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Yamareco

記録ID: 830280
全員に公開
積雪期ピークハント/縦走
飯豊山

二王子岳〜門内岳〜西俣ノ峰 越後の山は春だった

2016年03月17日(木) 〜 2016年03月19日(土)
 - 拍手
体力度
10
2〜3泊以上が適当
GPS
54:27
距離
42.5km
登り
3,678m
下り
3,475m
歩くペース
標準
1.01.1
ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

1日目
山行
10:05
休憩
0:19
合計
10:24
5:08
51
南俣駐車場
5:59
6:11
114
8:05
8:05
56
9:01
9:01
39
9:40
9:47
56
10:43
10:43
95
12:18
12:18
75
雷岳
13:33
13:33
119
桝取倉山
15:32
ヤンゲン峰コル
2日目
山行
11:43
休憩
0:41
合計
12:24
6:04
7
ヤンゲン峰コル
6:11
6:11
117
ヤンゲン峰
8:08
8:33
112
10:25
10:25
203
藤十郎山
13:48
14:01
154
16:35
16:35
2
16:37
16:40
60
17:40
17:40
48
3日目
山行
3:43
休憩
0:30
合計
4:13
7:15
139
9:34
10:04
40
西俣ノ峰
10:44
10:44
44
大曲
11:28
梅花皮荘BS
天候 3/17 快晴
3/18 快晴のち曇り 夜は風雨
3/19 風雨
過去天気図(気象庁) 2016年03月の天気図
アクセス
利用交通機関:
電車 バス 自家用車
アプローチ
新発田市南俣まで自家用車

帰還
梅花皮荘BS〜小国駅 町営バス南部線 4便/日 600円
小国駅〜新発田駅 JR米坂線、羽越本線 970円
新発田駅〜南俣 市営川東コミュニティーバス 5便/日 200円 土日祝運休
帰還当日は運休という認識がすっかり抜けており、結局歩いた 約11km 2時間10分
下山後調べると、熊出方面は土曜日も運行しており、打越下車すれば徒歩5kmと判明した
コース状況/
危険箇所等
南俣〜二王子岳
危険箇所無し、トレース多数

二王子岳〜門内岳
1200m未満は崩落箇所多数、薮が出ている
桝取倉山前後の痩尾根が難しい
二ツ峰の西側は、雪庇が崩落していたため、北側を巻いた
パーティーであればロープを出したい所
雪が全部落ちて薮になった方が安全かもしれない

