1.はじめに
先日懇意にしている雁坂小屋にて発電機の故障というトラブルに遭遇し、原因特定のお手伝い等をさせていただきました。その際、お話の中で発電機のみに頼らない電源設備として、何が考えられるか?という相談を受けたりしました。
筆者は衛星通信用アンテナ設備の運用・保守、及び人工衛星の運用等をさせていただいている身なので、少しばかり電気設備、電波設備、及びIT機器等については少なからず知識があったりするので、商用電源から隔絶された世界、山小屋における電源設備について考えてみました。ちょっと長くなりそうなので、前提と設計でページを分けます。
2.電源候補
2ー1.化石燃料エネルギーを使用するもの
電源候補として何が考えられるか。
一つは既に述べた通り、化石燃料を使用する発動発電機が挙げられます。
燃料はガソリン、軽油、A重油等の液体燃料を燃焼させてレシプロエンジンを回してダイナモだったりオルタネータから電気を発生させる代物です。工事現場だったりお祭りの出店だったりの裏でけたたましく鳴っているあの機械です。
燃料さえあれば手軽かつ、比較的安定し、かつ大きな電気エネルギーを得られるこの発動発電機は多くの山小屋でも古くから使用実績のある電源と言えましょう。
欠点としては燃料が無ければ動かない、メンテナンスが大変などが挙げられるでしょう。
2−2.再生可能エネルギーを使用するもの
再生可能エネルギーとは、風力や太陽光、水力等の一度利用しても比較的短期間に再生が可能かつ将来的に枯渇することが無さそうなエネルギーのことを言います。
身近なものだと太陽電池発電や風力発電、大型のダムに備わる水力発電などが挙げられますね。
その中で最もコンパクトかつ安定したものとなると、太陽光発電と風力発電といったところでしょうか。
この二つの発電設備は歴史も古く、実績のある発電設備であり信頼性も高そうですが、化石燃料エネルギーを使用する発動発電機と比較するとどうしても発生させるエネルギーと安定性が低い傾向にあります。
しかしながら、使用する電気設備の目的を明確にした場合においては必要十分な電源候補となりえます。
初期導入コスト、維持管理を考えると風力発電より太陽光発電の方がよさそうです。
(調べたら風力発電機がびっくりするくらい高かった。)
3.使用する(したい)電気設備
山小屋において使用(提供)する電気設備としては小屋内の明かりが最優先になるかと思います。
これまでの明かりといえば、白熱電球を代表として、次いで蛍光電球があり、最近ようやく大々的に普及してきたものとしてLED電球があります。
これらの電球において、大体同じぐらいの明るさを有する性能の消費電力を比較すると、以下のような関係となります。
・白熱電球>>>蛍光電球>LED電球
具体的に100型の電球で比較すると、以下のような感じです。
白熱電球100型:90.0W
→http://www.akaricenter.com/hakunetu/toyolamp/frost-100v90w.htm
蛍光電球100型:20.0W
→http://www.akaricenter.com/denkyu_keikoutou/toyo-efa25.htm
LED電球100W型:14.3W
→http://www.akaricenter.com/led/toshiba/lda14l-11n-g-100w.htm
LED電灯がダントツで消費電力が低いことになります。仮に小屋全体で10本使用するとした場合、白熱電球は900W 、蛍光電球は200W、LED電球は143Wとなるため、電源にかかかる負担を最少にし、システムを可能な限りコンパクトにしたい場合においてはLED電球が最適と言えます。ただし導入費用が高くなりがちなので、蛍光電球も候補に入れてもよいでしょう。
小屋の明かりの他には従業員用の携帯電話・スマートフォンの充電用電源、ラジオや省電力テレビの電源等も考えられるので、小屋全体として少なくとも300W〜500Wクラスの電源を1日あたり5〜6時間程度は提供できる電源設計とするとよさそうです
※春〜秋で20時ぐらいに消灯のイメージです。
【設計編へつづく】
https://www.yamareco.com/modules/diary/187099-detail-145403
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