雲取山―長沢背稜―三ツドッケ
- GPS
- 29:43
- 距離
- 34.2km
- 登り
- 2,712m
- 下り
- 2,620m
コースタイム
■24日:山荘4:52→5:10雲取山頂5:38→5:50山荘(以上、空身で往復) 6:35→7:10三峰方面分岐→7:32芋ノ木ドッケ7:35→8:12ヤケトノ頭→8:24柱谷ノ頭→8:47長沢山9:10→9:34天祖山分岐→9:58へリポート→11:04酉谷山11:05→11:23酉谷避難小屋12:19→13:05七跳尾根分岐→13:34ハナド岩→14:00三ツドッケ14:08→14:29一杯水避難小屋14:32→15:55東日原バス停
天候 | 23日=雨 24日=晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2011年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
|
コース状況/ 危険箇所等 |
小川谷林道は3.11以来復旧せず、酉谷山や七跳尾根から日原への下山は不可。台風で雲取山の大ダワ林道も不通。三條の湯と青梅街道を結ぶ後山林道も車両・徒歩とも通行禁止(サオラ峠迂回で入山可)とのこと=2011年9月24日現在。 長沢背稜の難易度は“西高東低”で、長沢山の西は指導標が少なく道形も薄くなりがち。尾根通しのアップダウンが続き、特にヤケトノ頭と柱谷ノ頭の間の切戸は険しい。水松山の西側ピークは北を巻く。手書きの指示板に注意。その先は細かな尾根は巻いてしまうフラットな縦走で、道もしっかりして何の不安もないが、七跳山前後には何か所か年代モノの桟道がある。 三ツドッケ(天目山)から避難小屋へ直接降りる道は、南東に一ピーク越えた所の細い木に巻かれた黄色テープを右折する(らしい)。気づかず真っ直ぐ行くと蕎麦粒山からの尾根道まで迂回させられる。 雲取山、酉谷、一杯水の避難小屋はいずれも新しく清潔だった。雲取山避難小屋を除けば、ルート上の山小屋、避難小屋がいずれも水に不自由しないのがありがたい。 ☆携帯はドコモが最も通じ、auとソフトバンク、特に後者は絶望という。雲取山荘でまともに通じるのはドコモのみ。auは長沢山頂の標柱から5m東あたりでアンテナが2本立った。 |
写真
感想
■23日■ 今どき翌日の天気予報が大ハズレするなど珍しいが、その珍しい事例に当たってしまった。前夜の予報でも秋晴れと言っていた秋分の日、早朝の南関東の空はどんよりと重く、奥多摩駅を前にしてとうとう雨が降り出した。余裕を見て早出してきたが、急いでも仕方ない。バスを一本(即ち約1時間)遅らせることにして誰もいない手前の小駅で電車を降り、落ち着いて用を足してから次の電車で奥多摩駅に降り立った。
丹波行きのバスは鴨沢西行きの臨時続行便と一緒に出発したが、どちらも席が埋まる程度の乗り具合。けしからんことに雨はまだパラパラ降っている。鴨沢で下車した10人ほどが、あるかなしかの軒下でレインウエアなどを準備する中、一足早く出発した。小雨になったのが逆に癪の種だが、こちらはバスの中で上下とも着込んでいる。テント泊の男性と言葉を交わしながら車道を登り、登山道になったところで先行。小袖乗越で若い大学生君に「メガネ落ちていませんでしたか」と聴かれ、車道終点の手前で道端のフェンスに掛けてある旨を教えてあげると、ザックを置いて駆け戻って行った。よく物をなくしたり忘れたりするので他人事ではなく、思わず自分の所持品をチェックした。
しばらく林道を歩き、指導標に従って左の山道に入る。雨はやみそうでやまない。廃屋のわきを通り、畑のような開けた斜面を過ぎた時に右下を見ると、羽黒神社らしき屋根が見えた。先行する登山者を時々抜きながら植林帯の中を登る。「登り尾根」の名から想像した通りほぼ一定の勾配が続き、楽ではあるが面白みはない。
