食にチキンラーメンを食べる計画だったがそんな時間的余裕は当然なく、カロリーメイトを口に放り込んだ。再度ザック内で凍りついた水を振って溶かし飲む。ここからは標高が下がる一方なのでペースがあげられる。それを励みに下山を開始した。

「終わりの見えない下山ルート」
最悪の場合は渋の湯手前の唐沢鉱泉に泊まってしまえばいいや、と地図を見て判断。深い雪を進みだす。新しいトレースがあるため先程までのラッセルと較べペースが格段に上がる。15分ほどでT字路に出くわし、北へ方向を変える。ここからは直線距離で1kmちょい、30分ちょいで唐沢鉱泉までいけるかな?そうすれば渋の湯まで戻れそうだ。
下りのキックステップは楽で楽しい。かかとから蹴りこむようにして進む。雪がクッションになるので膝への負担も小さい感じだ。唐沢鉱泉の建物が見えるのが今か今かと期待しつつグングンと降りていった。
・・・しかし、いけどもいけども建物は見えてこない。時間も16時を過ぎてしまった。。トレースに沿ってきたが道を誤ったか?そんな不安も頭をよぎる。時折地図を確認したところ方向や高度的には問題なさそうだ。なんで直線で1kmちょいのルートを1時間以上歩いても着かないのだろう?だんだん不安になり、実は唐沢鉱泉はとっくの昔につぶれてて確認できずに通過し、もう渋の湯の寸前まで来ているのではないか?勝手な仮説が頭の中を駆け巡りだした。体力的にも昼間のラッセルの影響でかなり消耗している。ときどき小休止を入れながら進む。

2000mを切るあたりで、アイゼン不要と判断しはずした。足の1kgはザックの10kgに相当する疲労を招くという。自分のアイゼンは10本爪で両足765g程度。UDAのは12本爪で両足860g程度。はずすと確かに身軽になったのを実感した。日はかなり低くなってきている。遠くに水の流れる音が聞こえ、やっぱり渋の湯が近いのでは?そんな期待を抱かせられる。1900mをきり、もう一息!とがんばる。そしていよいよゴールが見えてきた。。。

ゴール・・・。なのかも分からないが山小屋らしき建物が見えてきた。予定は狂ったが今日はここに泊まって明日早朝出発するか・・・などという考えも頭をちらつく。「とりあえずくつろぎたい」その一心であった。近づいていくと「唐沢鉱泉」と書いてあるのがわかる。暖かい風呂が頭に浮かんだ。地図でここ!とわかる場所についた安心感。東天狗山頂から人に出会っていない孤独からの開放が一瞬自分を安心させた。。しかし、、
小屋は閉鎖されていた。冬季休業。。正面入り口は堅く閉ざされている。暖かい風呂が頭からふっとんでいく。。一瞬期待してしまっただけにボディーブローを食らったようだった。「どこかに開いている扉はないか?」まわりのいくつかの扉を開けようとするがダメだ。小屋の周りも深い雪で移動にてこづる。
何分か二人で手分けして開いている扉がないか探したが、時間が過ぎていく一方なので決断を迫られる事になった。「頑張って渋の湯まで戻る 」or「ここでビバーク」の二択となった。いろいろな要素が頭を駆け巡る。
既に5時を過ぎているので日没は間近--途中で暗くなって道を間違える事はないか?--ヘッドランプの電池、予備は持ってきてるがこの寒さで減りが早くて最後まで持たないのでは?--ビバークしたらしたで、ツエルト(簡易テント)のみ、シュラフない状態で寒さをしのげるのか? そうこうしているうちにUDAが結論をだした。「いけるところまでいこう」
同意し、ヘッドランプを装着し、ザックを担ぎ方角を確かめて再び斜面を登りはじめた。しかし、森林帯に入ると即座に暗さを感じた。しかも斜面が急に感じられる。自分の中で勝手に結論が出た。昼間の猛ラッセルで消耗した今の状態では体力的にもギリギリ。道に迷わない保障はない。やむを得ず雪面でビバークするよりは、小屋の軒下でビバークするべきだ。言葉が自然に出た。「やっぱりやめよう。暗いし迷わない保障もない。明るいうちにビバークの準備をして明日明るくなったら出発しよう。。」 UDAもおそらく同様の思いだったのだろう。「そうだな。その方がいいな。。」と頷いた。
小屋付近に戻り、まずは昨日泊まった宿に連絡する事にした。日帰り予定で帰ってない我々を遭難扱いして、届けを出されてしまうかも知れないと思ったからだ。自分は携帯を車に置いてきたのでUDAの携帯でかけるが、つながらない。アンテナは3本立っているがかからない。あせって何度もかけ直す。しかしつながらない。後で分かった事だがアンテナが立っていても氷点下の低温状態では携帯電話がうまく動作しない事が多いらしい。寒さでの電池の減りを心配してカイロで温めながらかけて、ようやく電話がつながった。「ラッセルで日没前の下山が難しいのでビバークします。」
とりあえず遭難で騒がれる心配が無くなりまずは夕飯を食べる事にした。昼食べる予定だったチキンラーメンをコッヘルで沸かした湯にぶちこみ食べる。胃に沁み込む温かさだった。

