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2011年09月19日 18:34未分類全体に公開

正義と遭難、仲間が動けなくなったら・・・

アサイラムビビーのポールをうっかり折ってしまい1ヶ月、購入店に修理(ポールの交換)を依頼しているが、メーカのほうでなかなか部品が手に入らないとのことです。
こういうところはマイナー製品の弱みだなと思います

仕方がないので、ツェルトでビバーグ体験でもしようかなと思っていましたが、あいにくの空模様・・・。
雨の中ビバーグしたくないし(ホントは悪天候だからこそビバーグの練習になるのでしょうけど)というわけで3連休の山行は中止としました。
来週、再来週と旅行の予定が入っており、しばらくは山に行けなそうです(泣)

暇つぶしにyoutubeにアクセスするとサンデル教授の正義がトップページにあったので見てみました。結論、かなり面白いです。ハーバード大学が自信を持って公開しているだけのことはあります。そして、一番重要なことは英語が分かりやすい。留学生などネィティブ以外の学生がいることを考慮してなのか、簡単かつゆっくりしゃべってくれます。

「ケース1として、あなたが路面電車の運転手だとして、ブレーキが壊れてしまったが、幸いにもハンドルは壊れていない。
直進すると5人の作業員が死んでしまい、ハンドルを切って横道にそれると1人の作業員を死んでしまう。
この場合、ほとんどの人はハンドルを切って1人の犠牲者を選ぶ(少数派で直進するという学生もいた)。」
これは1人を犠牲にしても5人を救うことを意味する。そうすると、「正義」の基準は人数にあるのだろうか?

「次にケース2として、あなたは橋の上から暴走する路面電車を見ているとする(今度は横道がない)。
同様に路面電車の行く先には5人の作業員がおり、このままでは5人が死んでしまう。そんなとき、ちょうど橋から身を乗り出すようにものすごく太った男がいた。
あなたが一押しすれば、太った男は橋から落ちて路面電車は止まり、5人は助かり、太った男1人が死ぬ。この場面でどうするか?この場合は学生全員が太った男を突き落とさないことを選んだ。
ケース1とは逆に5人を犠牲にし1人を助けることを選んだ。果たして何が違うのだろうか?」
といった話を学生と議論しながら進めていく。

この時点ではケース1では自分が当事者であり、1人か5人かを選ばなければいけなかったが、ケース2では1人の犠牲を選ぶ(太った男を押す)と自分が当事者になるが、5人を選ぶと自分が傍観者になれるからかな?と思っていた。自分が当事者であれば、いつでも1人の犠牲を選ぶのが「正義」だろうと思ったわけです。しかし、ケース3、4を示されて、この考えはあっさりとひっくり返されます。

「ケース3として、あなたが医者だとして路面電車にひかれた(笑)6人の患者が入院してきて、5人は重症、1人は重体(危篤)。5人を治療すれば、5人は助かるが1人死ぬ。1人の重体(危篤)を治療すれば1人が助かり、5人が死ぬ。この場合はほとんどの学生が5人を助けることを選ぶ。これはケース1と同じ数の論理だろう。」

「ケース4として、あなたが移植外科医だとして、5人の患者が臓器移植をしなければ死んでしまう状況だとする(5人が必要な臓器はそれぞれ異なる)。隣の部屋には健康診断に来た1人の健康な男が寝ており、この男から臓器を摘出すれば5人は助かるが、当然この男は死ぬ。この場合は1人を犠牲にして5人の患者を助けるという学生はいなかった。(5人の患者の内1人を犠牲にして4人に移植するというアイデアをだした学生が1人いた)。」

やはり、当事者でも単純に数の論理で決めているわけではないようですね・・・。ここらへんで学問的な内容になってきたので、脱落しました(日本語で聞いても理解できるかどうか怪しい )。

で、最後に登山に戻ると、悪天候下の登山でパーティの1人が低体温症で動きがにぶくなった。
ほっておけば死んでしまうだろうし、かといってそのペースに合わせていてはパーティ全員が低体温症で死んでしまう危険性がある。
あなたがパーティのリーダーだったらどう決断をするか?

パーティをむやみに分けないのは鉄則ですが、ここでの正解はリーダー(または一番元気な人)が残って一緒にビバーグ。残りのメンバーは安全地帯まで下山し、救助を求めることでしょうか(極限状態であれば、消耗した1人を放置して下山というのが正解なのかもしれないし、ヒマラヤなどの厳しい登山では実際にあるみたいです)。
でも実際にこういう場面になったら、みんなで面倒を見ようとしてパーティ全員が消耗していくことにおちいりそうです。
例のトムラウシの大量遭難もそんな一面があるかなと思ったり、思わなかったり
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コメント

ゲスト
RE: 正義と遭難、仲間が動けなくなったら・・・
俺、もうずっと一人でいいです・・・
2011/9/19 18:57
RE: 正義と遭難、仲間が動けなくなったら・・・
きっと「正義」はメンバーの人間関係なんでしょうね。
たとえ危険だと判っていても肉親のピンチだったら放っては行けない。
孫が谷に転落して祖父が救助に向かい、本人も途中で滑落して死亡するというような事故は毎年繰り返されますが、夫婦の場合は、片方が滑落しても冷静に救助を求めて下山するという場合が多いような気がします

ツアー客同士であればお互いに助け合うということはしないでしょうから、実は大パーティーはいざという時には弱いでしょうね。
2011/9/19 19:51
mic726さんへ
こんばんは。

