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2015年10月04日 18:49全体に公開

北陸新幹線の開業後の変化と、今後の課題(縦走ルートへのアクセスを含む)

写真は左から、北陸新幹線の車両E7、W7系
金沢の名所「兼六園」
糸魚川(いといがわ)駅の新幹線アルプス口(くち)ホームから望める北アルプスの北縁

以前この日記で、北陸新幹線開業における登山口のアクセスの変化について述べさせて頂いた。
ちょうど、8月に北陸新幹線に乗り金沢まで往復してきたので、そのレポートを含めて、開業後の変化と、登山口、特に縦走ルートへのアクセスを含めた今後の課題について述べたい。
ちなみに、乗車したのは、新潟県の糸魚川〜金沢間で、糸魚川までは車である。
1 所要時間の短縮について
糸魚川〜金沢の所要時間は、かつての特急が最速でも1時間30分近く掛かっていたのが、50分弱と圧倒的に短くなった。
これには驚かされた。
ちなみに東京〜金沢間は最速で3時間43分(大概の列車は4時間以上)だったのが、最速で2時28分になった。
新幹線の速さには、改めて驚かされる。
全体的に所要時間は3分の2に短縮された。

2 乗り心地について
乗り心地は申し分はない。
新規開業線は車輪やレールの摩耗が少ないので開業直後は特に揺れないのだが、制振装置を備えた最近の車両は驚くほど揺れない。
またシートピッチも広く作られているのか、普通車でも筆者のような図体のでかい者でも、足を楽に伸ばすことができた。
座席の脚台がコンパクとになり、座席の下に足が入るようになったのも大きいだろう。
また、最近の海外のバックパッカーの増加を受け、客室に大型荷物用の棚も設置されることになったとか。
登山者としてもありがたいニュースだ。

3 駅からの二次交通について
筆者達は金沢市街の観光だったので、市街地のバスが発達している上、分かりやすく案内されていたので、駅からの二次交通の利便性は良好だった。
ただこれは、都市の話で、郊外、特に登山口のアクセスはどうだろう。
沿線には、新たに国立公園として独立した妙高、戸隠山系や、北アルプスの白馬岳や、立山連峰、白山等がある。
立山黒部アルペンルートとしてアクセスが確立されている立山はともかく、それ以外の山系はどうだろうか?
新潟県を例にとると、妙高山系は、百名山の妙高山の山腹にある赤倉スキー場のゴンドラが「妙高高原スカイケーブル」という名称になり、観光用にスキーシ一ズン以外も運行されるようになった
ゴンドラの終点からも入山できるので、所要時間は短縮されただろう。
他にも妙高山の登山口は、燕温泉や、百名山の火打山への登山口と共通の笹ヶ峰がある。
笹ヶ峰は牧場のある美しい高原だ。
アクセスは、在来線の妙高高原駅や関山駅からバスになる。
関西方面からなら新幹線の「上越妙高駅」で在来線に乗り換えだが、東京方面からなら「長野駅」で新幹線から在来線に乗り換えた方が良いだろう。
次に白馬岳だが、最寄り駅は新幹線の「糸魚川(いといがわ)駅」だ。
新潟県側の登山口の蓮華温泉へは駅からバスが出ている。
一方、妙高山系に連なる百名山の雨飾山(あまかざりやま)も糸魚川駅からバスだ。
ただし、バスは麓の集落どまりで、そこから登山口のある「雨飾温泉」までは林道を歩くことになる。
これらは、全て駅から登山口までのアクセスはバスになるわけだが、如何(いかん)せん本数が少ない。
特に夏季以外は本数が減るので、事前にバスの時刻を念頭においてプランを立ててた方が良いだろう。
また、糸魚川駅は白馬、大町方面へ通ずる「大糸線」という在来線の始発駅だ。
白馬は言わずもがな登山、スキーのメッカ、大町は立山黒部アルペンルートの長野県側の玄関口だ。
以前にも述べたが、この大糸線の糸魚川側の利便性がひどく悪い。
本数も少なく、白馬、大町方面へは途中で乗り換えもあり、JR西日本と東日本という会社間を跨ぐので、その乗り継ぎの間(ま)も悪い。
せっかく新幹線が開業しても、糸魚川側で人の流れを遮っている様なものだ。
繰り返し述べているが、意欲的な改善を求めたい。

