森の科学館ガイドツアー+東高尾散策


- GPS
- 05:39
- 距離
- 13.2km
- 登り
- 316m
- 下り
- 282m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
|
コース状況/ 危険箇所等 |
森の科学館のガイドツアーは火水木金の10時から、科学館入口集合で入場料300円以外はガイド料無料。展示も含め、一見の価値あり。専門家の貴重な知識経験から多くを学べる。中は東京ドーム15個分と広い。春はサクラのお花見で平日でもすごい人出らしい。サクラは冬から春にかけて交代で咲いているので、ピークというものはないらしい。 JR高尾駅方面から東高尾山稜(高尾山も)へはわかりにくい。分岐で必ず方向を確かめる必要あり。私は戻らずに高尾霊園から四辻に直接出るコースに出た。ペットのお墓が入口だが道標はない。 |
写真
感想
樹木の勉強のために高尾の森の科学館のガイドツアーをお願いした。もともと林野庁の森林総合研究所(FFPRI=昔の国立林業試験場)で、現在は独立行政法人で予算が削減され、やりくりが大変らしい。林業系の研究所の施設ではあるが、ここには高尾周辺で見られる日本の山野に自生する多くの樹木を見ることができるし、樹名板も多いので、樹木の勉強には最適な場所であるし、火曜日から金曜日まで毎日、10時から二時間程度のガイドツアーが行われている。
京王線高尾駅に9時前に到着し、10時から始まるガイドツアーまで少し時間があるので、バスで霊園前まで行き、八王子城跡入口まで散策、そこから森の科学館まで戻る。やや時間が迫ってきたので、途中霊園前でバスに乗るも、森の科学館バス停は上りでは停まらず、高尾駅まで戻る。再びバスで森の科学館に行き、ガイドツアーを申し込む。まだ時間が15分くらいあったので、先に第一樹木園を散策。10時までに数組が入口に待機していたが、ガイドツアーを申し込んだのは私一人で、後は別の植物観察グループは独自のツアー、また他にガイドなしでの散策する人々もいた。結局、1対1の贅沢なガイドツアーになった。
ガイドはこの科学館のOBではなく、森林双方研究所の別の部署のOBで、ガイドの仕事を依頼されたそうで、毎週水曜日担当。火・木・金はここの科学館のOBらしい。
最初にガイドツアーを申し込んだ目的を聞かれた。山歩きで紅葉の葉に興味を持って、もっと樹木に関して知りたくなったこと、いろいろな樹木図鑑を見ながら、公園を歩いたり、高尾山ビジターセンターのガイドウォークに参加するなどしたが、樹木は図鑑で見ても難しく、やはり専門家の後について歩くのが一番と思い、ここにたどり着いたと答えた。
そこで、まずすぐそばのオオモミジのところに行って、最近の樹木の分類に関する確認。まず通常、園内の樹名板などでは新エングラー体系という20世紀初めに活躍したプロイセンの植物学者エングラーによるもので、今でも多くの植物図鑑や学校の生物の教科書に採用されている、わかりやすい分類法だが、1990年代からDNA解析による新しい分類法APG分類体系などが登場し、そのAPGを採用する新しい樹名板(写真付の大きな解説板)も園内に登場している。
その典型がカエデだそうだ。従来の分類ではカエデ科カエデ属だったが、APG分類ではムクロジ科カエデ属になっている。確かに園内の写真付の樹名板ではムクロジ科となっている。ただし科が属になるだけなので、大した混乱はないそうだ。
第二樹園に向かう。右の谷に向かってカツラの木、湿った場所、川辺などを好むようだ。
イチョウを見る。イチョウの葉についている葉柄を見ると長いもの短いものがある。また枝により葉のつき方が異なる。これは光合成を行うにあたり、光を効果的に取り入れるための工夫だ。
イチョウは裸子植物で、葉脈にも二分支の特徴がある。
化石を含めると17種が知られて、近縁の化石種は古生代から知られ、中生代ジュラ紀の頃には世界的に分布していたことが化石からわかっているが、氷河期を迎えたころに絶滅し、現在では中国にのみ生き残った、「生きている化石」である。
図鑑からではよくわからなかったことの一つに、複葉、単葉がある。ガイド氏に複葉でも単葉でも葉の付け根には葉腋があり、複葉の場合、これがあるところから上はすべて一枚の葉と見なすのだ。なるほどーー。図鑑を見ながら覚えた葉縁(はえん)の形の読み方:鋸歯縁(きょしえん)、重鋸歯(じゅうきょし)なども確かめた。
