松手山・平標山・仙ノ倉山 → 平標新道
- GPS
- 07:24
- 距離
- 18.5km
- 登り
- 1,361m
- 下り
- 1,742m
コースタイム
巨大鉄塔 09:50-09:55
松手山 10:15-10:25
平標山 11:20-11:25
仙ノ倉山 11:55-12:05
平標山 12:35-12:50
矢場ノ頭 13:45
徒渉点 14:35-14:45
つり橋 15:20-15:25
土樽駅 16:15-16:20
蓬橋バス停 16:25
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2010年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
越後湯沢駅 08:20-(南越後観光バス)-08:54 平標登山口バス停 (帰り) 蓬橋バス停 16:40-(南越後観光バス)-17:03 越後湯沢駅 |
コース状況/ 危険箇所等 |
平標登山口バス停からの松手山コースは、いきなり本格的な登りで始まって、そのまま松手山まで傾斜が緩むことはありません。しかも木段が多くて、なかなかきつかったです。 松手山を過ぎるとすぐに森林限界を超えて、そこから先は平標山を経て仙ノ倉山まで、爽快な稜線歩きを満喫できます。平標山への登りには急登もありますが、なにしろ気分良く歩けるので、頑張りもきくというものです。 そして下山路として選んだ平標新道は、長くて急な上に道が悪いという評判通りの道。 前半の矢場ノ頭までの間は、ササ原の中の急降下が続きます。あまり歩かれていないために踏み固められていない道は脆くて崩れやすく、かつ湿っていて滑る上に、ササが絡んで滑りやすさに拍車を掛けています。 ここでは珍しくストックを使いましたが、それなしで無事に下れた自信はありません。ストックがなければ、常にササを掴んで体勢を確保しながらの下りとなるでしょう。 矢場ノ頭を過ぎるとササ原を抜けて樹林帯に入りますが、後半戦も沢に降りるまでの間ずっと、急な下りが続きます。通るタイミングによって状況は違うと思いますが、この日は地面の土が湿っていて引き続き滑りやすく、そして今度はササに変わって降り積もった落ち葉が、さらに滑りを良くしていました。 道が悪い一方で、道形は概ね明瞭で、薄い所でも迷わされることのない程度には付いていました。また最も気になっていた沢の徒渉点も、この日は水量が少なくて簡単に渡れています。 ただし状況によっては徒渉が不可能になったり道が不明瞭になったりすることがあるとされていますので、このルートに入る際には、問題なく歩ける状況なのかを見極める必要があると思われます。 今回の私も、しばらくまとまった雨が降っておらず、また霧に巻かれることもなさそうな日を選んで来ましたが、それでも現地の様子を実際に見た上で、場合によっては他の下山路へ変更する用意もして出掛けています。 |
写真
感想
今回の行き先は谷川連峰の最高峰・仙ノ倉山。
スッキリとした青空の下、北アルプスや富士山まで見えるという大展望が広がって、山の上では最高の気分を味わえました。
ただし下山路に選択した平標新道が、噂通りの悪路で最後は疲労困憊。前半と後半であまりにも印象の異なる1日となりました。
平標登山口バス停から、松手山コースを登っていきますが、松手山までずっと、比較的急な登りが続いていきます。しかもこの登山道、よっぽど傾斜が緩やかな箇所以外は、ほとんどが木段でした。
途中の送電線鉄塔をくぐる地点は、ちょっとした広場となっていて展望が開けていたので、ここでひと息入れていきます。この鉄塔、登山地図が「巨大鉄塔」と書いているので、どんなに巨大な代物かと思っていたのですが、敢えて「巨大」と付けるほどの大きさには思われませんでした。
松手山は狭い頂上でした。なぜかここでは冷たい南風が断続的に吹いていて少し寒く感じられたので、風下の北側に分岐している二居への道を僅かに下って、風を避けて休憩しています。
東側を除く各方向に展望が開けていますが、そんなに標高を上げていないためか、まだスッキリとした眺めではなく、苗場山の平坦なシルエットが印象的な程度でした。
松手山がちょうど森林限界に当たっているため、松手山を越えるとすぐに景色が開けて、これから歩く稜線がずっと先まで見通せる中の、実に爽快な尾根歩きが始まります。