門内岳〜頼母木山〜西俣ノ峰
概ね雪が安定している
特に危険箇所無し
その他周辺情報 梅花皮荘 立ち寄り湯 500円
当日は寝坊とミスコースで時間が無くなり、結局利用できず(泣
夜が明けてきた
2016年03月17日 05:29撮影 by  SC-05D, SAMSUNG
2
3/17 5:29
夜が明けてきた
橋を渡る
2016年03月17日 05:53撮影 by  SC-05D, SAMSUNG
3/17 5:53
橋を渡る
二王子神社
2016年03月17日 06:01撮影 by  SC-05D, SAMSUNG
3/17 6:01
二王子神社
海が見える
2016年03月17日 07:27撮影 by  SC-05D, SAMSUNG
1
3/17 7:27
海が見える
定高山
2016年03月17日 08:08撮影 by  SC-05D, SAMSUNG
3/17 8:08
定高山
2016年03月17日 08:08撮影 by  SC-05D, SAMSUNG
3/17 8:08
もう少し
2016年03月17日 08:39撮影 by  SC-05D, SAMSUNG
1
3/17 8:39
もう少し
2016年03月17日 08:44撮影 by  SIGMA DP1S, SIGMA
3
3/17 8:44
2016年03月17日 08:45撮影 by  SIGMA DP1S, SIGMA
1
3/17 8:45
小屋が見える
2016年03月17日 09:36撮影 by  SC-05D, SAMSUNG
1
3/17 9:36
小屋が見える
青春の鐘と書いてある
2016年03月17日 09:39撮影 by  SC-05D, SAMSUNG
7
3/17 9:39
青春の鐘と書いてある
避難小屋
2016年03月17日 09:39撮影 by  SC-05D, SAMSUNG
1
3/17 9:39
避難小屋
2016年03月17日 09:40撮影 by  SC-05D, SAMSUNG
3/17 9:40
飯豊連邦が見渡せる
2016年03月17日 09:55撮影 by  SIGMA DP1S, SIGMA
10
3/17 9:55
飯豊連邦が見渡せる
南東方向
右から二本木山、赤津山、左奥は大日岳か
2016年03月17日 09:56撮影 by  SIGMA DP1S, SIGMA
2
3/17 9:56
南東方向
右から二本木山、赤津山、左奥は大日岳か
門内岳までの稜線が見渡せる
2016年03月17日 09:56撮影 by  SIGMA DP1S, SIGMA
6
3/17 9:56
門内岳までの稜線が見渡せる
二本木山からの眺め
2016年03月17日 10:46撮影 by  SIGMA DP1S, SIGMA
5
3/17 10:46
二本木山からの眺め
尾根を下る
2016年03月17日 11:08撮影 by  SIGMA DP1S, SIGMA
8
3/17 11:08
尾根を下る
1212付近から
2016年03月17日 11:21撮影 by  SIGMA DP1S, SIGMA
6
3/17 11:21
1212付近から
雷岳か
2016年03月17日 11:22撮影 by  SIGMA DP1S, SIGMA
4
3/17 11:22
雷岳か
雷岳から二本木山を振り返る
2016年03月17日 12:15撮影 by  SIGMA DP1S, SIGMA
7
3/17 12:15
雷岳から二本木山を振り返る
薮が出ている
2016年03月17日 12:17撮影 by  SC-05D, SAMSUNG
3/17 12:17
薮が出ている
崩落が進んでいる
2016年03月17日 12:28撮影 by  SC-05D, SAMSUNG
5
3/17 12:28
崩落が進んでいる
2016年03月17日 12:35撮影 by  SIGMA DP1S, SIGMA
4
3/17 12:35
2016年03月17日 12:36撮影 by  SIGMA DP1S, SIGMA
2
3/17 12:36
藪漕ぎ。。
2016年03月17日 12:53撮影 by  SC-05D, SAMSUNG
1
3/17 12:53
藪漕ぎ。。
2016年03月17日 13:00撮影 by  SC-05D, SAMSUNG
8
3/17 13:00
桝取倉山南東のコルから進行方向
右側のピークは右を巻いた
1日目の核心部
2016年03月17日 13:47撮影 by  SC-05D, SAMSUNG
7
3/17 13:47
桝取倉山南東のコルから進行方向
右側のピークは右を巻いた
1日目の核心部
抜けた。。
2016年03月17日 14:25撮影 by  SC-05D, SAMSUNG
5
3/17 14:25
抜けた。。
穏やかなヤンゲン峰
2016年03月17日 15:13撮影 by  SIGMA DP1S, SIGMA
3
3/17 15:13
穏やかなヤンゲン峰
2016年03月17日 15:32撮影 by  SIGMA DP1S, SIGMA
5
3/17 15:32
2016年03月17日 15:32撮影 by  SIGMA DP1S, SIGMA
3
3/17 15:32
今日はここで
2016年03月17日 16:14撮影 by  SIGMA DP1S, SIGMA
9
3/17 16:14
今日はここで
すぐそこにヤンゲン峰
2016年03月17日 16:16撮影 by  SIGMA DP1S, SIGMA
6
3/17 16:16
すぐそこにヤンゲン峰
