藤沢山(福島県天栄村) - 密ヤブから奇跡の生還。もう二度と行くもんか!
- GPS
- 11:21
- 距離
- 13.2km
- 登り
- 875m
- 下り
- 864m
コースタイム
- 山行
- 10:10
- 休憩
- 1:12
- 合計
- 11:22
天候 | 晴れのち曇り。 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2016年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
藤沢林道入り口から500mほど入ったゲート前にも駐車可能。(数台) |
コース状況/ 危険箇所等 |
<藤沢林道〜藤沢山取り付き点> オッカナ沢と山ノ神沢の合流点付近までが藤沢林道のようですが、その先も道は続き、取り付き点手前まで道伝いに歩けます。(ほぼ地理院地図の実線通りです。) <藤沢山取り付き点〜P1028> ほぼ、笹ヤブのオンパレードです。背丈3m、直径1〜2cmの強固な密ヤブ帯が大半を占めます。笹はほとんどが雪の重みで寝ている上、ツルが巻き付いていたりもするので、体力気力共に消耗します。500m/hを見込んでください。 <P1028〜下山地点> P957までは、笹はあっても漕ぐほどのことはありません。P957以降は笹はほとんど見られなくなり、快適に歩けます。尾根末端の斜面は末端に近づくほど傾斜がきつくなります。 ※藤沢山はヤブ山で、基本的には残雪期限定の山のようです。 |
ファイル |
計画ルート図
(更新時刻:2017/06/15 21:14) |
写真
感想
リベンジしなければならない山行が幾つかある。
今回は、ちょうど1年前のGWにチャレンジし、余りに無謀な計画だったため断念した藤沢山だ。
http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-630138.html
前回断念した理由の一つに笹ヤブがあったので、今回はそれを教訓に、藤沢林道を使ってまず藤沢山に登頂し、その後は尾根筋を南下するという計画だ。多少の笹ヤブでも基本下りでなら何とかなるだろう。と、いつもの調子で決行した。
が・・・「筆舌に尽くし難い」山行となった。
行けども行けども笹ヤブ。しかも太く高く頑強な密ヤブ。1m進むのも一苦労。しなる笹がクロスしてなんでも引っ掛かる。靴のエッジ、熊鈴はもちろん、ザックからぶら下がっている余った紐の末端でさえ挟まってしまう。靴紐は3回ほどけた。
そんな、いつまで続くのか底知れない不安を抱えたまま、藤沢山から30分ほど藪を漕いだ後休憩している時、あろうことかズボンの左ポケットに入れておいたスマホがなくなっていることに気付いた。ちゃんとホックもしていたのに。。。茫然自失とはこのことか、頭が真っ白になった。
奥武蔵なら戻って探しもするが、ココは歩いてきたルートを逆に辿ること自体が不可能なヤブの真っただ中だ。常識的にはもう帰ってくることはないだろうが、一縷の望みにかけて圏外だとは思いながらも10分ほどジッと耳を澄ました。割引特典に誘われて登録している、メールマガジンが届いて鳴るかもしれない。が、鳴らない。
仕方がない。斜面上方90度3mの範囲に絞って見回し、見つからなかったら諦めようと決め探したが、見つからない。そりゃそうだよな。
と諦めた瞬間、なななななななななななな〜んと、足元に発見!
自分でも信じられないんだから他人は作り話だと思うだろうけど、本当なんです。しかも写真のように枯葉に埋まっていたので、この角度でしか発見できない状態で、これはまさに奇跡。「神様ありがとう」心から叫んだ。私は、奇跡の生還を果たしたスマホをザックに仕舞い、一瞬だけ宝くじに当たったような気分で、まだまだ続く笹ヤブへと突入して行った。
ちなみに、スマホと一緒に入れていたアタリメ(まだ1本も食べてなかった)と、首に巻いていたタオルも紛失したのだが、このことはもう少し経ってから気付いたのだった。
私は、リアルタイムに家族に居場所を知らせるヤマレコの「いまココ」を使っているのですが、もしスマホが見つからなかったら、時間がたっても動かない「いまココ」の軌跡を見て、家族は「遭難したんじゃないか」と考えたかもしれないと思うとゾッとしました。(下山後そのことを話したら、全く見ていなかったそうです。)
さて、その後も笹ヤブとの格闘が続き、何度も心が折れそうになったが折れるわけにはいかない。ここまで来てしまった以上、藤沢にエスケープできるP957までは何としてでも辿り着かないと、冗談抜きで戻れない。時間を気にしながらも焦らずミスルートに注意し進んで行くと、幸いにも、ヤブ漕ぎはP1028手前でほぼ終了してくれた。取り付きから約7時間ものヤブ漕ぎに疲労困憊だったが、出番が少なかったせいか足だけは元気だった。
P1028以降は、笹は薄くなり途中からは昨年歩いたルートにも合流し、本来のペースで歩くことができ、ギリギリ日没前にゴールすることができた。本当にお疲れさん!