小雨なのでレインウエアの上着は早々に脱いだが、ズボンは簡単に脱ぐわけにいかない。小腹もすいて、堂所で汗を拭きがてらバナナバーを食べた。ホッとして少し歩いてみると、やはり腰回りが汗ばんでくる。結局、道端でズボンを脱ぐことにしたが、恐れていた通り靴底の泥でしっかり汚してしまった。
ゴツゴツした岩のある所で子供連れが早くも食事の支度にかかっていた。ここがマムシ岩だろうか。勾配が強まり、分岐を七ツ石小屋近道と書かれた方に取る。疲れて息が上がるのを我慢しながら20分ほど苦闘すると、頭上から人の声が聞こえて七ツ石小屋に着いた。
小屋の人に声を掛けて裏の庭のようなスペースで荷を降ろした。丸太を輪切りにした椅子が並び、何人かがコッヘルで食事を仕度している。流しの水がタダでいただけるのがありがたい。晴れていればさぞや見晴らしが良いであろうその庭で、当方も昼食とした。
食べ終わると同時に強くなった小雨に追われるように小屋を辞す。小屋の水源の沢がある所で分岐を雲取山方向とは逆の右に取り、七ツ石山山頂を目指した。ほどなく広い防火帯ふうの石尾根に飛び出す。深いガスで幽玄な雰囲気の道の脇に七ツ石神社の鳥居が見えると、ひと登りで広々と開けた頂上に着いた。
視界はないが心なしかガスが薄く、頂上は明るい。西側の急勾配を下りだすと、広々した防火帯にマルバダケブキの残骸が無数に残っていた。先月あたりは黄色い花がさぞや見事だったに違いない。ブナダワで小屋からの巻き道を合わせ、引き続き枯れたマルバダケブキを見ながら歩いていくとヘリポートが見えた。その先でハイカーの姿が見えたと思えば、奥多摩小屋のテントサイトだ。
巻き道を拒否してヨモギノ頭にあえぎ登り、さらに小雲取山への急坂を制すと、やっと道がなだらかとなり、ガスの向こうのピークに建物らしきものが見えた。雲取山避難小屋に違いない。西の空にわずかに覗く青空の拡大を期待しつつ最後の急勾配を登り、避難小屋にひっくり返った。
15分ほど待ったが、目論見と逆にガスが濃くなってしまった。今日のところは展望をあきらめ、わずかに高い本当の山頂を通って林の中を下り、雲取山荘にチェックインした。
通されたのは4-2という20畳ほどの部屋。今日は特に水が豊富で、外の流しの導水ホースからあふれ出ていたため、いったん部屋に干したレインズボンを持ち出して洗った。乾燥室もあるので乾かすほうも心配ない。夕食では三峰から来たという女性たちと一緒になり、次の組のために追い出されるまで山話がはずんだ。もっとも、外は大雨が降ったりやんだり。明日に不安を抱きながら午後9時の消灯を迎えた。
■24日■ 「星空、バリ晴れてますよ」「上、行きますか」。午前4時前、そんな人声で目が覚めた。4時に室内灯がつき、しばらく悩んだ後に起き出す。4時40分、外はまだ暗い。ヘッドランプと防寒着で武装して、宿の人の「部屋が片付けられないから、なるべく早く戻って」という声に送られて森の山道を登り始めた。最初はランプ無しでは歩けなかったのが、頂上に近づくにつれてランプがいらなくなり、赤く色づいた東の水平線が一段と明るさを増した。
低い雲はあるものの、上空は全くの快晴で富士山も良く見える。歓声の上がったご来光と同時にその山体上部が紅っぽく輝いた。後で知った初冠雪のおかげらしい。南西方向彼方には南アルプスの山々も見えている。5時から始まっている食事が気になり、前夜の女性に記念写真を撮ってもらって早々に山頂を辞した。
仕度を整え、6:35分に宿を出る。テントサイトを横目に男坂を選び、雲取ヒュッテ跡の廃屋をかすめて大ダワへ。ちっともきつくない男坂だなとバカにしかけたら、脚を滑らせて尻もちをついた。油断大敵だ。ほどなく三峰との縦走路から別れ、とたんに薄れた道形を目で探しながら芋ノ木キドッケへの急坂に取り付いた。樹林の中だが、後ろにはチラチラと雲取山が名残を惜しんでくれている。
