【薮山レコ】西俣尾根から頼母木山往復
- GPS
- --:--
- 距離
- 15.7km
- 登り
- 1,623m
- 下り
- 1,623m
コースタイム
- 山行
- 10:10
- 休憩
- 1:15
- 合計
- 11:25
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
西俣尾根の取り付き部から大曲まで非常に急登、崖斜面にロープ設置もあり慎重に通過。頼母木山まで夏道として利用できるレベルの道が付いている。三匹穴から頼母木平で少々笹が気になる程度。大ドミ(1240m)から積雪現れ始め稜線部で10〜20センチ程度、表面が凍結して歩きにくい。だだし他の一般登山道と比べて距離が長く時間がかかるので秋の日帰りは余裕なし。 |
写真
感想
根雪になる前に西俣尾根経由で頼母木山へ登ってみた。某山岳会が整備した登山道並みの非公認の道が西俣尾根に付けられているとの話を聞いた。廃道にならないうちに感謝しながら登らせてもらうことにした。この西俣尾根は冬季の飯豊連峰へのアタックルートにもなっており重要な役割をもっている。自分も残雪期に山スキーや登山で西俣尾根を何度か利用したことはあるが無雪期は今回が初めてである。
民宿奥川入の建物に新しい登山届ポストが設置されている。ここから先は私有地の田畑の中に延びる道を進む。西俣尾根取り付きの分岐点には道標がしっかりあり、薄暗い中でも迷うことはない(320m)。蕨の生える草むらを進むといきなり急な斜面が現れ、地面に胸が付きそうなほどの急登がしばらく続く。崖になった場所にはロープがある。徐々に明るくなり周囲の紅葉が鮮やかに浮かびあがる。傾斜が緩やかになり大曲り分岐(550m)の道標でひと休みしていると、登山道の前方からアナグマがこちらに近づいてきた。寝ぼけているのか目が良く見えないのか、3mまで近づくとこちらに気付き、慌てて逃げていった。
根っこの多い細尾根を軽快に登っていく。落葉した山肌に朝日が当たりオレンジ色に染まっていく。紅葉した木々の間から白い飯豊山が見え隠れする。十文字池の看板が現れると右手の薮の中にやや大きな池がひっそりと水を湛えていた。時々幹に結ばれたピンクのテープは人の背丈ほどの位置と地上5mほどの位置に付けられている。冬季の積雪量の多さを改めて認識させられた。まもなく西俣ノ峰(1023.2m)の山頂広場に到着した。中央に三角点があり山頂プレートが地上1mと5mにそれぞれ付けれらていた。山頂からの展望は良く、これから向かう頼母木山方面の重量感のある尾根がまだらに雪をまとって朝日に輝いていた。振り返ると雲海に覆われた小国盆地や置賜平野の奥に朝日連峰や蔵王連峰がくっきり見えた。
この先も尾根上には登山道並みにしっかりと道が付けられており問題なく通行できる。ナタ目を見るとやや時間が経っているようで、以前から少しずつ刈り払いが行われてきたように見受けられた。西俣ノ峰から枯松峰(1184m)にかけては小刻みなアップダウンを繰り返し、なかなか標高が上がらない。東俣川を挟んで見えるエブリ差岳は大きくて迫力がありこのコースの魅力の一つであろう。プレートのある枯松峰(1184m)を通過する。大ドミ(1250m)付近は平坦な地形で道が直角に左に曲がる地点のようだ。このあたりから本格的な登り勾配となり足元には積雪が現れ始める。周囲の薮はかなり強靭になっているが道があるので問題なし。ただし時々現れる倒木の通過や頭上に張り出した枝などの障害物には注意する必要はある。
登りに疲れたころ、三匹穴のすぐ手前に見晴らしの良い露岩が現れる。北から東側に開けて遮るものがなく展望は抜群である。ゆっくり休むのに好都合だ。周囲は背丈ほどの潅木にダケカンバが点在する植生で、もう少しで森林限界のようである。ここから数分でダケカンバに囲まれた平坦な広場(三匹穴 1470m)があり通過する。しっかりプレートも付いている。広場のすぐ西側には小沢が走っており分岐に三豊清水のプレートがあった。急な斜面を薮に捕まりながら降りてみると氷の張った水たまりがありそこからチョロチョロと水が流れていた。水量は多くはないが、この標高では貴重な水場だ。