食べ終わった頃、あたりは大分暗くなってきていた。ザックからツエルトを出し広げる。まさか使う事になるとは。。小屋の陰で雪がないところに設営した。 最悪寒さに耐え切れなくなったら小屋の窓でもブチ破って、中にあるであろう毛布にでもくるまればいいやという覚悟も持っていた。6時半頃から体育座りの格好で夜明けを待つ事を開始。丸半日待つ事になる。この後どれくらい冷えこんで来るのだろうか?正直不安しかない状態だ。ビバーク開始して最初の数時間はどうでもよい会話を続けて時間をつぶした。それでも日付が変わるには程遠い。あまりに時間が経つのが遅く感じるのでしりとりでもするか(笑)ということになり結構な回数をやった気がする。そのうちにようやく0時を過ぎた。時計はなるべく時間をおいて見るようにした。しょっちゅう見るとあまりに時間が進んでおらずにショックを受けるからだ。見たいのを相当ガマンして1時間進んでいた時にはかなりの喜びがあった。眠気はほとんど来ない。ラッセルで相当疲れているのだがこの状況が頭をそうさせてくれないのだろうか?
1時くらいになった頃、足がひどく冷たくなってきた。雪が入らないようにしていたはずなのに異常に冷たい。登山靴に雪や水が入りビバーク中に凍って凍傷になるのはよくあるケースだ。そんな話を知っていたので靴を脱ぐ事にした。タオルでくるみ、さらにビニール袋で覆った上で両足をザックにつっこんだ。さっきよりちょっとはマシかなーというレベルで改善された気がした。だが実際の温度とは違う体感の寒さのピークは2時過ぎにやってきた。かなり寒い。体をゆすってあっためてもすぐに寒さが戻る。たまらずストーブを点ける事にした。ところがなかなか火が付かない。カチッカチッと空しい音を繰り返すのみで点かない。今回はライターを忘れていたのでバーナーヘッドで点火するしかない。お湯も沸かせないのか・・・と絶望しかけたが3分程悪戦苦闘した結果UDAが点火に成功した。点けると相当暖かい。ツエルトの内側はあっという間に結露してビショビショになった(ヒマラヤでは内側が凍りつくらしい)。ただし、なんとなく息苦しくなり酸欠か?と心配になり定期的に消火。後で分かったがツエルトくらい隙間があればそんな心配は無用らしい。閉め切って練炭燃やしてるわけではないので。。

そんな事を繰り返していたが足の寒さがどうにもならない。靴下に手を突っ込んで触ったらビックリした。あまりの冷たさに!凍傷になる!という恐怖があったので手でしっかりもみほぐすが一時的にしかあったまらない。それでもやらないよりはマシ、と続けた。何分、何時間過ぎただろうか?そうしてるうちに体も冷えてきた。正直この狭いツエルトに同じ格好でじっとしているので腰がものすごく痛くなってきていた。頭の中では小屋のガラスをぶち破って布団(あるかわからんが)に入りて〜〜という誘惑がかなり自分を脅かしていた。しかしガマンのしどころ、、もう少しだという思いもしっかり残っている。エコノミークラス症候群になるのでは、というつらい体勢でしばらく過ごした。