至福のとき
2016年03月17日 16:18撮影 by  SIGMA DP1S, SIGMA
8
3/17 16:18
至福のとき
2日目の夜が明ける
2016年03月18日 05:58撮影 by  SC-05D, SAMSUNG
9
3/18 5:58
2日目の夜が明ける
出発
2016年03月18日 05:58撮影 by  SC-05D, SAMSUNG
6
3/18 5:58
出発
梅花皮岳の向こうから太陽の光
2016年03月18日 06:10撮影 by  SIGMA DP1S, SIGMA
5
3/18 6:10
梅花皮岳の向こうから太陽の光
2016年03月18日 06:21撮影 by  SIGMA DP1S, SIGMA
1
3/18 6:21
朝の光のコントラストが美しい
2016年03月18日 06:30撮影 by  SIGMA DP1S, SIGMA
9
3/18 6:30
朝の光のコントラストが美しい
2016年03月18日 06:31撮影 by  SIGMA DP1S, SIGMA
3
3/18 6:31
2016年03月18日 06:46撮影 by  SIGMA DP1S, SIGMA
4
3/18 6:46
2016年03月18日 06:48撮影 by  SIGMA DP1S, SIGMA
3
3/18 6:48
2016年03月18日 06:54撮影 by  SIGMA DP1S, SIGMA
3
3/18 6:54
テン場の候補地だった1240付近
2016年03月18日 06:56撮影 by  SIGMA DP1S, SIGMA
4
3/18 6:56
テン場の候補地だった1240付近
2016年03月18日 07:00撮影 by  SIGMA DP1S, SIGMA
3
3/18 7:00
優しい稜線
2016年03月18日 07:12撮影 by  SIGMA DP1S, SIGMA
4
3/18 7:12
優しい稜線
2016年03月18日 07:17撮影 by  SIGMA DP1S, SIGMA
5
3/18 7:17
中央奥が飯豊山か
2016年03月18日 07:35撮影 by  SIGMA DP1S, SIGMA
7
3/18 7:35
中央奥が飯豊山か
二王子岳方向
2016年03月18日 07:36撮影 by  SIGMA DP1S, SIGMA
2
3/18 7:36
二王子岳方向
赤津山
気になっていたアンテナみたいのは雨量計?
2016年03月18日 08:22撮影 by  SIGMA DP1S, SIGMA
3
3/18 8:22
赤津山
気になっていたアンテナみたいのは雨量計?
進行方向
二ツ峰が見える
2016年03月18日 08:22撮影 by  SIGMA DP1S, SIGMA
5
3/18 8:22
進行方向
二ツ峰が見える
緊張から開放されてのんびり歩く
2016年03月18日 08:23撮影 by  SIGMA DP1S, SIGMA
5
3/18 8:23
緊張から開放されてのんびり歩く
2016年03月18日 08:34撮影 by  SIGMA DP1S, SIGMA
3
3/18 8:34
春の越後の山が楽しい
2016年03月18日 08:46撮影 by  SIGMA DP1S, SIGMA
4
3/18 8:46
春の越後の山が楽しい
2016年03月18日 08:57撮影 by  SIGMA DP1S, SIGMA
3
3/18 8:57
2016年03月18日 09:18撮影 by  SIGMA DP1S, SIGMA
3
3/18 9:18
2016年03月18日 09:18撮影 by  SIGMA DP1S, SIGMA
3
3/18 9:18
2016年03月18日 09:44撮影 by  SIGMA DP1S, SIGMA
1
3/18 9:44
1281の先から進行方向
2016年03月18日 09:55撮影 by  SIGMA DP1S, SIGMA
3
3/18 9:55
1281の先から進行方向
藤十郎山から二王子岳方面
2016年03月18日 10:27撮影 by  SIGMA DP1S, SIGMA
2
3/18 10:27
藤十郎山から二王子岳方面
藤十郎山から門内岳方面
2016年03月18日 10:28撮影 by  SIGMA DP1S, SIGMA
3
3/18 10:28
藤十郎山から門内岳方面
2016年03月18日 10:47撮影 by  SIGMA DP1S, SIGMA
3/18 10:47
2016年03月18日 10:47撮影 by  SIGMA DP1S, SIGMA
2
3/18 10:47
2016年03月18日 11:31撮影 by  SIGMA DP1S, SIGMA
2
3/18 11:31
二ツ峰への登り
2016年03月18日 13:21撮影 by  SIGMA DP1S, SIGMA
7
3/18 13:21
二ツ峰への登り
ピークから、下降したい東方向の尾根を覗き込む
雪庇が崩落していて下降できない
2016年03月18日 13:52撮影 by  SIGMA DP1S, SIGMA
4
3/18 13:52
ピークから、下降したい東方向の尾根を覗き込む
雪庇が崩落していて下降できない
尾根の北側の面をクライムダウンする
体感的には60°ぐらい
2016年03月18日 14:15撮影 by  SC-05D, SAMSUNG
7
3/18 14:15
尾根の北側の面をクライムダウンする
体感的には60°ぐらい
