荒川水系 大洞川 荒沢谷(恐怖、熊との遭遇)
- GPS
- --:--
- 距離
- 17.8km
- 登り
- 1,628m
- 下り
- 1,630m
コースタイム
天候 | 曇り時々晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2014年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
(行動の記録)
鮫沢ゲート前に車を停めて出発。ゲートから先も舗装されていて良い道が続くが、落石が多く、確かに車は通れない(バイク・自転車は可能)
1時間ほど歩いて荒沢橋へ。準備を整えて入渓。
すぐにゴルジュが始まる。ゴルジュの中には深い釜と大岩から落ちる滝が続いている。平水なら突破できるかも知れないけれども、この時期は厳しい。釣り師の踏み跡をたどり高巻く。狼谷まではずっと釣り師の巻き道が付けられており、テープやトラロープなどが多く設置されており、良く整備されている。かなり釣り師が入る沢であるようだ。
初級の沢ということであまり下調べもせずに入渓したが、意外に深い谷で、ゴルジュが連続することに驚く。特に水量が多い時期なので、迫力もあり、結構厳しい谷に思えてしまう。狼谷までは巻き道主体に進む。
途中には(あまり赤くはないが)ベンガラの滝と呼ばれる滝があり、右から登れる。また菅ノ平と呼ばれる平坦地は、自然林と苔むした風景が広がっており、とても雰囲気が良い。奥秩父らしい、苔蒸した世界。もののけ姫の世界みたいだ。こんなところでのんびり幕営したら、さぞ楽しいだろう。
1100mくらいに井戸淵と呼ばれる通らずがある。なかなかすごいゴルジュだった。ここは右岸に巻き道があるが、取り付き点付近は崩壊により、不明瞭になっている。
狼谷出合を過ぎても、なおゴルジュが続くが、この頃になると水量もぐっと減り、ゴルジュも楽しく突破できるようになってくる。この辺りになると頻繁に枝沢が入ってくるので、慎重に現在地を確認し、1510mで北雲沢に入ると楽に稜線に出れる。
下山は、ゲートに戻るために1547mPから派生する尾根(猿鼻ノ尾根というらしい)を下った。尾根には藪も無く、歩きやすい。尾根が広く、分かりにくいところもあるので、コンパスで方向をしっかり確認すると良い。
(感想)
前半は巻き道でゴルジュをクリアできるし、後半は簡単に突破できるので確かに初級向けなのだが、終始ゴルジュが続き、なかなか威圧的な様相となっている。難しいところに挑もうという人には良いかも知れないけれども、私の様な癒し渓専門には、ゴルジュの連続はあまり精神衛生上よろしくない(大丈夫かと心配になってドキドキしてしまう)
ただ、ニホンオオカミの伝説が残るくらいの奥地なので、その山深さは確かに素晴らしかった。苔むした「もののけ姫の世界」も素敵だった。
(熊との遭遇)
北雲沢を詰めて、支尾根に乗り1670mくらいまで来た時に前方でガサガサと音がした。鹿かなと思って見上げたら黒い大きな体が見え、熊だと分かった。距離にして30mくらいだろうか。(私は急斜面にいて、熊はその上の平坦地にいたので奥に入ると下からは見えない)その時は逃げて行ったので、ほっとした。初めて熊を見てしまったなあ、くらいに思っていた。念のため、笛を吹くと再びガサガサと音がして、上から熊がこちらを覗き込んでいるのが見えた。すぐに姿を消したので、もっと大きく笛を吹いたら、同じようにまたこちらを覗き込む。どうやら笛を吹くと逆に注意を引きつけてしまうようだと思い、吹くのを止めた。しかし、熊は一向にその場を去ろうとせず、上の平坦地の辺りをガサガサ動き回っている。こちらの食べ物のにおいを嗅いで、気付かれてしまったかなと思い、ザックから取り出して、遠くに投げようと思った。その時、再び顔を出し、こちらを眺めたかと思ったら、すごい勢いで私に向かってきた。本当に驚嘆すべき速度であった。あの急斜面では考えられない速度である。
熊は爪で攻撃してくるに違いない。フック系だ。ならば右ストレートをカウンターで叩き込む・・・なんてことはマンガの中だけであり、実際はどうして良いか分からずその場に立ち尽くすのみ。あっと思った時には既に3mほど手前まで近づいてきていた。黒々とした巨体が恐ろしい。思わず身構えたが、直前で方向を変え、私の左を通り過ぎて斜面を下りて行った。下りたかったのに私が居たから行けなくて、困っていたのか。良かった。と思ったのもつかの間、通り過ぎて行った熊は再びものすごい勢いで斜面を駆け上がり、左上の方に行ってしまった。
その時、私が居た場所は支尾根の急斜面で、左右は傾斜がきつかったのでトラバースも微妙だった。本当は下れば良かったのだろうが、何となく下るという選択肢は選べなかった。しばらく様子を見たが、上からは音が聞こえなくなった。今度は本当にどこかに行ったかなと思って、取りあえず上の平坦地まで行って、そこからは熊が行った方向とは逆(右)にトラバースして縦走路に出ようと思った。恐る恐る平坦地に上がると、熊の呼吸音が聞こえる。思わず固まる。キョロキョロ周りを見渡すが、姿は見えない。どうも上から聞こえると思い、3mほど離れた木の上を見ると、子熊が木に登っているのが見えた。ということはさっきのは母熊。一気に全身の血が凍りつくような恐怖に襲われた。最悪の状況である。子熊を守ろうとした母熊に大怪我を負わされた山野井さんのことを思い出す。しかし、大声を出したり、背中を見せて逃げたりしたら、余計に興奮させると思い、静かに後ろ向きで右へとトラバースする。本当に生きた心地がしなかった。なんとかその場を離れることが出来たので、急いで縦走路に出た。
今回は、子熊と一緒だったという最悪のケースであったが、それでも無事だったのは不幸中の幸いと言える。私に向かってきたのは、襲うためだったのか、それとも威嚇だったのかは分からない。本来、熊は臆病な生き物だと聞く。子供のために攻撃に出たものの直前で回避したのだろうか?