しかしこの山域は、ことごとく笹なんだなぁ。針葉樹が少ないからかなぁ。標高とも関係があるのかなぁ。いずれにしろ、馴染みのない山域の情報の無い山を歩くことの難しさ(リスク)を痛感させられた山行となった。
コメント
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妙高といいます。以前福島に住んでいたので、おっと思って拝見したら大変な山行でしたね。ご苦労様でした。
近くの馬入峠や安藤峠も何回か通ったことが有ります。もちろん道路から外れたことはありませんが。道路脇で藪漕ぎも無く笹ダケがとれました。しかも大漁でした。そんな感じですね。あの辺は。
ピーク踏むのが主目的なら沢筋を行くのはどうでしょうか。あの辺は、険しい山は無いようなので、滝が出てきても高巻きで何とかなりそうな気がします。場所は違いますが岩魚釣りで近くの沢に入ったことはあります。沢を詰めて笹の少なそうなところを一気に山頂へ、なんてのはどうでしょうかね。
小さな親切余計なお世話でしょうが、報告読んだ感想です。
妙高さん、こんにちは。
そうですね。ピークハントが目的なら確かに沢筋が楽なんでしょう。でも私の山行は自他共に不可解(笑)で、ピークハントではないと思っています。ピークハントならピストンでも良いのですが、ピストンはやりません。ではいったい何なんでしょう。
ルートの象徴的意味合いでピークを踏むことは少なくないですが、ん〜、あえて言えば尾根ハントでしょうか。
でも、あれほどの密ヤブでは到底楽しむことなどできないので、登りでは沢筋を使う、というのは確かに有効な選択肢ですね。
やはりあの辺は全体的に笹なんですね。ただ私の印象では、強固な密ヤブは標高900m以上であって、800m以下では漕ぐほどのこともない感じでしたが果たしてどうなんでしょう。
笹ダケって根曲がり竹のことですよね。見かけました。そのうち那須に住む予定なので、その時はそれを目的に歩こうかなと思います。
コメント&アドバイスをありがとうございました。
kinoeさん、こんにちは。
強烈なヤブ漕ぎ、お疲れ様でした。ここまで強烈なヤツは経験が無いです。500m/hって、標高差ではなくて水平距離のハナシですよね?ヤブ漕ぎって悪くすると遭難の要因に充分なり得るんですね。体力の消耗、時間の経過、先が読めない焦り…。怖いですね。
それにしてもスマホが見つかってホントに良かったですね。ヤブ漕ぎを一所懸命やったので、ヤブがご褒美をくれたんだと思いました。自分も山歩き中は、スマホとカメラをズボンの左右のポケットに入れているので気を付けないと。
本当にお疲れ様でした!無事に戻られて良かったです!(^^)
私も、ここまで強烈なヤツは経験が無いです。しかも長い。
まず両手で掻き分け頭を突っ込む。ほぼ同時に1歩踏み出し半ば強引にザックを左右に揺すりながら前方へ、そして笹に挟まれている他方の足を引っこ抜く。こんな感じでした。ただ、笹は寝ていることが多く、寝ている方向と進む方向が少しでも違うと対処方法がまるで違ってくるのです。マジで何もかも全部投げ出し楽になりたい心境でしたよ。
スマホの件は、本当に奇跡としか思えません。チャックではなくホックではありましたが、まさかそれまで外れてしまうとは思いませんでした。生涯これほど幸運な奇跡は二度とないでしょう。
最近の山行は窮地に追い込まれっぱなしですが、今回のような持久戦は道具でどうにかなるわけでもなく、まさに自分との闘いです。
毎回言っているような気もしますが、ホントにもうコリゴリです。
kinoeさん、こんにちは 。
写真48を拝見し、これが真の籔マスターの脛なのか!!と度肝を抜かれました 。また「密ヤブの中をヘッデンで歩くなんてこと、精神的に可能なんだろうか?」などという哲学的な問いを考えたこともございません 。かつて小生も籔好きを自認していましたが、修行が足りないことが判りましたので、取り下げることにいたします 。
ところで、「0.01%の奇跡」は0.1% (=100-99.9)では? 。
kilkennyさん、
>かつて小生も・・・
「も」って何ですか?私は籔好きではありませんよ〜。なので、籔好きは自認し続けてください。
しかし、あの密ヤブは半端ないです。脛は一種の打撲なのかもしれませんが、決して打ち付けられたわけではなく、笹の反発力で押し付けられ続けた結果のようです。まだ痛いですが、色はだいぶ引いてきました。
奥久慈も笹はありますけど、まぁ、アソコに比べたら可愛いですね。
ヤブ漕ぎの途中で倒木や岩に立って周囲を見回すと、延々と広がる笹の海原の中にポツンといることを実感します。その時の逃げようのない閉塞感とも無力感とも言えるような不安・・・思考回路の接続が変化するようです。
「0.01%の奇跡」、あれ?ほんとだ。修正しました。
スマホ…是非「いまココ」を使って再度笹と戦うレコを見せて欲しかった〜
客観的に読ませてもらって (脛の写真を見せてもらって!)