アイゼンを2度蹴り込んで、更に加重してから重心を移動する
2016年03月18日 14:15撮影 by  SC-05D, SAMSUNG
1
3/18 14:15
アイゼンを2度蹴り込んで、更に加重してから重心を移動する
落ちたらさようなら。。
2016年03月18日 14:15撮影 by  SC-05D, SAMSUNG
4
3/18 14:15
落ちたらさようなら。。
ふくらはぎが攣りそうになる(笑
2016年03月18日 14:22撮影 by  SC-05D, SAMSUNG
3
3/18 14:22
ふくらはぎが攣りそうになる(笑
安全地帯から巻いた稜線を見上げる
だいぶ薮が出ている
2016年03月18日 14:30撮影 by  SIGMA DP1S, SIGMA
4
3/18 14:30
安全地帯から巻いた稜線を見上げる
だいぶ薮が出ている
二ツ峰を後にする
先を急ぐ
2016年03月18日 14:41撮影 by  SC-05D, SAMSUNG
3
3/18 14:41
二ツ峰を後にする
先を急ぐ
雲がかかってきた
2016年03月18日 15:46撮影 by  SIGMA DP1S, SIGMA
4
3/18 15:46
雲がかかってきた
2016年03月18日 15:47撮影 by  SIGMA DP1S, SIGMA
2
3/18 15:47
ようやく門内岳に到着する
2日間で歩いた稜線が見渡せる
祠は扉が閉じている
2016年03月18日 16:30撮影 by  SIGMA DP1S, SIGMA
5
3/18 16:30
ようやく門内岳に到着する
2日間で歩いた稜線が見渡せる
祠は扉が閉じている
北股岳方向
2016年03月18日 16:31撮影 by  SIGMA DP1S, SIGMA
3
3/18 16:31
北股岳方向
地神山方向
雪が少ない
2016年03月18日 16:31撮影 by  SIGMA DP1S, SIGMA
4
3/18 16:31
地神山方向
雪が少ない
門内小屋
2枚あるはずの窓の1枚が、窓枠毎消失している
残った1枚も、填め込まれたアクリル板が外れかかっている
試しにピッケルを刺してみると、凍ってはいないようだ
2016年03月18日 16:41撮影 by  SC-05D, SAMSUNG
2
3/18 16:41
門内小屋
2枚あるはずの窓の1枚が、窓枠毎消失している
残った1枚も、填め込まれたアクリル板が外れかかっている
試しにピッケルを刺してみると、凍ってはいないようだ
時間が遅いが明日の気象を考慮して、先に進む
2016年03月18日 16:42撮影 by  SC-05D, SAMSUNG
2
3/18 16:42
時間が遅いが明日の気象を考慮して、先に進む
巨大な雪庇
20m以上の幅
2016年03月18日 17:21撮影 by  SC-05D, SAMSUNG
3
3/18 17:21
巨大な雪庇
20m以上の幅
日が暮れてくる
2016年03月18日 17:41撮影 by  SC-05D, SAMSUNG
2
3/18 17:41
日が暮れてくる
雨と風の中を進む
2016年03月19日 07:23撮影 by  SC-05D, SAMSUNG
1
3/19 7:23
雨と風の中を進む
頼母木平
2016年03月19日 07:37撮影 by  SC-05D, SAMSUNG
3
3/19 7:37
頼母木平
西俣ノ峰が見える
2016年03月19日 07:44撮影 by  SC-05D, SAMSUNG
1
3/19 7:44
西俣ノ峰が見える
大きなダケカンバ
2016年03月19日 08:28撮影 by  SC-05D, SAMSUNG
3
3/19 8:28
大きなダケカンバ
どこを歩いてもOK
2016年03月19日 08:59撮影 by  SC-05D, SAMSUNG
3
3/19 8:59
どこを歩いてもOK
振り返って
2016年03月19日 09:19撮影 by  SC-05D, SAMSUNG
1
3/19 9:19
振り返って
右上が飯豊山方向
奥はダイグラ尾根か
2016年03月19日 09:20撮影 by  SC-05D, SAMSUNG
2
3/19 9:20
右上が飯豊山方向
奥はダイグラ尾根か
入山3日前に公開された週間予報支援図(アンサンブル)
この3枚の天気図で、計画を変更した
18日夜から雨予想
渦度も18日夜以降ずっとプラスで好天は期待できないか
3
入山3日前に公開された週間予報支援図(アンサンブル)
この3枚の天気図で、計画を変更した
18日夜から雨予想
渦度も18日夜以降ずっとプラスで好天は期待できないか
同じく週間予報支援図
20日〜21日にかけて上空を気圧の谷が通過する
同時に気温が急激に下がる
飯豊は風雪だろうか
1
同じく週間予報支援図
20日〜21日にかけて上空を気圧の谷が通過する
同時に気温が急激に下がる
飯豊は風雪だろうか
同じく週間アンサンブル予想図
19日は南側を低気圧が通過、その後は冬型っぽくなる
麓は晴れても稜線は雲に覆われるパターンか?
1
同じく週間アンサンブル予想図
19日は南側を低気圧が通過、その後は冬型っぽくなる
麓は晴れても稜線は雲に覆われるパターンか?
3年前の4月に梅花皮岳から目撃した、二王子岳方向の展望
この稜線を歩きたかった
2013年04月23日 06:36撮影 by  F905i, DoCoMo
11
4/23 6:36
3年前の4月に梅花皮岳から目撃した、二王子岳方向の展望
この稜線を歩きたかった