いずれにしろ、大変だった。しばらくはトラウマになりそう・・・
やはりあれだけ同じ場所に留まるからには理由がある訳で、そんな場合はこちらがおとなしくその場を離れなければならないとつくづく思った。
コメント
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いや〜〜〜!!ホント無事でよかったです。
ドキドキしながら読みましたよ!3mまで突進とか
子熊といる母熊はかなり凶暴といいますからね〜
笛とかならしても逃げないときは、こちらが去るべきということですね。。
そんな場面遭遇したくありませんが、肝にめいじておきます。
stkさん、こんばんは。
人から「1人で行く時、熊にあったら・・と思ったら恐くない?」と聞かれることがあったのですが、ついに遭遇してしまいました。しかもかなりヘビーなものに
あの圧倒的なスピードとパワーの前に人間はあまりにも無力だと感じました。ひたすら目の前から立ち去ってくれることを祈るのみで、何も出来ませんでした
すぐ近くまで迫ってきた時の迫力・唸り声などが忘れられません・・
これからは熊撃退用スプレーとかを持った方が良いかなあなんて考えてしまいました。
たま〜に夢で見るんです。
山の中で熊に襲われる夢…。
そのたびに、ハッと飛び起きている自分。
ちびってないか毎回確認です。(笑)
スミマセン、(笑)どころじゃなかったですよね!
熊鈴+ホイッスル、百均で買ってきます!
熊の夢なんて見たことなかったですが、今後、夢に見そうです
熊と対峙している時は、意外に冷静で、引っ搔かれたら痛いよなあ・・とか大声を出せば良いんだよなあとか、急所は眉間とか聞くよなあとか、考えてました。
むしろ慌てて逃げたりとか、騒ぎ立てたりしなかったのがいたずらに刺激しなくて良かったのかも知れません。
一般道で出会うことはほとんど無いとは思いますが、バリに復帰した際はお気を付け下さい
yoshiさん、こんばんは。
荒沢谷いかれたんだなあなんて感想を読み出すとなんと
熊との遭遇、それも超緊迫感のある描写にstkさんに同じく、
ドキドキしてしまいました。
そうですね。熊がこちらに気が付いても動かないような時は、
それなりの理由があるということですね。
私が熊を見たのは大清水から一ノ瀬へ向かう林道の途中でした。
熊を観察する人も、林道から熊を発見することが多いようです。
そんなことから、私としては、一般道やバリルートというよりも
時間帯に注意かな?と思っています。(朝マズメの時間とか)
あとはその時に熊が食べるものの近くとか。(今ならネマガリダケですね)
そのため、日の出前後に歩いているときなど、一番熊を気にして
います。実は前回の尾瀬で林道を歩いている時もちょっとビクついて
いました
無事のご帰還、よかったです。私も辛子のスプレー導入しようかな。。。
先週末に登ったとき、ガスってきて、「熊が怖い。熊が怖い」と思っていましたが、やはり雲取山には居るんですね。
子連れでも、怪我が無くて本当によかったですね!
逃げないときは、こちらが去るべき・・・それは山を降りるというのが正しい選択なのでしょうか?「去る」にも、登って去る場合と降りて去る場合があるんじゃないかと、疑問に思ってしまいます・・・。
今回のケースの場合は降りるという選択をするのが正解なのでしょうか?
ともかく、無事でよかったですね。
よしさん、おはようございます。
恐かったでしょうね。
熊の発見や熊との遭遇は何度かありますが、
幸い、突進されたことはありません。
向かってこられたら、身動きできんでしょうね。
4足歩行の熊は登りは強いが下りは苦手なので、逃げる時は谷へ…。
と、教わってきましたが、どうやら下りでも猛烈なようですね。
熊スプレーの導入も考えましたが、
とっさの場面で使用する事ができるかどうか…?
