岡山県美作市 大芦高原~妙見山~上山千枚田 7月の棚田美と生物



- GPS
- 03:31
- 距離
- 11.1km
- 登り
- 350m
- 下り
- 341m
コースタイム
- 山行
- 2:55
- 休憩
- 0:38
- 合計
- 3:33
歩行距離11km、歩行時間3時間、歩行数16,000歩
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2016年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
アスファルト道がほとんどで高低差も少なく、運動靴のほうが歩きやすいです。主要スポットは分岐に道標がついていますので、読図もほとんど必要ありません。日陰が少ないので、熱中症に注意が必要です。今回は午前中だったので日向でも大丈夫でした。舗装道路歩きを敬遠する人も多いのですが、道路の脇には常にヒメジョオンなどの雑草や、アジサイ、杉などの木が見られたため、うんざりすることはありませんでした。 |
その他周辺情報 | 大芦高原には温泉もプールもあります。 大芦高原温泉雲海の営業時間は12時から21時までと日帰り温泉の時間としては夜遅くまで楽しめて、料金は大人が600円、小学生以上が300円、小学生未満は無料となっています。 高原プールは、夏休み期間中だけ開いている屋根付きの温泉水プールで温水ではないかも・・・。つまり温泉水を使っている冷たいプールだそうです。料金は入場料100円、温水プール使用料300円、4歳未満無料です。 |
写真
第2駐車場
「雲の上の温泉郷 大芦高原温泉」という大きな看板が目印です。案内板もあります。第1駐車場はこの向かいの温泉施設前にありますが、今回は温泉には入らなかったため、敷地外のこちらの駐車場を利用しました。
マメ科の落葉高木で、夕方になるとオジギソウのように葉を閉じます。ピンク色の糸状のものは花弁ではなく、おしべです。ちょうど見頃で、今回のコース上ではあちらこちらで見られました。ここからコンクリートの道に入ります。少し経つと砂利の上に草が茂った道になりました。
妙見山の三角点の南に休憩舎が設けられていました。この山の東中腹にある妙徳寺は源義経が屋島の合戦の時、北方の山に灯火を認めて平家追討を祈願し、後に源頼朝の腹心であった梶原景時が奉行として再建した由緒ある寺といわれています。
高い所にいたのでわかりにくいのですが、色合いから判断しました。よく似たオオシオカラトンボのメスはもっと黄色が鮮やかで翅の付け根が黒く見えます。少しぬかるみかけた黒土の道を進みます。
妙見山は全国各地に存在する山ですが、特に岡山県が多く、12箇所もあります。山名の「妙見」は北辰(北極星)に通じ北辰妙見信仰との関連があり、妙見菩薩を祀る日蓮宗との係わりも深いようです。展望もピーク感もなく、知らなければスルーしてしまいそうです。草がまばらに生えた砂利道からコンクリートの道に変わり、舗装道路に出ました。今回のコースでアスファルト道でなかったのはネムノキ<写真03>撮影地点から三角点の北の舗装道路合流点までのわずかな距離だけでした。
スタート地点の駐車場から上山神社まで舗装道路沿いにずっと咲いていました。かつては6km程も続いていたのですが、手入れが困難になり荒れてしまったそうです。今回歩いたコースでは3km足らずでしょうか。往路ではほとんど日陰だったので、アジサイも元気でした。
夏型♀
翅の裏側に黒い筋模様があるシロチョウ科の蝶です。メスのほうがオスよりも黒い部分が多いです。翅を閉じたままじっとしていました。上山夢ヘリポート展望台<写真11>の東側に切り開きがあり、立ち寄ってみました。周辺の低山がよく見えましたが、展望台からはさらによく見えそうだったので、写真は撮りませんでした。