装備

備考 ダブルアックスの方が良かったかも知れない
スタティックロープは持参しなかったが、あった方が安心
二ツ峰の北側が使えなかったら詰んでいたかもしれない

感想

3年前の4月に飯豊連邦を縦走した。北股岳に立った時、門内岳から二王子岳に至る長い稜線が見えた。いつかこの尾根を歩いてみたい、と心に残っていた。

計画
当初、確保した休みは3/17から22までの6日間だった。天候良さそうなら新発田市南股から入山し、二王子岳を経て門内小屋まで3日、以降本山、鏡山を経由して弥平四郎に下山しようと計画していた。が、奇跡は起こらず天候が期待できるのは最初の2日間だけ、以降、南を低気圧が通過、上層を気圧の谷が通過、低気圧が東の海上に抜けると冬型気圧配置で飯豊連邦は冬に逆戻り、となり、どうもうまく行かない。二王子-門内間は樹林帯も無いし、ルートの状況も解らないので悪天候は絶対に避けたかった。
で、考えたプランは3日間で二王子-門内岳を歩いて小国町に下りてしまう案。車でダイレクトに南股にアプローチ、未明に入山して1日目に出来るだけ距離を稼ぎ、2日目に門内小屋、3日目は天候が崩れるが特に危険箇所も無いので主稜線の頼母木山まで凌げば後は西俣ノ峰を経由して川入に下山できるだろう考えた。

3/17
夜通し高速を走って新潟県に着いた。本当なら湯沢辺りで下りて節約したいところだが、今回は時間が勝負なので贅沢をする。お陰で2時間ぐらい仮眠がとれる。予定どおり5時ぐらいに出発できた。直前にmarimituさんのレポートがあったので駐車場から取り付きまでの様子が分かり助かった。ありがとうございました。
境内に着く頃には明るくなった。トレースが多数あるので迷う事は無い。地味に高度を稼ぐ。暫くすると、日本海が見渡せ、1200mぐらいになると樹林も無くなり、すっかり冬山の景色になる。二王子岳は始めて訪ねるが、人気の理由が分かる気がした。小屋に着くと時間は10時前。順調だ。目指す飯豊の稜線が見える。果たして行けるだろうか。

写真を撮っていると年配の方が到着した。地元の方で登山道の整備もしておられるとの事。お世話になります。私のザックを見て行き先を訪ねられたので、門内岳までと答えると羨ましそうだった。例年、5月連休などに歩かれる、との事だった。しかし今年は5月にはきっと雪が落ちてしまうだろう、と思った。去年の平ヶ岳の状況と今年の雪の少なさ、気温の高さを考えると決して早過ぎないと思った。