三匹穴を過ぎるとダケカンバは消え、笹原にナナカマドの点在する中を進む。積雪は徐々に増え1500mあたりで5〜10センチ程度。冷え込みで表面が硬化しているので意外と歩きにくい。刈り払いもやや手薄な感じで少し笹がうるさく感じる。小さな溝地形を越えるといよいよ頼母木平への直登斜面となる。厳冬期は強風の吹き晒される場所だ。登り切ると緩やかな台地状になっており頼母木平(1690m)のプレートのある広場に出る。主稜線の登山道がもうすぐだ。この先、積雪は10〜20センチほどだが硬化した表面を踏み抜きながら進むため体力を奪われる。西俣尾根分岐手前のトラバースではアイスバーン並みになっており慎重に通過した。
西俣尾根分岐に荷物をデポして頼母木山(1740m)に上がった。頼母木山山頂からは青く澄み渡った空の下、大展望が広がっていた。海岸平野部の街並みもくっきりで、遠く妙高連峰や北アルプス、上越国境稜線、尾瀬の山、鳥海山、月山まで確認できた。以前山頂にあった地蔵さまは風雪により崩壊したようで痕跡もなくなっていた。再び分岐に戻り頼母木小屋(1626m)へ下った。小屋は既に冬仕舞いをしており、トイレ棟は閉鎖されていた。風が強くなってきたので小屋の中で休憩をとった。
登山ノートを覗いてみると、10/25に胎内尾根を登った人の記録が載っており、後にヤマレコで調べてみたらshiremonoさんのようであった。胎内尾根踏破の後、さらに悪天候の中を御西岳まで往復しており、強靭な精神力と体力には脱帽である。胎内尾根は年々荒廃が進んでいるが僅かに訪れる登山者もいるようである。
小屋を12時過ぎに出発、写真を撮りながらキノコも探しながら下った。後半は少し急いだが西俣尾根登山口に着いたのは日没ギリギリの16時半であった。夏道として十分に利用できる西俣尾根であるが、距離は長く尾根末端が非常に急なこともあり、秋に日帰りで主稜線まで往復するには少々厳しいと思われる。
コメント
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このルート行ってみたいと検討中なんですが、積雪があるとなおさら日帰りはキビシイでしょうか?どこまで行けるのかやってみたい気もして気になっています。されど飯豊、簡単ではないんでしょうねぇ。catwalkさんでこのコースタイムということは凡人の私には難しいのかしら。。。
それでも行ってみる価値はありますか?ヤブ漕ぎない分雪道の方がまだチャレンジしやすいでしょうか?
お久しぶりです。おいしいコース、山平〜未丈ヶ岳へ行かれましたね。絶景も堪能出来て良かったです。残雪期の唐松岳に登っているなら西俣尾根往復は体力的には大丈夫かと思います。残雪期には梅花皮荘〜飯豊山荘の道路が徒歩を含め通行止めになることから、西俣尾根は飯豊連峰へのアクセス路として使用されるので今の時期は少なからずトレースが付いていると思います。注意点は尾根の取り付きが急なこと、西俣ノ峰〜枯松峰の稜線に雪庇や亀裂が発生しやすいこと、三匹穴(1470m)より上部の森林限界では強風地帯で広尾根のため天気が荒れると方向感覚がなくなり道迷いのリスクが高いことです。そのかわり好天の際は飯豊の雄大な展望が広がり飯豊の残雪期の入門コースとしてはお勧めです。特に枯松峰あたりから右に大きく見えるエブリ差岳は迫力です。好天が約束される機会に是非チャレンジしてみてください。ピッケルまではいらないですがアイゼンはあった方が安心かと思います。自分は昔、梅花皮荘〜飯豊山荘〜温身平〜石転沢〜北股岳〜頼母木山〜西俣尾根を4月に日帰り周回したことがあります(やはり梅花皮荘〜飯豊山荘の雪崩に覆われた急斜面のトラバースは危険)。西俣尾根に関しては薮がない分歩きやすく下りではスピードも稼げます。
参考までに最新の西俣尾根〜枯松峰の状況は「飯豊朝日の登山者情報」のこちらをどうぞ↓
http://www.iideasahi.jp/1947.html
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