私にはその自信がなく、
結局、熊に自分の存在を知らせるために叫び声をあげながら歩いてます。
沢歩きでも、人影まばらな山道でも。
熊の弱点は鼻だそうです。最悪の状況で鼻にストレートをいれられるかな…?
熊とヘビには会いたくないないですね!
youtaroさん、おはようございます。
熊と対峙していた時は、意外に冷静でした。というかどこか現実感が無かったのかも知れません。雲取山に向かう最後の急登で徐々に怖さが出てきて、震えがきました
なるほど、時間帯や熊の食べ物の近くですか。今後、それも気を付けるようにします。確かに熊は夜行性だから朝早い時間だと遭遇の可能性も高そうですね。でも植物の判別は出来るかなぁ
熊は臆病なもの。音を立てながら近づけば、向こうから逃げてくれるとばかり考えていたので、今回は(結果的に)良い経験になりました。しばらく熊の影に怯えてそうですけど
今思うと、母熊はやたらと動き回って落ち着かない、興奮したような感じだった気がします。子供の前に外敵が現れたと思って、向こうも緊張していたのでしょうね。
mount0315さん、初めまして。
奥多摩や尾瀬では熊の目撃談を良く聞きますね。まあ、入山者が多いから見る人も多いのかも知れませんが。
この場合は、人間から逃げようとしない子熊から母熊が離れなかったので、とにかくこちらがその場を離れるのが良かったのだろうと思います。下るか登るかは、その時の地形などに依ると思います。私の場合は下ると再び沢に戻ってしまい、下山するのが大変でした。なので、何とかあとちょっと登って右にトラバースして一般道に出たかったので危険と思いつつ登ってしまいました。熊と遭遇したポイントでは左右共に急傾斜でトラバースしにくかったので。でも子熊のそばを離れない母熊のことを考えると下るというのが正解ですね。もしくはいったん下って、別の沢筋、または支尾根から再び登り返すというのも正解だと思います。
あとから考えると、危険な行為でしたね。より確実なのは下る方だったと思うので。
それでもあの時は、子熊がいるとは思わなかったということと、その内どこかに行ってしまうだろうという希望的観測があったので登ってしまいました。
今考えても恐いです
gankoyaさん、おはようございます。
gankoyaさんほどのキャリアだと何回か遭遇しているのですね。
私は、ついに出遭ってしまいました
実際に見ると怖いですね。
私も熊は下りが苦手と聞いていました。しかし、それも登りの速度に比べると、という相対的なもので、それ自体は絶対的に速かったです。 あっという間に距離を詰められていました 人間は絶対に逃げられません。断言します。
確かに冷静にスプレー出来るかというと難しいですよね。私の場合、距離を詰めてきた相手に攻撃する方が慣れているので(笑)、それだけ冷静なら小さいボタンを押すよりも、アイスハンマーを思いっきり叩きつける方が出来そうな気がします。
でもスプレーの方が攻撃範囲が広いのかな・・
とにかく、今回は存在を知らせても逃げない状況もあるのだということが分かったので、貴重な経験でした。もう二度としたくありませんが・・
突然のコメント失礼します。
以前堂所で子熊に会いました。
その時は熊とわからず、物音がしたから笛を吹いたのですが、そしたら黒い物体が唸りながら斜面をかけ上がっていきました。
距離は10mくらいしか離れていなかったので、ほんと恐ろしかったです
もし母熊がいて、こちらに突進してきたらと思うと怖すぎます。
それ以来、熊鈴は必ず持ち歩き、場所によっては二個鳴らします(笑)
夜叉神では親子熊三頭にも会いまして、対策しないと熊には必ず会うんだなと思ってます。
蚊取り線香とか臭そうですけど、熊避けには効果あるのかなと気になってます。
お怪我がなくて良かったですね!
miyucchi さん、初めまして。
おっしゃるように熊対策には出遭わないことで、とにかくこちらの存在を音なり臭いなりで知らせることが大切ですね。
と言っても今回の様なケースもあるのだなとつくづく思いました。何故、笛を吹いているのに逃げないのだろう? 上の方でガサガサと何をしているのだろう? など「??」って感じでした。そしたら、人間から逃げないでその場に居続ける子供から離れられなかったのですね
あの子熊も私を(人間)恐れていなかったのか、それとも木に登ったは良いものの下りられなくなっていたのか分かりませんが、すぐ近くに私が居ても逃げずにいましたね。
めちゃくちゃ怖い体験をされましたね ヒヤヒヤしながら読んでしまいました。本当に襲われなくて良かったですね 自分は山で3回熊を見たこと有りましたが何れも熊との距離が遠く、自分と数人の仲間がいた為、怖いとは感じませんでしたが、ソロで親小熊の鉢合わせはヘビー過ぎます
krkdx さん、こんばんは。
本当に幸いにも怪我もなくすみました。ただ運が良かっただけだとは思いますが。
その前に子熊連れの母熊と遭遇すること自体は運が悪い気もします
熊と対峙している時は意外にも冷静でした。自分でも不思議でしたが
でもその後は震えが来ましたけど・・
しばらくはトラウマになりそうですね
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