カエデの葉に似たモミジバフウのところで「フウ」は「楓」と漢字で書くことを知り、驚く。古代日本人がフウとカエデを間違えてしまったようだ。「フウ」は神代植物園で見た時は何物かと思ったが、日本の古代人と関係が深いことを知り、近づいた感じ。
また植物の進化史との関係や江戸時代のオランダ商館の植物標本の収集活動の背景や人物など、興味深い話を次々と聞くことができた。植物資源を世界支配の道具と考えた大英帝国の話は、昔書籍でいろいろ呼んだ記憶があるが、オランダも英国に対抗してさまざまな活動をしていたのだったーーそういえばシーボルト事件もあるし、その前の時代に日本に派遣されていたツンベルクが多くの日本の植物の学名の中に残っていることなど、面白い。
ホウノキ:マムシグサに似た大きな実が落ちていたが、此花はハチの登場以前唐行っていた甲虫による受粉のために、太く強い雌しべを持っている。
アラカシ:頂芽は一年かけて枝を伸ばし、次の頂芽で1年目になるーー
などなど、さまざまなことを学んだ。サクラ保存林の中でもサクラについてさまざまなことを教わった。
ガイド氏は毎週水曜日担当だが、毎週来るたびに変化を感じるという。ここに通って何回も専門家と歩けば、かなり樹木に関する理解が深まること請け合いだ。それを考慮すれば300円の入場料は安い。
沢山質問しながら歩いたので予定の12時を三十分ほど超過して科学館に戻る。超過勤務のガイド氏に深謝。
科学館館内では世界自然遺産、小笠原諸島の生物多様性に関する展示があった。ビデオも二種類上映されており、なかなか楽しめる。また常設展の中にも、森林の残留放射能に関する研究、除染対策研究や森の動物のフィールドサインなどに関する展示も興味深い。私のような初心者には十分楽しめる内容だ。
小一時間館内で時間を取り、科学館を出発。早い時間帯に終了すれば高尾山に出るつもりだったが、遅くなったので、東高尾山稜を歩いて高尾山口駅まで出ることにする。JRの踏切を超えると、金比羅山という低山への入口と、金比羅小路への案内板。東高尾の山並みとは谷一本違うのでこれには登らずに東高尾の尾根の入口を探すーー。
ところが分岐で間違えて、なんと高尾霊園の方に進んでいた。西に向かわねばならなかったのに、南に向かってしまった。分岐での方向の確認ミスだ。そういえば、分岐の手前あたりで別のハイカーが道を見失い、住民に「高尾山へはどう行くのか」と尋ねており、そのハイカーは分岐の別の道に向かったらしい。沢沿いの道になったのでおかしいと思ったが、遅かった。
すでに高乗寺というお寺のそばにでてしまい、高尾霊園の近くまで来てしまった。戻って正しい道を探してもよかったのだが、今日はもう十分目的を達したので、ここから四辻に直接出る道を使うことに変更。しかし霊園の開発でハイキング道はかなり変わっている様子。また東高尾側がずいぶん刈られていて、裸になっている。どこから登るのか、道標は出てこない。
ペットの墓苑まで来ると、お墓の上から下山してくるハイカーを見かけた。お墓の中に入ってハイカーグループに挨拶し、四辻からの道がどうだったか確認すると歩きにくいが道ははっきりわかるというので、ここから登ることにした。
地図ではもう少し先のように見えたが、実際登ってみると正解で、すぐ尾根上に出た。この先には上ってくる道はなかった。南側は急な谷になっており、道はついていない。10分くらいですぐ四辻に出た。高尾駅方面と草戸山の南高尾方面への分岐となっており、しっかりした道標がある。ここは以前、高尾城山から大垂峠を経て草戸山に出て、高尾山口に戻るのに歩いたことがある。結構長い道だった。四辻から高尾山口までは300m強で、10分もかからない。高尾山口、ケーブル駅前の土産物や通りは混雑していたので何も買わずに帰宅した。勉強になった一日だった。
コメント
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hirokok510さん こんにちは
イヌビワ、うちの庭にあります
どうやら鳥が種を落としていったようで、今年たくさんの実をつけました。
とても甘かったです
私は今、山野草を少しずつ覚えているところです
樹木は、何もわからずこれからです
山で出会う色々な物、楽しいですね
コメントありがとう。イヌビワ、うらやましいです。どんな味なのでしょう??甘いのですねーー。
自然は奥深く、学んでも学んでもわからないことだらけですが、学ぶことは楽しいです。これからもよろしく。
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