しかし、いよいよ寒さがガマンならなくなりとっておきの飲み物を飲む事にした。コーヒーだ。。。よくコンビニで売ってるコップ2つに粉、マドラー付きという奴だ。せまい中でコッヘルを用意しお湯を沸かそうと思ったが水はカチンカチン状態。少し減ったアミノサプリの方が溶かしやすそうだ、という判断でペットボトルを火から20cm程離してあぶる。誤って近づけすぎてプラスティックのラベルが一部溶けてしまう。慎重に少しずつ溶かし振って砕けるくらいにしてからコッヘルに注いだ。量は80ccほどだろうか。地道に溶かし軽く沸騰し一杯目をつくりコップに注いだ。 ところが!! せまい中でゴソゴソと体を動かしているうちにコップをこぼしてしまった! この時のショックといったら。。。焼き終わった特上カルビを網の隙間から落としたとでもいおうか、、ヘネシーXOをストレートで飲もうとしてグラスごとこぼしたというべきか、、、いや、そんな事とは比較にならない程ショックだった。コーヒーはまだあったがそんな事より早くあったかい物が飲みたかったのでアミノサプリを再びあっためて頂くことにした。一口飲むと、、、、うまい!!疲れて糖分を欲している事もあったかもしれないが体が相当にあったまった。80cc程度を繰り返し沸かし交互に飲んだ。繰り返す事20回はしただろうか・・・。後で知った事だが冬山は乾燥しているため汗をかいてる感覚が無くても水分がどんどん失われるらしい。ヒマラヤ登山では一日に4リットルの水分を取り込む事が必須らしい。そうしないと血液がドロドロになり血行が悪くなり凍傷へつながるわけだ。事実昼間のラッセルでたっぷり汗をかき十分な水分補給が出来てなかった我々はこの数杯のホットアミノサプリを飲んだ後、足の冷えが一気になくなり寒さも相当やわらいだのだ。この頃には時刻も4時を過ぎていた。あと2時間。そうすれば外も明るくなり行動を開始出来る。お互い何度か眠さで意識を失いながらその時間を待った。

6時か6時半くらいだろうか?もうあまり覚えていない。外がやや明るくなってきた。座った姿勢は辛いので早速行動を開始する事にした。まずは靴をあっためる。冷たい靴を履いたのではまた凍傷の危険がある。火から少し離してあぶる。かなりの時間を費やしたが靴は冷たいままだった。けどやらなかったよりはマシな気がした。換え靴下を履いた後に一気に足を通す。この頃から元気が沸いてきた。おおげさかもしれないが生きて朝を迎えられた。ツエルトがなかったら凍死の可能性もあった。ストーブがなかったら死にはしなくてもそうとう辛かったのではないか?自己満足かも知れないが、危機脱出の喜びが確かにあった。

ツエルトの外に出ると突き刺すような寒さを感じる。空は曇っていて薄暗いが道ははっきりわかるであろう明るさだ。ツエルトの外にはNikonD70(カメラ)とCASIO Pro-Trek(登山用時計)がある。実はその他いくつかの品とともに置きっぱなしにしていた事はビバーク中に気づいていたのだがツエルトの外の寒さに触れるのがイヤで数メートルの距離に置き去りにしていたのである。どこか壊れているかという心配も若干あったが双方とも液晶の表示が極寒で少し鈍っている意外はなんら問題なく動作した。寒さによるバッテリの消耗が懸念されるカメラであるが私のNikonは全く問題なかった。体を温めるべくキビキビと動きツエルトをたたみ出発準備完了。6:30に渋の湯を目指して唐沢鉱泉を出発した。寝てはいないが、昨日ムリに渋の湯を目指して出発しかけた時に較べれば体力は大分回復している。そもそも明るい事が何にも増して心を落ち着ける。峠を越す深い雪のルートを本当のゴールに向かい進みだした。トレースがあり、昨日の条件に較べればトレッキングともいえる帰り道で、正直何も書くべき事はない。ただ一歩一歩が生還への実感をこみ上げさせたとだけ言っておこう。この間いろいろと想像させられた。暖かい風呂に食べ物、飲み物・・・。想像するだけで幸せになってくるのと同時になんとも言いがたい想いがこみ上げてくる。爆発的な喜びではなくジワジワとくる安堵感とでも言おうか。

こうして初の冬山は数々の教訓を残して終わる事となった。ここで教訓と書いたのは反省点が感動をかなり上回る量であったからだ。
次回は山行報告の総括として反省点、教訓を示し次回への糧としたい。

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