なだらかな二本木山を過ぎて西に下降すると早くも薮が出現する。1100m以下はかなり雪が落ちている。藪漕ぎを強いられ、先が思いやられる。桝取倉山の先の、1150への登りは稜線が使えない。仕方が無いので右の西側を巻くのだが痩せていて感覚的には50度ぐらいに感じられた。落ちたらさようならなので一歩一歩前爪を確かめながらトラバースした。緊張した。去年のLuskeさんの記録で、トラバースが難しい、と記されていた事を思い出した。

高度を1200ぐらいに上げると雪も落ち着く。ヤンゲン峰は地形が緩く、地形図を見るといかにも幕営適地だ。睡眠不足とか、普段使わない筋肉とか使って疲れもあるので、今日はここまでとした。360度越後の冬山に囲まれた素晴らしいところだった。昼寝をするとあっという間に寝入ってしまい、気が付いたら既に日は沈んでいた。

3/18
風も無く、よく寝れた。
テントを畳んで、ピークを詰めるとヤンゲン峰。距離的には二王子岳と門内岳の丁度中間ぐらいか。ルートが見渡せる。今日果たして、あの飯豊の稜線まで辿り着けるか。ちょっと緊張。
ちょっと進むと、広大な丘。昨日、テン場決める時にここまで進むか迷った所。予想以上に素晴らしい。これだから残雪期の稜線歩きは止められない。

突然傾斜が増し、アイゼンを効かせて一歩一歩詰めると赤津山。右にアンテナみたいのがある。雨量計か?ちなみにこれが携帯基地局だったらありがたいのに(笑)。正面に大日岳から蒜場山に至る尾根。あの尾根も歩けるのだろうか。
赤津山からは尾根がなだらかになって緊張から開放されて好き勝手、のんびり雪原散歩を楽しむ。天気が良くなって暑い。日焼け止めを忘れてしまったので、下山後が恐ろしい。

昨日からずっと見えていた、尖った二ツ峰が近づく。ピークの近くは雪が落ちて薮が出ている。素直に薮を掻き分けて高度を上げる。
二ツ峰のピークは痩せていた。西に進路を取ろうとするが、尾根の雪が落ちている。ザックを置いて空身で偵察するが、とても下降できそうにない。ロープは持ってきていなかった。仮にあったとしても支点をどうするか。北側を巻けるか。但しかなり傾斜がある。目測で60°ぐらいありそう。悩んでもしょうがないので意を決してクライムダウンする。一歩一歩、アイゼンを蹴り込み、更に荷重して固めた。去年の暮れ、僅かなボーナスと僅かな貯金を掻き集めて、山用品歴代最高額の、シャンクが入った冬靴を購入した。そのお陰で助かった(笑)。アイゼンの前爪にしっかりと荷重できる。去年までは厳冬期も夏靴で歩いていた。足が冷たくて困った事は無かったのだが、アイゼンの前爪に乗り込めないのが悩みだった。ただ、集中して一歩一歩下降した。ふくらはぎが攣りそうだった。

北側を巻いて二ツ峰を見上げると、ピークの直ぐ下の雪が落ちていて薮が出ていた。二王子岳で出会った年配の方が、「薮が出ていれば薮に捕まりながら下りれば落ちないんだけどなぁ」と言っていた意味がやっと分かった。要するに中途半端に崩落していると難しいという事になる。未だ北側が安定していたから良かったのだろう。二ツ峰の下降が今回の核心だった。

2日目午前は順調だったが、二ツ峰を越えるために大分時間を費やしてしまった。今日は少なくとも門内小屋には逃げ込みたい。しかし、以外と高低差があって門内岳が遠い。赤い祠に到着すると、既に16時を廻っていた。空もいつの間にか雲に覆われていた。写真を撮るとすぐに小屋に向った。
門内小屋は西側の2階の窓が出入り口だ。3年前の春に通過した時は、窓のガラスが割れて部屋に雪が積もっていた。今年は何と窓までびっしりと雪の壁になっていた。2枚あるはずの窓枠の1枚が消失していて、残った1枚もガラスの代りに填め込まれたアクリル板が強風のためか外れかかっていた。雪にピッケルを刺してみると刺さるので凍ってはいないようだ。スコップで雪を掻き出せば室内に入れそうだ。

