扇山〜大野貯水池(野鳥観察は次回に)


- GPS
- 04:55
- 距離
- 11.9km
- 登り
- 856m
- 下り
- 863m
コースタイム
天候 | 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2011年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車
西から順に、鳥沢、梁川、四方津です |
コース状況/ 危険箇所等 |
▽特に危険な箇所はありませんでした。 ▽この冬初めてのまとまった雪の直後だったので、一般化できないかもしれませんが; ・登山口からの上りは軽アイゼンがあると重宝します。アイゼンなしの人もいました。 ・山頂から君恋温泉下降点までは軽アイゼンの装着を推奨します。 ・私たちは、登山口の少し上から君恋温泉分岐の少し下まで軽アイゼンを着けました。 |
写真
感想
午前7時35分、鳥沢駅の寒暖計が指す目盛りは1℃にわずか及ばない。下車したのは私たちのほかに男性5人。いずれも山歩きの姿だ。
駅の前で客待ちのタクシーから排気ガスが白く漂っているが、みな頓着する様子もなく歩き出す。彼らは右へ、私たちは真っすぐに進む。
扇山へ抜ける住宅地。迷いそうな角には手作りの案内板がある。部活に行くのか、ジャージーにコート姿の女の子がぴょこんと会釈した。
「こんにちは」と私も声をかける。住む人の温かさが伝わる街だ。鳥の鳴き声が聞こえる方向を見上げると、雪が乗った枝に1羽いる。
ただし、よそ見は禁物。車道にも前日の雪が残っている。山の斜面が凍らないうちに来たつもりだが、最難関はアスファルト道だった。
特に解けかかった雪が凍ってアイスバーンになった場所は厄介だ。私が2回、妻も1回、バランスを崩してひやりとする一瞬があった。
冬は運行便がない梨の木平のバス停は大月CCの入口から見て右前にある。その横から石段を登ると、ベンチがたくさん並んでいる。
ここで軽アイゼンを着けるのがベストだったと後にして思うのだが、それが後悔。真新しい一面の雪に気持ちがはやり、歩き始めた。
杉と檜の木立をくぐり、山道に入る。東側に開けた斜面だが、足元の雪はサラサラとした粉状で心地よい。その消音効果で静かだ。
積雪は10cm前後だろう。登り道だからバランスを崩すことはないものの、少し急ぎ気味になると、後ろ足が若干滑るような感覚がある。
転ばぬ先の……。道幅が広めの緩い斜面で、軽アイゼンを着けた。その脇を追い越していった10人余りの半分以上は装着済みだった。
登山口で見かけた猟友会の2人も来た。「クマですか、それともシカ?」と尋ねた。「イノシシ」と返事。「撃たれないようにね」と妻が呟く。
わずかな風でも、枝が揺れると音もなく雪の粉末が降ってくる。それが木立の間に注ぐ陽の光を反射して、チンダル現象が起きる。
幼かったころ、家中が寝静まっている日曜日の早朝に、雨戸の隙間から差し込む光を見た記憶が蘇った。いまの我が家に雨戸はない。
体が暖まり始めるころ、急勾配に差しかかる。小刻みに折り返しながら高度を上げていくと、雪に映える朱色の祠がある。山の神だ。
ここまで登ってくると、中央本線の南側を流れる桂川のさらに向こうに広がる山並みを望むことができる。その頂は意外と雪が少ない。
まだまだ急登は続く。東へトラバースして折り返すポイントにベンチがある。立ったまま水を飲み、振り返ると富士山が正面にあった。
一息つくならここで、ということなのだろう。軽アイゼンを着ける間に追い越していった人たちがいた。「ツツジの群生地」の表示もある。
大久保のコルまでは、さらに小刻みになるつづら折りを20分弱。「←百蔵山 扇山→」の道標が立つ向こう側に、権現山が姿を現す。
