安達太良 杉田川
- GPS
- 08:15
- 距離
- 9.4km
- 登り
- 764m
- 下り
- 761m
コースタイム
- 山行
- 8:15
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 8:15
天候 | 晴れ時々雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2016年10月の天気図 |
アクセス | |
その他周辺情報 | 日帰り入浴:岳の湯(350円) |
写真
感想
同期のホーリーと杉田川へ。
元の予定はホラの貝だったが、前日雨が降ったので、代替計画でこちらに。
全体的に滝が多く、それぞれ巻きやすそうに見えた。
今回は基本的には滝の巻きは無しで、残置は無視。
ロープは出したり出さなかったりだが、無駄とも思えるところでハーケンを打ちつつ実地練習させて貰えてとても勉強になった。
前半の小滝はボルダーっぽく遊べて、巻かなければなかなか面白い箇所が多い。
中盤前あたりで、私が悪そうな釜のへつりに挑戦したところ(全然巻けるのだが遊びで)、笹が引っこ抜け、足が付かない位置で思い切りドボンする。
この時期にしては暖かい日だったが水温はそうは行かず、落ちた端からギュンギュン冷えた。お助け紐で引き上げて貰い遡行を継続しようとしたところ、少し行った所でハンマーがない事に気付く。
「ハンマーにもリーシュコード付けた方がいいですよ。」とホーリーに言われた直後の出来事であった。絶対にあのドボンした時だと確信があったので、ごめんちょっと探させてと戻って釜の底を覗く。
滝の落ち口から白波が立っていて水面上から肉眼では見えそうも無いので、防水カメラで角度を変えつつ水底を撮影。いやいやそんなに簡単に見付からないか?と思ったら、あ!写ってる!
場所は特定出来たので空身になって潜る事にする。
さっきドボンした時に足が付かない事は確認済。写真で見ると場所さえ特定出来てれば回収は可能そうに見えた。ここは意を決して行くしかない。
慎重に飛び込み位置を選定して呼吸を整える。ハイパーベンチレーションだ。
『説明しよう!ハイパーベンチレーションとは、深く早い深呼吸を繰り返す事で血液中の血液ガス(二酸化炭素の濃度が低下し、酸素の濃度が上昇)を故意に変動させ、呼吸を引き延ばすことが可能になるのだ。慣れるとシュノーケリングならこれで2分は潜水可能。使用には注意点があるがここでは割愛。』
・・行くぞ!とぅ!
息は吐かずに一気に潜水だあばばばばブクブク。
冷たっ!肺が締めつけられる、反射的に息を止めていられず呼気が漏れる。
ハイパーなんとか全く意味無い。しかも3m程潜っても底に着かない。
裸眼じゃ底も良く見えない。え、死・・?
慌てて浮上。
メッチャ笑ってるホーリー。「10000円くらいですね。」
知ってるわい。
1分に満たない潜水で既にガタガタと身体は震え、歯がガチガチと噛み合わない。
みるみる体力と精神力が奪われて行くのを感じる。
もう一度飛び込む勇気が削がれていく。絶望。
なんてことだろう。
多少クライミングが出来るようになったって、アルパインルートに多少入れるようになったって、どう足掻いても3m底のそこにあると分かってるハンマー一個拾えない。
山ってのは行きたいところに自分の意志と力で、自分の身体を思いのままに運ぶ事に喜びと達成を求める最も原始的な遊びじゃないだろうか。
その点、たかだが3m、今、私は、達成出来ない。その力が無いのだ。
ショックだった。
距離じゃなく、時間じゃなく。沢ってのは恐ろしいところだ。
今まで山で聞いた事の無い命題を私に課して来る。
私が絶望していると、ホーリーが「磁石で取れませんかね。」と言う。
は?何言ってんだ?と思って見ていると、自前の磁石式のハンマーホルダーを枝先に付けて、水底に突っ込むという。
ちょっと厳しいでしょ〜。と思いながらカメラで位置を誘導。
写真を見ると磁石、水底には付いてる。
「もうちょい右、奥、もう一息。付いた!今付いてる!」
釣り竿のようにざぱーっと引き上げると、ハンマーが…先にくっ付いてる!
「すげぇぇぇぇ!!!」
ありがとう、ホーリー、すごいぞ、ホーリー。
すっかり沢の主旨が変わったところで、見事問題は解決され、私達の沢は終わった。
完
いや、まだ中盤だった。
その後も、小滝〜10mくらいまでの滝が連続し遊びつつ、学びつつ進む。
回収出来といてなんだが、Mizoのチコハンマーは私のパワーには合っていない気がする。ホントに深く打とうと思うとこれでは足りないかも知れない。ちょっと要検討だ。
途中、温泉の匂いが漂って来て、ホーリーが謎の洞窟を発見していた。
見ると屈んで一人ずつ奥へと進んで行けそうな暗い穴がぽっかりと岩壁に空いており、そこには白く濁った水をたたえていた。
穴の先は深く、どこまで続いているのか不明で、温泉成分は含んでいそうだが、触っても暖かさは無かった。触ったそばから水の底から腕が出て来て掴まれそうな雰囲気があり、我々は早々にその場を離れたのであった。
途中一瞬雨に降られたりしつつも、上流に行くと徐々に紅葉が深まり、秋の山に来ていた事を思い出す。ちょうどもうすぐ沢も終わりかというところで、美しいナメと紅葉の景色があり、癒された。
その後、ほぼ伏流する地点まで高度を上げ、東の登山道に笹やぶをかき分けて突っ切る。登山道の開けた地点から安達太良山を含む紅葉がよく見え、思ったよりも秋が深まっているのを感じた。
865mの地点で再び登山道から外れて尾根筋に出て駐車場まで突っ切る。特徴が少なく難しめな読図だったが、コンパスは頼りになった。大まかな読みは同じだったと思うがホーリーの方が精度が高いように感じる。流石。
無事駐車場脇に降り、下山終了。
岳温泉に浸かりながらそのお湯の色は、あの仄暗い洞窟の水の色をしており、あそこと繋がっているのかぁと思うとなんだか感慨深い気持ちになるのであった。
ホーリーお疲れ様でした。ありがとう。
濃い一日でした。
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