8,300枚の棚田を再生中で、全国から注目を集める岡山県美作市上山集落を地元では上山集“楽”と呼んでいます。ここから動画も撮りました。下りようとしていると、ミンミンゼミが首筋に止まりましたが、連れに写真を撮ってもらう前に逃げてしまいました。
翅の表側の白い斑紋でイチモンジチョウと見分けられます。動画では裏側の模様もはっきり映っていましたが、3秒程で飛び去ってしまったのでボツにしました。この北の集落に入ると日向になりました。ここまではほぼ日陰で涼しく助かりました。
バス停「坊」の近くにある神社です。御祭神は大足比古大神と大足比女大神、譽田別大神(ほんだわけのみこと)、伊邪那美大神(いざなみのおおかみ)、菅原大神となっていました。右に見えている休憩舎より上山の棚田が一望できます。鳥居をくぐってすぐの手水鉢がハート形なのが気になりました。最近のものでしょうか。
かつてこの一帯には、8300枚もの棚田が広がっていました。ほとんどの水田が、石積みの畦畔(けいはん)で出来ており、昔の人の苦労がしのばれます。荒れていた棚田を再生する活動が2007年からNPO法人『英田上山棚田団』によって開始され、『グッドライフアワード2015』で環境大臣賞グッドライフ特別賞を受賞しました。
上山神社の境内に設置された演芸場(舞台)です。盆や秋の時期にはイベントが実施されることもあるようです。神社の鳥居をくぐり、本殿に向かって石段を上るとこの舞台の床下をくぐって本殿の前に出るように造られています。
柱の先に龍の頭部をデザインした木鼻が見られます。木鼻とは複数の縦柱を横に貫いている頭貫(かしらぬき)や虹梁(こうりょう)の端に付けられた彫刻の事です。本殿の周囲には末社や稲荷様もありました。
舗装道路から少し下り、農機具の脇を通ると玄関があります。上山に30年埋もれていた古民家を再生したカフェで、土日祝日のみ営業しています。棚田米を焙煎してつくった玄米コーヒーもあるようです。ただし、営業時間は 13〜17時だそうです。残念ながら、この日は9時43分頃に着いたので、営業中の札がかかっていましたが、人の気配がしませんでした。
いちょう庵<写真24>から舗装道路に戻った所にあった石の上から見た景観です。棚田に水が張られているのがよく見えます。おそらく、朝日や夕陽が映りこむ時間帯に見ると、絶景となるのでしょう。動画には歩くヤギや作業中の人の姿も映っています。
棚田は雨水の保水・貯留による洪水防止、水源のかん養、多様な動植物や貴重な植物の生息空間や美しい景観の提供などの様々な役割を果たしています。周辺の除草のため雑草地にはヤギやジャージー牛が放牧されているそうです。ワイヤーにリードを通して、一直線にしか動けないようにしてありました。確かに、稲まで食べられたら困ります。
主食の草が周囲にいくらでもあるので、体がまるまるして健康的に育っています。んっ、花も食べてる!?ヒメジョオンなので、これはよしとしましょう。熱心な仕事ぶり?を動画にも撮りました。北上から南下へと進路方向を変え、橋を渡るとやっと日陰になりました。上山の千枚田案内板<写真18>の脇の展望所で少し休憩し、また日向の舗装道路歩きが始まりました。往路では日陰だった所も日が当たっており、少ない日陰を探しながら歩きましたが、さほど暑くはありませんでした。
大芦高原の敷地内に入り、大芦池沿いの道を進みます。この池は棚田の水源にもなっており、上山集落のそれぞれの棚田まで水路がいたるところに張り巡らされています。確かに、細い水路に勢いよく水が流れているのを何度も見てきました。水面にところどころ見える白いものは、ヒシの花でしょうか。
大芦池の畔に数種類の動物が飼われている高原動物園がありました。ニホンジカは2頭ともオスで、角の枝分かれ具合から3〜4歳くらいだと思われます。ニホンジカは成獣も夏毛にはこのように白い斑点があります。1頭は何もくれないとわかると小屋に戻り、飼育員さんからもらったばかりの餌を食べていました。もう1頭はなぜか泥水を行き来するのが好きなようで、動画にも撮ってみました。