しかし1677m標高点の小ピークの先は、平標山の肩に乗るまでの間が見上げるような急坂で、しかも段差の大きな箇所の多い木段が続くので、この区間はちょっと苦しかったです。でもここで200mほどを登り詰めてしまえば、あとは緩やかな稜線を残すのみとなって、そこから先は全方向の展望を楽しみながらの快適な道でした。
平標山に着くと、広い頂上では十数人が思い思いの場所で休憩中でした。松手山で強く吹いていた風もすっかり収まり、穏やかな日差しが注がれて、10月下旬とは思えない居心地の良い山頂です。
これまで以上に広々として開放的な尾根が続いていく東側には、仙ノ倉山までの道筋もハッキリと見えており、これから歩くのがとても楽しみになります。南側に広がっていた雲海も含めて、どの方角を眺めても素晴らしい景色でした。
ここで北側に平標新道が分かれていきますが、ここまで歩いてきた感触から、その平標新道を下っても問題ないコンディションだと思えたので、予定通りにそこを下ることに決めています。
平標山〜仙ノ倉山の間は、パッと見では穏やかな道に見えていましたが、実際に歩いてみると、ここでも木段が幅を利かせてました。特に両山頂に近い範囲の登り下りはそのほとんどを木段が占めていて、歩きやすかったのは、中間部の3分の1ほどの距離ではなかったでしょうか。なので思っていたよりも苦しい思いをしてここを往復していますが、さすがに谷川連峰の最高峰、仙ノ倉山からは雄大な眺めが広がっていました。
一番に目を引くのが、やはりこれまで見えていなかった東側で、谷川連峰の核心部が一望できて壮観です。いつかは歩いてみたい、この仙ノ倉山から万太郎山を経て谷川岳に至る長大な稜線や、4年前に歩いた谷川岳から茂倉岳への稜線などが手に取るようでした。
平標山に戻ってから平標新道を下ります。まずはすぐ下に見えている池糖に下りていくのですが、頂上を発ってすぐササの中に突入すると、いきなり急坂が始まりました。
足場はどこも脆くて崩れやすく、おまけにササが滑るので、普通に立ち止まっていられる場所がほとんどありません。ストック(正確にはトレランポールですが)で体勢を立てつつ一歩一歩下るしかなく、ストックがなければ、ササを掴んで身体を支えながらでなければ、身動きが取れないでしょう。
池糖まで下ると一旦は穏やかな道になりますが、池糖を過ぎればまた同じような状況の再現。しかも今度は延々と続きます。一歩一歩ごとの足の置き場には常に非常に神経を使わされて、どんどん精神的に疲弊していきます。また所々では岩っぽくなったり段差が大きくなったりして、そのたびにも足運びを悩まされます。
ゆっくり下ればその分だけ楽に歩けることは分かっていますが、それでは16:40発のバスに間に合うかが微妙になってしまい、ある程度のペースは保ちたいのでそうも言っていられません。万が一滑ったとしてもササ原を落ちていくだけなので、大きな怪我はしないかもしれませんが、でも場所によってはかなりの角度で切れ落ちている斜面もあり、タダでは済まないかもしれないので、やはり慎重さを欠く訳にはいきません。
滑りやすい急坂続きに嫌気が差してきた頃、登ってくる単独行の男性とすれ違いました(結果的に、平標山から土樽駅までの間で見かけた唯一の登山者でした)。今日はもう誰とも会わないものと思い込んでいたので、この出会いは貴重です。すれ違う際に少しお引き止めして、この先の道の様子を詳しく聞かせて頂きました。
いつまで続くかと思っていたこのササ原が間もなく終わると聞いて、1度はホッとしましたが、その先も滑りやすい状況は変わらないらしいです。ただ、最も気になっていた徒渉点は、水量が少なくて問題ないとのこと。渡れなければ最悪の場合には引き返す必要が出てくることすらあるわけで、これを聞いててどれだけ安心できたことか。
男性の話の通り、すれ違ったすぐ先でようやくササ原を抜けて、そこでひと息つける格好となりました。道は小さな登り返しを絡めつつ、細い尾根の西側を巻いて進むようになります。所々に倒木があって乗り越えていきますが、それが煩わしく感じるほどではありません。尾根上を通過しなかったのでピークを踏んではいませんが、この付近が矢場ノ頭だったのでしょう。
そして矢場ノ頭付近を抜けると、またしても急降下が始まりました。既に樹林帯に入って土の道に変わっているので、もし路面が乾いていれば、特に難しいことはなかったかもしれません。
しかし乾きにくい北斜面ということもあってか、どこまでも湿った道が続いていきます。しかもその上には濡れた落ち葉が降り積もって、さらに滑りを良くしているという悪条件。
足の置き場を選びに選び、木の幹に掴まって身体を支えながらで、やっと通過できるような箇所も少なくありませんでした。
