祝辞

那須たか子さんへ

ここのところあまり話したこともありませんし、そもそも顔を合わせる機会もどんどん少なくなっていました。

それでもあなたが血の滲むような努力をしていたことはよく知っていますし、極度のストレスにも負けずほとんど弱音を吐くことなく精神的にも安定していました。

あなたを見ていると、将棋の羽生永世七冠が言っていた言葉が頭をよぎります。

『何かに挑戦したら確実に報われるのであれば、誰でも必ず挑戦するだろう。報われないかもしれないところで、 同じ情熱、気力、モチベーションをもって継続しているのは非常に大変なことであり、私は、それこそが才能だと思っている。』

私には全くこんな才能はありませんが、あなたはまさにこれを実践しました。

昨日早朝、これから勝負に向かうあなたを見かけました。何か声を掛けようと思いましたが、私の言葉など全く不要だと悟らせ、気圧される雰囲気を纏っていました。あなたの成功を確信した瞬間です。

思う存分暴れて来いっていうつもりだったのです。そんなこと言われなくてもそのつもりでしたでしょうし、実際存分に暴れてきたと聞いています。

おめでとうございます。尊敬の念と少しだけの嫉妬を感じます。

面と向かって祝意を伝えればいいのだけど、言葉にするとなんか白ける感じだし、多分そんな雰囲気はあなたも望まないでしょう。

だから絶対あなたが目にすることはないこの場で、ひっそりとお祝いさせてください。

パッと祝宴などと思っているけど、来てくれますか？

笹尾根【広義】の山の神にお礼参りに行かないと行かないなあ。


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　瓜蔓飛男　拝