道後山は春の気配
- GPS
- 02:36
- 距離
- 9.5km
- 登り
- 660m
- 下り
- 658m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2020年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
良好に整備された一般登山道 スキー場は休業中であり、ゲレンデを問題なく歩行出来る |
写真
感想
2/21 道後山
この日は翌日の午後に松江での仕事の予定が入ったので、雪の道後山、比婆山に訪れることを楽しみにしていた。今週の月曜日から火曜日にかけて山陰地方ではそれなりの雪が降った筈である。しかし、その後に暖かい日が続いたので果たしてどれ程雪化粧が残っているか心配だ。
出雲空港に飛行機で降り立つと快晴の空が広がっている。おろちループを過ぎると県境を通過するが、周囲の山々には驚くほど雪がない。出雲空港で借りたレンタカーはわざわざ追加料金を払ってスタッドレス・タイヤの車にしたのだが、少なくともこの道後山高原スキー場の駐車場に至るまではその必要はなかったようだ。
道後山の登山コースをスキー場の中を登っていくことになっているのだが、スキー場が営業していたら通過するのが難しそうだ。果たしてスキー場が営業しているかどうか数日前から電話をかけてみるが、留守番電話につながるばかり。スキー場に到着すると、やはり休業していた。スキー場のゲレンデはところどころで地面が露出している。
今回の山行のために12本爪アイゼン、スノーシューも携えてきたが、この雪の少なさからはどちらもまず要らなさそうだ。チェーンスパイクのみをリュックに入れて出発する。予報通りに空はすっかりと晴れ渡り、空の蒼色が深い。無人のゲレンデを黙々と登る。
ゲレンデを登るにつれ、すぐにも背後には比婆の山々の展望が広がり始めた。ゲレンデ下部のリフトを登りきったところには車が一台停められている。月見ヶ丘登山口までの道路は冬季通行止めということになっており、車止めがあったが、どうやらここまでは車で登って来られるようだ。しかし、ゲレンデには人影は見当たらない。
ゲレンデ上部のなだらかなスロープを登りきると正面にはなだらかな山が視界に飛び込む。岩樋山のようだ。山肌には落葉した広葉樹林が広がっているが、山頂部は展望の良さそうな低木帯が広がっているのが見て取れる。この標高で森林限界となる訳はないので、風衝低木樹林だろう。ゲレンデの奥には月見ヶ丘の広い駐車場があり、登山道はその左手のから自然林の林のアーケードの中へと入ってゆく。
登山道には多くの足跡でトレースが付いている。ほとどが数日前の前のものと思われるが、その中に12本爪アイゼンをつけた真新しい足跡がある。どうやら先行者がいるようだ。先ほどの車の主だろうか。岩桶山の登りに差し掛かると雪が増えるがくるぶし程度である。トレースのおかげもあって、チェーンアイゼンどころかゲイターをつける必要すら感じられない。
まもなく自然林を抜けると途端に草原が広がり、大展望が広がようになる。背後には比婆の山々が一望のもとである。その標高はこの道後山とほとんど標高は変わらない筈ではあるが、こちらに比べるとか山肌はかなり白く見える。
岩桶山の山頂にたどり着くと東側には道後山の山頂と大山が目に飛び込んでくる。大山は思っていたより雪が少ないようだ。道後山には笹原が広がっているが、その上にはほとんど雪は残っておらず、笹原の間の登山道に残る雪が白い筋となって見えている。
岩桶山から先にはトレースはほとんどなく、わずかに一人分の踏み跡があるばかりだ。東斜面を下降し始めると、ところどころで吹き溜まりがあるようだ。踝より深く雪に沈むようになってきたのでようやくゲイターを装着する。道後山への登り返しになると、上から降ってきた単独行の男性と出会う。先方も意外だったらしく「今日は人とは遭わないと思っていました。」とのこと。
道後山の山頂からは大池を巡り山頂の南側をトラバースするコースに入る。トレースはないことが期待されが、道後山の北側の山、多里大山からの登山道と合流すると忽然と一人分の踏み跡が現れる。トレースを追って道後山の南斜面を周回するとまもなく樹林の中からは鼠色に結氷した水面を見せる池が現れた。
池の水面にはった薄鼠色の氷は一部では完全に融けて、冬の眠りから目を覚ましつつあるようだ。雪が思ったより少ないのは残念ではあったが、雪があればその下に隠れてしまっていたであろう池に出逢えたことは望外の喜びであった。踏み跡は池のほとりからは南側の斜面に消えてゆく。どうやら南側の斜面を降っていかれたようだ。
ここからはトレースのない雪の上を喜びを味わうことが出来る。道後山の西側で先程の登山路と合流するが、すぐに岩樋山の南側をトラバースするルートに入ると再びトレースのない雪の上を歩くことになる。展望こそないものの樹林の中をほぼ水平につけられたルートは快適に進むことが出来る。岩樋山の西側で登りに辿った登山路と合流するとすぐ目の前に先ほどの単独行の男性が現れた。
この時期に道後山でこんなに積雪があるとは思わなかった」と仰るので一瞬、耳を疑ったが、埼玉からいらしたとのことで、この地方の一週間の天気の変化をご存じないのも無理からぬこと。今日はこれから愛媛県に向かい、明日は雨の中、三本杭と篠山に登り、明後日は石鎚山系の笹ヶ峰と伊予富士に登られる予定という。なるほど、この山々のラインナップは日本二百名山、三百名山だろう。ということは道後山もそのどちらかに含まれるということを暗黙のうちに理解した。
男性は「後59なんです」と仰る。それが二百と三百名山合わせ二百のうちの残りの山の数ということはすぐに理解できる。百名山を完登された後で次の目標に取り組んでおられるようだ。かなりの強行的なスケジュールに思われるが、定年後ということで私よりも少なくとも一回り以上は上と思われる男性の表情は、なんとも嬉しそうであった。
ゲレンデの中ほどの駐車場に停められた男性の車でお別れするとゲレンデを一気に下る。ゲレンデの下りは早い。駐車場に帰りついて時間を確認すると丁度13時であった。この日のうちに次の比婆山を登るには十分な時間がありそうだ。比婆山の雪に期待をすることにしよう。
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