振り返れば平標山からほとんどずっと緊張を強いられっ放しで、気を抜ける箇所がほとんどない中、かなりの所までは無難に降りてきていました。
それでも滑りやすい路面の急降下ばかりで構成された1000mもの下りは、足にかかる負担も半端ではなく、次第に足の踏ん張りが効かなくなってきて、ついに1度派手に尻餅をついてしまいます。しかし、これだけの悪路続きで1度しか転ばなかったのは、上々ではなかったでしょうか。
神経を遣う長い下りの果てに、精神的にボロボロになってきた頃、やっと沢音が聞こえ始めます。でもしかし、ようやく終わりが近づいたと思ってからも、実際に沢に降りるまではまだまだ結構長くて、もう最後は泣きが入りそうでした。
ようやく沢筋まで降りてきました。「山と高原地図」が「渡渉点」としている最初の沢は、今日は水量が少なくて飛び石伝いに難なく渡っていきます。河原は渡った先で少し小広くなっていて、遭難碑を兼ねた道標が立っていました。
ここで、長い下りの疲労が溜まった足を休めていきますが、まだこの先にも複数の渡渉点を控えているほか、泥濘で歩きにくい区間が続くらしくて時間が読めません。16:40発のバスに間に合うかはなお微妙だったので、とりあえず車道が延びてきているつり橋までは行ってしまおうと、すでに棒のようになりつつある足に鞭打って、休憩を10分で切り上げて歩きを再開します。
歩き始めると、すぐに次の渡渉点となり、ここは飛び石の上にロープが渡されていました。水量は少なかったですが、飛び石の足場がやや不安定なので、ロープに掴まりながら渡っていきます。
その後は少し距離があってから、やはりロープが渡されている3番目の渡渉点に出ます。そこは狭い沢を埋めるように大石がゴロゴロしていて、ロープがなくてもその上を通るのは容易でしたが、渡った先で登り返す途中にある岩が苔むしていて滑りやすく、そこでロープを頼りました。
渡渉と言えるほどの沢は、この3箇所目が最後で、あとはほんの小さな流れを跨ぐ箇所が数回あったのみ。ただしその代わり道には泥濘が増えてきます。足場さえ選べば靴が没するようなことはなく、さほど歩きにくさはありませんでしたが、これらの箇所も雨後などには通過が困難になるのかもしれません。
その先では、かなり大きく登り返すなど結構長く感じるダラダラとした道が続き、登った分をあらかた下った頃に広い河原に出ると、ついにその先に、待ち望んでいた吊り橋が現れました。
長く続いた難路をどうにか歩き終えて、ホッとしたというよりも、ヤレヤレ、という心境でした。
あとは車道を歩くだけです。距離的には長いはずの毛渡沢沿いの林道は、そんなに長くは感じなかったのですが、毛渡橋を渡ってから土樽駅までの短い区間がやけに長く感じたのは、何の変哲もない直線区間が続いたからでしょうか。
最後に道標に従って階段を登ると、土樽駅に出ました。ただしここには、上り下りとも6時まで電車は来ません。待合室に入ると男性が1人いましたが、そのままあと2時間待ったのでしょうか。
私は駅をやり過ごして、すぐ先にある蓬橋バス停へ向かい、越後湯沢駅行きのバスを捕まえます。なお、駅には写真を撮るために立ち寄りましたが、必要がなければ、駅には寄らずに車道をそのまま歩いた方がバス停には近道です。
南越後観光のバス、乗客は最後まで私ひとりだけでしたが、それはともかく、料金表が珍しい紙芝居形式でした。新しい料金区間に入るたび、新たな料金表が上からパタパタと降りてきます(バスマニアさんの間では「パタパタ式」って俗称で呼ばれていたりするようです)。
実は2年前に苗場山に登った時は、その日に乗った南越後観光の3路線全てがこの形式だったのですが、今日は朝に乗った苗場プリンス行きの便の料金表が電光表示に変わっていて、少しガッカリしていたのです。
でも最後に紙芝居料金表との再会を果たせて、嬉しくなって何枚も写真を撮ってしまいます。中には停留所名が手書きの表もあったりして、さらにいい味を醸し出していました。実は、今日一番撮りたいと思っていた写真がこれだったりして(笑)。
詳細な記録のページ
http://cellist.my.coocan.jp/yama/mt2010_10_12/mt2010_10_12.html#20101023
写真主体のブログ版
http://cellist.blog.ss-blog.jp/2010-10-23
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