が、更に北に進む事にした。頼母木小屋はそれほど遠くは無い。危険箇所も無い。明日は天候が荒れるだろう。稜線の風雨に晒されるのはできれば避けたい。時間が遅いのでリスクがあるが、今日移動した方が総合的に安全だろう、と考えた。
実際、飯豊の稜線は歩き易かった。雪庇が巨大で、幅が20m以上ありそう。4車線道路もOKだ。太陽が雲に隠れたので先を急ぐ。頼母木山の左側に小屋が見える。とうとう夜になるが雪が白いのでヘッドランプ無しで歩ける。が、小屋を見失う。GPSで確認しながら進むと小屋に到達した。18時30分だった。当然誰も居ない。冬季入口が紐で固定されていた。解くと窓が開いて無事入る事が出来た。疲れ果てて食事もとらずに寝てしまった。12時近くだろうか。気がつくと外は風が強く、雨が当たっていた。

3/19
気が付くと部屋が明るかった。すっかり寝過ごしてしまった。土曜日なのでバスの2便めが11:35、それを逃すと15:25で最終だった。ピンチ!風呂に入れなくなってしまう。急いで纏めて風が強い外に飛び出した。

頼母木山までは風が強かった。ガスがかかっていて視界も悪い。が、西俣の峰の尾根に入って少し高度を下げると、予想通り風が落ち着いた。やはり、昨日頼母木まで進んでおいて良かった。順調に高度を下げる。気温が高く雪が腐っているのでワカンで雑に歩く。風呂に入れるなぁ、とか、下りたら何食べようか、とか考え事して歩いていたら、どうもおかしい。こんな急な下りはあったっけ?薮もひどい。ん??と、右を見るとあれ、何だあの尾根?
と、よく確認すると西俣の峰を通過してしまった!大きな看板が出ているので黙っていても気が付く、と思っていたらどうもピークの西側をトラバースしてしまったようだ。バーカ!

と言う訳で、風呂が無しになってしまった(泣)。それどころかバスも怪しくなってきたので焦る。漸く大曲に到着。アイゼンに換えて急坂を慎重に急いで下りる。適当なところで左の斜面を駆け下りて林道のトレースに合流。民宿の前でワカンを解除。アスファルトを歩いてバス停に。5分前だった。やれやれ。

帰還
小国駅から米沢線、坂町から羽越本線で新発田駅へ。駅前から川東方面バスを待つが一向に来ない。おかしいなぁとよく見ると、土日祝は運休!と書いてある。。やってしまった。。orz
越後観光交通の赤谷方面は1時間30後、更に1時間は歩くので、それならここから歩くか、と、サンダルで車が走る道路をトボトボと。幸い雨が上がっていて助かった。1時間歩いてやっと中間の川東小学校。ベンチに腰をかけて休憩。またトボトボ歩く。南俣に着いた時はすっかり暗くなっていた。2日連荘の日没歩行(泣)

まぁ無事下山で、いい山だった。

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コメント

凄すぎる!
はじめまして

残雪期の単独飯豊横断を得と拝見させて頂きました。

技術、知識(含気象)、体力、経験等々すべてに長じた方にしか達成出来ない、まさにグレートトラバース、凄すぎます。
 
特に”落ちたらさようなら“などと簡単 ?に仰りながら、体感60度の雪壁をトラバースされる様子には恐怖すら覚えました。

「落ちても死なない処」しか歩けない私(泣)の感覚を超えた世界ですが、3年間も惹き付けて離さず敢行を迫る飯豊はそれ程魅力的な山だと言うことでしょうか。

素晴らしいレコ有り難うございました。(素人の投稿には躊躇がありましたが、何方のコメントも有りませんでしたのでコメさせて頂きました。)
2016/3/24 18:11
Re: 凄すぎる!
tonkara さん、感想ありがとうございます。
山での感動を共感してもらえると、本当に嬉しいです。

