葦津渓谷ピカソの沢(仮称)遡行

- GPS
- 04:11
- 距離
- 5.3km
- 登り
- 538m
- 下り
- 510m
コースタイム
- 山行
- 3:48
- 休憩
- 0:24
- 合計
- 4:12
天候 | 曇時々晴 |
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過去天気図(気象庁) | 2025年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
道なし。出合への下降注意。ザイル、三つ道具なしで可。 |
その他周辺情報 | 山菜料理「三滝園」 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
ズボン
靴下
グローブ
防寒着
雨具
靴
ザック
昼ご飯
飲料
レジャーシート
地図(地形図)
コンパス
笛
ヘッドランプ
GPS
ファーストエイドキット
保険証
携帯
時計
サングラス
カメラ
シュリンゲ
ヘルメット
地下足袋
わらじ。
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感想
三連休の最初の日、何とか天気はもっている。前線が南に下がり、雨はとりあえず降らないはずだが、南下すればリスクは高くなる。先週行った三重の迷岳をはじめ、三重、奈良。和歌山は時間帯によっては降雨の予想も出ている。行くならなるべく北寄りがよさそうだ。それでも綺麗に晴れるというわけにはいかないだろう。気温は少し下がったが、きっと昼間はまた暑くなることだし、やはり涼を求めて沢に入るとしたい。2年前だっただろうか。因幡の葦津渓谷の支流で、鳴滝山の西側から流下する沢を遡行して、ブナの大木が立ち並ぶ中、清々しい気分になった(記録ID3488350)。この沢は、俗に「ピカソ広場」と呼ばれる伸びやかな稜線のブナ林を水源としている。前回登ったときにはナツ エビネが華麗な花を咲かせて迎えてくれたので、そろそろ咲いているかも、との期待もあった。この辺り、登山道の無い山域だけに自然度が高く、自分たちにとっては大切な遊び場なのだ。鳴滝山自体はいわゆる「ハート形周回」ルートが大衆化して登られるようになっているが、それ以外の場所、特に西側の山域は訪れる者も稀である。例えば鳴滝山の名の由来となった鳴滝は、八河谷(やこうたに)へと流れる谷に掛かる滝だが、その姿を見たものは僅かだろう。我々は以前、八河谷から稜線伝いに鳴滝山に登り、帰路、沢沿いのルートで戻ろうとしてブル道に翻弄された(記録ID3923382)。あるブル道を行けば行き止まりとなり、また戻って別のブル道を行けばまた行き止まり、これを繰り返した末、ようやく山麓に達した時、この鳴滝を目にしたのだった(このブル道地獄については、あらかじめ「姫路藪山探検」の管理人の方のブログで理解していたのだが、現地では想像より複雑であった)。
中国道を佐用JCTまで西進し、久々の鳥取道に入る。途中、西粟倉のアワクランドに立ち寄るが、なんだか肌寒いくらいの気温。今日はシャワーは避けたほうがいいかも、などと考えながら、葦津渓谷へと向かう。沖の山(おきのやま)林道は工事のため8月いっぱい、平日は通行止めだが、週末とお盆は工事がなく、二つの滝への下降点まで問題なく車で入った。少し行き過ぎたところに駐車可能なスペースを見つけてここに車を置く。
まずは地下足袋に足元をかえて二つの滝下へと遊歩道を降りる。ここは以前、車のキーを落として必死で探し、拾得した「思い出の場所」だ。二つの滝下に降り着いてまず感じたのは川の水が細っていることだった。二つの滝も、普段の迫力が感じられない。まあ、その分渡渉が楽というものだ。ここでわらじを水に浸して、しばし休憩である。
わらじを履いたらいざ出発だ。本流右岸の水際をわずかに下ればピカソの沢の出合となる。こちらの支沢はますます水が細っている。なんだか拍子抜けである。途中で涸れてしまうんじゃないか、と心配になるような水量なのだった。それでも周囲は深い温帯落葉樹林、大木も林立して、実にいい雰囲気である。水量が乏しいので楽に登っていくが、一方で水の流れが弱まったせいだろう、水垢が岩に付着して滑りやすい。前回は全く感じることのなかったフリクションの不足が気になる。
前回、ナツ エビネが咲いていた辺りに来たが、どこにもその姿を見出すことはできなかった。これから咲く、と信じてあきらめるしかない。この先、沢は傾斜を増して小滝を連続して掛けるようになる。さすがに体も熱くなってきているので、シャワーを浴びて水線を行く。ここで水と戯れないとこの先チャンスがないかも、というくらいの水量のへり方である。水垢問題は相変わらずであり、前回全く不安なく登って行けた水線も今日は様子を確かめ確かめ進むこととなる。
小さなトヨ状を越えると周囲はプチ・ゴルジュといった地形になる。このプチ・ゴルジュを抜けたところには7mほどのトヨ状の斜瀑がある。水線を上るが、中間付近で滑りそうになり、オッと、とばかり手で支える。ここも前回は全く問題なく快適に越えたところだ。
これを抜けると傾斜が緩み、源頭を感じさせる穏やかさが支配するようになる。沢は緩い滑床となり、左から浅い窪が入っている。前回登ったのはここだと思ったが、今日はわずかに先に進む。そこは二俣で左右から滑床が合する。右が本流だが、我々は左に入って、遡行を打ち切る。左股はもうすぐに沢の体をなさない窪みとなり、左岸でわらじを外して登りやすい斜面を選んで登っていく。かつては深い篠笹藪だったであろう斜面も、シカの食害によってササは瀕死の状態となり、簡単に斜上を許す。すぐに明るい稜線が見えてくる。左股の起点となるわずかな窪みの上に立つと、そこはピカソ広場の一角で、広々となだらかな空間の園地となっている。あちこちにブナの大木が天に向かって雄々しく立っている。遡行中には空を覆っていた雲がいつの間にか退縮して、青空が大きく広がり、夏の陽射しが照り付けた。それでも吹き抜ける風は涼しさを運んでくる。ここで昼飯とする。
今日は詰め上げを若干西側にとったので、かつて自分たちが三滝ダムの北側のお社から尾根伝いに登って来た時のトレース(記録ID3488350)とクロスすることになり、「赤線がつながった」。それに妙な満足感を覚えて悦に入るのだった。
食後、すぐ隣の1200mPKを越えて、ピカソ沢右岸の尾根を下る。985mPKまで来たら、その先の小鞍部に続くちょこんとしたコブのところから左に支尾根を下降する。すぐに、下を流れる葦津渓谷の水の音が響いてくる。やがて右下方に葦津渓谷本流の水のしぶきが目視できるようになるが、そちらには進まず、やや左のピカソ沢に向かって下降する。最後は、わらじを外したせいで滑りやすくなった足元に注意しながら、二つの滝下を渡渉し、林道へとゼイゼイ言いながら登りついた。
前回と比べて倒木の流出が進んでやや荒れた印象だったが、自然度の高い鳴滝山の奥懐で命の洗濯をした我々である。帰路、アワクランドに再び寄って、清水白桃などを買い求めるのもまた楽し、そんな連休初日である。尚、GPSが一部区間、正常に記録できておりません。
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