ウ〜〜〜〜〜ン かなりハイにアドレナリンやエンドルフィンまでだして
変態ハイカーは山を登るもんだナァ と考えさせられました
だってあの脛になるまで歩くんだから
おそらくアザの跡程痛さはなかったんだろうねぇ あの時は
いや決してバカにしているわけでもジョークでもなく
バリルートを真剣に進む心持ってそうなんですネ
自分ではそんな気はなくても・・・なんか分かる気がします
ビギと同じように鋸刃鎌をザックに常備しておけば〜
・・・これから旬のネマガリ竹ありませんでしたか
ビギさん、
「いまココ」の情報を持って探しに行っても、笹の葉っぱに埋もれているでしょうから、まず無理でしょうね。金属探知機でも持って行かないと。
て言うか、再びあのヤブに突入するくらいなら、躊躇なく新しいのを買います。
別に真剣に立ち向かっているわけではないんですよ。藤沢山までもソコソコのヤブを通っていたので、戻りたくなかったんです。またあのヤブを歩くよりも、前に進んだ方がもしかしたら楽になるかもしれない、という希望的誘惑に負けてしまったんですね。そして、ヤブを進めば進むほど、ますます戻れなくなるという悪循環。。。これも遭難のパターン?
ビギさん、鋸刃鎌なんか持って歩いてるんですか?熊用じゃないよね。
でも、あの長〜い密ヤブじゃ、たぶん役に立たないね。下手に使うと体力がもたないでしょう。
足は表面だけなので、触れば痛いけど歩く分には全く問題なかったです。
小さなタケノコ、いっぱいありましたよ。遠慮なくどうぞ。
kinoeさん こんばんは〜
脛の写真見るだけでどれだけダメージをもらいながら進んでたのかがよくわかります
…大変な苦行になっちゃったようですね!
確かにスマホが見つかったのミラクルです、本当に何よりです。
自分もGPSを発見できたこと自体、相当な奇跡だったと感じてますので見つかった時にうれしさってハンパないですよね!
これからもお気をつけて山行を、無事の帰還お疲れ様でした〜
drunkyさん、
最近は、歩くたびにヤバさが増してる感じです。
やっぱり楽しくないとねぇ。。。
スマホの奇跡には本当にビックリです。いつどこで落としたのかもわからなかったわけですから。見つけた時は、うれしいよりも「マジ?」って感じでした。
次からは、適当もほどほどに、安全第一をもう少しだけ意識して、山に向かおうと思います。
kinoeさん ご無沙汰でございます
プライベート登山の脛じゃないですよ〜
どんだけの精神力なんですかぁぁぁ〜
私も十数年前こんな脛になったのを思い出しちゃいました〜
忘れもしない山形と秋田の県境の鬼首峠付近のとある山を2日間三角点を目指しアタック
し撤退した藪山&ハイマツ地獄の山を・・・・
プライベートでも山登りをするよになって地図で改めてその山を見て、今のように
GPSが発達した時代なら到着できるのだろうか?っと、たまに思い返しています
唯一撤退した時に、今回のKinoeさんのような脛になった悪夢を思いだしました〜
東北には、こんな数十年未踏になっている山が多いんですよね〜
ハンパじゃない難易度なのは、想像できます
がっ・・・プライベートでこんだけの山を堪能できるのはkinoeさんだけです
ロッシさん、
堪能してませんってば。冗談抜きで、コリゴリ、ウンザリでした。
早めに安全側に舵を切らないと、そのうちドツボにはまるという、悪い見本にしてくださいな。
へぇ〜、ロッシさんにそんな経験があるなんて意外ですね。いい意味でトラウマになってるんでしょうか。
その点、関東の山は概ねどこでも歩けていいですよね。つくづくそう思います。
何より楽しまないと。
そろそろ本格始動しませんか。
こんにちは
スマホが見つかって何よりです 。
落葉に完全に隠れていないのはラッキーでした。
時間的にも20〜30分が限界でしょう。
自分も何か落としたときは、時間を決めてそれでみつからなかったら諦めます。
最悪なのは、見つからない、日は暮れるです
笹藪は一番嫌です。メガネを3回なくしています。ひっかけてどこかにすっ飛んで
しまうことが多いです。
でも一番怖いのがマダニです。
別名笹ダニと呼ばれ、笹藪で生き物が通るのを待っています。
こいつにかまれると、命にかかわることもあるので注意しましょう
今回はP1099から下向山経由と思いましたが、同じ道を通らないのはさすがです 。
笹藪をヘッデンで歩いたら、虫が顔にあったって大変ですよ〜
ワルさん、
本当はあの山域、5日、6日と2日連続の計画だったんですが、5日に登山口まで行ったら、あいにくの小雨模様で6日に延期したのです。その結果、2日目に予定していた少し東の戸倉山、ヒデクボ山は、残念ながら断念したのですが、アッチは快適に歩けたんじゃないかなぁ、などと本当にコリているんだか怪しくなってきました。
しかし、あの笹は強かったなぁ。踏み倒して乗っても、身体が浮いている状態なので何度もバランスを崩して倒れましたよ。
マダニね。もちろん警戒はしていますが、かと言って、特別に何か対策をとっているわけではありません。ダニブロックとかのスプレーを撒く程度です。たぶん、免疫ができているのかも。
そっかー、確かに虫を集めちゃいそうですね。さすが経験者。
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