飯豊は冬の間、人を一切寄せ付けない厳しい所だと思います。
樹木を見ると、こんな太い幹までもへし曲げてしまうのか、というくらい強烈な風だという事がわかります。
そんな環境に耐え、削られて残ったあの穏やかな優しい稜線なのだと思います。
そんな神秘的光景を目撃してしまうと、また会いに行きたい、と思わされます。

私にとって飯豊は、また歩かせてください、と訪ねると、よく来たね、と言って迎え入れてくれる、そんな感じの山でした。
2016/3/24 22:39
恐れ入りました!
こんばんは。

さすがとしか言いようがないですね。
この季節にこのルートをソロで歩くとは。

二王子〜門内は無雪期は藪に覆われていて
歩く人はいないんじゃないかと思いますし、
一般的にはGWくらいに歩かれるんじゃないかと思いますが、
そこをこの季節に歩くのですから、恐れ入りました。

とにかく、無事に下山なさって何よりです。
2016/3/24 20:32
Re: 恐れ入りました!
motch さん、ありがとうございます。

いやぁ、正直ソロは危なっかしいなぁ、と思いました(笑
一部の尾根が痩せているので、巻く時は慎重でした。
二ツ峰ではビレイヤーが居てくれたら空身で稜線のルート工作ができたのに、と思いました。
ロープ持ってこなかった事を一瞬後悔しました(笑
でも、それ以外はのんびり気楽に歩ける春山でした。

そうなんですよね、感覚的にGWが残雪期ですよね。
しかし、ここ2,3年雪が落ちるのが早まっているのを感じます。
特に今年は雪も少なく気温も高かったのでびっくりです。

今回歩いてみて、越後は魅力があるなぁ、と思いました。
私が知らない越後が本当は沢山あるんでしょうね。
2016/3/24 22:59
すごいですね。
この季節に誰も歩いてないですね。
単独での縦走に強さを再認識しました。
素晴らしいです!
2016/3/25 15:14
Re: すごいですね。
den-dero さん、ありがとうございます。
単独はお気楽なもんです(笑
好き勝手できますから。。

静かさという点ではこれ以上は無いと思います。
廻り山ばっかりです。電波も入りません。
どっぷりと浸れます。
トレースはありました。
2人パーティーらしく、4,5日前に逆ルートの東方向に歩いた感じでした。
二王子岳でお会いした、地元の方の次に人に会ったのは、下山してからのバスの運転手さんでした。
2016/3/25 23:55
今回も逆ですね(笑)
二王子〜門内の縦走、お疲れました。
去年、私が歩いた時に比べて雪量豊富で雪稜が見応えありますね
私の場合は、門内〜二王子への縦走で、kiha58さんと逆ルートだった訳でしたが、
このルートにした大きな理由は、二ツ峰の存在でした。
殆ど垂直みたいなものですから、下りになると詰む危険があると考え
逆ルートにしてます。
実際は薮が出ていたので、私の時はそれ程大きな難所にはなりませんでしたが、
今回は厳しかったようですね
何はともあれ、素晴らしき飯豊稜線を満喫されたようで何よりです

私も近々飯豊登山を考えておりましたので、今回の記録は非常に参考になりました。
門内小屋が使え無さそうなので、どうするか悩み中ですが
2016/3/26 14:05
Re: 今回も逆ですね(笑)
なるほど、そういう事だったんですね。
実は、難しい二王子〜門内をなぜ後半にしたのか不思議に思っていました。
残っていたトレースも東方向のようでした。

今回歩いて思ったことは、ここは難しい(笑
何がって、痩せている。
雪が落ちてしまった場合巻かなければならないのですが、斜度があるのでミスできません。
今回はルートの2割ぐらい落ちていた感じでしたが、Luskeさんの時は2割ぐらい残っていた感じ?(笑
さぞ大変だっただろうなぁ、と思いました。難易度2段階上がった感じでしょうか。
癖もあるし電波も入らないし(笑)、でも魅力がありますよね。

また行かれるのですね。(いいなぁ)
門内小屋、西側の窓から室内見た感じでは、奥の方はしっかり空間がありました。
凍ってはいなかったので30分ぐらい横穴掘れば利用できるかもしれません(笑
2016/3/27 10:06
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