ここから東へ折れると、広々とした尾根の雪原歩きが楽しい。勾配は徐々に緩くなり、冬枯れの木々の間から南北双方の山並みを望む。
<ッジジジ、ジジジー> しばらく耳にしなかった鳥の声が聞こえる。アウフタクトゆえか、どこか奥ゆかしさのある、上品な感じだ。
先を歩く妻が山頂到着を知らせてくれた。富士山が美しい。雪が白い。空が青い。日差しが眩しい。風は弱い。むしろ暖かいほどだ。
なごやいだ空気が漂う。お弁当を広げる人、記念撮影に並ぶ人、記録をメモする人、ただただ景色を眺める人。まさに、人さまざま。
私たちは、花より団子。当分は眺望が衰える兆しはない。とすれば、ここは昼ご飯だろう。この日も一瞬のコンセンサス形成だった。
広い山頂の北東に横たわる倒木に腰かけ、南西の富士山に正対して湯を沸かし始める。ミニラーメン、おにぎり、アップルパイ……。
腹がふくれた頃、「スカイツリーも見えるなんて」という歓声が聞こえた。そこで、団子から花へ。カメラを構え、双眼鏡を覗く。
360゜の絶景。ランドマークタワーもスカイツリーも、その向こうには房総半島も。そして、うっすらと筑波山の姿も望むことができた。
遠くばかりではない。東の眼下には中央高速と相模湖が見え、上野原は「原」だと実感する景観が広がる。そして、陣馬山や高尾山も。
「先週は砂漠、今週は雪原ね」と妻。7日前に土埃を巻き上げながら歩いた奥高尾の尾根との距離は15kmほどだが、趣は大きく異なる。
あまりの快適さに、文字通り時間がたつのを忘れた。昼食休憩は何と1時間28分に及んだ。山頂の竜宮城に別れを告げ、下りにかかる。
南東側への尾根下りは、しばらく急斜面が続く。朝から十分に日差しを受けた道は雪が解け始め、ところどころ黒土が顔を出している。
それでも、雪洗浄を受けた靴と軽アイゼンが汚れることなしに歩ける道だ。右側には富士山、左側には電波塔が並ぶ雨降山が見える。
三境の分岐を左に進む。道は北側斜面を横切る形になり、踏みしめる雪がギュッギュツと鳴る。日陰なので新雪のようにサラサラだ。
当初の計画では犬目丸、荻ノ丸を経由するつもりだったが、時間の余裕がなくなってきたため、君恋温泉へショートカットすることに。
分岐から数十メートルで軽アイゼンをはずす。大滝神社に参拝して、裏手の滝を見学する。これが氷爆ならベストだが十分に堪能した。
君恋温泉と思しき一帯には幟が立てられていたが、集落の景色に溶け込んでいたためか、温泉の場所を意識することなく通り過ぎた。
もう一つの計画変更が大野貯水池での冬鳥観察を断念したこと。にわか勉強によれば、貯水池は県内有数の探鳥適地として知られる。
冬鳥だけでも、マガモ、キンクロハジロ、ヒドリガモなどを観察できるという。山の帰りに生姜湯をすすりながら、という算段だった。
しかし、そのために用意した双眼鏡のおかで山頂での楽しみは倍加した。これも巡り合わせ。探鳥の楽しみは次回にとっておこう。
Rheingoldさん、こんばんは!
雪があるのに、晴天だと寒さを感じないですよね。
ポカポカしてると尚のこと、のんびりしたくなっちゃいます
ここからも筑波山が見えるなんて驚きました
筑波山からだと山座同定が難しいのですが、やはり見つけやすい山なのですね。
機会があれば、私もこの様なお天気の下で雪原を歩いてみたいです。
pippiさん、コメントありがとうございます!
素晴らしい景色を、ゆったりと楽しみました。
降雪
夕方から予定があったため帰宅を急ぎました。
大野貯水池での探鳥が叶わなかったのが少し残念です。
今度、写真に収めたら野鳥観察家のpippiさんに、
名前を教えてくださいとお願いするかもしれません。
(毎度のことながら、レスポンスが遅れ、ごめんなさい)
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