オスは春から初夏の繁殖期に飾り羽を広げて求愛します。もう羽が抜ける時期らしく、他の2羽は飾り羽がボロボロでした。そろそろ繁殖期が終わると知って焦っているのか、我々にまでこうして求愛してきました。もっとも、連れは人間に見られないらしく、犬や野生のキジバトなどにもたまに求愛されるのですが・・・
隣のエミューを見ていると、さらに近寄ってきたので動画にも撮りました。最初は左右に向きを変えるだけだったのですが、最後に360度回転してくれました。正面からのゴージャスな姿とのギャップがたまりません(*´艸`*)
小屋には烏骨鶏と書いてありましたが、黒い烏骨鶏と名古屋コーチンとの雑種のような個体がたくさんいました。この子も雑種のようです。成鳥からキャベツの切れっ端をかっぱらい、タックルしてきた別の成鳥をかわして見事にキャベツを死守しました。一番小さかったのですが、なかなかのやんちゃぶりでした。
どちらも雑種のように見えます。手前のメスは頭部が烏骨鶏に似ています。奥のオスは名古屋コーチンに近いようでした。動画に映っている真っ黒なのは烏骨鶏だと思います。ここから大芦池の畔を歩いて大芦池展望台<写真45,46>に向かおうとしましたが、前方が急にヤブになったので引き返し、舗装道路に戻りました。鶏小屋のすぐ裏にあった広場にあるボタンインコの小屋の近くにはトイレもありました。
装備
個人装備 |
長袖シャツ
ズボン
運動靴
軍手
雨具
スパッツ
日よけ帽子とフード
雨用帽子
アタックザック
ザックカバー
地形図
コンパス
ファスナー付クリアーファイル
筆記用具
携帯
時計(防水)
タオル
カメラ
飲料水(スポドリ&茶)
水筒(保温)
非常食(栄養補助食品)
スマホ(山使用可能)
eTrex30(GPSナビゲーター)
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感想
梅雨明け宣言!この日の美作市の最高気温は32度ということで、標高が300m前後から500m前後しかない山行において熱中症の心配をしましたが、想定していたよりも直射日光を避けることができ、少しでも風が吹くと意外と涼しく、快適な山行でした。また、アジサイなどの植物、ヤギなどの動物、そして、どこを見ても緑が鮮やかな景観も涼しさを感じさせてくれました。
さて、今回はこの山域でどうしても訪ねてみたい所がありました。それは、限界集落から集“楽”をコンセプトに、中山間地域の可能性を引き出す新たな試みが行われている上山地区です。上山地区は岡山県北部の中山間地に位置し、かつては8,300枚約100haの棚田が広がっていました。しかし、高齢化と後継者不足により棚田の荒廃が広がり、その景観が著しく損なわれていました。そこで、2007年より、近畿圏を中心とした都市住民グループが英田上山棚田団を組織し、この耕作放棄地となった棚田の再生に関わっています。また、2010年より美作市地域おこし協力隊が実際に美作市に移住して、棚田の再生に携わるなど、耕作放棄地再生においては今や注目すべき地域となっています。実際に、草刈の作業中だった若い男性にお会いできました。さらに、30年余り竹やぶに覆われていた古民家「いちょう庵<写真24>」を再生し、地域の交流の場やカフェ、イベントスペース、買い物支援の拠点として活用しています。その他には、小水力発電やなど、地域の資原を生かした自然エネルギーの可能性を探っています。
上山集“楽”の取り組みは過疎高齢化が進む地域でも、十分再生の可能性があることを示唆しています。ハコモノ行政ではなく、そこに住む人(集まる人)たちが、自らの意志で、地域再生に能動的に取り組むことで、富よりも大事な生きがいと未来の希望が得られるような気がしました。ワイルドな山も好きですが、人の息吹が感じられる自然もいいものです。
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