4 開業効果について
報道によれば、北陸新幹線の利用者は、開業前の在来線から倍増したのことだ。
また、筆者は金沢で、とにかく外国人観光客の多さに目を引いた。
容姿から欧米系の外国人観光客が目に入りやすいが、一見、日本人だと思ったら、耳に入る会話からアジア系の外国人観光客だと気付いたことも頻繁にあった。
兼六園等の有名スポット等では、少なくとも観光客の約3分の1は外国人と思われた。
新幹線が開通したことで、成田からも、アクセスしやすくなったのだろう。
日本人の観光客が頭打ちの現在、集客数を伸ばすには、如何に外国人観光客を呼び込めるかが鍵だ。
最近は、著名な山でも外国人の姿を見掛けるようになっている。
さて、東京、高崎間で北陸新幹線と線路を共有する上越新幹線沿線では、北陸新幹線の開業により新幹線の優位性が薄れ、周落することを懸念していた。
確かに、少なくとも新潟県内の上越新幹線沿線の観光地では、あまり外国人観光客の姿を見かけない。
そういった意味では、今回の金沢だけ見る分には、観光については、明らかに大きな効果があったようだ。
上越新幹線の沿線の、今後の健闘を期待したい。
北陸新幹線の方は、これを一時的な開業効果のみに終わらさず、持続することと、沿線に波及することが課題だろう。

5 最後に
新幹線については申し分ないが、今後は駅からの二次交通の更なる向上を図る必要がある。
都市部はともかく、郊外や登山口へは、まだまだ向上の必要がある。
また、登山に関しては、特に縦走して別の登山口に下った際に、公共交通が重宝される。
山域が広い場合は特にそうだ。
しかし、多くの山では、それぞれの地域が、最寄りの登山口へのアクセスしか念頭になく、縦走まで視野に入れていない。
例えば、妙高山系の妙高山、火灯山、火山の焼山(やけやま)を経由し、雨飾山まで稜線は繋がっており、時間的にタイトではあるが、百名山を三つ縦走する新幹線を使った周回は不可能ではない。(宿泊を伴う)
しかし、両登山口共に縦走にまで視野に入れてアクセスを整備しているだろうか?
宿泊先の山小屋や幕営地までの所要時間にマッチしたダイヤでなければ、利便性は半減する。
正直、縦走には途中に山小屋がもう一つほしいところだが、もし仮に今後、山小屋の整備をするのであれば、縦走による周回を念頭に置いた配置でなければ、意味はない。
一方、先の大糸線も同様で、糸魚川側の利便性を向上させれば、新幹線を使った立山黒部アルペンルートの周回ルートとして確立されるだろう。
これからは、これまでの様に、新幹線駅の周辺のみを考えた狭い視野の二次交通の整備ではなく、新幹線を使った周回ルートの動線を整備しなければ、新幹線の効果は波及しないし、すぐに利用者数も伸び悩むことになるだろう。
最後に、周回ルートの取り組み中の好事例を紹介したい。
上越妙高駅の最寄りの直江津港からは、以前から佐渡島行きのフェリーが運航されていたが、新幹線開通に伴い「高速フェリー」を導入したところ、利便性が向上し、利用者が一気に増えた。
これだけでは、これまでと同じ「我田引水」の二次交通の整備にすぎない。
さらに佐渡島から対岸の能登に、試験的ではあるが季節運航による高速船を運航させた。
これまで、佐渡島と能登は対岸でありながら、直接結ぶルートはなかった。
能登は、朝ドラの「まれ」のヒットで、最近、最も注目された地域だ。
能登から金沢までは、観光列車が導入される。
これにより、上越妙高、佐渡島、能登、金沢の周回ルートが形成される。
県どころか、海まで跨いだ周回ルートである。
海上を経由するので、悪天候に影響を受けるというハードルはあるが、それに臆せず、こういった柔軟な発想による意欲的な取り組みを行っていることにエールを送りたい
先に述べた縦走ルートを始め、各地域でも、ぜひこういった取り組みを見習って、導入していくことを期待したい。
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