何もない頂上を過ぎると、視界が開けた。この先の三ツドッケへとつながる稜線が見渡せる。随分遠いなと思ったが、まずはルートを間違えないようにしないといけない。道形がはっきり分らなくなり、なおも真っ直ぐ突き進んだら林の中の岩場に出てしまった。このヤケトノ頭と思しきピークから柱谷ノ頭と見られるピークまでの間が、今山行中でもっとも険しかったと思う。
長沢山はなんでもないピークだが、au携帯の所持者には数少ない通信ポイント。メールをやり取りした後、少しマシになった道を辿ると、水松山手前のピークを北へ巻くよう注意した手書きの案内が現れた。このあたりで長沢背稜に入って初めて他の登山者と行き合う。台風直後だけに辿ってきた道の様子を情報交換したが、幸い行く手に大きな問題はないらしい。水松山付近でいったん南西へ戻るように下る道に誘導され、あれっと思ったが、間もなく天祖山の尾根道と左右に別れて元の方角に戻った。知っていたら、少し手前からショートカットしていたのだが・・・。
タワ尾根ノ頭の手前で視界が開け、ヘリポートに出た。南にはキューピー頭の大岳山、北には両神山をはじめとする山々がよく見える。だんだん腹が減り出したころに、酉谷山頂と避難小屋直行の分岐に到着した。せっかくだから頂上を踏むことにして11時ごろ到着。南側が刈り払ってあるので大岳山、御前山などが良く見える。しばし展望を楽しんだ後、一気に下って酉谷避難小屋で昼食にした。
外の寒暖計は13度を指しているが、風の無い日当たりでは暖かいくらいだ。リゾットを中心とする山食メニューを平らげ、きれいな小屋を後にした。標高差20mほど坂を上がると巻き道の分岐に出る。そこから、快適と言うほかない平らな林間の道をどんどん進んだ。坊主山付近で枝の隙間から秩父市のハープ橋が遠望され、七跳尾根分岐では野生のシイタケだというキノコを提げた男性と行き会った。酉谷に泊まるというので、小川谷林道の不通でこの七跳尾根も酉谷から直接下る道も使えないことを話すと、「じゃあ、天祖山から下りるしかないか」と困惑していた。
少々腐りかけたような桟道に肝を冷やしつつ先を急げばハナド岩。南側の見晴らしが良いが、また気になる雲が高い峰にかかり始めている。疲れた脚にムチを入れ、最後のひと登りで三ツドッケ(天目山)に着いた。こちらは西側以外はすべて望める絶景のピーク。ただ、いよいよ雲行きが怪しいようなので、写真を撮ったらさっさと一杯水避難小屋へ向けて下り始めた。
急勾配を下りると岩場じみた登りが待っている。空身の家族風の一団とすれ違ったので、避難小屋への行き方を聴いた。黄色のテープを目印に曲がるとのことだったが、分岐の先の道形があまりに薄かったので、テープがもう一つあるのだろうと、そのまま地図にない尾根通しの道を下ってしまった。
蕎麦粒山からのルートと合流して、一杯水へと戻る。と、後ろからゼッケンを付けたトレイルランナーが来た。神奈川のNPO主催レースなのだとかで、青梅市の永山公園から東日原まで36キロを走るそうな。避難小屋はチェックポイントになっていて、次々にランナーが走り去る。
300人以上が参加し、この時点でまだ半分は通過していないとのことで、最後はいささか落ち着かない山歩きになってしまった。次から次へとランナーが追いついては抜いていく。結局、このヨコスズ尾根で行き会った一般登山者は、男女1名ずつに過ぎなかった。
道は植林帯の中に入り、風景も単調になってきた。脚もだるく、右足のくるぶしが靴に当たって痛む。中日原へ下りる道の分岐には気がつかないまま、やがて民家の屋根が見えてレースの係員が待つ登山口へと到着した。ランナーもまだ続々と下りてくる。
バス停を見ると、発車20分前というのに、もうバスが来ている。駆け下りて尋ねると、4時に出る臨時便とのことで、座ると間もなく発車した。トレイルランの大会に合わせた増発で、予定より早く奥多摩駅に戻ることが出来て喜んだが、同時に日帰り温泉「もえぎの湯」も混雑に拍車がかかって入場50分待ち。諦めて駅へ戻り、河辺駅前の温泉へと転進した。
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