もし、仲間が動けなくなったらパニックでしょうね。
そうならないようにパーティの中で一番弱い人に合わせて、行動するのが大切なんでしょうけど、そこを見極めるのは難しいところですよね
2011/9/19 19:52
MATSUさんへ。
こんばんは。

人間関係、これは重要な判断基準かもしれません。
私もケース1で横道の作業員がグラマラスな女性だったら、ハンドルを切らずに5人の作業員に突っ込むでしょう。たとえ5人を犠牲にしても美女を救います (← 違)

冗談はさておき、孫や子供か滑落して・・・というケースは毎年あり心が痛みます。
案外滑落した孫や子供は無事だったりすることも多いでだけに・・・。

トムラウシの例では客同士が助けあったという証言もありますから、一概には言えないのでしょうけど、大パーティはいざというときは弱いのは間違いないでしょうね
荒天下でスピードが遅くなるのはそれだけで大きいリスクだと思います。
2011/9/19 20:03
RE: 正義と遭難、仲間が動けなくなったら・・・
この日記を読んでハーバード白熱教室を録画しっぱなしで見ていないことに気付きました。
時間を見つけて消化しまーす
2011/9/19 23:23
RE: 正義と遭難、仲間が動けなくなったら・・・
こーゆー状態に陥るのが怖くて
一人で歩いてるって自分を再認識・・・

きっと正解のない答えにたどり着けず
ずーっと一人

ムズカシイっす
2011/9/20 10:04
RE: 正義と遭難、仲間が動けなくなったら・・・
う〜ん
自分だけトイレに行くふりをして
逃げ出す
と言ったら袋叩きにされそうですね…(しませんよ!)

でも実際こういう事になったら…
ほんと難しいです…
2011/9/20 11:40
hiro-tさんへ
こんばんは。

NHKで放送していましたね。
当時は全く興味が無かったのですが、見ておいてもよかったなと思います。
自分が学生時代にこういう授業を受けたかったですね。
2011/9/20 23:14
nyaroさんへ
こんばんは。

こういう状況に陥らないように、パーティのときは単独のとき以上に慎重になるべきでしょうか。
あれ、でも通常は単独のときこそ慎重になれと山の雑誌には書かれていますが・・・。

正解はないと思います。
結果論であーすれば良かったとは言えると思いますが・・・。
2011/9/20 23:18
to4さんへ
こんばんは。

そっかー山でto4さんがトイレに行くときは要注意ですね

「岳」では、動けなくなった登山者を久美が叱咤激励をしていましたが、現実にはそんな簡単には解決しないでしょうし。

私は単独ではピンチになったことはありますが、パーティでピンチになった経験がないので、きっとパニックになりますね。
2011/9/20 23:24
RE: 正義と遭難、仲間が動けなくなったら・・・
人がどういう「正義」の価値判断をするものかということなんでしょうか

まず、
比較対象が同等の場合、つまり全員健全な状態、または何かしないと全員死んでしまう場合は数の論理が働く

比較対象が不均一の場合は異なる判断となり、
基本的に健全なものを毀損することは、「悪」とされる

善悪判断基準の哲学上の講義なのでしょうか

ただ、現実世界はそう一辺倒にはいかず、
例えば…患者6人では
一人の人に注力しないと助からないという状況は、助かる確率、助からない確率があって、注力しても助からないという可能性があったり
同時に全員に小さく力を注ぐことでなんとか助ける道があったりと
簡単単純ではないですね
事故もそうですね、回避確率も考えなければいけません

山でのこの状況だと…
どれだけの装備と残りの体力と技術があるのか
人間関係もからんでさらに複雑ですね

私なら…
全員分のビバーク装備があるなら全員でビバークかと
救助は無線ですることを考えます
残りの人が低体温でバタバタとということも考えられますので、無線飛ばした方が確実と考えるかな

ツアーで参加なら、離脱宣言して自分でビバークするかも(爆)
2011/9/21 12:22
komadoriさんへ
こんばんは。
はじめましてでしょうか。
(レコは前から拝見していますし、他の人のレコで「刺客」として登場していたので、勝手に楽しんでいました

確かに、現実世界では不確実性がありますよね。
哲学の思考ゲームとは違います。
トムラウシだってああなると分かっていたら、1人が動けなくなった時点でみんなで待つという行動はとらなかったでしょうし。

助かるかダメかなんて分からないわけで、全員が助かる道を模索するのが人間だと思います。
「全員でピバーグで無線で救助」は思いつきませんでした、ナイス だと思います(全員分のビバーグ装備を持っていないパーティは論外なので)。
私は免許がないのでできませんが、無線があるといざというとき選択肢が増えますね。
ただ、トムラウシではビバーグして亡くなった方もいますので、体力が残っていて食料があれば、歩き続けたほうがいい場合もあるかもしれません。

ツアーの場合は、ガイドがいるため、考えることを放棄して、行動が遅れてしまうかもしれません。
もっともこんな状況に陥った時点でガイドの力量不足と判断し、ガイドから主導権を奪うべきなのか…。
しかし、自分の力では不安を感じる難コースだからこそツアーに参加するわけであり、自力で打開するのは難しそうです。

他のパーティがピンチだったら・・・意外と冷静に自分の身の安全が確保できる範囲でしか手を差し伸べないという判断をしそうです(もちろん、救助は呼びますが)。

こう考えてると、やはり3連休に悪天候下でのビバーグを体験しておけばよかったですかね
2011/9/21 20:31
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