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加藤則芳さんの最後のノンフィクション(本人弁)となるというこの本を読んでいる。アメリカの東海岸川を南北に走るアパラチアン山脈を貫く、全長2,000マイル以上のハイキング道・アアパラチアントレイルを、氏が2005年にスルーハイクされた時の「日記」。ご自分でこの本を「最後のノンフィクション」と言われるのは、加藤さんのALS罹患のためなのだろう。自分の体に自信がある者が思うように動けなくなると、言いようのない苛立ちや虚無感に襲われる。
これから加藤さんはそれらの感情と、どう気持ちの折り合いをつけて行かれるのだろう。まんざら他人事でもなく、言いようのない気持ちがわく。
で、この本についてだが、まだ半分しか読んでいないけれど、自分はこの人と似通った点があまりに多く・・・読みながら反省することが多くて多くて…。ただ、同意できない部分がとても多く、少しもやもやしたものがたまってくる。
私は、登山が好きであり、ロッククライマーであった時期もあり、トレイルランナーでもあり、もちろんハイカーであり、何より森と山を愛しているし、農民でもある。私の自然に対する考え方は、学校の図書館と近所の田畑山林川を走り回り、農業を手伝ってきた子供のころからの体験に根ざしている。
しかし、サラリーマン時代を経て、半農半著の暮らしをするようになり、自然の中で様々な人たちと話し意見を聞いてきた。自然を愛する気持ち、美しいと感じる感覚や方法には、その人の生き方によってずいぶん異なるものだ。
私には、山を走る人の気持ちも、歩く人の気持ちもどちらも理解できる。だから、走る人や軽い荷物でハイスピード通り過ぎる人達が、自然を見ていない満喫していない、と決めつけるのは、いかがなものだろう。逆に、そのスピードややり方だから見られるものや感じられることもある、ということを理解してほしいものだ。
また、そういった人々にネガティブな評価をする傍らで、自分の歩きが速いことに誇りを感じている、という矛盾も抱えているように思えた。
文字にすることは難しい。
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